JPS6216200Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は例えば転炉内壁の損傷に対し粉末状の
溶射用耐火材料（以下、「溶射粉末」という）を
可燃性ガス−支燃性ガス火炎中に供給し高速で噴
射して損傷部に融着させる火炎溶射法に使用する
溶射バーナーに関する。

従来、上記火炎溶射法によつて転炉、取鍋、電
気炉等の内壁のうち炉側壁を補修する場合には、
該炉側壁が炉口に対し側面に位置するので、バー
ナーノズルで直射するためには第１図の如き曲部
を有する溶射バーナーが用いられる。第１図は従
来の溶射バーナーの一例で、バーナー本体１は可
燃性ガス若しくは支燃性ガスと溶射粉末とが流れ
る気−固流路２を形成する管３を中心に、その外
周には可燃性ガス若しくは支燃性ガスが流れるガ
ス流路４を形成する管５を、更にその外周には冷
却水通路６を形成する冷水ジヤケツト７を同心に
配列した多重管とすると共に端部で該多重管を保
持して曲げた構造であり、更に該バーナー本体１
の端部にノズル８を取り付けたものである。

ところで、このような溶射バーナーにおいて
は、気−固流路２を流れるいわゆる気−固流体が
第１図の曲部Ａで曲げられる過程で溶射粉末が曲
部Ａに衝突して、該曲部Ａが損傷するが、該曲部
Ａをステンレス等の強度の強い材料に替えても防
止し得ず、更に該曲部Ａが損傷すると前記の如く
溶射バーナーは多重管であるから損傷部の修理は
極めて困難であり、従つて溶射バーナーそのもの
も不良となつてしまう。そこで、前記曲部Ａをゆ
るい湾曲状に構成することも考えられるが、溶射
バーナーが多重管構造であることから製作上極め
て困難であり、従つて何らかの改善が望まれてい
るのが実情である。

本考案は上記実情に鑑みて案出したもので、前
記気−固流体が通過する管の曲部が脱着自在なプ
ラグを設け、該プラグによつて気−固流体の流路
を曲げると共に溶射粉末による損傷を集中的に受
けるようにして管の他の部分への損傷を防止した
溶射バーナーに関するものである。以下本考案を
実施例により第２図、第３図を用いて説明する。

第２図は本考案の溶射バーナーの横断面図、第
３図は第２図における曲部の拡大図である。図に
おいて、溶射バーナーはバーナー本体１０１とノ
ズル８とから構成され、バーナー本体１０１は可
燃性ガス若しくは支燃性ガスと溶射粉末とが流れ
る気−固流路１０２を形成する管１０３を中心
に、その外周には可燃性ガス若しくは支燃性ガス
が流れるガス流路１０４を形成する管１０５を、
更にその外周には冷却水通路１０６を形成する冷
水ジヤケツト１０７を同心に配列した多重管とす
ると共にその一端部は上記した各流路１０２，１
０４，１０６を形成した多重管を保持して直角な
バーナー本体１０１の曲管部１０１Ａを形成して
いる。そして更に管１０３は曲折部Ｂで分岐しバ
ーナー本体１０１の軸上を直進して管１０５、冷
水ジヤケツト１０７を気密に貫通して外部に連通
する直管部１０８は、その端部において第３図に
示す如く管１０８内壁にネジ部１０９、該ネジ部
１０９の終端にはキー溝部１１０を形成してい
る。また、前記バーナー本体１０１の曲管部１０
１Ａには端部において溶射粉末含有ガス流路１０
２Ａを形成する管１０３Ａの内壁にネジ部１１１
を形成する。

このように構成した溶射バーナーでバーナー本
体１０１の曲管部１０１Ａの端部に、一端に噴射
口を有すると共に他端には曲管部１０１Ａの管１
０３Ａに設けたネジ部１１１と螺合するネジ部８
Ａを形成しているノズル８をそれぞれのネジ部１
１１と８Ａとを螺合して連接する。また、９，９
は冷却水管でバーナー本体１０１の冷水ジヤケツ
ト１０７とノズル８の外周に設けた冷水ジヤケツ
ト８Ｂとを連接する。なお、この場合ノズル８の
気−固流路８Ｃとガス流路８Ｄを曲管１０１Ａの
それぞれのガス流路１０２Ａ，１０４Ａと気密に
連通することはもちろんである。

次にプラグ２０１は例えばステンレス等の耐摩
耗性の高い材質を用い、形状についいては第３図
に示す如く管１０３の直管部１０８内に内挿し得
るように形成した円柱部２０１Ａを有し、その一
端には該プラグ２０１の軸に対して角度θにて切
削した切削面２０１Ｂを他端には前記直管部１０
８に設けたキー溝１１０に嵌合する突起を形成し
たキー２０１Ｃを設け、更に円柱部の中間部分に
はＯリング用の溝２０１Ｄを設けて構成する。更
に前記キー溝１１０、キー２０１Ｃ、切削面２０
１Ｂの位置的関係については、プラグ２０１を管
１０８に内挿してキー２０１Ｃをキー溝１１０に
嵌合した時、切削面２０１Ｂが曲管部１０１Ａの
管１０２Ａに対向するように設定する。

次に盲金物２０２は円柱状に形成すると共に外
周には前記直管部１０８の端部に設けたネジ部１
０９に螺合するネジ部２０２Ａを設けてある。こ
のようにしてバーナー本体１０１の管１０３の直
管部１０８には外部よりプラグ２０１をその切削
面２０１Ｂが上記した如く所定位置に保持して配
置し、盲金物２０２の螺合によつて固定して直管
部１０８を閉塞する。なお、２０３はＯリングで
直管部１０８内の気固流体のシールを行なう。

上述の如く構成した本考案の溶射バーナーは第
２図の如く可燃性ガス若しくは支燃性ガスと溶射
粉末は気−固流路１０２を矢印方向に進行し、プ
ラグ２０１の切削面２０１Ｂで曲げられて曲管部
１０１Ａの気−固流路１０２Ａを経てノズル８に
達し外部に噴出する。また、可燃性ガス若しくは
支燃性ガスはガス流路１０４を矢印方向に進行し
流路１０４Ａを経てノズル８に達し外部に噴出す
る。更に冷却水はバーナー本体１の冷却水流路１
０６より曲管部の冷却水通路１０６Ａを経てノズ
ル８の冷水ジヤケツト８Ｂに冷却水管９，９を介
して循環する。本考案の溶射バーナーは大要上述
の如く作動するが、次に溶射バーナーの曲部につ
いて更に詳述する。

第３図において、気−固流路１０２を矢印の如
く流れる溶射粉末１０と可燃性若しくは支燃性ガ
スはプラグ２０１の切削面２０１Ｂに達し該切削
面２０１Ｂで曲げられて曲管部１０１Ａの管１０
３Ａ内の気−固流路１０２Ａを矢印の如く流れる
が、このうち特に溶射粉末１０は粉末状で一定の
質量を有し切削面２０１Ｂに衝突しはね返るよう
にして曲管部１０１Ａの管１０３Ａ内の気−固流
路１０２Ａ内をノズル８に向かつて流れるが、こ
の際切削面２０１Ｂは損傷を受けると共に曲管部
１０１Ａに向かつた溶射粉末１０は再び１０１Ａ
の管１０３Ａの内壁に接触する場合もあるので、
前記θについては一定の範囲とする必要がある。
そして実験の結果θは20〜70度とすることが好ま
しく、特にθを45度にした時が溶射粉末１０によ
る曲管部１０１Ａの管１０３Ａの内壁の損傷が最
も少なく、かつ流体に対する抵抗としても最少で
あつた。また、θを前記20〜70度以外にすると溶
射粉末１０による前記管１０３Ａの内壁の損傷が
大となり実用的でない。そしてプラグ２０１は溶
射粉末１０の衝突を一カ所で受けるため損耗する
がこの場合には盲金物２０２を取りはずしてプラ
グ２０１を交換すれば良い。なお、上述の説明に
おいて、管１０３の直管部１０８と曲管部１０３
Ａについてはこれを互いに直角なものとしたが、
必ずしも直角とする必要はなく任意の角度で良
い。しかしこの場合には直管部１０８と曲管部１
０３Ａとの角度に応じて前記プラグ２０１の切削
面２０１Ｂの角度θを前記20〜70度の範囲で適宜
変える必要がある。

〔実験例〕

第２図、第３図に示す如き溶射バーナーにおい
て、プラグ２０１の切削面２０１Ｂの角度θを45
度に選定し、ガスと溶射粉末よりなる気−固流を
ガス流速約17〜20ｍ／secで流すと、安定的にノ
ズル８側へ気−固流を曲げ得ると共に、プラグ２
０１の交換は溶射粉末300トンにて交換すれば良
かつた。そしてこの期間中、曲管部１０１Ａの管
１０３Ａの内壁はほとんど損傷しなかつた。

上述の如く本考案の溶射バーナーによると管内
の気−固流体を直角に曲げえて転炉等の側壁の補
修に適し、かつ曲管部に使用したプラグ以外はほ
とんど損傷しないのでバーナー自体の寿命が大巾
に延長する。またプラグは小型で、かつ製作が容
易であると共に交換式であるから必要に応じて取
り替え使用ができ経済的であると共に実用性に富
む。更に本考案では冷水ジヤケツト付の溶射バー
ナーの場合で説明したが冷水ジヤケツトを要しな
いバーナーの場合でも同様に適用できることは言
う迄もなく、一般に気−固流路を中心に、その外
周にガス流路を同心に二重以上に配列した多重管
とすると共にその一端部が前記各流路を形成する
多重管を保持して曲折してノズルを装着した溶射
バーナーに有効であり応用範囲も広い。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の溶射バーナーの一実施例の断面
図。第２図は本考案の一実施例を示す溶射バーナ
ーの断面図、第３図は第２図の曲部の拡大図であ
る。 ８はノズル、１０１はバーナー本体、１０１Ａ
は曲管部、１０２，１０２Ａは気−固流路、１０
４，１０４Ａはガス流路、２０１はプラグ、２０
１Ｂは切削面である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 耐火性溶射材料を含有する可燃性ガス若しくは
   支燃性ガスが流れる気−固流路を中心に、その外
   周に可燃性ガス若しくは支燃性ガスが流れるガス
   流路を同心に二重以上に配列した多重管とすると
   共にその一端部が前記各流路を形成する多重管を
   保持して曲折してノズルを装着した溶射バーナー
   において、前記気−固流路を形成する管を曲折部
   で直進するよう分岐して該気−固流路の外周のガ
   ス流路を形成する管を気密に貫通して外部に連通
   する直管部を形成すると共に、該直管部にその端
   部が軸に対して20〜70度の角度で切削した切削面
   を有するプラグを前記切削面が曲折後の気−固流
   路に対向するように配置して気密にかつ脱着自在
   に挿入したことを特徴とする溶射バーナー。