JPS6214370B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はワイヤカツト放電加工機による連続加
工法、特に１つの母材から加工部品を複数個以上
製作する連続加工法に関する。

従来、ワイヤカツト放電加工機は第１図、第２
図のようにして加工を行なつている。第１図は複
数個連続加工例を示すもので、必要な熱処理がな
された角形状の母材１０の中央に複数個の加工ス
タート穴１２があけられ、機械の加工可能範囲１
４外に位置する取付部１６を有している。そして
この取付部１６により母材１０を機械に取付け、
左端の加工スタート穴１２にワイヤ電極１８を通
し、その電極１８と母材１０をNCテープにより
自動制御することによつて相対的に移動させる。
これによりワイヤ電極１８が第２図矢示方向に移
動して再び加工スタート穴１２に戻ることにより
加工部品２０が１個製作される。次いでワイヤ電
極１８は母材１０を切削しながら進んで次位の加
工スタート穴１２に入り、上記の加工を繰返すも
のである。なお、モーターコアー、プレス型にお
いては上記の加工部品２０の多数個を芯金２２の
外周に並べ、焼き嵌めリング２４で固定して型金
として使用する。第４図はその組付使用例を示
す。

第５図は単品加工例を示すもので、角形状の母
材１０に加工スタート穴１２を有し、その隣り合
う２辺にワイヤカツト放電加工機に対する取付部
１６が形成されている。そして上記加工スタート
穴１２に通したワイヤ電極１８を矢示方向に移動
させて加工を行なうものである。

しかし上記第１図および第５図のいずれにおい
ても、加工スタート穴１２からスタートしたワイ
ヤ電極１８が加工終了点２６に達したとき、すな
わち加工部品２０が母材１０から切離されて自重
で落下しようとするとき、ワイヤ電極１８で切削
される加工軌跡幅が0.2〜0.4mmであるため、重量
アンバランスで加工部品２０が母材１０に引掛つ
た状態となる。このためワイヤ電極１８と接して
短絡しワイヤカツト放電加工機は停止する。

そこで、上記の短絡を防止するために、従来は
加工スタート穴１２と加工部品２０との間にある
幅を持つたヘソ２８ａ（第１，２図）を又は小さ
なヘソ２８ｂ（第５図）を形成している。そして
加工部品２０を母材１０から切離した後、ヘソ２
８ａ，２８ｂを切断砥石で除去加工し、更に上仕
上をして第３図、第６図の加工部品２０を得てい
る。

しかし上記のようにヘソ２８ａあるいは２８ｂ
を作るためには、１つの母材１０から複数個の加
工部品２０を製作する第１図例の場合、中央部に
多数の加工スタート穴１２を設けなければならな
い。ヘソ２８ａあるいは２８ｂの除去加工が面倒
である。母材１０の歩留り（利用率）が悪い等の
欠点がある。

本発明は前述した従来の課題に鑑み為されたも
のであり、その目的は加工部品をワイヤ電極との
短絡事故がなく、ヘソの除去作業が簡単容易、母
材の歩留りの向上を図り、ワイヤカツト放電加工
機の連続運転時間を延長させた、ワイヤカツト放
電加工機の連続加工法を提供することにある。

上記の目的を達成するために、本発明は、１つ
の母材から加工部品を複数個以上ワイヤカツト放
電加工機により製作する際、上記加工部品の加工
開始点と加工終了点において加工導路軌跡と加工
軌跡のなす角度を夫々鋭角にしかも極めて小さな
間隔で局部的に残存させるように上記母材とワイ
ヤ電極を相対的に移動させて、加工部品を複数個
以上１筆画きにて連続加工後、上記加工部品に打
撃を与えて上記残存部を切断させ、上記加工部品
を上記母材から分離させることを特徴とする。

以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例を
説明する。第７図は１つの円形状母材３０から加
工部品３２を複数個製作するための実施例を示す
もので、必要な熱処理が施された円形状母材３０
には、加工スタート穴３４が１個あけられてい
る。この母材３０はその板面の一部を取付部３６
として不図示の機械に取付ける。この場合、母材
３０はワイヤカツト軌跡３８とほぼ同心である
が、母材３０′のように偏心させて取付けると、
母材３０′の外径寸法を母材３０より小さくする
ことができるので母材の歩留り向上に有利であ
る。

次に上記本発明実施例の動作を第８図を参照し
て説明する。先ず、加工スタート穴３４にワイヤ
電極４０を通す。次いで母材３０とワイヤ電極４
０をNCテープの自動制御によつて相対的に移動
させる。このためワイヤ電極４０は加工導路軌跡
４２ａに沿つて加工開始点４４に移り、その加工
開始点４４から鋭角に反転して加工軌跡４２ｂに
移り、矢示方向に移動して加工部品３２を加工す
る。そしてワイヤ電極４０が加工開始点４４のわ
ずか手前の加工終了点４６まで戻ると、その加工
終了点４６から再び鋭角に反転して加工導路軌跡
４２Ｃに移り次位の加工開始点４４に向つて移動
する。以下同要領で連続的に加工を繰返すもの
で、このように一筆画きで形成されたワイヤ電極
４０は最後に加工スタート穴３４に到達して連続
加工を終了する。

上記の加工によつて各加工部品３２の加工開始
点４４と加工終了点４６との間には鋭角に加工さ
れた極めて小さな残存部４８例えば0.05〜0.1mm
が残存され、加工が終了しても加工部品３２は母
材３０（または３０′）から分離することはな
い。従つてワイヤ電極４０は短絡事故を生ずるこ
とがない。

加工部品３２はこれに板面方向から軽い打撃を
与えるだけで母材３０から容易に分離できる。こ
れは残存部４８が鋭角で局部的に強度を減少させ
てあるので容易に分断されるためである。そして
分離された加工部品３２は残存部４８の除去作業
をした後、前記第４図のように組付けてモーター
コアー、プレス型の型金として使用される。

なお、母材３０（または３０′）を丸形状と
し、その最大加工範囲が機械加工可能範囲１４内
であれば、１つの丸形状母材からモーターコア
ー、プレス型の型金を組立てる数の加工部品３２
を一度に連続加工することができる。又同形状の
加工部品３２を予備品を含めて多数個必要とする
場合は、第７図に示すように母材３０（または３
０′）の中央部分で予備品を加工することもでき
る。

第９図は加工部品３２の表面を凹ませて、その
凹部内に残存部４８を形成した実施例である。こ
の実施例によれば、加工終了後、加工部品３２を
母材３０から切離したとき、連結部４８の分離跡
片は凹部内に位置して加工部品３２の表面に出張
ることがないので、特別なバリ修正作業を行なう
必要がないという利点がある。

第１０図は１つの母材３０から異形状の加工部
品を複数個連続加工する実施例である。本実施例
においてはワイヤ電極４０を矢示方向に走査制御
することにより各加工部品３２ａ，３２ｂ，３２
ｃの対向面に連結部４８が形成されるが、前記第
７図と同じように一筆画きに各異形状加工部品を
連続加工することができる。

以上述べたように本発明は加工部品の加工開始
点と加工終了点との間の鋭角に加工された極めて
小さな残存部を残存させながら１筆画きに連続加
工するので、従来のように加工スタート穴から加
工部品までの間にある厚さのヘソ部を形成する場
合に比べて母材の歩留りを向上させることができ
る。又上記の残存部は極めて小さくしかも鋭角に
加工されているので、加工部品の母材からの切離
しが容易で切離後のバリ修正作業も容易かつ迅速
にできる。異形状加工部品を複数個連続加工する
ことができるから、加工時間の短かい加工部品で
あつてもこれ等を１つの母材から複数個連続加工
することにより、機械の連続運転時間の延長を図
ることができると共に母材の歩留りを向上できる
等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の円形状部品の多数個連続加工機
の平面図、第２図はその加工部品の平面図、第３
図はその完成品の斜視図、第４図はその完成品を
組付けて構成したモーターコアー・プレス型の型
金の斜視図、第５図は従来の単品加工機の平面
図、第６図はその加工部品の斜視図、第７図は本
発明連続加工法を実施する加工機の平面図、第８
図はその加工部品の拡大平面図、第９図は本発明
連続加工法の他の実施例を示す加工部品の拡大平
面図、第１０図は本発明連続加工法による異形状
加工部品の複数個連続加工機の平面図である。 各図中同一部材には同一符号を付し、１０，３
０は母材、１２，３４は加工スタート穴、１８，
４０はワイヤ電極、２０，３２は加工部品、４４
は加工開始点、４６は加工終了点、４８は残存部
である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ １つの母材から加工部品を複数個以上ワイヤ
   カツト放電加工機により製作する際、上記加工部
   品の加工開始点および加工終了点において加工導
   路軌跡と加工軌跡とのなす角度を夫々鋭角にしか
   も極めて小さな間隔で局部的に残存させるように
   上記母材とワイヤ電極を相対的に移動させて、加
   工部品を複数個以上１筆画きにして連続加工後、
   上記加工部品に打撃を与えて上記残存部を切断さ
   せ、上記加工部品を上記母材から分離させること
   を特徴とするワイヤカツト放電加工機による連続
   加工法。 ２ 特許請求の範囲１の加工法において、加工部
   品の表面を凹ませてその凹部内に残存部を残存さ
   せたことを特徴とするワイヤカツト放電加工機に
   よる連続加工法。