JPH0156122B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属溶湯への線状添加剤の案内装置に
関するものであり、更に詳しくは、駆動ローラか
ら送り出された線状添加剤に座屈変形を生ぜしめ
ない安定した走行状態を保証する脆弱な線材用の
案内装置に関するものである。

イ 従来技術 製鋼工程に於いて、成分調整の目的で溶鋼内に
アルミニウムの線状添加材が付加されている。斯
かる線状添加材は、スプールに巻取られた状態で
系外から供給されるから、取鍋へ供給するに先立
つてピンチローラを介して矯正ローラ装置へ導入
し、前記スプールへの巻取りに起因する湾曲を修
正する必要がある。このような線状添加剤の湾曲
修正装置として、例えば実公昭55−9636号公報に
は矯正ローラの開閉を偏心カム機構によつてなし
得るようにした線状添加剤の供給装置が記載され
ているが、斯かる矯正ローラ装置を使用しても線
状添加剤の湾曲を完全に矯正することは不可能で
ある。更に詳しく説明すると、線状添加剤は直径
５乃至12mmの容易に塑性変形する線材から構成さ
れている為、スプールに巻取られた際に塑性変形
し、この巻癖は矯正ローラ装置に通過した後に於
いても線材の長手方向に沿う「うねり」として未
矯正のまま残存している。従つて、該線状添加剤
は、ガイド・パイプによつて案内されて取鍋内の
溶鋼に接触したとき、溶鋼による圧縮荷重の影響
を受けて座屈変形し、以後、該線状添加剤の連続
供給は実質上不可能になる。また在来の線状添加
剤の供給装置に於いては、前記矯正ローラ装置に
よつて線状添加剤の湾曲が完全に取除かれたと仮
定しても、ガイド部材の形状あるいは寸法の如何
によつては線状添加剤に座屈変形を生ぜしめる場
合があり、長時間に亘つて安定した操業状態を継
続することが相当困難であつた。

本発明者等は、在来の線状添加剤供給装置に認
められた上記の如き不都合を解消すべく鋭意研究
を進めた結果、線状添加剤供給装置から取鍋に至
る線状添加剤の走行経路に配設する案内装置の構
造を改良することによつて線状添加剤の座屈変形
を効果的に防止し、該線状添加剤の安定な供給を
継続し得る事実を見出し、本発明に到達した。

ロ 発明の目的 本発明の主面な目的は、公知の線状添加剤供給
装置に於いて未解決の高速供給時の線状添加剤の
座屈変形を効果的に防止し得る新規な金属溶湯へ
の線状添加剤の案内装置を提供することにある。

本発明の他の主要な目的は、複数組の案内手段
を線状添加剤の供給経路に沿つて所定間隔で配置
してなる構造簡易な作動の確実性に優れた線状添
加剤用案内装置を提供することにある。

ハ 発明の構成 本発明は、駆動ローラ１，１′から送り出され
た線状添加剤２を取鍋３内の溶鋼４へ供給するた
めの案内装置Ｇであつて、上下一対をなす案内ロ
ーラ５，５′の係合面の間に前記線状添加剤２の
通過間隙６を形成してなる複数組の第一の案内手
段Ｇ１、または該第一の案内手段Ｇ１と共働する
管状部材７よりなる第二の案内手段Ｇ２を前記線
状添加剤２の供給経路に配置した金属溶湯への線
状添加剤の案内装置を要旨とするものである。

ニ 実施例 第１図は本発明の第一の実施態様を例示する一
部破断正面図であり、第２図は本発明の第二の実
施態様を例示する一部破断正面図である。これら
の図面に於いて、本発明に係る線状添加剤の案内
装置Ｇは、上下一対をなして自由回転する案内ロ
ーラ５，５′の係合面の間に線状添加剤、例えば
アルミニウム線２の通過間隙６を形成してなる複
数組の第一の案内手段Ｇ１から構成されており、
該第一の案内手段Ｇ１は、前記アルミニウム線２
を送り出す駆動ローラ１，１′または矯正ローラ
１，１′と取鍋３との間の円弧状に湾曲した供給
経路に沿つて、比較的短かな配設間隔を保持して
回転自在に支承されている。

また本考案の第二の実施態様に於いては、前記
複数組の案内ローラ５，５′の間に、線状添加剤
２の前記通過間隙６と略同一の横断面形状を有す
る管状部材、例えば合成樹脂材料もしくは金属材
料製のパイプ７が第二の案内手段Ｇ２として配置
されており、該第二の案内手段Ｇ２は、前記第一
の案内手段Ｇ１と共働して駆動ローラ１，１′ま
たは矯正ローラ１，１′から取鍋３内の金属溶湯
４に向つて延びる円弧状に湾曲したアルミニウム
線２の案内装置Ｇを構成している。

上記本発明の第二の実施態様に於いて、パイプ
７の内径は、線状添加剤２に自由な走行を許容す
るため、案内ローラ５，５′の係合面に形成され
るアルミニウム線２の通過間隙６の幅寸法（該通
過間隙が円形の場合には直径）よりも５乃至20mm
だけ大径になるように設計することが望ましい。
また、線状添加剤２の供給方向に沿つて隣接され
る複数組の第一の案内手段Ｇ１の配設ピツチ(L)
は、線状添加剤（一般的に５乃至15mmの直径を有
する）に与えられる走行抵抗を滑り抵抗から転が
り抵抗に変換するため、上記第一および第二の実
施態様に於いて、何れも線状添加剤２の直径の10
乃至20倍に設定することが好ましい。而して、こ
れらの実施態様に於いて直線状の供給経路よりも
円弧状に湾曲した供給経路に於いて前記第一の案
内手段Ｇ１の配設ピツチ(L)が短くなるように前記
配設ピツチＬを調整することによつて、線状添加
剤２に作用する走行抵抗を減少せしめ、該線状添
加剤に多少のうねりが残存している場合にも安定
した供給条件を取得することができる。

本発明の実施に際し上下に対向配置された案内
ローラ５，５′の係合面の間に形成される線状添
加剤２の通過間隙６は、円形のほか菱形や長方形
等など線状添加剤２の円滑な通過を防げない任意
の横断面形状を採用することができる。これに伴
つて案内ローラ５，５′として、第１図乃至第３
図に示すつづみ形ローラのほか、第４図に示す図
面にＶ字形のくぼみを有するローラあるいは第５
図に示す平行ローラと無端ベルトよりなる回転ロ
ーラ機構等を使用することができる。また第二の
案内手段Ｇ２を構成するパイプ７は、直線状パイ
プのほか、線状添加剤２の供給経路に沿つて湾曲
した円弧状パイプも使用可能である。

ホ 発明の効果 以上の説明に明らかな如く、本発明は公知の管
状部材のみから形成された線状添加剤供給装置に
認められた走行抵抗の増大、座屈変形の発生等の
不都合を解消するため、線状添加剤の供給経路を
上下一対に組合わされたローラまたは該ローラと
共働するパイプによつて形成し、且つ、該案内装
置の寸法諸元を線状添加剤に与えられる走行抵抗
が実質的に転がり抵抗として作用し得るように調
節している。斯くして線状添加剤が管状部材の内
面によつて押圧され座屈変形する不都合が解消さ
れ、少ない消費動力量で駆動ローラから線状添加
剤を取鍋内の溶鋼に供給することができる。ま
た、本発明装置に於いては、案内手段を介して線
状添加剤を溶鋼の表面近傍迄導き、且つ、円弧状
に湾曲した供給経路を介して溶鋼の表面に対して
直交方向から線状添加剤を供給することができる
から、在来の線状添加剤供給装置に於いて問題と
なつていた線状添加剤の残存うねりに起因する溶
鋼内への進入不良が回避され、例えば200ｍ／
min以上の高速供給条件下に於いても線状添加剤
に安定した連続走行状態を保証することができ
る。よつて本発明は、金属溶湯への線状添加剤の
安定供給手段を提供するものとして当業界に大き
な改善効果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、本発明装置を例示する
一部破断正面図であり、第３図乃至第５図は第一
の案内手段たる案内ローラの形状を例示する正面
図である。 Ｇ……案内装置、Ｇ１……第１の案内手段、Ｇ
２……第２の案内手段、１，１′……駆動ローラ、
２……線状添加剤、３……取鍋、４……溶鋼、
５，５′……案内ローラ、６……通過間隙、７…
…パイプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 駆動ローラから送り出された線状添加剤を取
   鍋内の溶鋼へ供給するための案内装置であつて、
   上下一対をなす案内ローラの係合面の間に前記線
   状添加剤の通過間隙を形成してなる複数組の案内
   手段を所定間隔で前記駆動ローラから取鍋に至る
   線状添加剤の供給経路に配置したことを特徴とす
   る金属溶湯への線状添加剤の案内装置。 ２ 前記線状添加剤の供給経路が円弧状の湾曲経
   路である特許請求の範囲第１項の金属溶湯への線
   状添加剤の案内装置。 ３ 駆動ローラから送り出された線状添加剤を取
   鍋内の溶鋼へ供給するための案内装置であつて、
   上下一対をなす案内ローラの係合面の間に前記線
   状添加剤の通過間隙を形成してなる複数組の第一
   の案内手段を所定間隔で前記駆動ローラから取鍋
   に至る線状添加剤の供給経路に配置すると共に、
   前記第一の案内手段の間に前記線状添加剤の通過
   間隔と略同一の横断面形状を有する管状部材より
   なる第二の案内手段を配置したことを特徴とする
   金属溶湯への線状添加剤の案内装置。 ４ 前記線状添加剤の供給経路が円弧状の湾曲経
   路である特許請求の範囲第３項の金属溶湯への線
   状添加剤の案内装置。