JPS6211268Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動二輪車のツールボツクス、特にリ
ヤフエンダー部分に設けられるツールボツクスに
関する。

前部フエンダー部材と後部フエンダー部材とで
構成したリヤフエンダーに、ツールボツクスを一
体成形等により備えた自動二輪車は知られてい
る。

ところで斯るツールボツクスは、前部或いは後
部フエンダー部材のいずれか一方に一体成形によ
り加工されたり、又フエンダー部材に別個の部品
として取り付けたりしなければならず、加工上、
又は取付作業上等の面で好ましくない。特に前者
の場合、金型によりフエンダー部材と一体に比較
的複雑な立体形状からなるボツクス部分を成形し
なければならないため、金型自体の形状も複雑で
あつた。

本考案者は以上の不都合を克服すべく本考案を
成したもので、その目的とする処は、分割タイプ
のリヤフエンダーの前部フエンダー部材と後部フ
エンダー部材との結合部分で工具等の物品の収納
空間を囲繞する如くして形成し、前部フエンダー
部材と後部フエンダー部材との結合部分の有効利
用を合理的に達成し得、しかも前、後部フエンダ
ー部材のいずれにもボツクス部分を一体に備える
ことなく、両フエンダー部材を簡単な形状に成形
するだけで足り、以つて各フエンダー部材を成形
するための金型も簡単な形状で足りる等加工上は
勿論、取付作業上の向上をも達成し得る自動二輪
車のツールボツクスを提供するにある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に従つ
て詳述する。

第１図は本考案を適用した自動二輪車の概略側
面図、第２図はその要部を拡大して示す側断面図
である。

自動二輪車１の車体２上には、その略中央部か
ら後部にかけてシート３が載置され、このシート
３の後部下方、即ち後輪４の上方にはリヤフエン
ダー５が設けられ、このリヤフエンダー５の上部
を覆う如くリヤカウル６が設けられている。尚図
示の如くシート３はタンデム型であり、車体２の
一側方にヒンジ等で枢着され、この枢着部を支点
としてシート３は車体２の左右いずれか一側方に
開けられるようになつている。

リヤフエンダー５は分割タイプであり、前部フ
エンダー部材７と後部フエンダー部材１０とを結
合してなる。即ち第２図に示すように、前部フエ
ンダー部材７の後縁には平板状の突片８が一体に
形成され、この突片８から連続して前方にフエン
ダー部材７の上面９が隆起している。斯る前部フ
エンダー部材７は、金属或いは硬質合成樹脂材に
より形成されている。

後部フエンダー部材１０は、可撓性を有する合
成樹脂材、例えばポリプロピレン製であり、泥除
部１１の上部に後述する工具等の物品の収納空間
を囲繞する囲繞壁部１２を一体に形成してなる。
斯る後部フエンダー部材１０を前部フエンダー部
材７に結合した場合、前記泥除部１１は後下方に
傾斜する形状であり、且つ前方に開放された両側
片を有し、この両側片の上部で囲繞壁部１２に連
続する部分をともに前方に延出１３，１３形成
し、これら延出片１３，１３を前部フエンダー部
材７への結着片とした。又この延出片１３と略水
平に位置するように後部フエンダー部材１０の背
部１４の内面には溝部１５が形成されており、こ
の溝部１５は下側の突片１６と上側の凹出部１７
とにより形成され、前部フエンダー部材７の後縁
に形成した突片８と嵌合するものである。そして
後部フエンダー部材１０の上記延出片１３，１３
から後方に連続して閉じている背部１４の内面の
横断面形状は、前部フエンダー部材７の後部の平
面形状と略々等しく形成されている。又延出片１
３，１３から上方に連続する囲繞壁部１２の前部
下端に形成される開放周縁１８は、前部フエンダ
ー部材７の外周形状と略々等しい。

囲繞壁部１２は、前記開放周縁１８を下端に備
えた前壁２１と、泥除部１１の両延出片１３，１
３から連続する側壁２２，２２と、同様に背部１
４から凹出部１７を含んで連続する後壁２３と、
これら２２，２３に連続してその上方を閉じる上
壁２４とからなる頭巾状を成し、前部には後傾す
る開口部２５を形成し、尚後壁２３の前記凹出部
１７から前方へ舌片状にストツパー２６が突出形
成されている。

以上の形状を有する後部フエンダー部材１０
は、既述の如くポリプロプレン材を一体成形して
成る。

次に前部フエンダー部材７と後部フエンダー部
材１０との結合によりその結合部分で構成される
本考案に係るツールボツクスについて述べる。

前部フエンダー部材７の後方から後部フエンダ
ー部材１０を押し当てるようにして前部フエンダ
ー部材７の後縁に形成した突片８と、後部フエン
ダー部材１０の溝部１５とを嵌合する。斯る嵌合
は、後部フエンダー部材１０が可撓性を有するた
め、溝部１５が突片８に嵌着することとなり、こ
れにより前部フエンダー部材７に対する後部フエ
ンダー部材１０の位置決めとともに、仮結合がな
される。

そして前部フエンダー部材７の後部の両側片部
と、これを覆う如く重なる後部フエンダー部材１
０の両延出片１３，１３とを夫々２個所づつボル
ト、ナツト３０…により結着する。

以上の如くして前部フエンダー部材７と後部フ
エンダー部材１０とが結合され、リヤフエンダー
５を形成するが、後部フエンダー部材１０には、
泥除部１１の上部に一体に囲繞壁部１２を形成し
ているため、該囲繞壁部１２と前部フエンダー部
材７の後部上面９とにより工具等の物品の収納空
間Ｓが形成されることとなる。

空間Ｓは前部フエンダー部材７の後部の隆起し
た上面９により下方を閉じられ、後部フエンダー
部材１０の囲繞壁部１２、詳細には側壁２２，２
２により左右両側方を、後壁２３により後方を及
び上壁２４により上方を夫々閉じられており、開
口部２５により前上方に開口する。

斯くして分割タイプのリヤフエンダー５の前部
フエンダー部材７と後部フエンダー部材１０との
結合部分に工具等の物品の収納空間Ｓが形成さ
れ、従つてツールボツクスをリヤフエンダー５上
に一体に備えたこととなる。換言すれば、リヤフ
エンダー５の下面は本来の機能を有するのは勿論
のこと、前部フエンダー部材７の後部上面９をツ
ールボツクスの底壁として利用でき、しかも前部
フエンダー部材７と後部フエンダー部材１０との
結合部分を有効に利用してツールボツクスを合理
的に構成することができる。

ところで本実施例では、リヤフエンダー５の上
部を覆う如き形状のリヤカウル６を設けた自動二
輪車１を示しているが、本考案に係るツールボツ
クスを構成する空間Ｓは囲繞壁部１２の後傾した
開口部２５により前上方に開口しているため、そ
の開口部２５を閉塞する如く位置するシート３を
車体２の左右いずれか一側方に開ければ、工具等
の物品の当該空間Ｓ内への収納や取出しが容易に
行なえる。尚開口部２５の下方には前壁２１が両
側方に形成されているため、空間Ｓ内に収納され
た物品の前方への脱落は阻止される。

又本考案に係るツールボツクスを構成する前部
フエンダー部材７及び後部フエンダー部材１０の
いずれにも立方体等のボツクス部を一体成形する
必要がないため、これらを成形する金型の形状も
簡単で足りることにより加工上有利である。更に
ボツクス部材を別個の部品としてリヤフエンダー
に取り付ける必要が一切ないため、単に前、後部
のフエンダー部材を結合してリヤフエンダーを構
成するだけで同時にツールボツクスも構成するこ
とができる等取付作業上も有利である。

以上で明らかなように本考案によれば、前部フ
エンダー部材と後部フエンダー部材との組み合せ
によりその結合部分でツールボツクスを構成した
ため、斯る結合部分の有効利用を合理的に達成す
ることができ、しかもいずれのフエンダー部材に
もボツクス部分を一体に備える必要がないためフ
エンダー部材の成形が容易である等の利点を発揮
する自動二輪車のツールボツクスを提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は自動二輪車の概略側面図、第２図は本考案に係
る要部の構成を拡大して示す側断面図である。 尚図面中１は自動二輪車、３はシート、５はリ
ヤフエンダー、７は前部フエンダー部材、８は突
片、１０は後部フエンダー部材、１５は溝部、Ｓ
は収納空間である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 前部フエンダー部材７と後部フエンダー部材
   １０とを結合してなる自動二輪車のリヤフエン
   ダー上に設けられるツールボツクスにおいて、
   前記後部フエンダー部材１０は前下方に開放す
   る両側片を備えた泥除部１１と、この泥除部１
   １から連続して上方に伸び且つ前方に開放する
   囲繞壁部とを有し、この囲繞壁部の開放部の周
   縁１８の形状は前部フエンダー部材７の後部が
   密に挿入する形状となつており、また後部フエ
   ンダー部材１０の背部内側には前部フエンダー
   部材７の後縁に設けた平面状の突片８が係合す
   る溝部１５が形成され、後部フエンダー部材１
   ０内に挿入される前部フエンダー部材後部と、
   この前部フエンダー部材後部よりも上方の後部
   フエンダー部材１０の上部にて斜め前方に開口
   する工具等の収納空間を形成したことを特徴と
   する自動二輪車のツールボツクス。 (2) 前記収納空間を形成する後部フエンダー部材
   １０の一部からは収納空間内にツールを押える
   ための舌片状ストツパー２６が突出しているこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の自動二輪車のツールボツクス。