JPS6211855Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はコンバインにおいて、脱穀後の籾を移
送して機外へ排出する籾排出用螺旋コンベア装置
に関するものである。

自脱型コンバインは、通常、袋詰装置を備えて
脱穀された穀粒を籾袋へ詰めるようにした機種の
ものが多いが、近年，大型のコンバインにおいて
は、機台に籾タンクと排出オーガとを付設して、
脱穀された穀粒をいつたん籾タンクへ入れ、満タ
ンになつたのちにこれを排出オーガによつてトラ
ツクの荷台等へ排出するようにした機種のものが
開発されて用いられている。この種のコンバイン
における排出オーガは、螺施コンベアとその外筒
からなり、全長を上中下の三段に分割されてい
て、収獲作業中はこれを折畳んで籾タンクに沿わ
せて収納するようになされている。そして籾の排
出時には、屈折された上段と中段の外筒を直線状
に伸ばして下段の外筒とともに全体をくの字状と
したのち、上段と中段の外筒を連結したまま排出
口が機台の側方へ向くように回動させて排出作業
が行なわれる。

このように、従来の排出オーガは、下段の外筒
が籾の排出時にも垂直状態で固定されていて籾の
移送排出径路がくの字状に折曲されているので、
移送が円滑に行なわれず、必ずしも良好な排出状
態を期待することができなかつた。そこで、下段
の外筒を傾倒自在に形成し、三段の外筒全体を真
直状態に伸ばしたまま傾倒させることが望ましい
が、この種の装置は排出オーガの外筒内に設けら
れた縦送り螺旋コンベアの他に機体の下端部に水
平状に軸架された横送り螺旋コンベアを備えてい
るので、これら両螺旋コンベアの端部を直交させ
て保持駆動し、しかも排出オーガの傾倒にかかわ
らずこれらを確実に駆動することは困難であり、
従来満足すべき提案がなされていなかつた。

本考案は以上のような点に鑑みなされたもので
縦送り螺旋コンベアの外筒の下端一端部に、横送
り螺旋コンベアの軸線と同一軸線をもつ軸支部を
設けるとともに、この軸支部の一方で前記横送り
螺旋コンベアの一端部を軸承し、かつこの両軸支
部を機体に固設した一対のブラケツトで回動自在
に軸承することにより、籾の縦送り移送径路を直
線状にして籾の排出を円滑にするとともに、排出
オーガの傾倒にかかわらず強度と確実な回転伝達
とを確保することのできるコンバインにおける籾
排出用螺旋コンベア装置を提供するものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細
に説明する。

第１図ないし第６図は本考案に係る螺旋コンベ
ア装置を示し、第１図はこれを実施したコンバイ
ンの側面図、第２図はおなじく平面図、第３図は
排出オーガおよびその駆動装置の側面図、第４図
はおなじく正面図、第５図は駆動装置の第２図Ａ
視正面図、第６図はおなじく一部を破断して示す
第２図Ｂ視側面図である。これらの図において、
コンバイン１の刈取機２は、分草体３、引起し装
置４、刈刃５、穀稈搬送装置６等を備えており、
刈取フレーム７の上端部を脱穀機８の前端部に枢
支させることにより、全体を揺動調節自在に形成
されている。また、脱穀機８のフレーム９内に
は、図示しない脱穀用の扱き胴と選別装置とが収
納されており、このフレーム９は、走行部１０の
上方の走行フレーム１１上に搭載されている。さ
らに前記穀稈搬送装置６の側方には、操縦席１２
が設けられ、その前方ならびに側方には、機台各
部を操作する制御ボツクス１３とクラツチボツク
ス１４とが配設されている。また操縦席１２の後
方には、機台各部の駆動源としてのエンジン１５
が搭載されている。

そして、フレーム９の側方には、全体を符号１
６で示す籾タンクが付設されており、この籾タン
ク１６は、フレーム９の側面四周にそれぞれ蝶番
によつて枢着された上板１７と、両側の側板１
８，１９と、下板２０とによつて構成されてお
り、非使用時には図示のごとく平面状に収納さ
れ、また使用時にはこれらを開いてタンク状に接
合し得るようになされている。この籾タンク１６
とエンジン１５との間は間隔を設けて空間部２１
が形成されており、この空間部２１には、それぞ
れＬ字状とＴ字状に形成された左右一対のブラケ
ツト２２および２３がフレーム９と走行フレーム
１１に固定されて設けられている。

一方、このコンバイン１には、全体を符号２４
で示す籾排出用螺旋コンベア装置としての排出オ
ーガが付設されており、この排出オーガ２４は、
それぞれの間を屈伸自在に連結された上中下三段
の外筒２５，２６，２７を備えている。このうち
の下段の外筒２７は、直立円筒状に形成されてお
り、その下端部の円筒軸芯に対する偏心位置に
は、水平状に形成された軸支部２８および２９が
設けられている。そして一方の軸支部２８は、前
記ブラケツト２２に形成されたボスの外周部に回
動自在に嵌装されており、また他方の軸支部２９
にはボールベアリング３０が装着されていてその
外輪がブラケツト２３に嵌入されている。このよ
うに両側のブラケツト２２，２３に保持された外
筒２７は、ブラケツト２２のボス外周部上とボー
ルベアリング３０の外輪内において回動するよう
になされている。そしてこの外筒２７の下端部に
は、軸受３１が装着されており、この軸受３１と
外筒２７上端部の軸受（図示せず）には外筒２７
を貫通して螺旋状に形成された縦送り螺旋コンベ
ア３２が回転自在に軸支されている。また、軸受
３１には、縦送り螺旋コンベア３２とベベルギア
３３，３４によつて駆動連結された縦送り駆動軸
３５が前記外筒２７の軸支部２８，２９の軸支方
向と平行して軸架されており、その軸端部には縦
送り駆動プーリ３６が軸着されている。

さらに、籾タンク１６下方のフレーム９内に
は、籾タンク１６の全幅にわたつて水平方向に延
びる螺旋状の横送り螺旋コンベア３７が設けられ
ていて、前記排出オーガ２４とともに籾排出用螺
旋コンベア装置が構成されている。この横送り螺
旋コンベア３７の一方の軸端部は、フレーム９後
端部の軸受（図示せず）に軸支されており、また
他方の軸端部は、前記内側のブラケツト２２およ
び軸支部２８内を貫通して外側のブラケツト２３
のボールベアリング３０に別のボールベアリング
３８を介して軸支されていて、これには横送り駆
動プーリ３９が軸着されている。

さらに、この横送り駆動プーリ３９の上方に
は、ガイドプーリ４０が外筒２７基部のブラケツ
ト４１に支持されて設けられており、また、機体
側には、エンジン１５によつて駆動される原動プ
ーリ４２が設けられていて、これら両プーリ４
０，４２と前記は縦送り駆動プーリ３６との間に
はベルト４３が張架されている。そして、前記ブ
ラケツト２３には、別のガイドプーリ４４が軸着
されていてベルト４３の下側走行部を上方へ向つ
て押上げており、さらにベルト４３にはこれを緊
張させるテンシヨンプーリ４５が添接されてい
る。

このように構成された駆動装置によつて駆動さ
れる螺旋コンベア装置の排出オーガ２４は、その
外筒２７と機体側との間に装着された油圧シリン
ダ４６によつて第４図および第５図に実線と鎖線
で示すごとく直立，傾倒するようになされてお
り、この外筒２７の回動によりガイドプーリ４０
と縦送り駆動プーリ３６とが軸支部２８，２９を
中心にして円弧状に変位し、したがつてベルト４
３も第５図の示すごとく変位する。さらに、下段
の外筒２７と中段の外筒２６との間には、別の油
圧シリンダ４７がアーム４８を介して装着されて
おり、これを作動させることにより、下段の外筒
２７内の縦送り螺旋コンベア３２と中段の外筒２
７内に設けられた螺旋コンベア（図示せず）とが
駆動連結される。また上段の外筒２５と中段の外
筒２６とは手動によつて屈伸するようになされて
おり、同時に両外筒２５，２６内の螺旋コンベア
も連結される。４９は空間部２１の側部開口端に
開閉自在に設けられて駆動装置を遮蔽する安全カ
バーである。

以上のごとく構成されたコンバイン１におい
て、上段の外筒２５と籾タンク１６上に載置され
た中段の外筒２６とを手動によつて連結したのち
機台を走行させると、刈取機２によつて刈取られ
て搬送された穀稈は、脱穀機８によつて脱穀さ
れ、脱穀された穀粒は選別されたのち、タンク状
に接合された籾タンク１６内に収納される。籾タ
ンク１６が満タンになつて警報されたとき、ある
いは作業終了時には、機台の側方にトラツクの荷
台等を位置させたのち、作業者は先ず油圧シリン
ダ４７を作動させて上段，中段の外筒２５，２６
を連結したまま直立させると、排出オーガ２４全
体が直立する。そして安全カバー４９を開放した
のち油圧シリンダ４６を作動させると、排出オー
ガ２４は一体となつて傾倒する。このようにした
のち、エンジン１５によつて原動プーリ４２を回
動させると、この回転はベルト伝導によつて縦送
りと横送りの両螺旋コンベア３２，３７へ同時に
伝達される。したがつて籾は螺旋コンベア３７に
よつて移送されて排出オーガ２４の基部に達した
のち、縦送り螺旋コンベア３２によつて揚上移送
されて外部へ排出される。作業終了後は前記と反
対順序で油圧シリンダ４６，４７を作動させると
排出オーガ２４が収納される。

このように動作する螺旋コンベア装置において
は、ブラケツト２２，２３がフレーム９ならびに
走行フレーム１１に強固に固定されており、排出
オーガ２４はその基部の軸支部２８，２９をブラ
ケツト２２，２３に大径の嵌合部とボールベアリ
ング３０によつて強固かつ円滑に軸支されている
ので、その保持がきわめて強固であり、またその
回動が円滑である。また横送り螺旋コンベア３７
も、強固に固定されたブラケツト２３に２個のボ
ールベアリング３０，３８を介して一端を軸支さ
れており、他端を機体側に固定された軸受によつ
て軸支されているので、その保持が強固であり、
回転が円滑である。さらに縦送りと横送りとの両
螺旋コンベア３２，３７を互に干渉させることな
く直交させて軸受３１と軸支部２９とによつて軸
支させ、それぞれを別にベルト駆動するようにし
たので、排出オーガ２４を軸支部２８，２９を中
心にして回動させても、両螺旋コンベア３２，３
７の保持が常に強固でありまた回転伝達が円滑に
行なわれる。

以上の説明により明らかなように本考案によれ
ば、コンバインにおける籾排出用螺旋コンベア装
置において、縦送り螺旋コンベアの外筒の下端一
側部に、横送り螺旋コンベアの軸線と同一軸線を
もつ軸支部を設けるとともに、この軸支部の一方
で前記横送り螺旋コンベアの一端部を軸承し、か
つこの両軸支部を機体に固設した一対のブラケツ
トで回動自在に軸承したから、籾の縦送り移送径
路が直線状となるので籾の排出が円滑に行なわれ
るとともに、排出オーガの直立，傾倒にかかわら
ず縦送り，横送り両螺旋コンベアの保持を常に強
固に確保することができ、またこれらに対する回
転伝達を常に円滑にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本考案に係る螺旋コンベ
ア装置を示し、第１図はこれを実施したコンバイ
ンの側面図、第２図はおなじく平面図、第３図は
排出オーガおよびその駆動装置の側面図、第４図
はおなじく正面図、第５図は駆動装置の第２図Ａ
視正面図、第６図はおなじく一部を破断して示す
第２図Ｂ視側面図である。 １……コンバイン、２２，２３……ブラケツ
ト、２７……外筒、２８，２９……軸支部、３１
……軸受、３２……縦送り螺旋コンベア、３５…
…縦送り駆動軸、３７……横送り螺旋コンベア。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 横送り螺旋コンベア３７と、このコンベア３７
   の軸線と離間しかつ交差する軸線をもつ縦送り螺
   旋コンベア３２とを備えた籾排出用螺旋コンベア
   装置において、前記縦送り螺旋コンベア３２の外
   筒２７の下端一側部に前記横送り螺旋コンベア３
   ７の軸線と同一軸線をもつ軸支部２８，２９を設
   けるとともに、この軸支部の一方２９で前記横送
   り螺旋コンベア３７の一端部を軸承し、かつこの
   両軸支部２８，２９を機体に固設した一対のブラ
   ケツト２２，２３で回動自在に軸承したことを特
   徴とするコンバインにおける籾排出用螺旋コンベ
   ア装置。