JPS6217193Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は回転式粉末圧縮成形機に設けられる掻
取り装置に関する。

〔従来の技術〕

回転式粉末成形機の成形サイクルは次のように
なつている。つまり、第１図イからロの状態で示
したように、下杆１が低下器２によつて下げられ
ることに伴い、臼３内に、粉末供給器４からの粉
末を吸込む。次に、ハの状態で示したように、上
下位置を必要により適宜手動または自動により調
節される重量調節軌道５で、下杆１が押し上げら
れることにより、臼３内に吸込んだ粉末の一部を
吐出すとともに、吐出された余剰粉末を掻取り板
６で掻取つて秤量をなす。この後、ニに状態で示
すように下杆１を少し下げるとともに、上杆７を
臼３内に挿入してから、ホの状態で示したように
上下の杆７，１を夫々加圧ロール８で軸線方向に
移動させて、圧縮を行なう。最後に、ヘに状態で
示したように、上杆７を上昇させるとともに突き
上げ軌道９で下杆１を押し上げて、成形品Ａを臼
３外に突出させ、これをスクレーパ１０で回転盤
Ｂに上面から取出す。

ところで、上記掻取り板６は従来において、粉
末供給器４の終端壁で形成されていて、臼３の回
転軌跡に交差して設けられ、移動不能になつてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような従来の掻取り構造であると、掻取り
に伴つて、掻取り板６に沿つてせり上がつて集め
られながら移動される余剰粉末により、臼内の粉
末がひきずられ易い。このため、掻取りと同時に
臼内の粉末が一部えぐり取られたり、臼内の粉末
に偏りを生じる傾向があつた。このことは、特
に、吐き出しの後の臼内の粉末充填深さが浅い場
合程、顕著であつた。このため、従来では製品の
重量ばらつきが大きくなつたり、製品に割れや欠
損を生じ易かつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、回転盤の上面に下面を接して回転さ
れる掻取り円盤を、粉末供給器の終端部および終
端部近傍において、かつ、上記回転盤に取付けら
れた臼の回転軌跡が通る位置に配設し、こ掻取り
円盤を円盤駆動機構に接続してなる構成とし、こ
のような技術的手段によつて上記従来の問題点を
解決したものである。

〔作用〕

この掻取り装置の回転している掻取り円盤の下
を臼が通過する際に、臼穴から吐き出された粉末
が掻取り円盤の周縁部によつて掻取られるが、こ
の場合、掻取り円盤の周縁はその周速度に応じて
余剰粉末を少量ずつ連続して素早く臼穴外に運び
去る。このため、従来のように掻取りの進行に伴
つて掻取りられた余剰粉末が掻取り円盤の縁に沿
つてせり上がつて臼穴上に長くとどまることがな
い。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第２図および第３図
を参照して説明する。

図中１１は回転盤で、１２は回転盤１１の同一
円周上に等間隔毎に配設された臼である。臼１２
の臼穴には上下動される下杆１３の上部が挿入さ
れている。また、第３図中１４は下杆１３と対向
して回転盤１１に上下動自在に取付けられ、その
上下動により臼１２に挿脱される上杆である。

さらに、図中１５は図示しない固定部材に支持
された粉末供給器であり、この供給器１５は臼１
２の回転軌跡Ａに沿つて回転板１１の臼取付け部
１１ａ上面に配置されている。この粉末供給器１
５内の粉末は、上記下杆１３の下降により臼穴に
吸込み充填され、次に下杆１３の上昇により吸込
まれた臼穴内の粉末の一部が余剰分として吐出さ
れるようになつている。この粉末供給器１５の終
端をなす壁１５ａの下縁における臼穴に対応する
部位には、臼１２の上面に接することがないよう
に切欠溝１６が形成されている。

そして、粉末供給器１５の終端部を少し外れた
近傍位置には掻取り装置１７が設けられている。
この掻取り装置１７は掻取り円盤１８と、円盤駆
動機構１９とを具備して形成されている。

つまり、第３図中２０は固定の支持部材で、そ
の上記臼取付け部１１ａ上面側に位置された部位
には、軸受２１を介して円盤軸２２が回転自在に
取付けられている。この軸２２の下端部には掻取
り円盤１８がねじ２３および押え板２４を介して
取付けられている。

掻取り円盤１８はアルミニユーム合金等の軽金
属や合成樹脂等で成形されており、これは上記回
転軌跡Ａが通る位置に配設されて、その下面を上
記臼取付け部１１ａの上面に接して回転されるよ
うになつている。この掻取り円盤１８の下面には
放射状に溝１８ａが形成され、かつ、掻取り円盤
１８の縁はナイフエツジ状に形成されている。

円盤駆動機構１９は、支持部材２０に取付けた
モータ２５と、このモータ２５の回転軸と上記円
盤軸２２とにわたつて設けた伝導要素２６とから
形成されている。伝導要素２６にはこの実施例に
場合、例えばモータ２５の回転軸に固定した駆動
スプロケツトおよび円盤軸２２に固定した被動ス
プロケツトにわたつてチエーンを巻掛けてなるチ
エーン伝導要素を用いている。

以上の構造の掻取り装置１７において、駆動機
構１９のモータ２５を動作せることにより、伝導
要素２６を介して円盤軸２２とともに掻取り円盤
１８が第１図中矢印Ｂ方向に高速で回転される。
このため、第１図中矢印Ｃ方向に移動される臼１
２が掻取り円盤１８の下を通過する際に、臼穴か
ら吐出された余剰粉末が掻取り円盤１８の縁によ
つて掻取られ、第１図中矢印Ｄ方向に運び去られ
る。

このようにして、掻取り円盤１８の高速回転に
より臼穴上の余剰粉末を少量ずつ素早く臼穴外に
運び去るから、従来のように掻取りの進行に伴つ
て掻取られた余剰粉末が、せり上がつて臼穴上に
長くとどまることがない。このため、掻取りに伴
つて、臼１２内に粉末が一部えぐられたり、偏つ
たりすることが防止される。

したがつて、臼１２の臼穴径、つまり製品の直
径に対して最終充填深さが例えば1/10以上である
場合は勿論のこと、1/10以下の場合であつても、
成形される薄い製品の重量のばらつきを防止でき
るとともに、製品の密度むらを防止して製品の割
れおよび欠損を防止できるものである。

なお、上記一実施例は以上にように構成した
が、本考案において掻取り円盤の縁は垂直でもよ
く、また、掻取り装置１７の掻取り円盤１８は粉
末供給器の終端壁１５ａの溝１６内に入り込んで
設けても差支えない。さらに、円盤駆動機構１９
を、回転盤１１の外周に歯車を設けるとともに、
この歯車に噛合う原動歯車を設けて、かつ、この
原動歯車を伝導要素２６を介して円盤軸２２に連
結して構成してもよい。

その他、本考案の実施に当つては、考案の要旨
に反しない限り、掻取り円盤、円盤駆動機構等の
具体的な構造、形状、位置、材質等は、上記一実
施例に制約されることなく、種々の態様に構成し
て実施できることは勿論である。

〔考案の効果〕

上記実用新案登録請求の範囲に記載の構成を要
旨とする本考案によれば、掻取り円盤の回転によ
る掻取りによつて、掻取りに伴う臼内の粉末の偏
りや、臼内の粉末がえぐり取られることを防止で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は回転式粉末成形機の成形サイクルを説
明するための展開図、第２図および第３図は本考
案の一実施例を示し、第２図は概略平面図、第３
図は断面図である。 １１……回転盤、１２……臼、Ａ……臼の回転
軌跡、１５……粉末供給器、１７……掻取り装
置、１８……掻取り円盤、１９……円盤駆動機
構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転盤の上面に下面を接して回転される掻取り
   円盤を、粉末供給器の終端部および終端部近傍に
   おいて、かつ、上記回転盤に取付けられた臼の回
   転軌跡が通る位置に配設し、この掻取り円盤を円
   盤駆動機構に接続してなることを特徴とする回転
   式粉末圧縮成形機の掻取り装置。