JPS6223816Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はマルチフイラメント糸をかさ高加工す
るための仮撚機における糸ガイドプレートに係
り、特に上記糸に仮撚を施す仮撚装置と該装置に
よつて形成された撚りを固定するヒータとの間に
設けられて糸の走行を案内する糸ガイドプレート
に関する。

上記糸ガイドプレートはヒータから仮撚装置に
向けて走行する糸の振動を抑制して撚りの円滑な
伝播を促すと共に、ヒータで熱せられた糸の温度
を吸収して所定温度まで低下させる働きをなし、
一般に上記糸を接触走行させるための溝を有して
いる。

仮撚装置によつて形成された撚りは上記溝中を
糸の走行方向とは逆の方向に伝播するが、糸上を
撚りが伝播するとは即ち糸が回転することであ
り、従つて上記溝中の糸には仮撚装置による極め
て高速の回転が発生する。糸は上記溝の内面と接
触走行しているため、糸はその回転により糸張力
の許す範囲内で溝の内面に沿つて移動し、場合に
より溝の外へ脱出する。この糸の溝からの脱出を
防ぐには溝をパイプ状とするか、溝に蓋を設ける
か、あるいは溝の出口開口部を狭くする等の手段
が考えられるが、溝をこのような構造にすると糸
掛け操作が困難となることがあり、また糸の脱出
は防ぎ得ても上記した溝内での糸の移動までは防
止し得ない。この糸の移動または振動は糸張力の
変動を生じさせ、更に撚り伝播を不均一とするこ
とによつて加工された糸の質を低下させる。

本願考案は上述した問題点を解決することを目
的とし、糸ガイドプレートの溝から糸が不測に脱
出することを防止すると共に溝内での糸の振動等
をも抑制し、しかも糸掛け操作も容易な糸ガイド
プレートを提供するものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は仮撚機の全体を概略的に示し、給糸パ
ツケージＰ１から第１フイードローラ１で引出さ
れた糸Ｙは垂直に立設された第１ヒータ２内を上
方へと通過し、該ヒータ２の上位でガイドピン
３，４によつて屈折された後、糸ガイドプレート
５で少し下向きの略直線状に案内され、仮撚装置
６に導入される。仮撚装置６は交差して互いに異
なる方向に走行する２本の無端ベルト間に糸Ｙを
ニツプして仮撚を施す、いわゆる公知のベルト式
仮撚装置であり、該装置６で糸Ｙ上に形成された
撚りは該糸Ｙの走行方向とは逆の方向に、つまり
糸ガイドプレート５から第１ヒータ２を経て第１
フイードローラ１まで伝播し、第１ヒータ２内で
撚りの熱固定がなされる。糸Ｙは仮撚装置６を出
て解撚された後ガイドピン７で下方に屈曲され、
第２フイードローラ８、第２ヒータ９および第３
フイードローラ１０を順に経て、フリクシヨンロ
ーラ１１によつて回転される巻取パツケージＰ２
上に巻取られる。第２ヒータ９は糸Ｙに残留する
応力歪みを除去するため場合により設置されるも
ので、また前記仮撚装置６は複数の回転円盤を糸
Ｙと接触させるフリクシヨン式のもの等、他の公
知のものを用いて差支えない。

第２図および第３図は前記糸ガイドプレート５
の底面図および縦断面図をそれぞれ示し、該プレ
ート５は金属板を曲折して長尺の筒状に形成して
ある。糸ガイドプレート５の下面には糸Ｙを案内
し走行させるための断面Ｕ字形の溝１２が下方を
開口させて形成してあり、また該溝１２は第３図
に示す如く中央部が僅かに突出した側面視で弓形
の形状をしている。糸Ｙは通常は溝１２の底面１
３に沿つて走行し、また溝１２が上記した弓形の
形状をしていることにより二点鎖線で示す如く若
干の弓形をなして走行し、溝１２の長手方向に沿
つて底面１３で略均一な押圧力を受ける。

更に溝１２にはその長手方向の中央位置ａ１お
よび該位置から等距離だけ離れた位置ａ２，ａ３
の合計３箇所に、第４図ないし第６図に示す凸部
１４が形成されている。該凸部１４は溝１２の両
側壁１５，１５において、該溝１２の幅を少し狭
くするように突出形成され、また凸部１４は両側
壁１５，１５の中央深さ部分のみまたは開口部分
近傍に形成されるのでなく、溝１４の奥方におい
て底面１３と連続するように形成される。１６は
上記凸部１４の形成加工により底面１３上に生じ
る凹部である。

上述した糸ガイドプレート５の作用について説
明すると、糸Ｙは通常二点鎖線Ｙ１で示す位置を
走行しており、このとき糸Ｙは溝１２の底面１３
のほぼ全体と接触し、振動を抑制されると共に底
面１３に熱を吸収されている。糸Ｙがその回転に
よつて底面１３から一方の側壁１５へと移動した
状態は一点鎖線Ｙ２で示され、このとき糸Ｙは側
壁１５と直接接触せず３箇所の凸部１４と接触し
て各凸部１４間にかけ渡された状態となる。糸Ｙ
がその回転によつて側壁１５上を移動する力は糸
Ｙの側壁１５に対するころがり摩擦によるが、糸
Ｙが一点鎖線位置Ｙ２にあるとき糸Ｙと溝１２と
の接触面積は極めて小さなものとなり、従つて糸
Ｙは上記移動力を急激に失い、糸Ｙの張力によつ
て再び底面１３上の二点鎖線位置Ｙ１へと引戻さ
れる。凸部１４は底面１３と連続して、つまり糸
Ｙが底面１３を離れると同時に凸部１４と接する
ようになつているので、糸Ｙは底面１３上で僅か
に移動するのみで、凸部１４上に位置する時間は
極く僅かであり、溝１２外へ脱出することは殆ど
ない。

凸部１４の数は複数個必要であるが、その形状
や突出高さは適宜設計変更が可能であり、溝１２
の開口部近傍にまで凸部１４を形成し、あるいは
開口部近傍において大きく突出させるものとして
も良い。更に凸部１４は底面１３に連なるように
形成することが好ましく、底面１３から少し離れ
た位置に形成しても良いが、溝１２の開口部近傍
にのみ設けたものでは前述した糸の移動の範囲が
大きくなり糸張力の変動を生ずるおそれがある。

以上説明したように本考案によれば、糸を案内
する溝の底面近傍の側壁に複数個の凸部を形成し
たので、糸がその回転により溝の底面から上記凸
部上へ移動すると同時に再び上記底面へと引戻さ
れる。従つて糸が上記溝から脱出することを防止
できるうえに該溝内での糸の振動等をも抑制で
き、糸の張力変動を抑えて良質の加工糸を得るこ
とができる。また溝の開口部を狭くあるいは閉塞
する必要がないので、溝内への糸掛け操作も容易
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は仮撚機の全体を示す図、第２図および
第３図は糸ガイドプレートの底面および縦断側面
をそれぞれ示す図、第４図ないし第６図は糸ガイ
ドプレートにおける凸部をそれぞれ拡大して示す
図で、第４図は縦断正面図、第５図は底面図、第
６図は縦断側面図で、第７図は糸ガイドプレート
において上記凸部を有しない部分での拡大縦断正
面図である。 ２……第１ヒータ、５……糸ガイドプレート、
６……仮撚装置、１２……溝、１３……底面、１
４……凸部、１５……側壁、Ｙ……糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヒータから出た糸を仮撚装置に向けて案内する
   仮撚機の糸ガイドプレートであつて、上記糸を走
   行させる長尺の溝を有し、かつ該溝の長手方向の
   複数箇所における溝の底面近傍の側壁に凸部を形
   成してあることを特徴とする仮撚機の糸ガイドプ
   レート。