JPS622081B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は船体ケーソンによる築堤工法に関す
る。

船体ケーソン工法とは中古船を整備し、必要に
応じて船体外板に補強コンクリートを打設し現地
へ曳航し、沈設を行つた後中詰を行い、堤体とし
て再利用するものである。

一般的工法であるコンクリートケーソン工法と
比較すると急速施工性という点で優れているが、
捨石マウンドとコンクリートとの摩擦係数より捨
石マウンドと鋼板との摩擦係数が小さいため船体
ケーソン重量を増加させ摩擦抵抗力を増加させね
ばならないという欠点がある。

従来の船体ケーソン工法の一例として、船体ケ
ーソン防波堤を第１図に示す。０１は海底に造成
された捨石マウンドを示す。その上に船体ケーソ
ンが沈座している。０２は船体外板を示し、波圧
Ｘ、接地圧Ｙ等の外力にも十分耐荷できるように
するために、必要に応じて鉄筋コンクリート０３
によつて外板を補強する。また堤体の内部には中
詰０４が詰められており、船体ケーソン全体の重
量を増し、その安定を保つている。０５は上部コ
ンクリート、０６は中心線桁、０７は横桁、０８
は隔壁を示す。０９は捨石マウンドの安定性を保
つための根固めブロツク等である。この船体ケー
ソン堤体は、波圧Ｘ等の横方向力の作用を受けた
時、捨石マウンド０１を船体ケーソン底との接触
面に働く摩擦抵抗で耐荷しようとしている。

従がつて、この摩擦抵抗力が大きい程安定した
堤体となる。従来の船体ケーソンの場合、ケーソ
ン底面が鋼板であり、捨石との摩擦係数が小さい
ため、船体ケーソン全体の重量を増して摩擦抵抗
力を増加せねばならず、同一波力に対してより大
きな船体を使用しなければならない欠点がある。

また、捨石マウンドの表面は船体ケーソンが傾
くことなく沈座し得るように、所定の精度に水平
に均されていなければならないが、この作業は潜
水夫による非能率な方法でなされていたため、多
大の時間とコストが費やされ、工期を著しく遅延
させるという欠点がある。

本発明は、上記欠点を解消しようとするもの
で、船底と捨石マウンドの間の摩擦抵抗力を増加
させて、波圧等の外力に対する抵抗力を増加させ
ること、及び捨石マウンドの表面均し作業を簡略
化することを計つた船体ケーソンによる築堤工法
を提供することを目的とする。

このため本発明の船体ケーソンによる築堤工法
は既存船体構造の船体両舷側下部の船長方向に船
体底部より下方に突出して設けられたスカート、
船体内部から船底を貫通してスカート設置位置よ
り船体中央側の船体底部に通じるように配設され
たパイプおよび該パイプの船体底部側開口部に不
透水性シートの袋を取付けた船体ケーソンを建造
したのち、該ケーソンを予め築堤水域の海底に造
成された捨石マウンド上まで曳航し、ケーソン内
部に注入して該ケーソンを捨石マウンド上に沈設
し、上記パイプを通して不透水性シートの袋の中
へグラウトを注入、固化し船底とスカートと捨石
マウンドとによつて形成される間隙を埋め、該ケ
ーソン内に中詰砂を注入するようにしたことを特
徴としている。

本発明による工法は防波堤のみならず、水域施
設（木材整理場、貯水場など）、外郭施設（防波
堤、堤防、護岸、消波堤、突堤、防砂堤、波除堤
など）、係留施設（埠頭、けい船岸、ドルフイン
など）、特殊施設（漁礁などの海底農園、海中展
望塔などの海の公園、海上ホテルなどのレジヤー
施設など）などの各種用途の船体ケーソンに適用
できる。

なお、本発明による工法は船体ケーソンに限ら
れず、コンクリートケーソンにも適用できる。

以下図面によつて本発明の一実施例について説
明すると第２図は本発明による防波堤を示す断面
図であり１は海底に造成された捨石マウンド、そ
の上に本工法による船体ケーソン１７が沈設され
ている。２は船体外板を示し波圧Ｘあるいは接地
圧Ｙ等の外力にも十分耐荷できるように、必要に
応じて鉄筋コンクリート３によつて補強されてい
る。また船体内には中詰砂４が詰められている。
５は上部工コンクリート、６は中心線桁、７は横
桁、８は隔壁、９は沈掘防止用の根固めブロツク
を示す。

１０は船体両舷側下端部の船長方向に設けられ
たスカート、１３は船体内より船底外板を貫通し
て外部に通じるパイプであり上端に開閉コツク１
４を具え、下端には十分な強度を有する不透水性
シートの袋１５が取付けられており、その内部に
はパイプ１３を通して注入したモルタル等のグラ
ウト１６が充填されている。

なお捨石マウンド１はスカート１０が接する表
面１１のみ小捨石等によつて所定の精度に均され
ていれば足り、その他の表面１２は荒均し状態で
良い。

次に本発明の工法及び効果を説明すると、上記
のように建造された船体ケーソンを予め海底に造
成された捨石マウンド１上まで曳航し、該ケーソ
ン内部（隔壁区画内）に注入してケーソンを捨石
マウンド１上に沈設する。船底とスカート１０と
捨石マウンド１とによつて形成される間隙を埋め
るべくパイプ１３を通して不透水性シートの袋１
５の中へグラウト１６を注入固化させると共にケ
ーソン内に中詰砂４を注入する。

従つて船体ケーソンを、捨石マウンド１上に、
水平に正しい位置になるよう沈座させるために、
スカート１０の接触する部分のみ、所定の表面精
度に均し作業が施せば良く、その他の部分は荒均
し状態で良いため、面倒な捨石マウンド上面の均
し作業をほとんど省略することができる。また捨
石マウンド１の表面精度を確保するための小捨石
の使用が少なくて済むため、洗掘防止用の根固め
ブロツク９の量も減じることができる。船底と捨
石マウンド表面にできた空間にはググラウト１６
がマウンド表面の凹凸に沿つて充満固化している
ため、このグラウトと捨石の凹凸とのかみ合い、
及び左右のスカートによつてグラウト１６が囲ま
れていることにより水平外力Ｘに対して充分な抵
抗力を示す。また、グラウト注入時にグラウトは
不透水性シートの袋１６によつて周囲の海水と隔
壁されているため、海洋汚染を来すこともない。

以上述べたように本発明の船体ケーソンによる
築堤工法によれば海洋汚染を来すことなく、短い
工期且つ低コストで安定性のある堤体が堤供でき
るという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の船体ケーソンによる防波堤を示
す断面図、第２図は本発明による防波堤を示す断
面図である。 １……捨石マウンド、２……船体外板、３……
補強用鉄筋コンクリート、４……中詰砂、８……
隔壁、１０……スカート、１３……パイプ、１５
……不透水性の袋、１６……グラウト、１７……
船体ケーソンＸ……横方向外力（波圧）、Ｙ……
縦方向外力（接地圧）。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 既存船体構造の船体両舷側下部の船長方向に
   船体底部より下方に突出して設けられたスカー
   ト、船体内部から船底を貫通してスカート設置位
   置より船体中央側の船体底部に通じるように配設
   されたパイプおよび該パイプの船体底部側開口部
   に不透水性シートの袋を取付けた船体ケーソンを
   建造したのち、該ケーソンを予め築堤水域の海底
   に造成された捨石マウンド上まで曳航し、ケーソ
   ン内部に注水して該ケーソンを捨石マウンド上に
   沈設し、上記パイプを通して不透水性シートの袋
   の中ヘグラウトを注入、固化し船底とスカートと
   捨石マウンドとによつて形成される間隙を埋め、
   該ケーソン内に中詰砂を注入するようにしたこと
   を特徴とする船体ケーソンによる築堤工法。