JPS6215092Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、自動車などのステアリングホイール
に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

従来、ステアリングホイールは、たとえば、第
１図および第２図に示すように、金属製のボス１
の上端外周部に金属製の水平フランジ２を溶接固
定するか一体に形成し、このフランジ２の下面に
スポーク芯金３の内端を溶接固定し、このスポー
ク芯金３の外端にリム芯金４を溶接固定してい
る。

そして、上記ボス１の中心部にはステアリング
シヤフト挿通用の挿通孔５が穿設されており、こ
の挿通孔５は上部のセレーシヨン部６と下部のテ
ーパー部７とからなつている。

そして、ボス１を挿通孔５によりステアリング
シヤフト８に嵌着し、セレーシヨン部６をステア
リングシヤフト８のセレーシヨン部に嵌合すると
ともに、テーパー部７をステアリングシヤフト８
のテーパー部に嵌着し、ステアリングシヤフト８
の上端部にボス１上に当接したワツシヤ９を介し
てナツト１０を螺合し、ステアリングホイールの
ボス１をステアリングシヤフト８に固定してい
る。

また、従来、軽量化したステアリングホイール
としては、第３図および第４図に示すように、ボ
ス１１に金属製のインサート部品を用い、このボ
ス１１の周囲からスポーク１２およびリム１３を
ガラス繊維などで強化した合成樹脂、または、ガ
ラスロービング繊維と炭素ロービング繊維とをポ
リエステル樹脂で接着して強化した合成樹脂によ
り一体に形成したものがある。

そして、上記ボス１１の中心部のステアリング
シヤフト挿通用の挿通孔１４は、前記のように、
上部のセレーシヨン部１５と下部のテーパー部１
６とからなつている。

ところで、上述のように、ステアリングホイー
ルの中央部に位置してステアリングシヤフトに強
固に固定される金属製のボス１，１１は、通常、
鍛造、鋳造、切削などの手段により所定形状に加
工される。そして、上述のようなボス１，１１の
挿通孔５，１４を形成する場合、一般的には、ま
ず、セレーシヨン部６，１５とテーパー部７，１
６とをつくるための通孔を形成し、ついで、この
通孔にセレーシヨン加工のための引き抜き部材を
テーパー部７，１６側からボス１，１１の上面方
向に引き抜き、セレーシヨン部６，１５を形成し
ている。すなわち、ステアリングホイールのステ
アリングシヤフトへの取付基準はテーパー部７，
１６であるので、セレーシヨン加工の引き抜き部
材はテーパー部７，１６側からボス１，１１の上
面に向つて引き抜かれてセレーシヨン加工する
が、その際、ボス１，１１の上面にバリが発生し
やすく、とくにブローチ加工のような切削加工に
よらず、鍛造によつてセレーシヨン部６，１５を
形成する場合には、ボス１，１１の上面の挿通孔
５，１４付近の加工個所が全体的に盛り上つた状
態になることもあり、ステアリングシヤフトに固
定する場合にバリによつてけがをする危険性があ
るとともに、ナツトを締付けた際に面当りで強固
に螺着できない場合もある。

また、セレーシヨン部６，１５をブローチ加工
によつて形成する場合には、その作業が面倒であ
るとともに、加工時軸方向に斜めに切削されない
ようにするために加工精度が重要であり、さら
に、鉄製のボス１，１１をブローチによつて切削
するので、ブローチの摩耗が大きく、寿命が短
く、とくに、ボス１，１１を鍛造によつて形成す
る場合、セレーシヨン部６，１５をつくるための
通孔の表面は非常に硬く、したがつて、ブローチ
の摩耗はさらに大きく、ブローチを一定数加工後
交換しなければならないという工程上のわずらわ
しさがあり、かつ、セレーシヨン加工面に錆など
が発生しやすい。

また、ボス１，１１をその外形、セレーシヨン
部６，１５およびテーパー部７，１６をともに鍛
造によつて形成し、ブローチ加工を行わない場合
には、鍛造工程の最終工程、すなわち、セレーシ
ヨン部６，１５の形成工程において周面に山部を
連続して形成したパンチを用いるため、その山部
の数が多いとともに三角歯形状としているので、
鍛造時に山部の寿命が短く、ブローチ加工に比べ
て所望の三角歯形状が出ないという欠点がある。

〔考案の目的〕

本考案は、上述のような問題を解決しようとす
るもので、製作が容易で、セレーシヨン部に錆な
どが生じないようにすることを目的とするもので
ある。

〔考案の概要〕

本考案は、ボス部を、セレーシヨン部とテーパ
ー部を有するステアリングシヤフトに嵌着するス
テアリングホイールにおいて、金属製のボスの上
記ステアリングシヤフトを挿通する挿通孔の下部
にステアリングシヤフトのテーパー部に嵌着する
テーパー部を形成し、上記ボスを合成樹脂体内に
埋設するとともに、この合成樹脂体に上記ボスの
テーパー部の上部において上記ステアリングシヤ
フトのセレーシヨン部に嵌合するセレーシヨン部
を形成したことを特徴とするもので、ステアリン
グシヤフトを金属製のボスのテーパー部と合成樹
脂体のセレーシヨン部に結合するものである。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第５図および第６図
について説明する。

２１はステアリングホイールを示し、このステ
アリングホイール２１は、金属製のボス２２と、
芯金を有しない合成樹脂製のスポーク２３および
リム２４とからなつている。

上記ボス２２には、中央部にステアリングシヤ
フトの挿通孔２５が穿設され、このステアリング
シヤフトの挿通孔２５は下部に下方に向かつて拡
開するテーパー部２６が形成され、このテーパー
部２６の上部に、外周に外壁部２７を有する径大
の凹所２８が形成されている。また、ボス２２の
上端外周にフランジ部２９が一体に設けられ、こ
のフランジ部２９に回り止め部となる貫通部とし
て複数個の貫通孔３０が所定間隔ごとに形成され
ている。

そして、上記ボス２２は上記スポーク２３の基
部と一体の合成樹脂体３１内に埋設され、ボス２
２の上下外側面は合成樹脂体３１の上下の支持部
３２，３３で支持された状態となつており、フラ
ンジ部２９の上下面は合成樹脂体３１で覆われて
いるとともに、貫通孔３０内の合成樹脂を介して
上下面の合成樹脂が一体に結合され、かつ、合成
樹脂体３１によつてボス２２の外壁部２７の内側
の凹部２８に円筒状の内壁部３４が一体に形成さ
れ、この内壁部３４に上記ボス２２の挿通孔２５
に連らなる挿通孔３５が設けられ、この挿通孔３
５の内壁面にセレーシヨン部３６が形成されてい
る。

なお、上記ボス２２の下部においてスポーク２
３の基端下部に円環状の補強壁３７が形成され、
この補強壁３７の外周に方向指示器キヤンセルカ
ム復元用のキヤンセルピン３８が突設されてい
る。

そして、前記のように、ステアリングシヤフト
のテーパー部をボス２２のテーパー部２６に嵌着
するとともに、ステアリングシヤフトのセレーシ
ヨン部を合成樹脂体３１のセレーシヨン部３６に
嵌合し、ステアリングシヤフトの上端部をワツシ
ヤを介してナツトで締付け固定する。

このように、スポーク２３とリム２４は芯金の
ない合成樹脂で一体に形成され、かつ、ボス２２
を埋設してフランジ部２９の貫通孔３０内の合成
樹脂を介して上下部の合成樹脂が一体に結合され
ているので、リム２４の回転を円滑かつ確実に伝
達することができ、また、キヤンセルピン３８も
同時に回動して方向指示器キヤンセルカムを復元
する動作を行う。

なお、実施にあたつて、ボス２２のフランジ部
２９は適宜な形状に形成すればよく、たとえば多
角形状などの異形状にすることにより、フランジ
部２９の外形形状によつても回り止め作用を行わ
せることができる。また、フランジ部２９はボス
２２の上端のほか、中間外周部に設けてもよい。
また、フランジ部２９の貫通部としての貫通孔３
０は外周から切欠形成してもよい。また、スポー
ク２３およびリム２４には必要に応じて芯材を設
けたり、外面にウレタン樹脂などを被覆してもよ
い。

〔考案の効果〕

本考案によれば、金属製のボスにおけるステア
リングシヤフトの挿通孔にはセレーシヨン部を形
成せず、合成樹脂体にセレーシヨン部を形成した
ため、金属製のボスの後加工が不要となり、製作
が容易となり、セレーシヨン部に錆などが生じる
こともない。

また、金属製のボスはステアリングシヤフトに
取付けるためのテーパー部のみを有する必要最小
形状として、全体的に軽量にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のステアリングホイールの裏面
図、第２図は第１図−部の断面図、第３図は
従来の他のステアリングホイールの平面図、第４
図は第３図−部の断面図、第５図は本考案の
ステアリングホイールの一実施例を示す断面図、
第６図はその平面図である。 ２１……ステアリングホイール、２２……ボ
ス、２５……挿通孔、２６……テーパー部、２７
……外壁部、３０……回り止め部としての貫通
孔、３１……合成樹脂体、３６……セレーシヨン
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ボス部を、セレーシヨン部とテーパー部を有
   するステアリングシヤフトに嵌着するステアリ
   ングホイールにおいて、 金属製のボスの上記ステアリングシヤフトを
   挿通する挿通孔の下部にステアリングシヤフト
   のテーパー部に嵌着するテーパー部を形成し、 上記ボスを合成樹脂体内に埋設するととも
   に、この合成樹脂体に上記ボスのテーパー部の
   上部において上記ステアリングシヤフトのセレ
   ーシヨン部に嵌合するセレーシヨン部を形成し
   た ことを特徴とするステアリングホイール。 (2) 上記合成樹脂体のセレーシヨン部は、ボスの
   外壁部の内側に形成したことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のステアリング
   ホイール。 (3) 上記ボスは、合成樹脂体内に埋設した回り止
   め部を有することを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項または第２項記載のステアリン
   グホイール。