JPS6214807Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、内視鏡の鉗子チヤンネルに挿通し、
体腔内の細胞を採取する細胞採取用鉗子に関す
る。

一般に内視鏡は、第１図に示すように、挿入可
撓管Ａ、操作部Ｂ、接眼部Ｃ及びライト・ガイ
ド・ケーブル部Ｄからなり、可撓管Ａには、観察
用光学繊維束１、照明用光学繊維束２及び鉗子等
を挿通するための鉗子チヤンネル３等が収納され
ている。挿入可撓管Ａの先端部４は、鉗子チヤン
ネル口３ａ、照明用光学繊維束２の射光端面２
ａ、対物レンズ５及び観察用光学繊維束１の前端
面１ａを備え、患者の体腔内被検部の像を対物レ
ンズ５によつて観察用光学繊維束１の前端面１ａ
に結像し、前端面１ａに映つた像が、観察用光学
繊維束１によつて接眼部Ｃの後端面１ｂまで運ば
れる。検者は、接眼レンズ６を透して、後端面１
ｂに映つた上記被検部の像を観察する。また、挿
入可撓管Ａは、先端部４の他に、先端部４を所望
の方向へ向ける為に、操作部Ｂの操作ノブ９を操
作することによつて弯曲可能な弯曲部７と、体腔
の系状に応じて変形する軟性部８とからなる。

上述のような内視鏡を用いて、患者の診断の為
の細胞検査に用いる患者体腔内の細胞を採取する
為には、先ず体腔内に挿入した内視鏡によつて被
検部を観察し採取部位を決め、次に内視鏡の鉗子
チヤンネル３に鉗子を挿入し、先端部４の鉗子チ
ヤンネル口３ａから該鉗子に突出させ、上記採取
部位の細胞を採取する。その際に、採取部位付近
の管腔の状態によつては、弯曲部７が弯曲した状
態で細胞採取を行なわなければならないが、弯曲
部７が弯曲した状態では、第２図図示のように鉗
子チヤンネル３も弯曲部７の弯曲に合せて弯曲し
ている。そのために、従来の鉗子では第３図図示
のように、鉗子の採取用カツプと固定金具とリン
ク機構を用いた開閉機構とが一体となつた長さＬ
の硬質部が弯曲した鉗子チヤンネル３の内壁に掛
止され、該鉗子の挿通が困難或いは不可能にな
る。その際に、無理に鉗子を挿通しようとすれば
上記硬質部が、鉗子チヤンネル３を変形させ、他
の収納物特に光学繊維束１，２が押圧し、終には
光学繊維束１，２を折損して内視鏡を使用不能に
する場合もある。

本考案は、上述の問題を解決する為になされた
ものであり、鉗子の採取用カツプの開閉機構の、
軸方向に沿つた長さをリンク機構を用いた従来の
ものよりも短くし、且つ該カツプを固定金具に対
して揺動可能にすることにより、内視鏡の弯曲に
よつて弯曲した鉗子チヤンネルにも円滑に挿入で
きる細胞採取用鉗子を提供するものである。

以下、第４図乃至第６図に示す望ましい実施例
に従い、本考案を詳述する。

１０は内視鏡の鉗子チヤンネル３（第１図乃至
第３図参照）に挿通可能なシースであり、１１は
シース１０に挿通した操作ワイヤである。操作ワ
イヤ１１の未端には移動金具１２をロウ付け或い
は圧着等の方法によつて取り付け、シース１０の
未端には固定金具１３のキヤツプ部１３ａを嵌着
する。キヤツプ部１３ａは移動金具１２の進退を
許容する孔を有し、固定金具１３は他に、キヤツ
プ部１３ａに突設した支持部１３ｂを備えてい
る。支持部１３ｂには２つのカツプ１４，１４を
各々軸１５，１５によつて軸支し、カツプ１４の
互いに交差して延設したアーム１４ａには透溝１
４ｂを穿ち、透溝１４ｂには移動金具１２に植設
した軸１６を遊貫する。また、固定金具１３の支
持部１３ｂには軸孔１７を穿設し、軸孔１７内で
の軸１６の端部の移動を許容する。軸孔１７は、
軸１５，１５近傍で軸１５，１５の両方から等距
離に頂点１７ａを、キヤツプ部１３ａ側に膨曲し
た底辺１７ｂを有する略三角形に形成してある。
軸孔１７の形状としては、他に鉗子の軸方向に長
軸を有する楕円形のもの、また三角形であつて底
辺１７ｂが膨曲していないもの等が考えられる。

上記構成を有する細胞採取用鉗子の操作ワイヤ
１１を第４図左方向に押せば、操作ワイヤ１１と
固着した移動金具１２の移動に連れて軸１６が透
孔１４ｂ内をアーム１４ａの根元へと移動し、そ
れによつてアーム１４ａ，１４ａの根元部と根元
部とが接近するので、第５図に示すようにカツプ
１４，１４は互いに離隔した状態になる。その状
態で該細胞採取用鉗子を採取部位に向かつて突出
し、採取部位の細胞（図示せず）をカツプ１４，
１４間にいれる。次に操作ワイヤ１１を第５図右
方向に引けば、それによる移動金具１２の移動に
連れて軸１６が軸１５に対して離隔し、アーム４
ａ，１４ａの端部と端部とが接近するので、再び
第４図に示すようにカツプ１４，１４が互いに接
近、衝合した状態になる。その際にカツプ１４，
１４間に挟まれた細胞（図示せず）は、カツプ１
４の外周に設けた刃（図示せず）によつて切断さ
れカツプ１４，１４内に収容される。

本実施例によるカツプ１４の揺動時の状態を、
以下説明する。固定金具１２に設けた軸孔１７を
軸１６が軸孔１７内を移動可能な形状、大きさに
したので、カツプ１４，１４が固定金具１３に対
して軸１５を中心に揺動するのが可能となる。こ
れによつて、鉗子チヤンネル３が弯曲している場
合にも、第６図図示のように、カツプ１４，１４
が固定金具１３に対して該弯曲に合せて屈曲する
ので、鉗子は弯曲した状態の鉗子チヤンネル３を
円滑に挿通する。また、上記弯曲部挿通時にはカ
ツプ１４，１４の揺動によつて軸１６が軸孔１７
の底辺１７ｂの端部に位置していても、細胞採取
時には操作ワイヤ１１の操作によつて軸１６に力
が加わり、透孔１４ｂ内をアーム１４ａの根元へ
と軸１６が移動するのに従い、軸１６の端部は軸
孔１７の斜辺に当接しやがて頂点１７ａに達する
ので、カツプ１４，１４は、鉗子の軸線に対して
各カツプ１４が等角となるように開閉する。

上記構成を有する細胞採取用鉗子によれば、鉗
子カツプの開閉機構の、軸方向に沿つた長さを短
くし、且つ内視鏡の弯曲部の弯曲による鉗子チヤ
ンネルの弯曲に応じて鉗子カツプが固定金具及び
シースに対して揺動するので、鉗子チヤンネルへ
の鉗子の挿通が円滑に行なわれる。そのため、鉗
子の無理な挿通が原因で内視鏡先端部が動揺し、
内視鏡観察によつて折角見付けた体腔内の細胞採
取部位が鉗子挿入後には観察視野から外れてしま
つているといつたこともない。また、鉗子の挿通
が円滑に行なわれるので、鉗子挿通時に、前記弯
曲部に収納されている観察用光学繊維束や照明用
光学繊維束等を、前記硬質部が鉗子チヤンネルを
介して押圧することもない為に該光学繊維束の折
損も起きない。また、挿通を容易に行なうことが
可能であり、且つ挿通後に再度細胞採取部位を捜
すようなことがないので、迅速に細胞採取が完了
し、患者の苦痛も短時間で済み、検者の疲労も少
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は一般的な内視鏡を示す平面図、第２図
は弯曲状態の内視鏡弯曲部を示す縦断側面図、第
３図は弯曲状態の鉗子チヤンネルに挿入された従
来の鉗子を示す縦断側面図、第４図乃至第６図は
本考案の実施例を示す一部縦断側面図である。 ３……鉗子チヤンネル、７……弯曲部、１０…
…シース、１１……操作ワイヤ、１２……移動金
具、１３……固定金具、１４……カツプ、１４ａ
……アーム、１４ｂ……透溝、１５，１６……
軸、１７……軸孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内視鏡の鉗子チヤンネルに挿通可能なシース１
   ０と、シース１０に挿通した操作ワイヤ１１と、
   操作ワイヤ１１の端末に固着した移動金具１２
   と、移動金具１２の進退を許容する孔を備えシー
   ス１０に嵌着したキヤツプ部１３ａ及びキヤツプ
   部１３ａに突設した支持部１３ｂからなる固定金
   具１３と、アーム１４ａを備え軸１５，１５によ
   つて支持部１３ａに軸支したカツプ１４，１４
   と、移動金具１２に植設した軸１６とから成り、
   軸１６をアーム１４ａに穿設した透溝１４ｂに遊
   貫し、固定金具１３の支持部１３ｂに軸１６の端
   部の移動を許容する軸孔１７を穿設した細胞採取
   用鉗子。