JPS6219964B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ドリルチヤツク、殊に後締め式ドリ
ルチヤツクであつて、チヤツク本体と該チヤツク
本体に同心的にかつ回転可能に支承されている締
付けスリーブと爪とを有し、該爪は、工具の締込
み及び解離のために、チヤツク本体と締付けスリ
ーブとの相対的回動により円錐状案内部材内で移
動可能である形式のものに関する。

上記の形式のドリルチヤツクは種々異なる構造
のものが公知になつている（例えばドイツ連邦共
和国特許出願公開第2133142号及び同第2639214号
明細書）。これらのドリルチヤツクは実地におい
て好評を博している。しかしこのようなドリルチ
ヤツクは打撃作孔に使用する場合には欠陥を有し
ている。それというのは、このような使用におい
ては、振動がチヤツク本体に対する締付けスリー
ブの相対的回動を生ぜしめることがあり、この回
動は、爪間の作孔工具の締付けが弛緩したさいに
顕著となり、その結果、殊に後締め式ドリルチヤ
ツクの場合にも、作孔工具は後締めを生ぜしめる
トルクをチヤツクへ作用させることができない。

本発明の課題は、はじめに述べた形成のドリル
チヤツクを改良して工具緊締の意図しない弛みの
危険性が、ハードは打撃作孔に使用された場合に
も、排除されるようにすることにある。

この課題は本発明によれば、はじめに述べた形
式のドリルチヤツクにおいて、チヤツク本体と締
付けスリーブとの間に、チヤツク軸線に対して同
心的の冠歯と該冠歯内へのばね力の作用で係合す
る係止部材とを有する係止装置が設けられてお
り、かつ係止部材が冠歯に沿つて所定の間隔をお
いて順次に配列されており、この場合上記の所定
の係止部材間隔は常に、冠歯の歯の１つの間隔の
数分の１だけ該歯の間隔の整数倍より大又は小で
あり、かつ冠歯内へ係合する係止部材がチヤツク
本体と締付けスリーブとの、爪を解離する方向で
の相対的回動をロツクし、爪を締込む方向での相
対的回動は妨げずに許容し、かつ全ての係止部材
が共通の１つの調節部材により、冠歯内への係合
位置から、同時に戻されることにより、解決され
ている。本発明の有利な一実施例によれば、順次
に続く係止部材の間隔と、歯の間隔の整数倍との
差が、全係止部材の総数の逆数に等しく、かつ係
止装置の順次に続く係止位置間の間隔が冠歯の歯
の間隔を、全係止部材の総数で除した値に等し
い。

本発明によれば、ドリルチヤツクの使用中締込
みスリーブはチヤツク本体に対して相対的の、爪
を解離する方向での回動を行ないえない。それと
いうのは、係止装置が締込みスリーブを、上記の
方向での回動に抗してロツクしており、しかもこ
の場合逆方向での回動、ひいてはまた爪の後締め
を妨げることがないからである。冠歯の歯と係止
部材とのピツチが互いにずらされていることによ
り、係止位置、即ち係止部材の少なくとも１つが
冠歯の１つに係合しロツクする位置は、冠歯の歯
間隔よりも著しく密に、それも係止部材の数が多
くなればなる程それだけ密になる。従つて一方に
おいは、上記の順次に続く係止位置間の間隔は、
チヤツクの強度の許容限度内において１つの係止
位置から次の係止位置への回動が工具の締込みに
実際上何ら差異を生じさせなくなるところまで、
小さくすることが容易に可能であり、また他方に
おいては、歯間隔、ひいてはまた歯の大きさ自体
を大きくし、その結果十分に大きな面が歯への係
止部材の係止にあてられ、要するに、係止が冠歯
の歯の１つへの係止部材の１つの係止によつて生
ぜしめられているにすぎない場合にも、工具の締
込みの弛みを生じないようにチヤツクを確実にロ
ツクすることが保証される。

本発明の有利な一実施例によれば、係止部材が
チヤツク軸線に対して平行に案内される係止ピン
であり、該係止ピンのヘツド並びに冠歯の歯が鋸
歯状に製作されており、係止部材及び冠歯１４の
歯が、チヤツク本体と締付けスリーブとの、爪締
込方向での相対的回動のさいに、鋸歯の傾斜面に
沿つて互いに滑動し合い、逆方向での相対的回動
のさいには、鋸歯の急勾配の面で互いに当付けら
れ、上記逆方向での相対的回動がロツクされる。
さらに別の有利な一実施例によれば、係止部材が
締付けスリーブ内に配置されておりかつ、チヤツ
ク本体に対して不動の冠歯内へ係合する方向で、
調節部材を形成する調節リングに当付けられてお
り、上記調節リングは締付けスリーブ外周に沿つ
て軸方向で移動可能である。この場合さらに、調
節部材を形成する調節リングが内側フランジによ
り、係止部材を形成する係止ピンの肩上に係合
し、かつスリーブ部分により、締付けスリーブ外
周に沿つて案内されるようにすることができる。
有利な一実施例によれば、スリーブ部分が２つの
終端位置間で回動可能であり、上記両終端位置の
一方の終端位置では係止部材が、冠歯内への係合
のために、解放されており他方の終端位置では、
内側フランジが、内側フランジにあたつている係
止部材を冠歯内へ係合した位置から外れた位置に
保持する位置へ移されている。

次に図示の実施例につき本発明を説明する。

図面において、チヤツク本体は符号１で、また
このチヤツク本体１に同軸的にかつ回転可能に支
承された締付けスリーブは符号２で示されてい
る。締付けスリーブ２を支承するためにチヤツク
本体１はリング状のフランジ３を有し、これは、
締付けスリーブ２のリング状の肩４と転動体５と
の間に挾持されており、これらの転動体は、締付
けスリーブ２内へねじ嵌められている、ねじ付き
リング６により保持されている。符号２７は、図
示されていないドリル主軸用の、チヤツク本体１
内のねじ山付き受容部を示す。爪７もしくは締付
け顎は締付けスリーブ２のスリツト８内に配置さ
れており、かつ締付け円錐体９としての円錐状案
内内で移動可能であり、該締付け円錐体は、図示
の実施例では、締付けスリーブ２の一部を形成し
ていて該スリーブ２にねじ山１０によりねじ嵌め
られている。締付けスリーブ２のスリツト８内で
爪７が案内されることにより、図示されていない
ドリル工具から爪７へ伝達されるトルクは相応し
て締付けスリーブ２へ伝達される。図示の実施例
では爪７は後側で後締め片１１に支持されてお
り、これはねじ山付きピン１２によりチヤツク本
体１の中心ねじ孔１３内で回動可能である。後締
め片１１、ひいてはねじ山付きピン１２は従つ
て、締付けスリーブ２及び爪７と同じくチヤツク
本体１に対して相対的に回転することができる。
締付けスリーブ２がチヤツク本体１に対して回動
せしめられると、このさい相応して一緒に回転す
る、後締め片１１のねじ山付きピン１２は、回転
方向に応じて、軸方向で前進又は後退せしめら
れ、上記前進の場合には爪７の締付けが、後退の
場合には解離（弛め）が行なわれる。

工具が締込まれている場合に、チヤツク本体１
と締付けスリーブ２との、締込みを弛緩させる方
向での相対的な回動を防止するために、チヤツク
本体１と締付けスリーブ２との間に係止装置が設
けられており、これは、主に、チヤツク本体軸線
に対して同心的の冠歯１４と、ばね１５の力によ
つて冠歯１４内へ係合する係止部材１６とから構
成されている。係止部材１６は冠歯列１４に沿つ
て互いに間隔をおいて分配されており、この間隔
は、第２図からわかるように、常に冠歯１４の歯
の１つの間隔の数分の１だけ、該歯の間隔の整数
倍よりも大又は小であるように、設計されてい
る。冠歯１４に係合する係止部材１６は、チヤツ
ク本体１及び締付けスリーブ２の、爪７を解離さ
せる方向での相対的回動をロツクするが、締付け
る方向での相対的回動は妨げない。さらに、全係
止部材１６に対して共通の調節部材１７が設けら
れており、これにより、係止部材１６は冠歯１４
に係止している状態から全て同時に戻すことがで
きる。図示の実施例において、歯の１つの間隔の
数分の１（この大きさだけ、順次に配列されてい
る係止部材１６の間隔が該歯ピツチの整数倍より
も大又は小である）は、全ての係止部材の総数の
逆数に等しい。従つて係止装置の係止部材の１つ
の係止位置から次の係止位置までの間隔もしくは
ギヤツプは、冠歯１４の１つの歯間隔の、全係止
部材数を分母とする分子１の分数の値に等しい。
図示の実施例では殊に６個の係止部材が設けられ
ており、従つて、係止位置間の間隔、即ち係止部
材１６の少くとも１つの係止部材が冠歯１４の歯
の１つにあたつて係止される位置から次に係止さ
れる位置までの間隔は、冠歯の歯の１つの間隔の
1/6である。チヤツク本体１に対して締付けスリ
ーブ２をロツクする係止位置は要するに、１つの
歯間隔よりも著しく密に位置している。歯間隔、
ひいては歯幅は順次に続く係止位置の間隔に比較
して著しく大きく選ばれており、その結果、係止
部材１６と冠歯１４の歯との間に十分に大きな当
付け面（相互接触面積）がえられ、これにより、
係止が冠歯１４の歯の１つへのたんに１つの係止
部材１６の当付けによつてしか行なわれていない
場合にも、確実なロツクが保証される。

係止部材１６は図示の実施例ではチヤツク軸線
に対して平行に案内される係止ピンであり、これ
らの係止ピンはその内部に係止ばね１５を受容し
かつ締付けスリーブ２の袋孔１８内で案内されて
おり、この場合係止ばね１５は袋孔１８の底面に
支持されている。係止部材１６のピンヘツドは冠
歯１４の歯と同じく鋸歯状である。係止部材１６
及び冠歯１４の歯は従つて、チヤツク本体１及び
締付けスリーブ２が爪を緊締する方向で相対的に
回動せしめられるさいに鋸歯の緩斜面１９に沿つ
て滑動することができ、その結果いかなる係止も
生じない。これに反して逆方向に回動せしめられ
るさいには、係止部材１６及び冠歯１４の歯は、
これらの鋸歯の直立もしくは急傾斜面２０で係止
し合い、ロツクが行なわれる。

冠歯１４は、締めねじ２１によつてチヤツク本
体１に回動不能に嵌込まれた、半径方向にスリツ
トを有する締込みリング２２の下側にあり、この
リング２２はチヤツク本体１に不動に嵌つてい
る。係止部材１６は、冠歯１４内へ係合する方向
で、調節部材１７を形成する調節リングに当付け
られる。この調節リングは締付けスリーブ２上で
軸方向に調節移動可能である。調節部材１７は内
側フランジ１７．１を介して、係止部材を形成す
る係止ピンの肩１６．１上に係合し、かつスリー
ブ部分１７．２で締付けスリーブ２の外周に沿つ
て案内される。スリーブ部分１７．２は２つの終
端位置間において回動可能であり、その１つの終
端位置では、第１図に示されているように、係止
部材１６は冠歯１４内へ係合するために、第１図
図平面で言つて上方へ解放されており、これに対
して他の終端位置では、内側フランジ１７．１が
軸方向で第１図図平面で言つて下方へ調節移動せ
しめられ、その結果、内側フランジ１７．１に当
付けられている係止部材１６は冠歯１４内に係合
した状態から外れた位置に保持されている。調節
部材１７を形成する調節リングによる軸方向の調
節移動は図示の実施例では該リングの回動に関連
して、締付けスリーブ２が若干の個所で、スリー
ブ部分１７．２の傾斜スリツト２３内へ侵入して
いる案内ピン２４を支持していることにより、達
成される。調節部材１７が回動せしめられると、
該部材は回動と同時に、傾斜スリツト２３の勾配
に相応して、軸方向で移動する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の後締め式ドリルチヤツクの一
実施例を一部を縦断面図で、他の一部を側面図で
示す図、第２図は第１図のドリルチヤツクの−
線による横断面図である。 １……チヤツク本体、２……締付けスリーブ、
３……フランジ、４……肩、５……転動体、６…
…リング、７……爪、８……スリツト、９……締
付け円錐体、１０……ねじ山、１１……後締め
片、１２……ねじ山付きピン、１３……中心ねじ
孔、１４……冠歯、１５……ばね、１６……係止
部材、１６．１……肩、１７……調節部材、１
７．１……内側フランジ、１７．２……スリーブ
部分、１８……袋孔、１９……緩斜面、２０……
急傾斜面、２１……締めねじ、２２……リング、
２３……傾斜スリツト、２７……受容部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ドリルチヤツクであつて、チヤツク本体１と
   該チヤツク本体１に同軸的にかつ回転可能に支承
   されている締付けスリーブ２と爪７とを有し、該
   爪７は、工具の締込み及び解離のために、チヤツ
   ク本体１と、締付けスリーブ２との相対的回動に
   より円錐状案内部材内で移動可能であり、かつチ
   ヤツク本体１と締付けスリーブ２との間に、チヤ
   ツク軸線に対して同軸的な冠歯１４と該冠歯１４
   内へばね力の作用で係合する係止部材１６とから
   成る係止装置が設けられており、上記係止部材１
   ６が、冠歯１４に係合した状態で、チヤツク本体
   １と締付けスリーブ２との、爪７を解離する方向
   での相対的回動をロツクし、爪７を締込む方向で
   の相対的回動は妨げずに許容する形式のものにお
   いて、係止部材１６が複数個設けられており、こ
   れらの係止部材１６が冠歯１４に沿つて互いに間
   隔をおいて配列されており、かつ係止部材１６の
   上記間隔が、常に、冠歯１４の歯の１つの歯間隔
   の数分の１だけ、冠歯１４の歯の１つの歯間隔の
   整数倍よりも、大又は小であり、かつ全ての係止
   部材１６が同時に、共通の１つの調節部材１７に
   より、冠歯１４との係合状態から戻されることを
   特徴とする、ドリルチヤツク。 ２ 順次に続く係止部材１６の間隔と、歯の間隔
   の整数倍との差が、全係止部材１６の総数の逆数
   に等しく、かつ係止装置の順次に続く係止位置間
   の間隔が冠歯１４の歯の間隔を、全係止部材１６
   の総数で除した値に等しい特許請求の範囲第１項
   記載のドリルチヤツク。 ３ 係止部材１６がチヤツク軸線に対して平行に
   案内される係止ピンであり、該係止ピンのヘツド
   並びに冠歯１４の歯が鋸歯状に製作されており、
   係止部材１６及び冠歯１４の歯が、チヤツク本体
   １と締付けスリーブ２との、爪７締込方向での相
   対的回動のさいに、鋸歯の傾斜面１９に沿つて互
   いに滑動し合い、逆方向での相対的回動のさいに
   は、鋸歯の急勾配の面２０で互いに当付けられ、
   上記逆方向での相対的回動がロツクされる特許請
   求の範囲第１項記載のドリルチヤツク。 ４ 係止部材１６が締付けスリーブ２内に配置さ
   れておりかつ、チヤツク本体１に対して不動の冠
   歯１４内へ係合する方向で、調節部材１７を形成
   する調節リングに当付けられており、上記調節リ
   ングは締付けスリーブ２外周に沿つて軸方向で移
   動可能である特許請求の範囲第３項記載のドリル
   チヤツク。 ５ 調節部材１７を形成する調節リングが内側フ
   ランジ１７．１により、係止部材１６を形成する
   係止ピンの肩１６．１上に係合しており、かつス
   リーブ部分１７．２により締付けスリーブ２外周
   に沿つて案内されている特許請求の範囲第４項記
   載のドリルチヤツク。 ６ スリーブ部分１７．２が２つの終端位置間で
   回動可能であり、上記両終端位置の一方の終端位
   置では係止部材１６が、冠歯１４内への係合のた
   めに、解放されており他方の終端位置では、内側
   フランジ１７．１が、内側フランジ１７．１にあ
   たつている係止部材１６を冠歯１４内へ係合した
   位置から外れた位置に保持する位置へ移されてい
   る特許請求の範囲第５項記載のドリルチヤツク。