JPS6221628B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特にスムーズカツトプリンテイング
（smooth cut printing）における印刷版の処理方
法と該方法を使用する印刷機に関するものであ
る。

スムーズカツトプリンテイングの通常の方法
は、薄板（thin plate）、曲面板（shell）、カラー
状板（collar）、または円筒板（cylinder）を用い
て行なうが、以下においては、便宜上これらを印
刷版または単に版と総称する。版は金属製である
ことが望ましく、印刷によつて再現すべき図柄を
彫りこむものである。この版には彫り込みの中に
進入するようにインキを塗布する。インキを塗つ
た表面を、インキが彫り込みの中だけに残るよう
に拭き取り、このようにしてインキを塗布し、か
つ拭き取つた版面は、押圧シリンダによつて、枚
葉紙のごとき適宜な被印刷物へ向けて当てがい、
このようにしてインキの一部が彫り込みから紙片
に転移する。

版の彫り込みにあるインキを、弾力性のある被
覆を持ち、版と被印刷物との間に置かれたシリン
ダによつて間接的に転移させる方法もある。

公知の方法においては、拭き取り作業が大きな
インキの損失を招来している。事実、彫刻を施し
た版に塗布したインキを100％とすると、拭き取
りによつて、場合にもよるが、約75％が取り去ら
れ、これは彫刻が無くて印刷には役立たない非画
線部分に相当する。この拭き取られた75％のイン
キは廃物となる。１枚の版を使つて多色印刷を行
なう場合でも同じ問題が存する。さらに、拭き取
りの際に色が跡を引いて別の色に混じり、印刷物
の質を損なう危険がある。

スムーズカツトプリンテイングの方法と機械は
既に知られており、フランス特許1564653で開示
されている。

この方法は、インキ塗布以前において、インキ
と不混和の無色の液体を版に塗布し、しかるのち
にインキを塗ることにある。一般的には、かかる
不混和の液体は濾過した水である。

標準的方法に加えたこの種の改良は、インキの
損失を軽減し、印刷図柄の鋭さを増し、同時に拭
き取り作業の廃止もしくは簡易化をねらうもので
ある。

しかしながら、水とインキとの物理的バランス
に頼つたこの方法は、ある一定の深さの彫り込み
には適当であるが、あらゆる深さの彫り込み
（smooth cuts）に適するものではないことが、
実際にやつてみて分つた。このことは当該方法の
範囲に甚だしい制限を加え、実際の使用を妨げて
いる。

本発明の目的は、これらの欠点を取り除き、大
量の印刷インキと印刷に用いる付属掃除具類の節
減を可能とし、かつ、インキの損失を来すのみな
らず種々の色のインキの混合、あるいは色残りを
起こす危険を伴う拭き取り作業を全廃することの
できる方法および機械を提供するにある。

この目的を達成するため、本発明は彫刻の彫り
込み（smooth cuts）を施した版の、印刷に関わ
らない非画線部を、印刷インキと反発する少なく
とも１の層をもつて被覆を行なうものである。望
ましくは、この層が特に電解によつて付着せられ
るフツ化炭素樹脂であることである。

この方法によつて、版には彫刻の彫り込みを満
たすに要する量のみのインキが塗布され、印刷に
関わらない非画線部に余分なインキを塗ることが
無くなる。

好ましくは、前記のインキと反発する物質層を
形成するため、版の彫刻の彫り込みを非導電性物
質で塞ぎ、続いて電解によりインキと反発する固
体層を形成し、しかる後彫刻の彫り込みを塞いで
いる物質を溶解させる。

最適のインキ量を得るためインキと反発する物
質（例えばフツ化炭素樹脂）の固体層をごく薄
い、好ましくは有機ケイ素系の副産物を基礎とす
る油脂性のものの層で覆うことも可能である。

本発明の方法によるインキの節減は相当に著し
く、関係する彫り込みにもよるが、300乃至400％
の節約に相当する。実際、標準的方法によつた場
合、インキ使用量を100％とすると、印刷に役立
つのは僅々25％、廃物となるもの75％であるのに
対して、本発明による方法に従えばインキはその
まま全部が使用される。これは本発明による方法
によれば、標準法で必要なインキの量に比べてそ
の1/4もしくは1/3の量であれば十分であることを
意味する。

さらに、この方法は拭き取シリンダの掃除用品
節約を可能にする。こういう用品は使用インキと
同様、高価であるから、このことは最も重要な節
約に通じるものである。

版は続いて印刷インキを塗布され、そのインキ
は彫刻の彫り込みへしつかり詰められる。この固
詰めはコンパクトシリンダを用いて行なうことが
できるが、その目的は彫刻内に余剰のインキが僅
かでもあればこれを取り除き、表面張力に抗して
彫刻の底へ向けてインキを押し下げ、彫刻内のイ
ンキが作り出すメニスカスをやや凹面にすること
のみであるが、これが鋭い彫りを得るための必須
条件である。

また、本発明の方法を実行する機械は彫刻
（smooth cut engravings）を施した１以上の版
を持つ回転シリンダ、インキを着ける１ないし数
群のインキ装置、および用紙を供給するプリント
シリンダより成り、インキと反発する液状物を着
けるアプライヤーシリンダを有し、そのアプライ
ヤーシリンダはインキを着ける装置群より上手に
位置し、インキを押しつめるコンパクトシリンダ
は前記装置群より下手に位置することを特徴とす
る。

当該機械は、拭き取り用ワイピングシリンダ、
付属装置のいずれをも有しないから従来の機械に
比べて構造が簡単であるという利点を有するのみ
ならず、清浄性、衛生性において、より良好な状
態において作動し得る。事実、実質的にインキの
余剰がないため機械の不調は最低に減る。また、
掃除装置がないということは有害な蒸気を発する
溶剤の使用が最小になるということである。

インキ装置の各群は、版のインキ塗布域に対応
して切り込みを入れた回転シリンダに接するよう
に配置したインキ着けシリンダ、このインキ着け
シリンダに接してそれと反対方向に回転しつつイ
ンキを供給するインキ出しシリンダ、およびイン
キ着けシリンダに接し回転シリンダの下手に位置
し、インキとこれに反発する物質との混合物をイ
ンキ着けシリンダから取り除くように設計された
掃除装置、より成る。

前記掃除装置の存在は良好な印刷を得るうえに
おいて欠くことができないものである。実際、ア
プライヤーシリンダによつて塗布されたインキと
反発する液状物はインキと混ざろうとするから、
もしこの混合物を前記の掃除装置によつて除去し
ないと混合物がインキ着けシリンダを覆い、新鮮
なインキを汚損して次の工程で彫刻の彫り込みを
完全に埋めることができなくなるであろう。

単色印刷を行なう場合、すなわちインキ着けシ
リンダが彫り込みを有しない印刷の場合は、新し
いインキの汚れを防ぐには、どんな掻き落とし方
式でも使用し得る。反対に、多色印刷を作り出す
設計の、インキ着けシリンダを何群か持つている
機械の場合、掃除装置は、インキの一部を拭き取
り、インキとこれに反発する物質との混合物を集
め、これを掻き落とし装置へ向けて動かす、イン
キ着けシリンダと同方向に回転するクリーニング
シリンダより成る。

前記の混合物は回収が可能であり、さらに再使
用するため粉砕して新しいインキと混ぜ合わす。

本発明をさらに詳細に添付図面を参照しつつ説
明する。

第１図は、厚さをａとして示した金属製の標準
型印刷版１の断面図である。この版は薄板、曲面
板、カラー状板、あるいは円筒板であつてもよ
い。版の断面図は彫刻の彫り込み２を１つだけ線
図的に示したものである。

版の表面はすべて、インキによる腐食から防護
するクロームの層３をもつて被覆するのが通例で
ある。

本発明の提供する方法に従えば、インキと反発
する物質の液膜、または、インキと反発する液体
物質層と共に、もしくはそれなしで、インキと反
発する固体物質層が版上に形成される。

以下に述べる説明は、インキと反発する固体物
質層とインキと反発する液体物質層とで被覆され
た版の場合に関するものである。なお、ここにイ
ンキと反発するとは、インキをはじくなどしてイ
ンキと混和せず、したがつてインキが付着しな
い、そういう特性をいう。

実際問題としては第２図に示すとおり、版１に
彫り込み２を設け、版１の表面および彫り込み２
の内面にクロームの層３を置いたのち、非導電体
たるニス、もしくはその他の非導電性物質の団塊
４をもつて彫り込み２を埋めてふさぐ。例えば、
メチルエチルケトン、トリクロルエチレン、など
のごとき通常の溶剤で容易に溶解し得るニスを用
いるのが望ましい。

団塊４の固化後、版１上の油脂分を除き、電解
または一般の他の方法によつて、第３図に示すよ
うに薄い層５（例えば、５ないし20ミクロンの範
囲）をもつて版を被覆する。層５は印刷インキと
反発する層であつて、合成樹脂、特にフツ化炭素
樹脂といつた類である、次に版全体を溶剤浴に漬
け、彫り込み２を埋めている材料４を溶解させる
ようにする。彫刻の彫り込み２の中に保持された
充填４は溶解する。このようにして、彫り込み２
の側面および底部はクローム３の層、あるいは他
の防護層のみを有するが、版１の表面はインキと
反発する物質の層５をもつて被覆される。

第４図に示すごとく版１の表面を、もし必要な
らば、彫り込み２を除き、インキと反発する第２
の層６で被覆するが、この層は版１の印刷に関わ
らない非画線部が完全にインキをはじくように有
機ケイ素系の副産物に基づいた油脂性の薄い層で
あることが望ましい。

前記の層６は版にインキを着ける前にコーテイ
ングを行なつて形成することができる。

第５図に示すとおり、インキ着けを行なうとき
は、ある量のインキ７は彫り込み２に進入する
が、インキと反発する層５，６にはインキが載ら
ない。

インキの溢れ出しが無い良好な印刷を間違いな
く達成するためには、彫り込み２の中のインキ７
が凹んだメニスカスを呈していなければならず、
このようなメニスカス７を得るためインキ７を第
６図のごとく彫り込み２に押し詰める。この押し
詰めを行なうには、インキと前記彫り込み２の壁
面との間に存在し得る空洞をつぶすことにより、
彫り込み２にインキを押進める押圧手段を用い
る。

第７図に示す印刷機は、回転シリンダ８より成
り、その表面には印刷によつて再現すべき図柄の
輪郭をつけた彫り込み２を有する少なくとも１枚
の薄い版１を載せており、この版は本発明に基づ
きインキと反発する固体層５で被覆する。版１
は、付着させるインキの色と同数のインキ装置群
２０ａ，２０ｂにより連続的にインキの補給を受
ける。このインキ装置群２０ａ，２０ｂについて
は、その作動の仕方と共に以下詳細に説明する。
しかしながら、図面は２群のインキ装置を示して
いるが、この数は本発明の範囲を逸脱することな
く変えることが可能であるのは明らかであること
を強調するものである。

印刷を施すべき紙片１７を版１に当てがうよう
にしてあるプリントシリンダ１５は、白紙１７を
供給する装置１６と連動している。紙が印刷され
ると直ちにその紙片１７′はクリヤリング装置１
８により持ち去られる。紙片１７および１７′の
供給装置１６およびクリヤリング装置１８は非常
に線図的に示してあり、現今用いられている類似
の装置のいずれにも該当させ得る。

さらに、第７図に示すとおり本機は、シリンダ
８の回転方向（矢印Ａ）においてインキ装置群２
０の上手に当たるところにインキと反発する液体
層を附与するためのアプライヤーシリンダ９を備
えている。このアプライヤーシリンダ９は、前記
液体６を必要なだけ盛り、かつ、ならす装置と組
み合わせになつている。

さらに本機は、インキ装置２０の下手に、版１
の表面と完全に同調して回つて、インキを彫り込
み２に押し入れ、かつ、インキを回収する装置１
４と組み合わされたコンタクトシリンダ１３を備
えている。図示をしてないが、インキと反発する
物質６を着けるアプライヤーシリンダ９、インキ
装置群２０ａ，２０ｂ、およびプリントシリンダ
１５を、版１の支えをなしている回転シリンダ８
に向けて強力に押すことができるようにしている
装置がある。さらに加えて、本機は、図示してい
ないが、これらのシリンダを回転させる装置を備
えている。

第７図に示すとおり、インキ装置２０ａは、版
１のインキ塗布域に対応して切り込みを入れたイ
ンキ着けシリンダ１１ａ、インキ溜２１ａと関係
づけ、反対方向に回転するインキ着けシリンダと
接するように配置したインキ出しシリンダ１２
ａ、さらにインキ着けシリンダ１１ａから、イン
キと反発する物質の痕跡が少しでもあればそれを
除くようにしてある掃除装置、より成つている。

前記掃除装置はインキ着けシリンダ１１ａと同
方向に回転するクリーニングシリンダ２２ａより
成り、インキの一部を拭き取りインキと反発する
物質とインキとの混合物を回収し、それを容器２
４ａに納める掻き落とし装置２３ａへ向けて持つ
て行くようになつている。

前記のインキ装置２０ａは次のように作動す
る。

インキ溜２１ａから来た新しいインキはインキ
出しシリンダ１２ａの上に薄く塗られ、の点で
断ち切られてインキ着けシリンダ１１ａに移る。
この経過を経てインキを塗られたインキ着けシリ
ンダ１１ａの凸面部は、版１の持つ彫刻の彫り込
み２の中にの点でインキを溜め込む。

版１の表面の彫り込み２の相互間ではアプライ
ヤーシリンダ９によつて着けられたインキと反発
する液状物がインキと混合しようとする。もしこ
の混合物がクリーニングシリンダ２２ａによつて
除去されないと、インキ出しシリンダ１２ａ上の
点にまで進み新しいインキを汚損することにな
る。そうして次の刷りでは汚損されたインキが彫
刻の彫り込み２の内部に溜ることになる。

インキ着けシリンダ１１ａと同方向に回転する
クリーニングシリンダ２２ａは該シリンダ１１ａ
の表面を部分的に拭き、インキと反発する物質と
インキとの混合物を点へ向けて運ぶが、この
の点において掻き落とし装置２３ａが混合物を回
収して容器２４ａへ入れる。

このようにして、インキと反発する物質６と混
合したインキがインキ出しシリンダ１２ａの上に
延ばされた新しいインキと混ざつて印刷を汚損す
るといつた危険は生じない。

本発明は、ここに開示し表示した形態の具体例
に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱
することなく他の具体例の形態および様式が供さ
れ得ることは言うまでもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は先行技術に従つた、スムーズカツトプ
リンテイングに用いる版の拡大断面線図；第２図
は、非導電体たるニスで塞いだ彫刻の彫り込みの
拡大断面図；第３図は、インキと反発する固体層
が電着形成され、ニスが溶解した後の彫刻の彫り
込みの拡大断面図；第４図は、第２のインキと反
発する液体層を形成した後の、第３図と同様な彫
刻の彫り込み断面を示す線図；第５図は、前記の
ものにインキを入れた後の彫刻彫り込みの拡大断
面線図；第６図は、インキを押し詰めた後の彫刻
彫り込みの拡大断面図；および第７図は本発明に
よる印刷機の実施例を示す線図である。 １…印刷版、２…彫り込み、３…クロームメツ
キ層、４…非導電性物質、５…第１のインキと反
発する層、６…第２のインキと反発する層、７…
インキ、８…回転シリンダ、９…インキと反発す
る物質のアプライヤーシリンダ、２０ａ，２０ｂ
…インキ装置、１１ａ，１１ｂ…インキ着けシリ
ンダ、１２ａ，１２ｂ…インキ出しシリンダ、２
１ａ…インキ溜、２２ａ…クリーニングシリン
ダ、２３ａ…インキ掻き落とし装置、２４ａ…掻
き落としインキ受容器、１７…被印刷物（紙）、
１３，１４…インキ回収装置。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 彫刻の彫り込みを有する版の非画線部をイン
   キと反発する少なくとも一の層で被覆する方法に
   おいて、 版の全表面をクローム等の防護層で被覆し、彫
   り込みを非導電性物質で塞ぎ、フツ化炭素樹脂等
   の合成樹脂を電着することによつてインキと反発
   する固体層を形成し、 彫り込みを塞いではいる物質を溶解せしめて除
   去し、 印刷インキを塗布して該インキを彫り込み内に
   押し詰める ことを特徴とする印刷版の処理方法。 ２ インキと反発する固体層の上にインキと反発
   する液体層を付設することを特徴とする特許請求
   の範囲第１項の方法。 ３ 液体層が有機ケイ素系の油脂性の薄層である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第２項の方法。 ４ 彫刻を施した版を担持する回転シリンダ； 版の表面にインキを塗布するための一以上のイ
   ンキ装置； 少なくとも一のインキ装置の下手に位置し、版
   の彫刻の彫り込みにインキを詰め込むためのコン
   パクトシリンダ； インキ装置の上手に位置し、版の表面のうち印
   刷に関与しない非画線部に、インキと反発する液
   状物を着けるためのアプライヤーシリンダ；およ
   び 紙シートを提供するプリントシリンダ； を包含してなり、上記版の非画線部をインキと反
   発する少なくとも一の層で被覆したことを特徴と
   する印刷機。 ５ 各インキ装置が、回転シリンダに接した版の
   インキ塗布域に対応して切込みを有するインキ着
   けシリンダと、回転シリンダの下手に位置し、イ
   ンキ着けシリンダにせつしき逆方向に回転し、イ
   ンキ着けシリンダからインキと反発する液状物と
   インキとの混合物を取り除くようになした掃除装
   置とを含む特許請求の範囲第４項の印刷機。 ６ 掃除装置が掻き落とし装置である特許請求の
   範囲第５項の印刷機。 ７ 掃除装置がインキ着けシリンダと同方向に回
   転するクリーニングシリンダからなり、それで似
   てインキと反発する液状物とインキの混合物をイ
   ンキ着けシリンダからふき取つて回収し、さらに
   掻き落とし装置により容器へ取り入れるようにし
   た特許請求の範囲第５項の印刷機。