JPS6225741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は太陽電池を有する電子腕時計の構造に
関する。

電子腕時計の電池寿命は年々長くなり、現在３
〜５年の物が多い。そして今後もさらに長寿命化
が進むと思われる。というのも電池寿命は長い程
ユーザーに便利だからである。また電子化が進む
に伴ないアラーム・ストツプウオツチ機能等の便
利な付加機能が付き消費電流が増加するため大容
量の電源が必要となつてきており、今後さらに
種々の便利な付加機能が付加されるため、及びよ
り高品位の表示が要求されるため、さらに大容量
の電源が必要とされる。アナログとデジタルの複
合時計についても同様のことが言える。この様な
要望に答える方法として単結晶の太陽電池を備
え、使いながら電気エネルギーを補充する時計が
実用化され、現在約７年の電池寿命が実現され好
評を得ている。そしてより低コストの薄膜太陽電
池の一種であるアモルフアスシリコン太陽電池
（以下ア太陽電池と略記する）の開発が急激に進
み、その実用化が待たれている。

本考案の目的は薄膜太陽電池を形成したガラス
基板、またはポリイミド等の高温に強いプラスチ
ツク基板と文字板基板を一体化して文字板とする
ことにより簡単な構造で信頼性の高い薄膜太陽電
池付腕時計を提供することにある。

本考案の他の目的は外観が良く、低コストの太
陽電池付腕時計を提供することにある。

本考案による太陽電池付アナログ電子時計は、
透明または半透明で下側の面に複数の薄膜太陽電
池を形成した１枚の基板と、該基板を薄膜太陽電
池を形成した面が内側となる様に絶縁性ギヤツプ
剤が混入された接着剤で固着一体化し且つ電極取
り出し用の穴が開けられた文字板基板と、該文字
板基板の下に配置され前記電極取り出し用の穴に
対応する位置に穴が開けられた回路受と、該回路
受の下に配置された回路基板と、前記電極取り出
し用の穴と前記回路受に開けられた穴とに挿入さ
れるとともに上端は前記基板に形成された薄膜太
陽電池の電極と接し下端は前記回路基板の電極と
接するバネ部材を有し、前記電極取り出し用の穴
の係と前記回路受に開けられた穴の径は前記バネ
部材の外径よりやや大きいことを特徴とするもの
である。

以下薄膜太陽電池の１つであるア太陽電池を例
にとり説明する。

第１図は本考案の太陽電池付腕時計の一実施例
を示す平面図であり、第２図はそのＡ−Ａ部の断
面図である。ア太陽電池１が形成され、中心に穴
を有するガラス基板２は普通の文字板同様に文字
板受足を有する文字板基板３に接着剤４により固
定される。接着剤４には適当な径の絶縁性ギヤツ
プ材、例えばグラスフアイバの紛末が混入されて
おり、文字板基板３とア太陽電池１との絶縁を確
実にとつている。また接着剤４はア太陽電池１が
形成された部分のみで接着しており、したがつて
表から見ても接着剤４はア太陽電池１にかくれて
見えない。文字板基板３のア太陽電池１より内側
の部分は一般の文字板仕上げがされ美しい外観を
保つている。コイルバネ５はア太陽電池１と回路
基板６のパターンとの導通をとつており、回路受
７に開けられコイルバネ５の外径よりやや内径が
大きな穴に案内され、文字板基板３に開けられコ
イルバネ５の外径よりやや内径が大きな穴を通し
て太陽電池１のパターンに接している。コイルバ
ネ５の圧力はガラス基板をはくりする方向に働く
が、その圧力を十分小さく設計できる為、問題な
い。ここでア太陽電池部の詳細を説明する。第３
図はア太陽電池の結合段数を示す回路図であり、
６段直列接続された太陽電池１が２個並列に接続
されている。この12分割は文字板の時分割と合わ
せ外観を良くするためである。第４図はコイルバ
ネ５とア太陽電池１との接点部の部分拡大図であ
り、８はITO（InSnO₂）よりなる透明電極であ
り、円周方向に長くなるため太陽電池の直列低抗
が高くなる。これを下げるため導電ペーストの厚
膜印刷または各種金属のマスク蒸着または蒸着後
エツチング処理によつて電極９を透明電極８の外
周部に形成している。アモルフアスSi層１０はＰ
型アモルフアスSi層１１、真性のアモルフアスSi
層１２、Ｎ型のアモルフアスSi層１３よりなり、
12時位置の時分割目盛14が印刷されている下面の
一部にはアモルフアスSi層１０はなく、コイルバ
ネ５と透明電極８との導通がとれる様に構成され
ている。このため表から見たのではコイルバネ５
は見えず外観に何ら影響を与えない。Niまたは
Cr、Auの二層よりなる電極１５も同様な構造で
ある。

コイルバネ５は接触抵抗を下げるためAuメツ
キしている。

第５図はガラス基板２のア太陽電池の径方向の
中心部を円周方向に断面をとつた部分断面図であ
る。一段目の電極１５と二段目の透明電極８、二
段目の電極１５と三段目の透明電極８というふう
に接続し、６段目で接続する。

第６図は第１図Ｂ−Ｂ部の第４図と同様部分の
部分的な断面図であり、ア太陽電池１のもう一方
の電極取り出し部である。Auメツキされたコイ
ルバネ５は電極１５と接触する。

この様にして太陽電池を形成した文字板１６は
文字板受足をネジにより地板４１に固定される。
ガラス基板２が飾りリング１７に当り破損するこ
とを防止するため文字板基板３と飾りリング１７
の間に文字板リング１９を入れ、これがストツパ
ーになる様構成されている。ムーブメントは文字
板基板３が中枠２０を介して裏蓋２１が胴１８に
ネジ止めされることによつて固定される。２２は
裏蓋パツキンである。飾りリング１７はカバーガ
ラス２３、ガラスパツキン２４を有するガラスリ
ング２５、防水リング２６と一緒に胴１８に押し
込まれ固定されている。

この様な構成により、簡単な構造でかつ、最小
限の部品増で太陽電池付腕時計を提供することが
できる。またムーブメント状態で太陽電池も一体
化されているので取り扱い易く、また外装との関
係による接点不良も防止でき高信頼性が確保でき
る。時分割目盛、太陽電池、内周の文字板仕上げ
面が段差を設けて構成できるため時計に立体感が
生まれ、良い外観となる。また時針がガラス基板
と少し接触する様な状態で取りつけられても、従
来の様に文字板をキズつけることがなく、また多
少の接触では時針とガラス基板との摩擦係数が小
さいため問題なく、時針取り付けの自由度があが
る。またこの部分の寸法をつめることにより薄型
化することも可能である。ガラス基板またはプラ
スチツク基板に半透明な着色を施すことにより従
来にない質感の時計ができる。

第７図は本考案による文字板の他の一実施例を
示す断面図であり、第２図と違う部分についての
み述べる。時分割目盛２７は普通の植字同様に金
属からなりガラス基板２８に接着固定される。こ
の様に金属の時分割目盛を用いることにより従来
の文字板と同様の質感を得ることができる。２９
は前述した文字板受足である。

第８図は本考案による文字板の他の一実施例を
示す断面図であり、時分割目盛３０、商品名、メ
ーカー名３１はガラス基板３２上に印刷により設
けられ、その裏面にはア太陽電池３３が形成され
その後その内周面は適当な質感の文字板仕上げ３
４がされている。４２は接着剤である。このよう
な構成によりガラス基板と文字板基板との接着面
積が多くとれ、より信頼性が高くなる。またガラ
ス下面に直接文字板仕上げするため普通の文字板
と異なつた質感が得られる。第７図と同様、金属
の時分割目盛を用いることによりさらに他の質感
を得ることができる。

以上説明した様に本考案は、透明または半透明
の基板の片側の面に薄膜太陽電池を形成した基板
と文字板基板を太陽電池を形成した面が内側とな
る様に絶縁性ギヤツプ剤が混入された接着剤で固
着一体化し、この太陽電池と回路基板の導通をバ
ネ部材によりとる構造をとることにより、 (a) 文字板基板の上方に太陽電池が形成された基
板が配置されており、時針等の指針は文字板基
板に接触しないため、高級な外観処理が施され
た文字板基板に指針によりキズがつけられてし
まうことは生じ得ず、しかも、指針側には、太
陽電池が形成された面と反対側の基板の平滑面
が位置するので、たとえ指針が表面に少し接す
る様に取り付けられた場合においても止まりあ
るいはミスリ等のトラブルの発生を防止でき
る。

(b) また、太陽電池の形成された面はこの面を内
側にして文字板基板に固着されているため、こ
の面と、文字板基板の表面は、外部には露出せ
ず保護された状態となり、組立修理作業時にお
けるピンセツトによる傷等により太陽電池及び
文字板基板の表面が損傷を受ける事を防止す
る。

(c) 文字板基板と薄膜太陽電池が形成された基板
とは互いに絶縁性ギヤツプ剤が混入された接着
剤により固着一体化されており、文字板基板と
薄膜太陽電池表面とは間隔を有して接着される
ので両者間の絶縁が確実に保たれ、しかも、こ
のギヤツプ剤の厚みにより文字板基板の表面と
前記基板の下側の面との間には空間が確保され
るため両者が接触する場合に発生するニユート
ンリングあるいはぬれ状態に見る等の外観不良
の発生はあり得ず良好な外観を提供できる。

(d) また、文字板基板と太陽電池が形成された基
板は、それぞれ別工程で製造し、部品完成後に
固着一体化でき、文字板基板の加工方法は、太
陽電池を形成させる工程を考慮せずにまつたく
自由に設定できるため、通常の文字板にみられ
る様な高級な外観を有する文字板基板を提供す
る事ができる。また、太陽電池の製造工程は、
文字板基板の加工工程とは別に自由に設定でき
るため、太陽電池を製造するために最も適した
工程をとる事ができ、品質の良い太陽電池性能
を有する文字板を提供できる。

(e) 太陽電池に形成された電極と回路基板の電極
とをバネ部材により直接接続するため、余分な
導通経路を設ける必要がなく、バネ部材の弾性
力により常に電極部に押しつけられているた
め、確実な導通が得られ、構造が簡単であり、
導通経路の電気抵抗を最小限の小さな値にでき
る。

また、バネ部材はその周囲をバネ部材の外径
よりやや大きな径の穴を有する文字板基板と回
路受によりガイドされているので、組立時にバ
ネ部材が傾けられたまま組み込まれたり、組立
後に時計体に衝撃、振動等の外乱が加えられて
もバネ部材が座屈したり、位置がずれたりする
ことが防止され信頼性の高い導通状態を得るこ
とができ。

(f) 太陽電池を有する基板と固着一体化された文
字板基板は通常の文字板と同様に取り扱えこの
太陽電池はバネ部材によりムーブメントの回路
基板と接続されているので、ムーブメントの状
態で太陽電池の機能検査ができ、しかも、太陽
電池と回路基板間の距離は外装ケース、裏ブタ
等の外装部品の寸法、形状誤差の影響を受けな
いので、太陽電池と回路基板との安定した接続
が得られ、品質に優れた太陽電池付電子時計を
提供できる。

(g) 太陽電池の形成された基板と文字板基板は一
体化されいるため、組立修理作業は、通常の太
陽電池のつかない時計の場合とほぼ同様に容易
に行なえる。

(h) 基板に半透明な着色を施せば従来にない質感
を有する時計ができる。

という顕著な効果を有する。

尚、本考案ではアナログ時計について述べてき
たがデジタル時計についても同様の事が言え、見
切板がアナログの文字板に相当する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のア太陽電池付腕時計の一実施
例を示す平面図である。第２図は第１図のＡ−Ａ
部の断面図である。第３図はア太陽電池の結合段
数を示す回路図である。第４図は第２図のコイル
バネとア太陽電池との接点部分の拡大断面図であ
る。第５図はガラス基板２のア太陽電池の径方向
の中心部を円周方向に断面をとつた部分断面図で
ある。第６図は第１図のＢ−Ｂ部断面の第４図と
同様部分の部分断面図である。第７図、第８図は
各々本考案による文字板の他の一実施例を示す断
面図である。 １，３３，３５……アモルフアスSi太陽電池、
２，２８，３２，３６……ガラス基板、３，３８
……文字板基板、４，４２……接着剤、５……コ
イルバネ、６……回路基板、８……透明電極、
９，１５……電極、１０……アモルフアスSi層、
２７，３９……植字、３４……文字板仕上げ、３
７……絶縁板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 透明または半透明で下側の面に複数の薄膜太陽
   電池を形成した１枚の基板と、該基板を薄膜太陽
   電池を形成した面が内側となる様に絶縁性ギヤツ
   プ剤が混入された接着剤で固着一体化し且つ電極
   取り出し用の穴が開けられた文字板基板と、該文
   字板基板の下に配置され前記電極取り出し用の穴
   に対応する位置に穴が開けられた回路受と、該回
   路受の下に配置された回路基板と、 前記電極取り出し用の穴と前記回路受に開けら
   れた穴とに挿入されるとともに上端は前記基板に
   形成された薄膜太陽電池の電極と接し下端は前記
   回路基板の電極と接するバネ部材とを有し、前記
   電極取り出し用の穴の径と前記回路受に開けられ
   た穴の径は前記バネ部材の外径よりやや大きいこ
   とを特徴とする太陽電池付アナログ電子時計。