JPS6151269B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は短時間タイマー、特に渦電流を使用し
た調速機構を有する短時間タイマーに関するもの
である。

従来、短時間タイマーには機械式脱進機構を持
つものが多いが、脱進機から発生する連続的な断
続音が嫌われる場合もあり、音のしない短時間タ
イマーとして渦電流を利用した調速機構を有する
ものが用いられつつある。しかし、この種の渦電
流を利用した短時間タイマーには次のような欠点
があつた。それは渦電流による制動力が小さいた
め、調速器から時間表示器に至るまでの減速比を
極めて大きくとる必要が生じ、このため歯車列が
多くなることであり、これを解消しようとすれば
渦電流を生じる渦流円板の円板径を極めて大きく
とつて制動力を増すか、又は渦電流による制動力
を増すために更に強力な磁場を与える磁石を設け
る必要がある。円板径の増大は短時間タマーの大
型化を招くため好ましくなく、また強力な磁石の
設置も必ずしも簡単なことでなく、コスト高を招
くなどして好ましい解決策とはいい難いものであ
つた。

そこで本発明は簡単な機構で渦電流を利用した
調速器の制動力を増し、もつて調速器から時間表
示器に至るまでの減速比を大幅に削減し、歯車列
を少くした短時間タイマーを提供することを目的
とする。

以下、本発明を図示の実施例により説明する。

第１図は本発明になる短時間タイマーの一実施
例を示す斜視図である。１は回転して経過時間を
表示すると共に、後述する回転のための動力であ
るぜんまいの巻き込みを行うツマミを兼ねた時間
表示部材、２は時間表示部材１が一端に固定され
た駆動軸で、図示しない枠体に回転自在に支承さ
れている。３は駆動軸２に回転動力を与えるぜん
まいで、内端は駆動軸２に、外端は枠体にそれぞ
れ固定されている。４は駆動軸２に嵌装され圧縮
ばね５によつて駆動軸２に設けられた図示しない
軸肩に圧接されて摩擦力により一体に回転する駆
動軸平歯車、６は駆動軸２に平行に配設され枠体
に回転自在に支承された調速軸、７は調速軸６に
固定された調速軸平歯車、８，９は駆動軸２及び
調速軸６と平行にそれぞれ配設された第１、第２
伝達軸、１０は第１伝達軸８に固定されて駆動軸
平歯車４に噛み合う第１中間平歯車、１１は同じ
く第１伝達軸８に固定された第２中間平歯車、１
２は第２伝達軸９に固定されて第２中間平歯車１
１に噛み合う第３中間平歯車、１３は同じく第２
伝達軸９に固定されて調速軸平歯車７に噛み合う
第４中間平歯車である。そして、第１中間平歯車
１０から第４中間平歯車１３までの歯車列により
駆動軸２と調速軸６は所定速比、即ち調速軸６に
対して駆動軸２が所定比に減速するように構成さ
れている。

２０は調速軸６に設けられた調速機構で、その
詳細細は第２図乃至第４図に示す。同図におい
て、２１，２２は一定の間隔を置いて互いに平行
に調速軸６に固定されて回転する２枚の磁極板、
２３，２４は磁極板２１，２２のそれぞれに互い
に対向して向い合う磁極の極性が相反するように
配置された一対以上の永久磁石、２５は磁極板２
１，２２の間に挿入され調整ねじ２６によつて枠
体２７に固定されたアルミよりなる渦流板で、調
速軸６に当らないように逃げ溝２５ａと調整ねじ
２６が挿入される部分に位置調整のための長溝２
５ｂが形成されている。２８は磁極板２１，２２
の間でかつ渦流板２５の逃げ溝２５ａ間に挿入さ
れた鉄片で、枠体２７に螺合する真鍮等の非磁性
体よりなる調整ねじ２８ａに固定されて位置調整
が可能になつている。２９は調速軸６に磁界が影
響しないように調速軸６に固定された真鍮等の非
磁体よりなるパイプである。

かかる構成になる短時間タイマーでは、時間表
示部材１をまわしてぜんまい３を巻き込み、しか
る後、時間表示部材１を解放すれば、ぜんまい３
により駆動軸２が回転を始める。駆動軸２の回転
は駆動軸平歯車４に噛み合う第１中間平歯車１０
から調速軸平歯車７に噛み合う第４中間平歯車１
３までの歯車列によつて調速軸６に増速して伝え
られ、磁極板２１，２２が回転する。これによつ
て永久磁石２３，２４が回転し、従つて、渦流板
２５には渦電流が生じて磁極板２１，２２に制動
力が加わる。この制動力はよく知られた理論式Ｍ
＝Ｋ・Φ・n²／Ｒ（Ｍ：抵抗能、Φ：磁束密度、
ｎ：回転数、Ｒ：電気抵抗、Ｋ：定数）からも分
るように回転数、即ち磁極板２１，２２の回転す
る速さに比例する。このためぜんまい３による回
転動力が持つトルク変動によつて生じる時間表示
部材１の回転する速さの変動は、渦電流による制
動力によつて適応的に平滑化されて短時間タイマ
ーとしてその機能を果すに十分な範囲に抑制され
る。このような渦電による調速機構は広く一般に
知られているので、ここでは更に詳しくは説明し
ない。

さて、このような渦電流による制動力は前述し
たように通常は小さい力であるため、ぜんまい３
の解放を抑制するために従来は、多くの歯車列を
介して調速軸６に対し駆動軸２を大減速比で連結
し制動力の拡大を図つている。本発明は鉄片２８
を調整ねじ２８ａの回転により磁極板２１，２２
間に挿入してなるので、永久磁石２３，２４の鉄
片に対する吸引力が生じ、これにより調速軸６に
付加的な制動力が生じて渦電流のみの制動力の不
足が補なわれる。この付加的制動力は鉄片２８と
永久磁石２３，２４との距離を調整することでほ
ぼ任意に変化させることができる。この結果、調
速軸６に対する駆動軸２の減速比は大幅に小さく
なり、必然的に歯車列は少くてすむ。このように
して解放された時間表示部材１は調速されてゆつ
くりと回転する。即ち、渦流円板２５の作用によ
つて速度変動が調整され、また鉄片２８の制動作
用によつて所望する一定回転数におさえることが
できるので、減速比は大幅に削減する。

第５図は本発明の他の実施例を示す要部断面
図、第６図は平面図である。前記実施例において
は、渦流板を固定とし、磁極板を回転させる構造
を示したが、本実施例は渦流板を回転式にし、磁
極板を固定した構造を示す。即ち、調速軸６には
非磁性体よよりなるカラー３０を介してアルミよ
りなる渦流円板３１が固定され、この渦流円板３
１上には放射状に伸びた薄い鉄板３２が固定され
ている。また渦流円板３１の上下面をまたぐよう
に磁極板３３が配設され、この磁極板３３の鉄板
３２側には永久磁石３４が取付けられている。そ
して、前記磁板３３は枠体２７に回動可能に調整
ねじ３５によつて固定されている。

そこで、調整ねじ３５を緩めて磁極板３３を回
動させると、調速軸６から永久磁石３４までの距
離が変るので、これにより制動力の調整ができ
る。このように構成しても前記実施例と同様の効
果を有する。

なお、前記実施例においては駆動軸２を駆動す
る動力手段としてぜんまい３について説明した
が、特に限定されるものではなく、例えば小型モ
ータによつてもよい。また永久磁石２３，２４又
は３４の数は特に限定されるものではないが、数
を増すと制動力を増すことができる。また第５
図、第６図に示す実施例においては渦流円板３１
上に鉄板３２を固定したが、鉄板３２は渦流円板
３１に埋込んでも、また渦流円板３１上に鉄粉を
適当な幅だけ塗布してもよい。

以上の説明から明らかな如く、本発明によれ
ば、簡単な機構で渦電流を利用した調速器の制動
力を増し、もつて調速器から時間表示器に至るま
での減速比を大幅に削減し、歯車列を少くした小
型短時間タイマーが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明になる短時間タイマーの一実施
例を示す斜視図、第２図乃至第４図は調速機構を
示し、第２図は斜視図、第３図は断面図、第４図
は平面図、第５図は本発明になる短時間タイマー
の他の実施例を示す調速機構の断面図、第６図は
第５図の平面図である。 １……時間表示部材、２……駆動軸、３……ぜ
んまい、６……調速軸、２０……調速機構、２
１，２２……磁極板、２３，２４……永久磁石、
２５……渦流板、２８……鉄片、３１……渦流円
板、３２……鉄板、３３……磁極板、３４……永
久磁石。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転して経過時間を表示する時間表示部材が
   固定されて回転する駆動軸と、この駆動軸を動力
   駆動して回転させるための動力手段と、調速機構
   が取付けられた調速軸と、前記駆動軸と前記調速
   軸を連動させる所定比の歯車列手段とを備え、前
   記調速機構は、永久磁石が固定された磁極板と、
   この磁極板に対向して配設された渦流板とよりな
   り、前記磁極板又は渦流板のいずれか一方を前記
   調速軸に固定し、他方を位置調整可能に枠体に固
   定してなる短時間タイマーにおいて、前記磁極板
   に固定された前記永久磁石によつて前記渦流板に
   生ずる磁束部に鉄部材を配設したことを特徴とす
   る短時間タイマー。