JPS6218959Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本考案は断熱蓋、例えば取鍋の蓋に取付けて断
熱を図る断熱蓋を構成する断熱蓋用耐火ブロツク
に関するものである。 （従来の技術） 従来、工業炉等の断熱材としてセラミツクフア
イバーを炉の天井あるいは側壁に接着して断熱を
図るものは公知である。その公知例として例えば
特開昭58−138980号公報のように繊維ブランケツ
ト１を並列し、該繊維ブランケツト１にロツド４
を貫通してその端部にナツト１０を螺合し、繊維
ブランケツト１を層状に固定し、更にその外周に
テープ２を巻付けてブロツクＡを形成したものが
ある。この公知のブロツクＡを鉄皮６に取付ける
には、腕棒９の上端を鉄皮６に溶接しなければな
らず、しかもブロツクＡにはテープ２を巻付けて
あるため、ブロツクＡを鉄皮６に直接接着すると
テープ２の厚みだけ鉄皮６の内面と繊維ブランケ
ツト１の上面との間に間隙が生じ、その間隙内に
熱気が侵入するので断熱効果が阻害されるため、
鉄皮６の内面にバツクアツプ断熱材７を接着した
後、バツクアツプ断熱材７の下面にブランケツト
積層ブロツクＡを腕棒９で吊つたものであるか
ら、腕棒９を鉄皮６に溶接する溶接作業及びバツ
クアツプ断熱材７を介在させてブロツクＡを鉄皮
６に設けなくてはならず手数がかかり、余分なバ
ツクアツプ断熱材７を必要とするような欠点があ
る。 （考案が解決しようとする問題点） 断熱用のブロツクは、工業炉あるいは製鉄所に
おける取鍋等の蓋に取付けるのに鉄皮に腕棒を
一々溶接するのは手数がかかるし、断熱ブロツク
を鉄皮に密接せしめることが必要となるので、そ
の問題点を解決するために本考案は考案されたも
ので、ブロツクの製造を容易にし、ブロツクを鉄
皮に簡単に取付け、且つ鉄皮の内面にブロツクの
接触面を密接できるようにしたことを目的とした
ものである。 （問題点を解決するための手段） 本考案は支持板１の両面に水平方向に突出して
設けたピン８を数枚の高アルミナ質セラミツクフ
エルト１０に貫通して層状に並列し、ピン８の端
部にワツシヤー９を設けてセラミツクフエルト１
０を支持板１の両面に固定し、支持板１の鉄皮取
付用の端部に、止め座７の厚みとほぼ一致する深
さの切り欠き３を形成し、該切り欠き３に、止め
座７の上面が支持板１の端部の外端面とほぼ一致
するように止め座７を溶接して固定し、止め座７
の外端にボルト６を固定し、支持板１における鉄
皮内面に接する端部と、セラミツクフエルト１０
の端面及び止め座７の外面がいずれも蓋の内面に
密接するようにして、ボルト６を蓋の取付孔に貫
通し、ボルト６にナツト１３を螺合してブロツク
を蓋に固定するように構成したことを特徴とす
る、断熱蓋用耐火ブロツクである。 （作 用） 本考案は支持板１の両面にピン８を設け、その
ピン８を高温に耐える高アルミナ質セラミツクフ
エルト１０に貫通して層状に並列せしめてあるか
ら、支持板１はセラミツクフエルト１０の並列さ
れた中央部に存在し、ブロツクを蓋に取付けたと
き、セラミツクフエルト１０は支持板１の左右に
バランスがとれており安定して取付け得られる。
又、支持板１には止め座７の厚みとほぼ一致する
深さの切り欠き３を設け、該切り欠き３に止め座
７を固定したから、支持板１の外端面と止め座７
の外端とセラミツクフエルト１０の外端面とが平
面状になり、それらに凹凸が生じていないので蓋
の内面に外端面がそれぞれ密接し、蓋（鉄皮）と
本考案ブロツクとの間に間隙がなく、従つて熱気
が侵入せず断熱効果を向止せしめる。更に止め座
７の外方にボルト６を設けてあるから、このボル
ト６を蓋の鉄皮にあけてある取付孔に貫通し、ボ
ルト６にナツト１３を螺着すればブロツクは蓋に
簡単に取付け得られ、ブロツクの取付作業も迅速
に行なわれるし、ナツト１３を締付ければ前記の
支持板１、止め座７、セラミツクフエルト１０の
接触面は蓋の内面に一層確実に密着するのみなら
ず、従来のように鉄皮取付が溶接作業でないの
で、ブロツクの取付はすこぶる容易で断熱蓋を簡
便に構築することができる。 なお、本考案の実施例及び効果を従来のものと
比較して詳細に説明すると下記の通りである。 従来から溶融金属の容器には断熱を目的として
蓋を装着する例が多い。例えば溶鋼を収容運搬す
るための取鍋には、溶鋼温度低下の軽減及び空鍋
時の取鍋内張り煉瓦の保温のための蓋が一般的に
設置されている。溶鋼の温度は約1600℃と高温の
ため蓋は耐火物で内張りされている。 現在、その内張耐火物としては耐火煉瓦、耐火
キヤスタブル、耐火プラスチツクが広く採用され
ている。これらの耐火物は、高耐熱性、高耐食
性、高強度等の有利な特性があるため、蓋に用い
た場合その耐久性が高い長所がある。 しかし、反面それらの耐火物には、比重大、熱
伝導率大、耐スポーリング抵抗性小など蓋に用い
る上では欠点となる特性も有する。即ち比重が大
きい場合には、蓋を吊り上げるための揚重機の能
力の問題が生じる。 それらの欠点を解消し、蓋に用いる上で最も重
要特性である高断熱性を有する耐火物としては、
セラミツクフアイバーがある。セラミツクフアイ
バーを成型したブラケツト又はフエルトを蓋に用
いると軽比重、低熱伝導度のためキヤスタブル耐
火物使用時に比較して、蓋殻鉄皮重量を含めて重
量比で900Kg／m²：180Kg／m²、放散熱量比で
2830kcal／m²hr：590kcal／m²hrと重量の軽減及
び省エネルギーに大きな効果を得ることができ
る。このため最近セラミツクフアイバーの蓋への
適用が試みられている。しかし、セラミツクフア
イバーを蓋に用いる場合、フアイバー自体は低強
度のため、それを蓋殻に固定する方法すなわちセ
ラミツクフアイバーの保持方法が問題になる。従
来は、この保持方法に適切な方法がなかつたゝめ
セラミツクフアイバーの耐久性が得られず、一般
的に実用化を図ることができなかつた。 本考案は前記せる構成で下記従来のものより優
れた効果を有するものである。 従来、実施されたセラミツクフアイバーの蓋へ
のライニング方法を第１図に示す。 セラミツクフアイバーのブランケツト又はフエ
ルトａ（以下フエルトと称す）を２〜３枚層状に
貼り、蓋殻鉄皮ｂに溶接して金属製ピンｃとワツ
シヤーｄを介して金属製ナツトｅ又はセラミツク
ス製キヤツプとでフエルトａを保持する方法、い
わゆるペーパーライニング工法である。この方法
で溶鋼取鍋の蓋に用いた場合の実績は、溶鋼（以
下湯と称す）の温度が約1600℃と高いため金属製
のナツト及びピンでは高温に耐えられず、早期に
軟化溶融すること及びセラミツクスキヤツプを稼
動側表面に使用した場合でも耐熱面では良いが、
蓋の使われ方として温度の急変を繰り返すことか
ら生ずるスポーリング割れ及び蓋の着脱時の衝撃
力による割れがセラミツクスキヤツプに発生し脱
落が生じる。 フエルトを保持するピン、ナツト等が損傷を受
ければ当然フエルトは剥落し蓋の寿命は終点とな
る。また、フエルトを層状に用いるため剥落は層
状に発生し、剥落範囲も広くなる。この結果、従
来方法でライニングした蓋の寿命は金属製ナツト
方式で５回使用程度、セラミツクスキヤツプ方式
でも最長20回であつた。 本考案による耐火ブロツクはフエルトを予め適
当な大きさに切断したものを数枚組み合せて締付
金具を用いて夫々独立したブロツクを形成し、こ
れを蓋殻に固定する方法である。 本考案は高アルミナ質のセラミツクフエルトを
ブロツク化するための金具、すなわちセラミツク
フエルトを支持するための支持板、セラミツクフ
エルトを止めるためのピン、およびセラミツクフ
エルトを固定するためのワツシヤー、このブロツ
クを取鍋の蓋に取り付けるためのナツトよりな
る。 例えば300ｍ／ｍ×300ｍ／ｍ×150ｍ／ｍ（厚
さ）のブロツクを作るための金具及びセラミツク
フエルトの例を示す。（第２図〜第４図） 支持板１は280ｍ／ｍ×75ｍ／ｍ×3.2ｍ／ｍ
（厚さ）の鉄板を使用し、これにピン８を通すた
めの孔２（8.2ｍ／ｍφ）を第２図に示す位置に
あけ、止め座７を固定するための切り欠き３（75
ｍ／ｍ×５ｍ／ｍ）、鉄板１の熱による膨張を吸
収するための切り込み４を２個所作る。 また別に支持板１を挟み込むための切り込み５
及びテーパーをつけ、且つ片側にねじ切りした
M16ボルト６、75ｍ／ｍφ×５ｍ／ｍの止め座
７、両端をねじ切りした7.15ｍ／ｍφ×250ｍ／
ｍのピン８を２本とピンの両端に取り付ける38
ｍ／ｍφ×４ｍ／ｍのワツシヤー９を４枚とから
なる。 最初にM16ボルト６を止め座７に差込んだ後、
支持板１に差込み溶接する。次にピン８を支持板
１上の孔２に通し、ピンの中央が支持板にくるよ
うに板の両側より溶接により固定する。 また高アルミナ質のセラミツクフエルトより作
製した50ｍ／ｍ×150ｍ／ｍ×300ｍ／ｍのセラミ
ツクフエルト１０を６枚用意し、所定の位置１１
にピン８を通すための孔をあける。このセラミツ
クフエルト１０を支持板１より出ているピン８に
片側３枚ずつ差込みワツシヤー９により固定す
る。次にこのワツシヤー９の外側面にウエツトの
セラミツクフエルト１８を塗り込み、ワツシヤー
９を被覆する。このブロツクを取鍋の蓋にあけた
孔１２に差込みM16ナツト１３により蓋に固定す
る。 取鍋の蓋への取り付け位置及び方法の一例を第
５図、第６図に示す。蓋の外縁とブロツクを固定
してできた空間１５はあらかじめメタルアンカー
１６を溶接しておき、ブロツクを固定したあとキ
ヤスタブル１７を流し込みにより旋工する。 本考案によると金具の大きさを変えることによ
り、またセラミツクフエルトの形状を変えること
によりブロツクの大きさを自由に変えることがで
きる。 本考案によるブロツクはセラミツクフエルトを
支持する金具が完全にセラミツクフエルトの中に
埋まつており、且つ支持板により堅く固定されて
いるため熱あるいは溶湯の付着により溶損するこ
とはない。また、セラミツクフエルトのブロツク
は、たんざく化し湯の面に対し垂直になつている
ため層状剥離を起こすことはない。 なお、条件によつてはブロツクの表面に耐食性
のコーチング材を塗布する。 これに用いたセラミツクフエルトの品質を表に
示す。

【表】

【表】 使用したセラミツクフエルトは耐用温度1600℃
用のものであり、溶鋼温度約1600℃からの放射熱
に充分耐え得る材質である。又、この材質は熱伝
導率0.08Kcal／ｍhr℃、嵩比重0.10と極めて軽量
且つ高断熱性である。 次に250t容量の溶鋼取鍋に適用した結果を説明
する。250t取鍋の蓋は直径4.6ｍの円盤状であ
り、表面積が16.6m²である。これに150ｍ／ｍ厚
の耐火物をライニングした。 蓋の総重量は従来キヤスタブル使用の場合、キ
ヤスタブル自体が5t、キヤスタブルを支える蓋殻
鉄皮が10tの計15tであつた。 これに対し本考案による軽量ブロツク使用の場
合、軽量ブロツク自体がその保持金具を含めて
0.75t、蓋殻鉄皮が支持する耐火材が軽いため軽
量化でき、2.25tの計3tですむ。 即ち重量で1/5に軽減できる。このことは、蓋
を脱着するための揚重機及び蓋を装着して移動す
る取鍋の総重量を著しく軽減できることから、そ
の搬送設備や揚重能力向上のための設備投資金額
を大きく圧縮することができる。 軽量ブロツク蓋を使用した場合に断熱効果を取
鍋内に収容した溶鋼の温度降下量で示すと第７図
のようになる。1580℃の溶鋼を取鍋に60分間保持
した時の温度降下量は、蓋を全く使しない時には
12℃であつたものが従来のキヤスタブルライニン
グ蓋使用の時には７℃に減つた。 更に本考案による軽量ブロツク蓋を用いるとそ
の温度降下量は４℃に抑制できた。 即ち蓋無使用に比べて８℃、キヤスタブル蓋に
比較して３℃の溶鋼温度降下を防止できた。 次に蓋の耐久性はキヤスタブル蓋の場合は受鋼
から払出しを１回として100回ごとに部分補修を
しつゝトータル寿命は500回使用であつた。 これに対しセラミツクフエルト使用の場合、従
来から一般的に実施されてきた取付方法、いわゆ
るペーパーライニング工法であれば平均10回であ
つた。 本考案によるブロツクを取り付ける方法の場合
は、150〜300回の耐用が得られた。これは保持金
具が露出していないため金具の損傷がないこと及
びセラミツクフエルトを短冊状に配置したゝめ層
状の剥落が生じないことによる。 更に本考案の利点は150〜300回の使用後でもブ
ロツクの全体的な更新は不要であり、ブロツクが
個々に独立しているため損傷の激しい部分のみの
部分取り替えを容易に行うことができるなど極め
て経済的である。 以上のように本考案による蓋用ブロツクは、高
耐火性、軽重量、高断熱性を有し、且つ耐久性も
良好などの数々の有利な特徴を有する効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の断熱蓋用ブロツクの断面図、第
２図は本考案実施の一例を示す支持板の側面図、
第３図Ａは本考案止金具の正面図、第３図Ｂは同
上の平面図、第４図Ａは本考案による断熱蓋用耐
火ブロツクの平面図、第４図Ｂは同上の正面図、
第４図Ｃは同上の側面図、第５図は取鍋用蓋に本
考案による断熱蓋用耐火ブロツクを設けた一部切
欠きの平面図、第６図は同上の一部断面図、第７
図は蓋使用による断熱効果を示す図である。 １は支持板、２は孔、３は切り欠き、４は切り
込み、５は切り込み、６はボルト、７は止め座、
８はピン、９はワツシヤー、１０はセラミツクフ
エルト、１１は所定の位置、１２は孔、１３はナ
ツト、１５は空間、１６はメタルアンカー、１７
はキヤスタブル、１８はセラミツクフエルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支持板の両面に水平方向に突出して設けたピン
   を、数枚の高アルミナ質セラミツクフエルトに貫
   通して層状に並列し、ピンの端部にワツシヤーを
   設けてセラミツクフエルトを支持板の両面に固定
   し、支持板の端部に止め座の厚みとほぼ一致する
   深さの切り欠きを形成し、該切り欠きに、止め座
   の上面が支持板の外端部の面とほぼ一致するよう
   に止め座を固定し、止め座の外端にボルトを設
   け、支持板の端部とセラミツクフエルトの端面及
   び止め座の外面の何れもが蓋の内面に密接するよ
   うにしてボルトを蓋の取付孔に貫通し、ボルトに
   ナツトを螺合してブロツクを蓋に固定するように
   構成したことを特徴とする、断熱蓋用耐火ブロツ
   ク。