JPS6216285Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電動工具におけるトルク調節付クラ
ツチ機構に関し、更に詳しくはトルク調節がコイ
ルスプリングの弾発力を可変にすることによつて
行なわれる機構の改良に関する。

従来の電動ドリル、電動ドライバー等の電動工
具におけるトルク調節は、コイルスプリングの弾
発力を可変調節することによつて何段階かに調節
出来るようになつている。

従つて、その調節の幅、特にトルク強の限度は
コイルスプリングの圧縮限度までであり、それ以
上のトルクは工具に伝達し得ないものである。即
ち、モータ自身が有している最大使用可能トルク
までは使用出来ないものであつた。

そのため、従来のものにあつてはコイルスプリ
ングの圧縮限度の最大トルク値でネジを締付けた
場合、同じトルク値でネジを弛めるといつたこと
が出来ない場合があり、使用面において不便を感
じるものであつた。

本考案は上述したような従来事情に鑑みてなし
たもので、コイルスプリングを圧縮して弾発力を
可変し、トルク力を調節する構造に加えてメイン
シヤフトとチヤツクシヤフトが直結され、モータ
自身の最大使用可能トルクが伝達されるようにす
ることにより、従来の不便を解決したものであ
る。

斯る目的を達成する本考案のトルク調節付クラ
ツチ機構は、モータの駆動により回転するメイン
シヤフトの先部に筒状のドライブケースを固定
し、そのドライブケースの中心部にメインシヤフ
トに対し遊転するチヤツクシヤフトを挿通支持す
ると共に、ドライブケース内に位置せるチヤツク
シヤフトには前記ケース底面に間隔をおいて装着
したクラツチボールと対向して動力を伝達するド
ライブプレートＡと、ドライブケースの先部内側
に形成した係合孔と係脱するドライブプレートＢ
を夫々一体回転状にして軸方向スライド自在に嵌
合し、且つドライブプレートＡとドライブプレー
トＢとの間にはコイルスプリングを弾圧装着し、
更にドライブケースを囲繞する本体ケースにクラ
ツチケースを固定し、そのクラツチケースに前記
ドライブプレートＢを係合孔に係脱調節するトル
ク調節ネジ環を螺着すると共に、クラツチケース
とトルク調節ネジ環との間に節度手段を設けたこ
とを特徴とするものである。

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明
すると、第１図はメインシヤフトとチヤツクシヤ
フトとが直結された状態の断面図を示す、図中、
１はメインシヤフトでモータ（図示セズ）の回転
が歯車装置（図示セズ）を介して伝達されるよう
になつており、そのメインシヤフト１の先部に筒
状のドライブケース２が固着され、そのドライブ
ケースの中心部に、メインシヤフト１と後述する
トルク調節ネジ環９に装備したラジアルベアリン
グ１１とに渉つてチヤツクシヤフト３が遊転自在
に挿通支持されており、チヤツクシヤフト３の外
側端部にはチヤツク１２が取付けられている。

ドライブケース２は底面部にクラツチボール４
が嵌入する凹部１３を適宜数（例えば８個）形成
し、先部には係合孔５を開設したドライブプレー
ト１４が嵌着係合され、クリツプリング１５で離
脱しないようにしてある。

尚、ドライブケース２の先部における係合孔５
の形成手段としては、図示の如く係合孔を開穿し
たドライブプレート１４を一体的に取付けて設け
る形態に限定されるものではなく、ドライブケー
ス２の先部に同一体に形成するも勿論可能であ
る。

ドライブケース２の中心部に挿通支持されるチ
ヤツクシヤフト３において、ケース２内に位置す
る部分は断面形状を四角形等の非円形部３′と
し、その非円形部３′にドライブプレートＡとド
ライブプレートＢが一体回転且つ軸方向スライド
可能に嵌合され、、両プレートＡ，Ｂ間にはコイ
ルスプリング６が弾圧装入されている。

ドライブプレートＡはドライブプレート２底面
に装着されたクラツチボール４との係合によつて
メインシヤフト１の回転をチヤツクシヤフト３に
伝達するもので、その構造はドライブケース２内
に嵌入する円板状をなし、中心部にはチヤツクシ
ヤフト３の非円形部３′と嵌着係合する非円形孔
１５が開穿され、ドライブケース２の底面と対向
した面にはクラツチボール４と当接係合する凸部
１６がクラツチボール４の数に合わせて突出形成
してある。

尚、凸部１６は左右の傾斜角度を同じにするこ
とにより、右方向及び左方向の何れにもクラツチ
ボール４とドライブプレートＡが係合して回転力
を伝達することが出来るものである（第６図参
照）。

ドライブプレートＢはメインシヤフト１と一体
回転するドライブケース２に嵌着係合してメイン
シヤフト１とチヤツクシヤフト３とを直結状とす
るもので、その形状はドライブケース２に形成し
た係合孔５と同形状、即ち十字形円板に形成さ
れ、このドライブプレートＢが係合孔５に嵌入係
合した時は直結伝達状態となり、ドライブプレー
トＢが係合孔５より外れドライブケース２内に位
置した時はドライブプレートＡを介して回転力が
伝達されるものであり、ドライブプレートＢを介
してコイルスプリング６の圧縮量を可変にするこ
とによつてトルクを強弱調節することが出来る。

ドライブプレートＢをチヤツクシヤフト３の軸
芯に沿つてスライドさせるトルク調節ネジ環９は
ドライブケース２を囲繞する本体ケース７に接続
固定されたクラツチケース８に螺着され、そのト
ルク調節ネジ環９には操作摘まみ１７と前面の飾
りプレート１８がネジ止め固定されている。

又、トルク調節ネジ環９にはチヤツクシヤフト
３を軸承するラジアルベアリング１１と、該ネジ
環９とドライブプレートＢとの間に介在するドラ
イブスリーブ２０を受けるスラストベアリング２
１が装着され、ドライブスリーブ２０はチヤツク
シヤフト３周面に取付けた止めリング２２でチヤ
ツク１２側にスライドしないようにしてある。

更に、トルク調節ネジ環９とクラツチケース８
との間には該トルク調節ネジ環９を回動して調節
した状態を維持するための節度手段１０が設けら
れている。

その節度手段１０は、トルク調節ネジ環９のネ
ジが刻設された周面に軸方向に沿つて刻設した凹
溝２３と、クラツチケース８の周壁適宜個所に孔
２４を開設して嵌合したボール２５及びそのボー
ル２５をトルク調節ネジ環９側に押圧付勢する板
バネ２６より構成され、操作摘まみ１７を持ちて
トルク調節ネジ環９を回動し、板バネ２６で付勢
されているボール２５が凹溝２３に落ち込むこと
によりトルク設定状態が維持される。

尚、操作摘まみ１７の回動によるトルク調節の
強弱を一目で確認し得るように、クラツチケース
８の周面にトルクの強弱を表わす０〜４の目盛２
８を刻設表示し、他方、操作摘まみ１７には目盛
２８を透視確認する窓孔２７を開設すると、調節
を簡便に行なうことが出来る。

次に、トルクの調節について説明すると、第１
図は前述したように操作摘まみ１７を回動してド
ライブプレートＢをドライブケース２の係合孔５
に嵌入係合させ、メインシヤフト１の回転がドラ
イブケース２→ドライブプレートＢ→チヤツクシ
ヤフト３と伝達され、回転は直結伝達の状態とな
る。（尚、この場合は上述したようにコイルスプ
リングの弾発力によるトルク伝達ではないので、
ドライブプレートＡの凸部１６とクラツチボール
４とはスリツプせず、ロツク状態で回転が伝達さ
れる。） 次に、第１図の状態からトルクを弱（目盛：
１）にセツトする場合は操作摘まみ１７を締付け
方向に回動し、操作摘まみ１７に開設せる窓孔２
７を目盛「１」の所に合わせると、ドライブプレ
ートＢはドライブケース２の係合孔５より外れコ
イルスプリング６を圧縮し、ドライブプレートＡ
はコイルスプリング６の弾発力でクラツチボール
４に押圧接される。

従つて、メインシヤフト１の回転はドライブケ
ース２の凹所１３に嵌合されたクラツチボール４
がドライブプレートＡの凸部１６に衝合してドラ
イブプレートＡを一緒に回転させ、それによつて
チヤツクシヤフト３に回転が伝達される。（第３
図参照） この時、設定トルク（目盛：１）より大きいト
ルクがチヤツク１２を介してチヤツクシヤフト３
に作用すると、クラツチボール４がドライブプレ
ートＡの凸部１６を乗り越え、ドライブプレート
ＡはドライブプレートＢ方向に押し出されて両者
はスリツプ状態となり、メインシヤフト１の回転
はチヤツクシヤフト３に伝達されない状態とな
る。

次に、操作摘まみ１７を更に締付け方向に回動
して窓孔２７を目盛「４」の位置に合わせると、
設定トルクは目盛「１」の場合より強となる。
（第５図参照） 尚、上述した各状態に於いてモータの回転を逆
回転させることにより逆回転を伝達し得るもので
ある。

本考案のトルク調節付クラツチ機構は以上の如
き構成としたものであるから、コイルバネの圧縮
量を変えてドライブプレートＡに作用する弾発力
を調節して得られるトルクの強・弱調節と、トル
ク調節ネジ環を弛めてドライブプレートＢをドラ
イブケースの係合孔に嵌入係合させ、メインシヤ
フトの回転をドライブケース及びドライブプレー
トＢを介してチヤツクシヤフトに伝える直結伝達
の状態を確立することが出来る。

従つて、コイルスプリングの圧縮量を可変して
得られるトルクよりも大きい、所謂モータが有し
ている最大使用可能トルクまで伝達できるため、
従来のコイルスプリングによるトルク調節では締
付けたり、ドリル加工が出来なかつたものも本案
にあつては確実に行なうことが出来ると共に、コ
イルスプリングの圧縮量調節で得られた最大トル
クで締付けたネジは直結伝達の状態にセツトする
ことによつて簡単に弛め、取り外すことが出来る
ものである。

依つて、実用性に富んだトルク調節付クラツチ
機構を提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は直結
伝達状態にセツトした断面図、第２図は第１図に
於けるドライブケースとドライブプレートＢの係
合状態を示す断面図、第３図は第１図の状態より
トルク調節ネジ環を締めてトルク弱にセツトした
状態の断面図、第４図は第３図の状態における係
合孔部分の断面図、第５図は第３図の状態よりト
ルク強とした場合の断面図、第６図はドライブプ
レートＡに於ける凸部の拡大断面図である。 図中、１……メインシヤフト、２……ドライブ
ケース、３……チヤツクシヤフト、４……クラツ
チボール、５……係合孔、６……コイルスプリン
グ、７……本体ケース、８……クラツチケース、
９……トルク調節ネジ環、１０……節度手段、Ａ
……ドライブプレート、Ｂ……ドライブプレー
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. モータの駆動により回転するメインシヤフトの
   先部に筒状のドライブケースを固定し、そのドラ
   イブケースの中心部にメインシヤフトに対し遊転
   するチヤツクシヤフトを挿通支持すると共に、ド
   ライブケース内に位置せるチヤツクシヤフトには
   前記ケース底面に間隔をおいて装着したクラツチ
   ボールと対向して動力を伝達するドライブプレー
   トＡと、ドライブケースの先部内側に形成した係
   合孔と係脱するドライブプレートＢを夫々一体回
   転状にして軸方向スライド自在に嵌合し、且つド
   ライブプレートＡとドライブプレートＢとの間に
   はコイルスプリングを弾圧装着し、更にドライブ
   ケースを囲繞する本体ケースにクラツチケースを
   固定し、そのクラツチケースに前記ドライブプレ
   ートＢを係合孔に係脱調節するトルク調節ネジ環
   を螺着すると共に、クラツチケースとトルク調節
   ネジ環との間に節度手段を設けたトルク調節付ク
   ラツチ機構。