JPS6221255Y2

JPS6221255Y2 -

Info

Publication number: JPS6221255Y2
Application number: JP1981193563U
Authority: JP
Priority date: 1981-12-26
Filing date: 1981-12-26
Publication date: 1987-05-29
Also published as: JPS58100740U

Description

【考案の詳細な説明】この考案は魔法瓶を構成する内筒および外筒が
金属材料より構成されている金属製魔法瓶に関す
るものである。

従来ガラス製のものであつた魔法瓶に対して、
第１図に示すような衝撃力に強く、保温性に優
れ、内容積の外容積に対する容積比率が高いなど
優れた利点を有する金属製魔法瓶が市販されてい
る。図中符号１は内筒、２は外筒であり、それぞ
れステンレスで構成されている。内筒１は断面円
環状をなし上部にくびれ部を有する瓶状の内筒内
壁部３と、この内筒内壁部３に一体に連結され、
この内筒内壁部３の上端から外側下方に向けて翻
転、折曲されている内筒外壁部４とから構成され
ている。通常、内筒外壁部４の外周面には内キヤ
ツプおよび外キヤツプ（図示せず）を各々螺合す
るためのねじ山が形成されている。上記外筒２は
上記内筒内壁部３より大径な円筒状に形成されて
いる。この外筒２と上記内筒１は内筒外壁部４の
下端部と外筒２の上端部とが溶接されることによ
つて一体に連結されている。なお、この溶接は魔
法瓶の製造に不適な金属酸化物の発生や不純物の
混入の少ないTIG溶接により行なわれている。こ
のようにして一体化された内筒１、外筒２は開口
部（注ぎ口）５を有する２重側壁構造の容器を形
成しており、これら内筒１と外筒２とによつて囲
まれた空間は真空にされ、真空断熱層６となつて
いる。

この金属製魔法瓶は、上記のようにステンレス
で構成されているので衝撃力に強く、また魔法瓶
を構成しているステンレス側壁（外筒２）がその
まま魔法瓶全体の最外筒とすることができるの
で、魔法瓶全体の全容積に対する内容積（内筒１
の容積）の容積比率が高く、さらにステンレス製
の外筒２がそのまま目に触れる魔法瓶の外表面を
構成するので、独得な美しさを持つた外観を与え
ることができるものである。

ところで、上記従来の金属製魔法瓶は上記のよ
うな種々の優れた利点を有するものであるが、こ
の金属製魔法瓶の外観に多様性を付与しようとす
る場合、次のような難点が生じてしまう。つま
り、この金属製魔法瓶は構成金属材料がステンレ
スであるため、外表面に多様性を付与するための
着色がたいへん困難であるという点である。この
金属製魔法瓶を構成しているステンレスはメツ
キ、塗料塗布などが非常に困難な、いわば被被覆
性の悪い材料であるが、金属材料としては強度が
高く、かつ熱伝導性の低いものであるが、この金
属製魔法瓶の構成、特に内筒１の構成には絶対欠
けないものである。

この考案は上記事情に鑑みてなされたもので、
その目的は色彩的に多様性のある外観を有する金
属製魔法瓶を提供することにあり、魔法瓶を構成
する外筒の一部または全部に炭素鋼などの被被覆
性の高い金属材料を使い、魔法瓶の外表面に容易
に着色できるようにしたものである。

以下、この考案を図面を参照して説明する。第
２図はこの考案に係る金属製魔法瓶の一実施例を
示すもので、第１図と同一符号は同一構成要素を
示し、それらの説明は省略する。図中、符号１０
は外筒であり、この外筒１０は前記外筒２とほぼ
同形同寸法に形成されている。この外筒１０はス
テンレス製の外筒底部１１と炭素鋼製の外筒筒部
１２とから構成されている。上記外筒底部１１は
有底円筒状に形成され、外筒筒部１２は円筒状に
形成されている。この外筒筒部１２は上記外筒底
部１１に一体に連結されるとともに前記内筒１に
も一体に連結されている。このように外筒１０の
上部円筒部（外筒筒部１２）に炭素鋼を使用すれ
ば、この部分に防食と装飾を兼ねて、ニツケル、
クロムなどの電気めつきや各種塗装を行ない、そ
の上にスクリーン印刷などにより模様を印刷する
ことができる。その結果、美しく多様性に富んだ
外観を得ることができる。また、上記外筒筒部１
２をステンレスで構成した時と同程度の強度を持
たせるためにはステンレスで構成した時より肉厚
を若干厚くせざるを得ないが、肉厚が厚くなつて
も炭素鋼がステンレスよりその比重が小さいの
で、魔法瓶全体の重量を従来のものとほぼ同程度
にすることができる。しかも、高価なステンレス
に比べ炭素鋼はたいへん安価なので、材料費を50
％以上削減することができる。

しかし、ここで問題となるのは、上記炭素鋼か
らなる外筒筒部１２と外筒底部１１および内筒外
壁部４との連結である。なぜなら、炭素鋼とステ
ンレスとは異種金属であり、このような異種金属
間溶接は上記TIG溶接を含むアーク溶接やガス溶
接では行ないにくいからであり、高圧圧接や電子
ビーム溶接など他の溶接手段で溶接しようとする
と、作業上様々な難点が生じたり、溶接のための
装置が大がかりとなり製造コストが大きくなつて
しまうなどの問題点があるからである。そこで、
この実施例においては、第３図に示すように容易
かつ安価に外筒筒部１２と外筒底部１１および内
筒外壁部４を一体に連結した、内筒外壁部４の先
端および外筒底部１１の上端は内側（真空断熱層
６内）へ折曲、成形されて、連結縁２０となつて
いる。この連結縁２０は内筒外壁部４または外筒
底部１１にほぼ直交するように連結している断面
鉤状の係止縁２０ａと、この係止縁２０ａに連続
して設けられ、真空断熱層６側に突出、湾曲して
いるリング状の突起部２０ｂと、この突起部２０
ｂに連続して設けられ、この突起部２０ｂから真
空断熱層６側に向けて折曲されてなる端縁部２０
ｃとから構成されている。上記係止縁２０ａの内
筒外壁部４または外筒底部１１の外周面に平行な
内周面から上記内筒外壁部４または外筒底部１１
の外周面までの長さは、ちようど炭素鋼からなる
外筒筒部１２の肉厚と同寸法となつている。これ
は上記係止縁２０ａに外筒筒部１２を係止させた
時、外筒筒部１２の外周面と内筒外壁部４または
外筒底部１１の外周面が連続した曲面を形成する
ことができるようにするためである。このように
内筒外壁部４および外筒底部１１の端部を折曲、
成形して連結縁２０，２０を構成したら、外筒筒
部１２を内筒外壁部４および外筒底部１１に嵌合
する。この時、連結縁２０，２０と外筒筒部１２
は、係止縁２０ａの内面および突起部２０ｂと端
縁部２０ｃとの間の内面の２個所において接触し
ている。上記のようにして嵌合したら、突起部２
０ｂ−外筒筒部１２間および端縁部２０ｃ−外筒
筒部１２間をロウ材２１ａ，２１ｂによつてロウ
付する。

上記のようにして、外筒筒部１２と外筒底部１
１および内筒１とを連結すれば、ステンレスが炭
素鋼より線膨張係数が大きいため、外筒筒部１２
と外筒底部１１間および外筒筒部１２と内筒１間
の密着が高まり、かつそのためロウ材２１ａ，２
１ｂの流れが向上するので、連結後の魔法瓶では
リークが全くと言つてよい程起こらない。また、
ステンレス部分（内筒外壁部４および外筒底部１
１）と炭素鋼部分（外筒筒部１２）の連結は、ス
テンレス部分の端部を折曲、成形し、後はステン
レス部分と炭素鋼部分との接触個所をロウ材にて
ロウ付するだけで完了するので、容易かつ安価に
行なうことができる。さらに上記連結構造では、
上記したように連結後はステンレス部分の外周面
と炭素鋼部分の外周面とがきれいに連続するよう
に構成できるので、美しい外観を得ることができ
る。

なお、上記実施例においては外筒の上部円筒部
分（外筒筒部１２）に炭素鋼を使用したが、この
部分に限られることなく、必要であれば外筒の底
部部分その他の個所、または外筒全部に同様に使
用することができる。

また、上記実施例では、被被覆性の良好な金属
材料として炭素鋼を用いたが、炭素鋼に限らず同
様の効果をもたらすものならば他の金属材料も同
様に用いることができる。

以上説明したように、この考案に係る金属製魔
法瓶は魔法瓶を構成する外筒の一部または全部に
炭素鋼などの被被覆性の高い金属材料を使い、魔
法瓶の外表面に容易に着色できるようにした構造
なので、容易かつ安価に色彩的に多様性のある外
観を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の金属製魔法瓶を示す構成図、第
２図はこの考案の一実施例を示す構成図、第３図
はこの考案に係る金属製魔法瓶の連結部分の構成
を示す拡大断面図である。１……内筒、６……真空断熱層、１０……外
筒、１２……外筒筒部（外筒の一部）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

内筒および外筒からなり、これら内筒と外筒と
の間が真空断熱層となつているステンレス鋼を主
材料とした金属製魔法瓶において、上記外筒の一
部または全部を炭素鋼などの高被被覆性金属材料
により構成したことを特徴とする金属製魔法瓶。