JPH0223928Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はボイラの給水制御装置に係り特にボイ
ラ停止時にボイラ流体温度を急速に降下させ、ボ
イラ停止を行なうのに好適なボイラの給水制御装
置に関する。

ボイラを急速に冷却し停止する方法としては押
込通風器をボイラ消火後も運転継続し、冷空気を
ボイラ火炉内に送風することにより冷却する方法
とボイラ消火後給水ポンプを運転し低温水を供給
し冷却する方法とがある。これらの方法はいずれ
もボイラを冷却するのに有効な手段であるが、前
者は冷空気による冷却であり、ボイラの保有する
高温水を降下させるためには時間がかかり過ぎる
難点があり、更に急速にボイラ保有水を冷却する
方法が望まれていた。後者は冷水による冷却であ
りボイラ急速冷却に対しては最も冷却効果が得ら
れる方法であるが給水温度変化によりボイラ本体
への熱応力を与えないように給水側から供給する
冷水量を調整することが必要となる。

従来はこの給水温度変化をボイラ本体の制限値
内に制御するために脱気器及び高圧給水加熱器に
補助蒸気を供給し、ボイラへ供給される給水温度
自体を徐々に降下させることにより行なつてい
た。この場合補助蒸気が必要となり、ボイラ内に
フラツシユタンクなどの自缶蒸気発生装置又は他
缶からの補助蒸気が必要となり、設備的な問題も
考慮する必要が生じる。

従つてボイラに保有される高温流体をポンプに
より再循環させる再循環系統を有するボイラ装置
においては従来のボイラ冷却方式を採用すること
に火力発電所全体の設備に係わるためにこれに換
わるボイラ冷却方式が望まれていた。

本考案の目的は上記した従来技術の欠点を解消
し、ボイラ停止時にボイラに供給される給水温度
が低い場合でも給水加温用の補助蒸気を必要とせ
ずにボイラ水温度を最適な温度変化率で降下させ
ることが可能なボイラの給水制御装置を提供する
ことにある。

本考案のボイラの給水制御装置は、ボイラに保
有される高温流体をポンプにより再循環させる再
循環系統と、給水ポンプによりボイラに圧送する
給水流量を調節する給水調整弁とを備えたボイラ
の給水制御装置において、ボイラの停止時、ボイ
ラの入口給水流量を検出して入口給水流量をほぼ
一定の最低給水流量に制御する第１の制御部と、
再循環系統に再循環流量調整弁を設けボイラの入
口温度を検出してその温度降下率をボイラの部材
の熱応力が許容される範囲に設定しその設定手段
により再循環流量調整弁を制御して次第に再循環
流量を減少させる第２の制御部とを具備した構成
である。

以下本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図には本考案に係るボイラの給水制御装置
の一実施例の構成が示されており、同図において
ボイラ消火後はボイラ（図示せず）の節炭器１及
びボイラの水冷壁２に保有される水は高温状態に
維持されている。従つてこの保有水を再循環ポン
プ３を運転し、再循環流量調節弁４を介して再循
環させる。一方給水側からは給水ポンプ５を運転
し、給水調節弁６を流量制御可能な下限位置まで
絞り行んだ状態に設定しておく。

この状態から図示してない制御回路からの制御
信号に基づいて再循環流量調節弁４は徐々に絞り
込まれ、この再循環流量減少量に対応して給水調
節弁６の開度が調節されることにより給水量が増
加する。

このようにしてボイラの水冷壁２を通過する混
合水の流量は一定に制御され、ボイラへ供給され
る給水量は増加しボイラは冷却される。また給水
量増加分はセパレータタンクレベル調節弁７によ
りセパレータタンク８のレベルが上昇しないよう
コンデンサ１０へ給水を排出する。

なお同図において１１，１２，１３は加熱器、
１４は高圧タービンである。

次に第１図における給水調整弁６を制御する第
１の制御部と再循環調整弁（再循環流量調整弁）
４を制御する第２の制御部のそれぞれの制御回路
の構成を第２図に示す。同図において節炭器１の
入口部における給水流量を示す検出信号２０及び
信号設定器より与えられる流量設定信号２１が信
号減算器２２に入力され、該信号減算器２２から
はこれらの偏差信号が比例積分器２３に出力され
る。そして比例積分器２３は前記偏差信号に基づ
いて給水調節弁６にその回路を調節するための制
御信号を出力し、節炭器１の入口部における給水
流量がボイラの停止時は最低給水流量にほぼ一定
となるように制御する。

一方、節炭器１の入口部における給水温度を示
す検出信号３０が微分器３１、関数発生器３５に
入力され、微分器３１からは給水温度変化率（温
度降下率）を示す信号が減算器３２に出力され
る。また減算器３２には信号設定器（設定手段）
３３により設定される変化率設定信号が入力さ
れ、該減算器３２からはこれらの偏差信号が信号
選択器３４に出力される。

一方関数発生器３５は第３図に示す特性に基づ
いてボイラ消火後の給水温度に応じて予め設定さ
れた流量設定信号を減算器３６に出力する。また
減算器３６には再循環ポンプ３の出口付近におい
て検出される再循環流量を示す検出信号３７が入
力され、該減算器３６はこれらの偏差信号を信号
選択器３４に出力する。そして信号選択器３４は
減算器３２におよび減算器３６から出力される偏
差信号を比較し、これらのうちいずれか小さい方
の偏差信号を選択的に比例積分器３８に出力す
る。比例積分器３８では該偏差信号に基づいて再
循環流量制御弁４の開度を制御するための制御信
号を該再循環流量制御弁４に出力する。ここで比
例積分器３８から出力される制御信号は信号速度
制限器３９により一定の変化率で信号を変化する
ように制限がかけられる。

以上に説明した如く本考案ではボイラ停止に際
してボイラに保有される高温水等の高温流体を再
循環系統により再循環させながら最適な給水温度
変化を与えるように再循環流量と給水ポンプ側か
ら供給される冷水とを混合させかつこれらの流量
を制御するように構成したので本考案によればボ
イラ内にフラツシユタンク等の自缶蒸気発生装置
又は他缶からの補助蒸気を必要とすることなくボ
イラ水温度をボイラ停止時に最適な温度変化率で
降下させることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の対象となる再循環系統を有す
るボイラ装置の全体構成図、第２図は第１図にお
ける給水調節弁及び再循環調節弁を制御する制御
回路の構成を示すブロツク図、第３図は関数発生
器３５の特性図である。 ４……再循環調節弁、６……給水調節弁、２
２，３２，３６……減算器、２３，３８……比例
積分器、３１……微分器、３４……信号選択器、
３５……関数発生器。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ボイラに保有される高温流体をポンプにより
   再循環させる再循環系統と、給水ポンプにより
   前記ボイラに圧送する給水流量を調節する給水
   調整弁とを備えたボイラの給水制御装置におい
   て、前記ボイラの停止時、該ボイラの入口の給
   水流量を検出して該入口給水流量をほぼ一定の
   最低給水流量に制御する第１の制御部と、前記
   再循環系統に再循環流量調整弁を設け前記ボイ
   ラの入口温度を検出してその温度降下率を該ボ
   イラの部材の熱応力が許容される範囲に設定し
   その設定手段により前記再循環流量調整弁を制
   御して次第に再循環流量を減少させる第２の制
   御部とを具備したことを特徴とするボイラの給
   水制御装置。 (2) 第２の制御部の出力部に、出力される制御信
   号のレベルを一定の変化率で変化させる信号速
   度制限器を設けたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第(1)項に記載のボイラの給水制御
   装置。