JPS6221752Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は火花点火式内燃機関の点火時期制御装
置に関する。

三元触媒等を収容した排気ガス浄化装置を備え
た内燃機関は周知である。かかる排気ガス浄化装
置の触媒は一般に一定の温度範囲内においてのみ
その初期の機能を果すことができる。したがつ
て、機関の暖機運転時ないしは冷間時には極力迅
速に排気ガス浄化装置を暖機することが排気ガス
対策上望ましい。浄化装置の早期暖機を図るた
め、従来、機関の冷間時には点火時期進角装置の
負圧室へ負圧を全く作用させないか、或いは負圧
の伝達を遅延させることによつて点火時期進角を
制限していた（たとえば、実開昭55−28759）。こ
れは、吸気管負圧によつて設定される要求進角に
点火時期を合せると後燃えが低減し排気系の温度
が下がるからである。

しかしながら、このような従来の機関冷間時の
進角制限は機関の負荷状態に関係なく行われるも
のであつて、機関の低負荷運転領域においては排
気ガス浄化装置の暖機を促進するという当初の目
的を達成することはできるが、高負荷運転領域に
おいては点火時期の遅れすぎにより機関出力が不
足し、機関の運転性や燃費が悪化するという難点
があつた。

本考案は従来技術の叙上の不便を解消するため
に案出されたもので、機関の冷間状態において、
機関の軽負荷運転領域では点火時期進角を所定値
以下に抑制して排気ガス浄化装置の早期暖機を図
ることができると共に、高負荷運転領域では要求
進角を許容して機関出力を確保し得るような点火
時期制御装置を提供することを目的とするもので
ある。

本考案に従えば、上記目的は、所定の温度範囲
で機能する排気ガス浄化装置を備えた火花点火式
内燃機関の点火時期制御装置において、 機関の吸気管に開口し機関負荷に応じた吸気管
負圧を発生することの可能な負圧源と、 負圧に応動して機関の点火時期を制御する点火
時期進角装置と、 負圧源を点火時期進角装置に連通する連通管
と、 連通管から分岐してバイパス回路を形成するバ
イパス管路と、 バイパス管路の分岐部に配置され、機関の水温
に応動して該水温が所定値以上の時には、ノン・
バイパス回路を形成し所定値以下の時にはバイパ
ス回路を形成するように択一的にオンオフ切替え
可能な感温性切替え弁と、 バイパス回路に挿入され、バイパス回路形成時
にバイパス管路に作用する負圧を機関軽負荷運転
時には設定値以下に抑制し得るとともに高負荷運
転時にはそのまま点火時期進角装置に伝えること
の可能なカツトオフバルブ、を具備する点火時期
制御装置によつて達成することができる。軽負荷
運転時の進角度はカツトオフバルブのカツトオフ
値を設定することにより任意に選ぶことができ
る。

以下、添附図面を参照して本考案の実施例を記
載するに従い本考案の詳細をさらに明らかにす
る。

第１図は本考案の点火時期制御装置を模式的に
示したもので、機関の吸気管２には吸気管内の負
圧を取入れるためのアドバンスポート４がスロツ
トルバルブ６の上流側に設けてある。このアドバ
ンスポート４は連通管８によつてバイメタル・バ
キユーム・スイツチング・バルブ１０に接続され
ている。このバイメタル・バキユーム・スイツチ
ング・バルブは温度に応じて負圧源を二つの管路
のいずれかに二者択一的に接続するために用いら
れる公知のバルブであつて、その本体内には入口
通路１２とノン・バイパス通路１４とバイパス通
路１６と弁室１８が形成されている。弁室１８内
にはばね２０によつてバイメタル２２に向つて付
勢された弁体２４が配置されている。バイメタル
２２はその設定温度を超えた時にいずれかの側に
瞬時に反りはじける型式のもので、バイメタルの
この運動に応動して弁体２４はばね２０と共働し
て上下動し、バイパス通路１６かノン・バイパス
通路のいずれかを閉鎖するようになつている。

バイメタル・バキユーム・スイツチング・バル
ブ１０は機関の冷却水２６に接触するように機関
に装着される。

バルブ１０のノン・バイパス通路１４は連通管
２８によつてバキユームコントローラ３０の主ダ
イヤフラム室３２に接続されており、バイパス通
路１６はバイパス管路３４によつてカツトオフバ
ルブ３６に接続されている。

このカツトオフバルブ３６もまた公知のもの
で、内部空間を有するハウジング３８を具えてい
る。ハウジング３８は入力通路４０と出力通路４
２とブリード通路４４を有し、入力通路４０には
下方に向つて突出する突出管４６が接続されてい
る。ブリード通路４４の自由端にはフイルター４
８を設ける。ハウジングの内部空間はダイヤフラ
ム５０ならびに該ダイヤフラムに支持された可動
部材５２によつて負圧室５４とブリード室５６に
分割されている。可動部材５２は略円筒形であつ
て、長手方向貫通孔５８を有する。貫通孔５８の
上部は突出管４６よりも大きな径を有し、突出管
４６の下端を自由に収容している。貫通孔５８の
中間部は拡孔されていて、弁室６０が形成されて
いる。この弁室内には円板状の弁体６２が収蔵さ
れている。弁体６２はばね６４により上方に付勢
されて弁座６６に着座している。可動部材５２は
ばね６８により下方に付勢されているので、通常
はハウジング３８の底に当接している。カツトオ
フバルブの出力通路４２はバイパス管路７０によ
つて連通管２８に接続されている。

次に本考案の点火時期制御装置の作動について
述べる。機関冷却水の温度がバイメタル・バキユ
ーム・スイツチング・バルブ１０の設定温度以下
の時には、弁体２４はバイパス通路１６を開放し
かつノンバイパス通路１４を閉塞している。した
がつて、アドバンスポート４は連通管８、入口通
路１２、バイパス通路１６、バイパス管路３４，
入力通路４０、突出管４６を介して、カツトオフ
バルブ３６の負圧室５４に連通している。アクセ
ルが踏込まれスロツトルバルブ６がアドバンスポ
ート４の位置以上に開らかれると、アドバンスポ
ート４には負圧が生じこの負圧はバイパス管路を
介して負圧室５４に伝えられる。カツトオフバル
ブ３６の弁体６２は弁座６６に着座していてブリ
ド通路４４は負圧室５４から遮断されているの
で、負圧室５４内の負圧が次第に高まるにつれて
可動部材５２はばね６８に抗して上方に吸上げら
れる。さらに負圧が高まれば弁体６２が突出管４
６の下端に衝当するに至り、該突出管は弁体６２
を押下げて弁座６６から離脱せしめるので、ブリ
ード通路から外気が負圧室内に吸入され負圧は低
減する。したがつて、負圧室５４内の負圧はばね
６８によつて定まる設定値を超えることがない。
このようにして、機関が軽負荷領域で運転されア
ドバンスポート負圧が高い時には、カツトオフバ
ルブの設定値を超える負圧はカツトオフされ、設
定値に等しい負圧がバキユームコントローラ３０
のダイヤフラム室３２に伝えられるのである。し
たがつて、第２図に鎖線Ａで示した如く、デイス
トリビユタ進角は実線Ｂで示した要求進角からカ
ツトオフ負圧に相当する遅角幅だけ抑制すなわち
遅角される。

機関が高負荷運転される時にはスロツトル６の
開らきは大きいのでアドバンスポート４の負圧は
上記設定値を超えない。したがつて、カツトオフ
バルブでのエアブリードが行われないので、アド
バンスポート負圧はそのままバキユームコントロ
ーラ３０のダイヤフラム室に伝えられる。その結
果、要求進角が維持され、所望の機関出力が得ら
れる。

冷却水温がバイメタル・バキユーム・スイツチ
ング・バルブ１０の設定温度以上に上昇すると弁
体２４は第１図に示した位置に切り替わり、バイ
パス通路１６を閉鎖する。アドバンスポート負圧
は、ノン・バイパス通路および連通管２８を介し
てそのままバキユームコントローラに伝えられる
ので、この場合はいかなるアドバンスポート負圧
下でも点火時期の抑制は行われない。

本考案の点火時期制御装置においては、機関冷
却水温度に応答して形成されるバイパス管路内に
カツトオフバルブを設け、機関軽負荷時に発生す
る高いアドバンスポート負圧を設定値以下に維持
して進角を抑制し得るようにしたので、機関冷間
時の軽負荷運転領域においては排気ガス浄化装置
を迅速に暖機することができる。またこのカツト
オフバルブは高負荷時にはアドバンスポート負圧
をそのまま点火時期進角装置に伝え得るようにな
つているので、機関冷間時の高負荷運転領域にお
いて要求進角を維持して所望の機関出力を得るこ
とができ、機関の運転性や燃費を向上させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の点火時期制御装置の模式図、
第２図はアドバンスポート負圧の進角度との関係
を示すグラフである。 ４……アドバンスポート（負圧源）、８，２８
……連通管、１０……バイメタル・バキユーム・
スイツチング・バルブ（感温性切替え弁）、３０
……バキユームコントローラ（点火時期進角装
置）、３４，７０……バイパス管路、３６……カ
ツトオフバルブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 所定の温度範囲で機能する排気ガス浄化装置を
   備えた火花点火式内燃機関の点火時期制御装置で
   あつて、 イ スロツトルバルブ６の上流側で機関の吸気管
   に開口し機関負荷に応じた吸気管負圧を取出す
   ことの可能なアドバンスポート４と、 ロ 負圧に応動して機関の点火時期を制御する点
   火時期進角装置３０と、 ハ アドバンスポート４を点火時期進角装置に連
   通する連通管８，２８と、 ニ 連通管から分岐してバイパス回路を形成する
   バイパス管路３４，７０と、 ホ バイパス管路の分岐部に配置され、機関の水
   温に応動して該水温が所定値以上の時にはノ
   ン・バイパス回路を形成し所定値以下の時には
   バイパス回路を形成するように択一的にオンオ
   フ切替え可能な感温性切替え弁１０と、 ヘ バイパス回路に挿入され、バイパス回路形成
   時にバイパス管路に作用する負圧を機関軽負荷
   時には設定値以下に制御すると共に機関負荷時
   にはそのまま点火時期進角装置に伝えることの
   可能なカツトオフバルブ３６、 を具備して成り、もつて、機関冷間時において機
   関の軽負荷運転領域では点火時期進角を所定値以
   下に抑制して排気ガス浄化装置の早期暖機を図る
   一方、高負荷運転領域では要求進角を許容して要
   求出力を確保し得るようにしたことを特徴とする
   点火時期制御装置。