JPS6219230B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、主として籾米と玄米の混合粒を分離
する揺動式穀物選別装置である。

従来、特開昭55―152576号公報に穀粒選別装置
が記載されているが、該公知例は、選別板全体を
水平円運動させて選別する装置であるから、その
第７図に記載されているように、選別板を広く回
動させうる装置となり、全体が大型化する。また
水平円運動で選別するためには、それに伴なう
種々の細部工夫を必要とするが、その点未解決の
ため、実施化される迄には至つていない。

商品として実施化されている穀物選別装置は、
第１図〜第３図に示した第２公知例であり、その
構造は、１は選別板、２は板面の突起、３は穀
物、４は台枠、５，６は斜杆で、斜杆５，６の下
端は、台枠４上に軸着７，８され、斜杆５，６の
上端には選別板１が軸着９，１０される。１１は
偏心輪、１２はロツド、１３は供給側、１４は排
出側、１５は揺下側、１６は揺上側であり、揺下
側１５が揺上側１６より低くα角度傾斜してい
る。１７は供給漏斗であり、供給側１３と揺上側
１６の隅部より穀物３を供給する。前記排出側１
４は全幅に亙つて開口され、前記排出側１４の揺
下側１５に籾米取出口１８を、前記排出側１４の
揺上側１６に玄米取出口１９を、その中間に混合
粒取出口２０を設けている。

第２公知例は、供給漏斗１７より混合粒を供給
し、偏心輪１１を回転させて選別板１を矢印ロの
方向に斜上下揺動させると、比重の重い玄米ｂは
下層に沈下して第１図のように選別板１の突起２
に直接接触して煽り上げられて揺上側１６に偏流
して玄米取出口１９に取り出され、比重の軽い籾
米ａは玄米ｂ上に浮上したのち揺下側１５に偏流
して籾米取出口１８に取出され、その中間に分離
されない混合粒が分布して混合粒取出口２０より
取出される。第２図の下図は選別板１を水平とし
た場合で、このときは揺下側１５に空白部Ａを生
ずる。

以上説明した第２公知例のものは、第１公知例
の水平円運動とは異なり、斜上下の直線往復運動
であるから、第１公知例のように装置全体を大き
くしてしまうことはないが、複雑かつ大なる縦振
動を生じ、選別性能に影響を与えることおよび、
分離されない混合米が取出れるという問題があ
る。分離されない混合米は、選別板に戻すから、
その戻し装置を必要とするからである。

よつて工夫した本件発明は、前側に起立状の立
上壁２４を後側に起立状の立上壁２５を有し、左
側及び右側のうちいずれか一側に玄米取出口２８
をいずれか他側に籾米取出口３０をそれぞれ形成
した板面の前側部分に玄米取出口２８方向に傾斜
している傾斜突起２６を後側部分に籾米取出口方
向に傾斜している傾斜突起２７を形成し、該傾斜
突起２６，２７はいずれも後側より前側が高い形
状とし、該選別板１に前後方向の水平往復揺動装
置を取付け、該水平往復揺動装置は前側に移動す
るときよりも後側に移動するときの方が早く移動
するクイツクリターンにした揺動式穀物選別装置
の構成としたものである。

実施例につき図により説明すると、第４図以下
において、２１は選別板で、前後幅２２よりも左
右幅２３の方が長く、俯瞰形状は長四角形状を呈
している。選別板２１の前縁には立上壁２４を全
幅に亙つて形成し、同様に、選別板２１の後縁に
も立上壁２５を全幅に亙つて形成する。

選別板２１の左側の前側部分には玄米取出口２
８を形成し、それ以外は左壁２９で閉塞する。選
別板２１の右側の後側部分には籾米取出口３０を
形成し、それ以外は右壁３１で閉塞する。

しかして、選別板２１の前側板面上には、先端
が玄米取出口２８の方に傾斜している傾斜突起２
６を板面全体に形成し、選別板２１の後側板面上
には先端が籾米取出口３０に傾斜している傾斜突
起２７群を板面全体に形成する。前記傾斜突起２
６，２７は、第９図の断面図で明らかなように、
後側が低く前側が高く形成されている。

３２は供給ホツパーであり、籾米取出口３０を
設けた側の前側に設ける。選別板２１は、支台３
３に軸着された支杆３４，３４の上端に軸着され
る。３５は偏心輪、３６はロツドであるが、ロツ
ド３６と支杆３４の角度は直角より小さく早戻り
構造Quick―returnに形成されている。すなわ
ち、前側に移動するときは遅く後側に移動すると
きは早いクイツクリターンである。

第５図はロツド３６の斜視図であるが、これに
よると、ロツド３６は上部程幅広の形状である。
３７は選別板２１の前後の傾斜を調節する螺杆
で、螺杆３７にはコマ３８，３８が螺合し、コマ
３８，３８にアーム３９，３９の上端を軸止し、
アーム３９，３９の下端を上下動杆４０に設けた
ボス４１，４１に軸着し、上下動杆４０には後側
の支杆３４の下端を軸着する。

次に作用を述べる。

本発明は、以上の構成のため、偏心輪３５を回
転させると、ロツド３６と支杆３４の角度は直角
より小さいので、選別板２１は前側より後側に移
動するときは早く水平移動し、後側より前側に移
動するときはゆつくり水平移動する。

そこで、籾米ａと玄米ｂの混合粒を供給ホツパ
ー３２より選別板２１に供給すると、選別板２１
は前側より後側に移動するときは早く、後側より
前側に移動するときはゆつくり水平移動している
ことと、特殊な傾斜突起の作用により、最初は第
１１図のように籾米ａと玄米ｂが混合した状態の
まま中央部でぐるぐる旋回する。

量が次第に増加すると、揺動を受けるにしたが
い、一次現象として比重の重い玄米ｂが下層に沈
下し、比重の軽い籾米ａは玄米ｂ群の上層に浮上
する。

したがつて、下層に沈下した玄米ｂは傾斜突起
２６，２７と接触するが、選別板１の移動は、前
側に移動するときは遅く移動するので、傾斜突起
２６，２７に接触した侭、選別板１と共に前側に
移動する。そして選別板１が後側に移動するとき
は早く移動するのと、前記傾斜突起２６，２７の
形状が、後側の方が低い形状なので、穀物を前側
に置いたまま、選別板１のみが後側に戻るように
なり（傾向としてそうなる）、第１２図のように
傾斜突起２６，２７に接触した玄米ｂは、次第に
前縁の立上壁２４の方向に多く移動し、選別板２
１の前半分に厚く堆積しようとする。すると、玄
米ｂの表面は僅かであるが、前側が高く後側が低
い傾斜となり、浮上しがちな籾米ａは、玄米ｂ上
を滑つて選別板２１の後半分の方に徐徐に多く移
動し、この操作を反復すると、第１３図のように
立上壁２４側に玄米ｂは集合し立上壁２５側に籾
米ａが集合する。

立上壁２４側に集合した玄米ｂは、傾斜突起２
６で突つつかれるたびに少しずつ、前側の立上壁
２４に沿つて左側に移動を開始し、左側に進むに
従い次第にその厚さを増し、そのため、玄米ｂの
上層の一部は、逆に選別板２１の後側の方に流れ
て移動するようになり、選別板２１の左側に至つ
たときは、完全な玄米のみとなつて玄米取出口２
８に取り出されるのである。又、籾米ａの方は、
玄米ｂの上層を滑つてから傾斜突起２７で突つつ
かれるたびに少しずつ後側の立上壁２５に沿つて
右側に移動を開始し、右側に進むに従い次第にそ
の厚さを増し、遂には完全な籾米となつて籾米取
出口３０より取出される。

前記したように、従来、特開昭55―152576号公
報に穀粒選別装置が記載されているが、該公知例
は、選別板全体を水平円運動させて選別する装置
であるから、選別板を広く回動させうる装置とな
り、全体が大型化する。また水平円運動で選別す
るためには、それに伴なう種々の細部工夫を必要
とするが、その点未解決のため、実施化される迄
には至つていない。また、第１図〜第３図に示し
た第２公知例は、第１公知例の水平円運動とは異
なり、斜上下の直線往復運動であるから、第１公
知例のように装置全体を大型化させることはない
が、複雑かつ大なる縦振動を生じ、選別性能に影
響を与える。また、分離されない混合米が取出れ
るという問題もある。

しかるに本発明は、前側に起立状の立上壁２４
を後側に起立状の立上壁２５を有し、左側及び右
側のうちいずれか一側に玄米取出口２８をいずれ
か他側に籾米取出口３０をそれぞれ形成した板面
の前側部分に玄米取出口２８方向に傾斜している
傾斜突起２６を後側部分に籾米取出口方向に傾斜
している傾斜突起２７を形成し、該傾斜突起２
６，２７はいずれも後側より前側が高い形状と
し、該選別板１に前後方向の水平往復揺動装置を
取付け、該水平往復揺動装置は前側に移動すると
きよりも後側に移動するときの方が早く移動する
クイツクリターンにした揺動式穀物選別装置の構
成としたものであるから、 イ 水平揺動で選別できる。

ロ 装置を大型化させない。

ハ 混合米がでない。

ニ 選別板１面の前側部分に玄米取出口２８方向
に傾斜している傾斜突起２６を後側部分に籾米
取出口３０方向に傾斜している傾斜突起２７を
それぞれ形成したから、前記突起２６，２７に
より、直線的往復動だけで選別粒をそれぞれの
取出口に移動させられる。

ホ 前記傾斜突起２６，２７は後側が低く前側が
高く形成されているので、前後水平揺動する
と、前側に玄米を後側に籾米をそれぞれ分布さ
せられる。

ヘ 該水平動は前側に移動するときは遅く後側に
移動するときは早いクイツクリターンにしたか
ら、前側に玄米を後側に籾米の分布を一層顕著
にする。

という効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１公知例の選別板と穀粒の断面図、
第２図は同公知例の選別板の断面図、第３図は同
公知例の正面図、第４図は本発明の側面図、第５
図は第４図の左側面断面図、第６図は第４図の選
別板を急傾斜させた側面図、第７図はクランク部
の斜視図、第８図は本発明の選別板の平面図、第
９図、第１１図、第１２図、第１３図は作用の説
明図、第１０図は選別板の断面図である。 １……選別板、２……突起、３……穀物、４…
…台枠、５……斜杆、６……斜杆、７……軸着、
８……軸着、９……軸着、１０……軸着、１１…
…偏心輪、１２……ロツド、１３……供給側、１
４……排出側、１５……揺下側、１６……揺上
側、１７……供給漏斗、１８……籾米取出口、１
９……玄米取出口、２０……混合粒取出口、２１
……選別板、２２……前後幅、２３……左右幅、
２４……立上壁、２５……立上壁、２６……傾斜
突起、２７……傾斜突起、２８……玄米取出口、
２９……左壁、３０……籾米取出口、３１……右
壁、３２……供給ホツパー、３３……支台、３４
……支杆、３５……偏心輪、３６……ロツド、３
７……螺杆、３８……コマ、３９……アーム、４
０……上下動杆、４１……ボス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前側に起立状の立上壁２４を後側に起立状の
   立上壁２５を有し、左側及び右側のうちいずれか
   一側に玄米取出口２８をいずれか他側に籾米取出
   口３０をそれぞれ形成した板面の前側部分に玄米
   取出口２８方向に傾斜している傾斜突起２６を後
   側部分に籾米取出口方向に傾斜している傾斜突起
   ２７を形成し、該傾斜突起２６，２７はいずれも
   後側より前側が高い形状とし、該選別板１に前後
   方向の水平往復揺動装置を取付け、該水平往復揺
   動装置は前側に移動するときよりも後側に移動す
   るときの方が早く移動するクイツクリターンにし
   た揺動式穀物選別装置。