JPS6218823Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はボイラ等の燃焼装置に設置されている
蒸気式空気予熱器の温度制御装置に関する。

蒸気式空気予熱器は多くの場合、燃焼装置の排
ガスを利用して空気を予熱する空気予熱器（以下
排ガス式空気予熱器という。）と併用される。そ
して、蒸気式空気予熱器はその起動時に発生する
ウオータハンマを阻止するため、および通常運転
時における排ガス式空気予熱器の温度を所定値に
維持するため、温度制御を必要とする。

第１図は燃焼装置の概略構成を示す系統図であ
る。図で、Ｂはボイラ、ＷはボイラＢのバーナに
燃焼用空気を供給する風箱、A₁は排ガス式空気
予熱器、A₂は蒸気式空気予熱器である。ボイラ
Ｂから排出される排ガスは通路g₁を経て排ガス式
空気予熱器A₁に入り、排ガスの熱により空気を
加熱し、通路g₁から排出される。一方、外部から
引込まれた空気は通路a₁を経て蒸気式空気予熱器
A₂に入り、ここで蒸気熱により加熱された後、
さらに通路a₂を経て排ガス式空気予熱器A₁に入
り、前述のように加熱される。このようにして加
熱された空気は通路a₃を経て風箱Ｗに供給されバ
ーナの燃焼に用いられる。蒸気式空気予熱A₂に
は蒸気管路Ｓを経て蒸気が供給され、空気を加熱
した後の凝縮した水はドレンとしてドレン管路Ｄ
から外部へ排出される。蒸気管路Ｓには温度調節
弁１０が設けられており、蒸気流量を調節して温
度制御を行なう。この結果、排ガス式空気予熱器
A₁に流入する空気温度を調節して排ガス式空気
予熱器A₁の低温部メタル温度を所定値に維持す
るように制御することができる。

第２図は従来の蒸気式空気予熱器の温度制御装
置のブロツク図である。図で、１は排ガス式空気
予熱器A₁の入口空気温度を検出し、この温度に
応じた信号を発生する入口空気温度信号発生器、
２は排ガス式空気予熱器A₁の出口ガス温度を検
出し、この温度に応じた信号を発生する出口ガス
温度信号発生器、３は入口空気温度信号発生器１
と出口ガス温度信号発生器２の各信号を加算して
これを２で除算し、両信号の平均値を求める平均
値演算器である。４は例えばアナログメモリのよ
うな記憶器であり、排ガス式空気予熱器A₁の目
標とする温度が設定されている。５は平均値演算
器３の出力信号と記憶器４の出力信号の差を演算
する減算器、６は減算器５から出力される偏差信
号を比例積分する比例積分器である。７は蒸気式
空気予熱器A₂のウオーミング時に、その温度調
節弁１０の開度を指示する信号を発生するウオー
ミング開度信号発生器であり、例えば開度５％と
いう値が設定され、これに応じた信号が発生す
る。なお、ウオーミング時の開度については後述
する。８は比例積分器６から出力された信号およ
びウオーミング開度信号発生器７から出力された
信号のうちのいずれか一方の信号を通す切換器、
９は手動／自動切換器、１０は蒸気式空気予熱器
A₂の温度を調節する前述の温度調節弁であり、
ウオーミング開度信号発生器７の信号又は比例積
分器６の信号あるいは手動によりその開度が調節
される。

このような構成の温度制御装置において、蒸気
式空気予熱器A₂の起動時には、信号切換器８は
ウオーミング開度信号発生器７と手動／自動切換
器９とを接続するように切換えられている。即
ち、蒸気式空気予熱器A₂が最初冷えた状態から
起動する（コールドスタート）場合には、良く知
られているように、蒸気式空気予熱器A₂のドレ
ンラインにウオータハンマが発生し易い。このた
め、起動当初は開度調節弁１０の開度を小さく絞
つた状態でウオーミングを行ない、ウオータハン
マの発生を防止する必要がある。ウオーミング開
度信号発生器７はこのために設けられているもの
であり、信号切換器８の前述の切換えにより、ウ
オーミング開度信号発生器７の出力信号は信号切
換器８、自動／手動切換器９を介して温度調節弁
１０に与えられる。したがつて、温度調節弁１０
の開度はウオーミング開度信号発生器７で設定さ
れた設定開度（例えば５％）とされる。このよう
にしてウオーミングが行なわれ、ウオーミングが
完了したと判断されるある規定された時間が経過
すると、信号切換器８は切換えられ、今度は比例
積分器６が手動／自動切換器９に接続されてその
出力信号が信号切換器８、手動／自動切換器９を
介して温度調節弁１０に与えられることとなる。

このようにして、蒸気式空気予熱器A₂はウオ
ーミング完了後の通常の運転状態に入ることとな
るが、この場合、排ガス式空気予熱器A₁の入口
の空気温度と出口のガス温度の平均の値、即ち平
均値演算器３の出力信号に応じた温度が排ガス式
空気予熱器A₁の低温部メタル温度に相当する温
度とされる。そして、蒸気式空気予熱器A₂の起
動開始から信号切換器８の前述の切換えまでのあ
る規定された時間経過の間に、排ガス式空気予熱
器A₁の低温部メタル温度はある所定の温度に達
したものとみされる。ここで、平均値演算器３の
出力信号および記憶器４に設定された排ガス式空
気予熱器A₁の目標温度に応じた信号は減算器５
に入力されて減算が行なわれ、両者の差即ち低温
部メタル温度の目標温度からのずれの温度に相当
する信号が得られる。この差の信号は比例積分器
６により温度調節弁１０の開度を制御するのに適
した信号とされ、信号切換器８、手動／自動切換
器９を経て温度調節弁１０に与えられ、その開度
を制御する。

このような従来の温度制御装置においては、蒸
気式空気予熱器A₂のウオーミング時にドレンラ
インのウオータハンマ防止のため温度制御弁１０
の開度を一定の小さな値に絞つたままウオーミン
グを継続するので、ウオーミングに長時間を要す
るという欠点があつた。又、ウオーミングの完了
を蒸気式空気予熱器A₂起動からの一定時間の経
過により判断しているので、排ガス式空気予熱器
A₁の低温部メタルの実際の温度は前記一定の時
間経過後においても、周囲温度その他種々の条件
により一定せず、したがつて目標温度との差が大
きくなる場合も生じ、この場合ウオーミング完了
後の温度上昇を円滑に行なうことができないとい
う欠点もあつた。

本考案の目的は、前記従来の欠点を除き、蒸気
式空気予熱器のドレンラインにウオータハンマを
発生させることなく短時間でウオーミングを行わ
せることができ、かつ、ウオーミング完了後は排
ガス式空気予熱器の低温部メタルの温度を円滑に
上昇させることができる蒸気式空気予熱器の温度
制御装置を提供するにある。

この目的を達成するため、本考案は、蒸気式空
気予熱器のウオーミング時にそのドレンラインの
ドレン温度を検出し、この温度に対して予め定め
られている温度調節弁の開度信号を発生するよう
にし、さらに、排ガス式空気予熱器の低温部メタ
ルの温度により、温度制御を、蒸気式空気予熱器
のウオーミングの温度制御から通常の温度制御に
切換えるようにしたことを特徴とする。

以下、本考案を第３図に示す実施例に基づいて
説明する。

第３図で第２図と同一部分には同一符号を付し
て説明を省略する。１１は蒸気式空気予熱器A₂
のドレン管路Ｄにおけるドレン温度を検出し、こ
のドレン温度に応じた信号を発生するドレン温度
信号発生器である。１２はドレン温度信号発生器
１１の信号を入力し、この種々異なる値の信号に
対応してそれぞれ予め定められた値の信号を出力
する関数発生器である。関数発生器１２における
前記予め定められた値の信号が温度調節弁１０の
開度を指令する信号となる。１３は排ガス式空気
予熱器A₁の低温部メタル温度に応じて切換えら
れる切換器であり、低温部メタル温度がある定め
られた所定温度以下のとき関数発生器１２を、
又、前記所定温度を超えたとき比例積分器６をそ
れぞれ手動／自動切換器９に接続する。このよう
な切換制御は、例えば平均値演算器３の出力信号
等を利用することにより行なわれる。１４は減算
器５と記憶器４との間に介在する信号制限器であ
る。信号制限器１４は、平均値演算器３の値を入
力し、この値又はこの値より僅かに高い値の信号
を出力するとともに、この出力信号を基準に、所
定の変化率、例えば２℃／minの変化率に従つて
前記基準とした出力信号の値を大きくしてゆき、
その出力信号が前記記憶器４に設定された値に達
するまでその変化動作を続けるという機能を備え
ている。

蒸気式空気予熱器A₂の起動時、その低温部メ
タル温度がある定められた所定の温度以下のとき
は切換器１３により関数発生器１２が手動／自動
切換器９に接続される。ドレン温度信号発生器１
１は蒸気式空気予熱器A₂のドレンラインＤのド
レン温度に応じた信号を発生する。この信号によ
りウオーミングの進行状態を把握することができ
る。関数発生器１２はドレン温度信号発生器１１
の出力信号により、即ちウオーミングの進行状態
によりそれに適した温度調節弁１０の開度指令信
号を発生する。即ち、関数発生器１２の特性は、
ドレン温度に基づき、ドレンラインＤにウオター
ハンマが発生しない範囲で温度調節弁１０の開度
をできるだけ大きくするように定められているの
で、蒸気式空気予熱器A₂の温度上昇は当然開度
信号を一定としている場合より早くなり、ウオー
ミングを速かに行なうことができる。

ウオーミングが進行し、排ガス式空気予熱器
A₁の低温部メタル温度が上昇し、この温度が前
記所定の温度を超えると切換器１３は比例積分器
６を手動／自動切換器９に接続する状態、即ちウ
オーミング完了後の通常の温度制御状態に切換え
られる。記憶器４は手動／自動切換器９が自動に
切換えられたとき作動し、排ガス式空気予熱器
A₁の設定された目標温度に応じた信号を出力し
ている。本実施例においてはこの信号を直ちに減
算器５に入力せず、信号制限器１４に入力し、記
憶器４に設定された値より低い値である平均値演
算器３の平均値から減算器５における減算を開始
する。そして、ある定められた変化率、例えば２
℃／minの変化率にしたがつて徐々に信号制限器
１４の出力信号を大きくしてゆくようにし、この
動作をその出力信号が記憶器４の設定値と等しく
なるまで継続する。このため、切換器１３が切換
えられて通常の制御状態に入つたとき、低温部メ
タルの温度は所定温度であるので、低温部メタル
の目標温度との差が一定となり、その温度上昇が
円滑に行なわれるばかりでなく、信号制限器１４
を設けたことにより減算器５から出力される偏差
信号が大きな信号となることはなく、したがつ
て、低温部メタルの温度上昇をより一層円滑に行
なうことができる。

このように、本実施例においては、蒸気式空気
予熱器のウオーミング時にはドレンラインのドレ
ン温度に応じた信号に基づき関数発生器で温度調
節弁の開度指令信号を発生するようにし、又、排
ガス式空気予熱器の低温部メタルの温度が所定温
度を超えたとき信号切換器により通常の温度制御
に切換えるようにし、さらに、信号制限器を設け
て排ガス式空気予熱器の低温部メタルの目標温度
を設定された温度まで徐々に上昇してゆくように
したので、蒸気式空気予熱器のドレンラインにウ
オータハンマを発生させることなく短時間でその
ウオーミングを完了することができ、かつ、ウオ
ーミング完了後は排ガス式空気予熱器の低温部メ
タルの温度上昇を極めて円滑に行なうことができ
る。

以上述べたように、本考案では、蒸気式空気予
熱器のウオーミング時にそのドレンラインのドレ
ン温度に応じて温度調節弁の開度を制御し、又、
排ガス式空気予熱器の低温部メタル温度が所定の
温度になつたとき温度制御をウオーミング温度制
御から通常の温度制御に切換えるようにしたの
で、蒸気式空気予熱器のドレンラインにウオータ
ハンマを発生させることなく短時間でそのウオー
ミングを行なわせることができ、かつ、ウオーミ
ング完了後は排ガス式空気予熱器の低温部メタル
温度を円滑に上昇させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は燃焼装置の概略構成を示す系統図、第
２図は従来の蒸気式空気予熱器の温度制御装置の
ブロツク図、第３図は本考案の実施例に系る空気
予熱器の温度制御装置のブロツク図である。 １……入口温度信号発生器、２……出口温度信
号発生器、３……平均値演算器、４……記憶器、
５……減算器、６……比例積分器、１０……温度
調節弁、１１……ドレン温度信号発生器、１２…
…関数発生器、１３……切換器、１４……信号制
限器、A₁……排ガス式空気予熱器、A₂……蒸気
式空気予熱器、Ｄ……ドレン管路、Ｓ……蒸気管
路。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 蒸気式空気予熱器と、この蒸気式空気予熱器
   の温度調節弁と、この温度調節弁に対する前記
   蒸気式空気予熱器のウオーミング時の開度指令
   信号とウオーミング完了後の開度指令信号とを
   切換える切換装置とを備えた蒸気式空気予熱器
   の温度制御装置において、前記蒸気式空気予熱
   器のドレン温度を検出するドレン温度検出装置
   と、このドレン温度検出装置で検出された信号
   に見合う前記ウオーミング時の開度指令信号を
   発生する手段と、前記蒸気式空気予熱器に接続
   される排ガス式空気予熱器の低温部メタル温度
   を検出するメタル温度検出装置と、前記排ガス
   式空気予熱器の温度目標値を出力する目標値出
   力手段と、この目標値出力手段から出力された
   値と前記低温部メタル温度値との差に応じた前
   記ウオーミング完了後の開度指令信号を発生す
   る手段と、前記低温部メタル温度が所定値に達
   したとき前記切換装置を前記ウオーミング時の
   開度指令信号選択状態から前記ウオーミング完
   了後の開度指令信号選択状態に切換える手段と
   を設けたことを特徴とする蒸気式空気予熱器の
   温度制御装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項において、前
   記目標値出力手段は、前記排ガス式空気予熱器
   の最終温度目標値を設定する温度設定手段と、
   この最終温度目標値に達するまで所定の変化率
   をもつて前記温度目標値を上昇させる制限手段
   とで構成されていることを特徴とする蒸気式空
   気予熱器の温度制御装置。