JP3294118B2 - 環境配慮型潜堤の構築方法 - Google Patents

環境配慮型潜堤の構築方法

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JP3294118B2 JP26031696A JP26031696A JP3294118B2 JP 3294118 B2 JP3294118 B2 JP 3294118B2 JP 26031696 A JP26031696 A JP 26031696A JP 26031696 A JP26031696 A JP 26031696A JP 3294118 B2 JP3294118 B2 JP 3294118B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海洋環境に配慮し
た水没式堤防としての潜堤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題の重要性に鑑み、各
種の土木建築工事を行う際には、周辺の環境保全に対す
る要請が強くなっている。例えば港湾工事等の工事にお
いて、工事に伴って破壊される恐れのある海洋生態系を
守るため、例えば藻等の海洋生態系生物を代替地へ移す
等の試みがなされるようになった。しかしながら、この
ような事例はさほど多くはなく、大勢としては機能性や
経済性を重視する余り、生態系の保護、環境の創生ある
いは改善という観点に立って工事が行われることは少な
いのが実情である。
【0003】さて、図6に従来の一般的な水没式堤防と
しての潜堤の1例を示す。同図において、海岸から離れ
た沖合の海底g上には基礎捨石マウンド5′が設置さ
れ、この基礎捨石マウンド5′上に普通コンクリートに
より形成された多数の異形コンクリートブロック14′
が積重ねられるか、あるいは、捨石層が積層されるかし
て、全体として水面s下において水没式堤防としての潜
堤が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の潜堤
において、海中に没している異形コンクリートブロック
14′等のブロックは水密性が高い普通コンクリート
により形成されているので、藻、昆布、貝類等の海洋生
物が付着して繁殖するのに適していない。このため、普
通コンクリート製のブロックを使用した従来の潜堤は、
結果的に海洋環境を破壊することにつながる、という問
題があった。
【0005】そこで、本発明は、周壁に海洋生物が良く
付着して繁殖し、周辺には魚類も多く生息するようにし
て、海洋環境を創生し、あるいは改善することができ
て、海洋生態系を自然の状態で保全することができるよ
うな、環境配慮型潜堤を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の環境配慮型潜堤の構築方法は、沖合の海底
に基礎地盤を構築し、同基礎地盤上に、普通コンクリー
ト製殻体を設置し、次いで、同普通コンクリート製殻体
の外周面との間に間隙をあけてポーラスコンクリート製
周壁となるポーラスコンクリート製型枠を設置し、さら
に上記普通コンクリート製殻体と上記ポーラスコンクリ
ート製型枠との間の間隙内に普通コンクリートを水中打
設して、上記普通コンクリート製殻体と、上記ポーラス
コンクリート製型枠と、上記水中打設した普通コンクリ
ートとを相互に一体化することを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の実施の
形態について説明する。まず図1に第1の参考例として
潜堤の構成および設置状態を示し、図2に図1の要部
を拡大して示し、図3に図1の潜堤に係る潜堤ブロック
の運搬状態を示す。同図において、水面s下に設置され
た水没式堤防としての潜堤13は、沖合の海底gに構築
された基礎地盤を構成する基礎捨石マウンド5と、当該
基礎捨石マウンド5上に、複数個、例えば多数個が配列
状態、例えば縦列状態で相互に連結されて設置された潜
堤ブロック13Aとを有している。
【0008】各潜堤ブロック13Aは、例えば鋼壁板1
とこの鋼壁板1を補強する補強材2とにより構成された
鋼殻体を有し、この鋼殻体の外周壁上には、ポーラスコ
ンクリートを打設して形成されたポーラスコンクリート
製周壁3を有している。各潜堤ブロック13Aの底面側
には例えばアスファルトマット等の滑り止め材が取付
けられており、各潜堤ブロック13Aが、このアスファ
ルトマット等の滑り止め材4を介して基礎捨石マウンド
5上に設置されることにより、各潜堤ブロック13A
が、基礎捨石マウンド5に対して位置ずれを起こすこと
がないようにされる。
【0009】各潜堤ブロック13Aは、例えば工場また
は艤装岸壁等の陸上部において製作された後、例えば図
3に示すように、バージ12上に積まれて、曳船11に
より沖合の現地まで運搬され、現地において例えばクレ
ーン船等の扛重作業船により海底の基礎捨石マウンド5
上に配列状態で設置される。
【0010】各潜堤ブロック13Aのポーラスコンクリ
ート製周壁3を構成するポーラスコンクリートは、内部
に無数の細孔を有し、海水や空気が流通し易い多孔質コ
ンクリートで、圧縮強度が100〜200kg/cm2
程度である。このようなコンクリートにより各潜堤ブロ
ック13Aのポーラスコンクリート製周壁3が構成され
ているため、図2に示すように、各潜堤ブロック13A
のポーラスコンクリート製周壁3には、自然に昆布a、
藻b、貝類c等の海洋生物が良く付着して繁殖するよう
になり、さらにこれらの海洋生物を食物とする魚類も周
辺に生息するようになって、こうして海洋環境が創生さ
れ、あるいは改善されて、生態系が自然の状態で保全さ
れる。
【0011】図4に、第2の参考例としての潜堤13′
の構成およびその設置状態を示す。同図において、沖合
の海底に基礎地盤として構築された基礎捨石マウンド5
上には、鋼壁板7、補強材8および鋼底板9等により構
成される鋼殻体が設置されており、この鋼殻体内には、
波浪等の作用を受けて鋼殻体が移動するのを防止するた
めの岩石10が重しとして充填されている。そして、鋼
殻体の外周壁上には、ポーラスコンクリートを水中打設
することによってポーラスコンクリート製周壁3′が形
成されている。潜堤13′を構築するに当たっては、ま
ず沖合の海底に基礎地盤として基礎捨石マウンド5を構
築し、その基礎捨石マウンド5上に、鋼壁板7、補強材
8および鋼底板9等により構成される鋼殻体が設置さ
れ、この鋼殻体内に、岩石10が重しとして充填され
る。その後、鋼殻体の外周壁上にポーラスコンクリート
を水中打設することによってポーラスコンクリート製周
壁3′を形成する。
【0012】図4に示された潜堤13′においては、鋼
殻体内に、鋼殻体が移動するのを防止するための岩石1
0が重しとして充填されるため、鋼殻体の外周壁上のポ
ーラスコンクリート製周壁3′の厚みを、図1の潜堤1
3における鋼殻体の外周壁上のポーラスコンクリート製
周壁3の厚みに比して、より薄く形成することができ
る。ポーラスコンクリート製周壁3′には、自然に昆
布、藻、貝類等の海洋生物が良く付着して繁殖するよう
になり、さらにこれらの海洋生物を食物とする魚類も周
辺に生息するようになって、こうして海洋環境が創生さ
れ、あるいは改善されて、生態系が自然の状態で保全さ
れる点は、図1の潜堤13の場合と同様である。
【0013】図5に本発明の実施の形態に係る潜堤1
3〃の構成およびその設置状態を示す。同図において、
沖合の海底に基礎地盤として構築された基礎捨石マウン
ド5上には、普通コンクリート製殻体6が設置されてお
り、この普通コンクリート製殻体6の外周側には、打設
された普通コンクリート層6aを介してポーラスコンク
リート製型枠によるポーラスコンクリート製周壁3〃が
形成されている。潜堤13〃を構築するに当たっては、
まず沖合の海底に基礎地盤として基礎捨石マウンド5を
構築し、その基礎捨石マウンド5上に、普通コンクリー
ト製殻体6を設置する。次いで、普通コンクリート製殻
体6の外周面との間に間隙をあけてポーラスコンクリー
ト製周壁3〃となるポーラスコンクリート製型枠を設置
する。そして、普通コンクリート製殻体6とポーラスコ
ンクリート製周壁3〃となるポーラスコンクリート製型
枠との間の間隙内に普通コンクリートを水中打設して、
普通コンクリート製殻体6と、ポーラスコンクリート製
型枠と、水中打設した普通コンクリートとを相互に一体
化する。
【0014】図5に示された潜堤13〃においては、内
部に普通コンクリート殻体6および普通コンクリート層
6aを有しているため、ポーラスコンクリート製周壁3
〃の厚みを、図1の潜堤13における鋼殻体の外周壁上
のポーラスコンクリート製周壁3の厚みに比して、より
薄く形成することができる。ポーラスコンクリート製周
壁3〃には、自然に昆布、藻、貝類等の海洋生物が良く
付着して繁殖するようになり、さらにこれらの海洋生物
を食物とする魚類も周辺に生息するようになって、こう
して海洋環境が創生され、あるいは改善されて、生態系
が自然の状態で保全される点は、図1の潜堤13の場合
と同様である。
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明の環境配慮型潜堤
の構築方法によれば、以下のような効果が得られる。沖
合の海底に基礎地盤を構築し、同基礎地盤上に、普通コ
ンクリート製殻体を設置し、次いで、同普通コンクリー
ト製殻体の外周面との間に間隙をあけてポーラスコンク
リート製周壁となるポーラスコンクリート製型枠を設置
し、さらに上記普通コンクリート製殻体と上記ポーラス
コンクリート製型枠との間の間隙内に普通コンクリート
を水中打設して、上記普通コンクリート製殻体と、上記
ポーラスコンクリート製型枠と、上記水中打設した普通
コンクリートとを相互に一体化するようにしたので、普
通コンクリート製殻体とポーラスコンクリート製型枠と
を用い、簡単な水中作業により、ポーラスコンクリート
製周壁を有する環境配慮型潜堤を低コストで構築するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の参考例としての潜堤の構成および設置状
態を示す横断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図1の潜堤に係る潜堤ブロックの運搬状態を示
す説明図である。
【図4】第2の参考例としての潜堤の構成および設置状
態を示す横断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る潜堤の構成および設
置状態を示す横断面図である。
【図6】従来の一般的な水没式堤防としての潜堤の1例
を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 鋼壁板 2 補強材 3,3′,3〃 ポーラスコンクリート製周壁 4 アスファルトマット等の滑り止め材 5,5′ 基礎捨石マウンド 6 普通コンクリート製殻体 6a 普通コンクリート層 7 鋼壁板 8 補強材 9 鋼底板 10 岩石 11 曳船 12 バージ 13,13′,13〃 潜堤 13A 潜堤ブロック 14′ 異形コンクリートブロック a 昆布 b 藻 c 貝類 g 海底 s 水面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沖合の海底に基礎地盤を構築し、同基礎
    地盤上に、普通コンクリート製殻体を設置し、次いで、
    同普通コンクリート製殻体の外周面との間に間隙をあけ
    てポーラスコンクリート製周壁となるポーラスコンクリ
    ート製型枠を設置し、さらに上記普通コンクリート製殻
    体と上記ポーラスコンクリート製型枠との間の間隙内に
    普通コンクリートを水中打設して、上記普通コンクリー
    ト製殻体と、上記ポーラスコンクリート製型枠と、上記
    水中打設した普通コンクリートとを相互に一体化するこ
    とを特徴とする、環境配慮型潜堤の構築方法。
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