JPS6150909B2 - - Google Patents
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- JPS6150909B2 JPS6150909B2 JP58236399A JP23639983A JPS6150909B2 JP S6150909 B2 JPS6150909 B2 JP S6150909B2 JP 58236399 A JP58236399 A JP 58236399A JP 23639983 A JP23639983 A JP 23639983A JP S6150909 B2 JPS6150909 B2 JP S6150909B2
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Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
- Ceramic Products (AREA)
Description
本発明は、高硬度で耐摩耗性に優れた硼化物系
硬質材料に関するものである。 TiB2は、高硬度、高融点でしかも高温強度が
極めて高い化合物であるために、切削工具材料や
熱機関の部品材料などの高硬度、耐摩耗性、耐熱
性などの要求される用途が期待されている材料で
あるが、TiB2単体の焼結体は、抵抗力が低く、
もろいという欠点をもつている。したがつて、適
当な結合剤を添加して、強度の大きい焼結体が得
られるようにすることが必要であり、そのために
は、結合剤として融点が高く、靭性の大きいもの
が要求される。 TiCやTiNも、高硬度、高融点材料であり、こ
れらは分散型サーメツトとして従来から広く実用
されているが、鉄鋼材料に対する耐摩耗性を大越
式迅速摩耗試験機を用いて測定すると、比摩耗量
は高速域で1×10-8mm2/Kgf以上となり実用上十
分でない面がある。 また、WCを基材とする超硬合金は、硬度が高
く靭性も優れているので切削工具や金型素材など
に広く使用されているが、耐食性や高温耐酸化性
に乏しいなどの欠点があり、硬度もマイクロビツ
カース硬度(以下Hvで示す)で2000程度までで
ある。Co,W,Crを基材とするステライトは、
上記欠点は緩和されているものの硬度に劣り、さ
らに、高速度鋼も硬度が低く、とくに高温硬度に
劣るなどの欠点をもつている。 これら従来の欠点を解決するために、最近、鉄
硼化物および複硼化物を硬質相とする硬質焼結合
金が提案されている。(たとえば、特公昭54−
27818号、特公昭56−8904号および特公昭56−
15773号)。これらに開示されている合金では、最
高硬度が、Hv=2000程度であるために、さらに
高硬度が要求される用途に対しては十分に対応し
得ない面がある。 このような要求に対して、Fe,CoまたはNiと
MoまたはWとの複硼化物が、結合剤として好適
であることを見い出し、これらをTiB2粉末に配
合して焼結した硬度の高い硼化物系超硬質材料を
提案した(特願昭57−155970号および特願昭58−
209951号)。これらの焼結体は、極めて高硬度で
ある(Hv=2000〜3000)が、抗折力が100Kg/mm2
程度となつており、硬度を落さずに強度をより向
上させることが好ましく、焼結助剤についてさら
に検討を重ねた結果、TiH2を添加混合して焼結
することにより、強度が著しく向上することを見
い出し、硼化物系高強度超硬質材料として提案し
た(特願昭58−209952号)。 これらの焼結体は、耐摩耗性試験の結果、Al
合金、Cu,SKH,SiC−Alの複合材などに対し
ては良好であつたが、SS41やS45Cなどの鉄鋼材
料に対しては、凝着摩耗を生じ易く、鉄鋼用耐摩
耗材料としてはまだ欠点をもつている。そこで、
このような要求に対して、TiCとTiN、または、
TiCNの粉末を添加混合して焼結することにより
高硬度で抵抗力も優れ、しかも、耐摩耗性の極め
て高い焼結体が得られることを見い出し、これら
の知見に基づいて、本発明をなすにいたつた。 すなわち、本発明の主たる目的は、鉄鋼材料に
対する高耐摩耗性超硬質材料を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、高硬度、高強度でかつ
耐食性、耐熱性に優れた高耐摩耗性超硬質材料を
提供することにあり、さらに他の目的は、より軽
量でより安価な高耐摩耗性超硬質材料を提供する
ことにある。 以下、本発明の詳細について説明する。本発明
の高耐摩耗性超硬質材料は、TiB2粉末に、複硼
化物Mo2FeB2,Mo2CoB2,Mo2NiB2,MoCoB,
W2FeB2,W2CoB2,W2NiB2,WFeBおよび
WCoBの粉末の中から選ばれた少なくとも1種以
上を2〜15%、TiC,TiNおよびTiCNの粉末の
中から、C/Nの原子比が0.25〜4.0の範囲であ
るように選ばれた配合粉末を10〜55%、および、
TiH2粉末を0.1〜10%をそれぞれ添加混合して、
真空中において、焼結することを特徴とするもの
である。複硼化物は、全重量に対して2〜15%の
範囲で添加することが適当である。Mo2FeB2や
W2NiB2などの複硼化物(結合相)は、硬質相と
なるTiB2やTiCの粒成長を抑制する効果が大き
く、特に、TiB2とTiCは相互に固溶し、これらの
みの混合粉末を焼結すると粒成長が著しく、ポア
ーの発生も多く、強度の低い焼結体となるが、本
発明の複硼化物粉末を添加することにより粒成長
が抑制されて微細粒子の高強度焼結体が得られ
る。この大きな粒成長抑制効果は、単に、Niな
どの鉄族金属粉末やFeBなどMB系(Mは金属元
素を示す)の硼化物粉末あるいはこれらの混合粉
末を配合する場合には得られないことである。ま
た、前記複硼化物は高温硬度も高く(1000℃で、
Hv=500〜700)、耐食性にも優れている。これら
の量が、2%未満では粒成長抑制効果が十分でな
く、15%を超えると凝着が大きくなり耐摩耗性が
低下する。TiC,TiNおよびTiCNは、C/Nの
原子比が0.25〜4.0の範囲であるように、これら
の中から選んで、10〜55%の範囲で添加すること
が適当である。TiCは、鉄鋼に対する耐凝着性に
優れており、TiNやTiCNは、TiCの粒成長抑制
効果が大きく耐酸化性、耐食性に優れている。こ
れらの量が、10%未満では鉄鋼材料との低速摩擦
における比摩耗量が大きくなり、55%を超えると
硬度が低下し、高速摩擦における比摩耗量が大き
くなる。C/Nの原子比は、0.25〜4.0、好まし
くは0.5〜3.0の範囲が適当である。この比が、
0.25未満すなわちN量がC量の4倍を超えると結
合相との濡れ性が悪くなるし、4.0を超えると
TiCの粒成長が著しくなる。TiH2は、0.1〜10
%、好ましくは0.5〜8%の範囲で添加するのが
適当である。この化合物は、真空焼結の過程で
500〜700℃の温度範囲で熱分解してH2ガスを発
生し、これが粉末表面の吸着ガスや表面酸化物を
還元することにより、粉末間の濡れ性を著しく向
上せしめる効果がある。したがつて、TiH2の添
加量が、0.1%未満では還元効果が十分発揮され
ず機械的強度の向上が得られないし、10%を超え
ると硬度および靭性ともに低下する。一般に、焼
結雰囲気として、H2ガスを使用する方法がある
が、圧紛体の内部全体にH2ガスを浸透させるた
めには、雰囲気圧力を一定範囲で負圧状態に保た
ねばならないので精密な圧力制御装置が必要にな
り、また、このような方法では圧紛体中に閉気孔
が存在する場合は、その部分には還元作用がおよ
ばず、焼結体は必ずしも均質な組織とならないな
どの欠点がある。TiH2添加の第2の効果は、焼
結時熱分解して生じた非常に活性なTiが、高温
でTiB2と反応してTiBを生成する過程があるため
に、全体の焼結を促進する。この効果と前記還元
効果との相乗作用により、気孔の全くない密度
100%で高強度の焼結体が得られる。これらの効
果を焼結体の顕微鏡写真で第1図と第2図に示
す。第1図はTiH2を添加しない場合で、気孔が
多く観察されるが、第2図のTiH2を添加した場
合は気孔は全く見られず理想的組織となつてい
る。 本発明の高耐摩耗性超硬質材料の製造は、つぎ
のようにして行うことができる。平均粒径1μm
以下のTiB2粉末に、複硼化物粉末(平均粒径2
μm以下)、C/Nの原子比が0.25〜4.0の範囲で
あるようなTiC,TiNおよびTiCNの混合粉末
(粒径1.6μm)、およびTiH2粉末をそれぞれ所定
量配合して、振動ボールミルで湿式混合と紛砕を
十分に行つた後、乾燥造粒する。この混合粉末
を、たとえば、黒鉛型に充填し、真空中におい
て、100Kg/cm2以上の圧力下で、1400〜1800℃の
温度範囲で加熱するか、あるいは、前記混合粉末
を、あらかじめ圧縮成形した圧紛体を、1700〜
2000℃の温度範囲で真空焼結することにより、好
ましくは真空焼結後に、熱間静水圧処理すること
によつて製造することができる。焼結雰囲気は、
焼結中、常時、真空である必要はなく1400〜1500
℃以上の高温ではArガス等の不活性ガスを用い
ることもできる。 このようにして得られた焼結体は、いずれも、
鉄鋼材料に対する耐摩耗性に優れ、高硬度で、抗
折力も高く、耐摩耗材料、切削工具、熱機関部品
として好適である。 以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説
明する。実施例に供した材料の組成は、第1表お
よび第2表に示した。 実施例 A TiB2粉末に、Moと鉄族金属との複硼化物粉
末、(TiC+TiN)、TiC0.5N0.5、TiC0.3N0.7の粉
末、および、TiH2の粉末を、第3表の実施例1
〜7に示すそれぞれの割合に配合して、約2時間
振動ボールミルで湿式混合し、N2ガス中で乾燥
造粒した。この混合粉末を黒鉛型(内径28mm)に
充填し、
硬質材料に関するものである。 TiB2は、高硬度、高融点でしかも高温強度が
極めて高い化合物であるために、切削工具材料や
熱機関の部品材料などの高硬度、耐摩耗性、耐熱
性などの要求される用途が期待されている材料で
あるが、TiB2単体の焼結体は、抵抗力が低く、
もろいという欠点をもつている。したがつて、適
当な結合剤を添加して、強度の大きい焼結体が得
られるようにすることが必要であり、そのために
は、結合剤として融点が高く、靭性の大きいもの
が要求される。 TiCやTiNも、高硬度、高融点材料であり、こ
れらは分散型サーメツトとして従来から広く実用
されているが、鉄鋼材料に対する耐摩耗性を大越
式迅速摩耗試験機を用いて測定すると、比摩耗量
は高速域で1×10-8mm2/Kgf以上となり実用上十
分でない面がある。 また、WCを基材とする超硬合金は、硬度が高
く靭性も優れているので切削工具や金型素材など
に広く使用されているが、耐食性や高温耐酸化性
に乏しいなどの欠点があり、硬度もマイクロビツ
カース硬度(以下Hvで示す)で2000程度までで
ある。Co,W,Crを基材とするステライトは、
上記欠点は緩和されているものの硬度に劣り、さ
らに、高速度鋼も硬度が低く、とくに高温硬度に
劣るなどの欠点をもつている。 これら従来の欠点を解決するために、最近、鉄
硼化物および複硼化物を硬質相とする硬質焼結合
金が提案されている。(たとえば、特公昭54−
27818号、特公昭56−8904号および特公昭56−
15773号)。これらに開示されている合金では、最
高硬度が、Hv=2000程度であるために、さらに
高硬度が要求される用途に対しては十分に対応し
得ない面がある。 このような要求に対して、Fe,CoまたはNiと
MoまたはWとの複硼化物が、結合剤として好適
であることを見い出し、これらをTiB2粉末に配
合して焼結した硬度の高い硼化物系超硬質材料を
提案した(特願昭57−155970号および特願昭58−
209951号)。これらの焼結体は、極めて高硬度で
ある(Hv=2000〜3000)が、抗折力が100Kg/mm2
程度となつており、硬度を落さずに強度をより向
上させることが好ましく、焼結助剤についてさら
に検討を重ねた結果、TiH2を添加混合して焼結
することにより、強度が著しく向上することを見
い出し、硼化物系高強度超硬質材料として提案し
た(特願昭58−209952号)。 これらの焼結体は、耐摩耗性試験の結果、Al
合金、Cu,SKH,SiC−Alの複合材などに対し
ては良好であつたが、SS41やS45Cなどの鉄鋼材
料に対しては、凝着摩耗を生じ易く、鉄鋼用耐摩
耗材料としてはまだ欠点をもつている。そこで、
このような要求に対して、TiCとTiN、または、
TiCNの粉末を添加混合して焼結することにより
高硬度で抵抗力も優れ、しかも、耐摩耗性の極め
て高い焼結体が得られることを見い出し、これら
の知見に基づいて、本発明をなすにいたつた。 すなわち、本発明の主たる目的は、鉄鋼材料に
対する高耐摩耗性超硬質材料を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、高硬度、高強度でかつ
耐食性、耐熱性に優れた高耐摩耗性超硬質材料を
提供することにあり、さらに他の目的は、より軽
量でより安価な高耐摩耗性超硬質材料を提供する
ことにある。 以下、本発明の詳細について説明する。本発明
の高耐摩耗性超硬質材料は、TiB2粉末に、複硼
化物Mo2FeB2,Mo2CoB2,Mo2NiB2,MoCoB,
W2FeB2,W2CoB2,W2NiB2,WFeBおよび
WCoBの粉末の中から選ばれた少なくとも1種以
上を2〜15%、TiC,TiNおよびTiCNの粉末の
中から、C/Nの原子比が0.25〜4.0の範囲であ
るように選ばれた配合粉末を10〜55%、および、
TiH2粉末を0.1〜10%をそれぞれ添加混合して、
真空中において、焼結することを特徴とするもの
である。複硼化物は、全重量に対して2〜15%の
範囲で添加することが適当である。Mo2FeB2や
W2NiB2などの複硼化物(結合相)は、硬質相と
なるTiB2やTiCの粒成長を抑制する効果が大き
く、特に、TiB2とTiCは相互に固溶し、これらの
みの混合粉末を焼結すると粒成長が著しく、ポア
ーの発生も多く、強度の低い焼結体となるが、本
発明の複硼化物粉末を添加することにより粒成長
が抑制されて微細粒子の高強度焼結体が得られ
る。この大きな粒成長抑制効果は、単に、Niな
どの鉄族金属粉末やFeBなどMB系(Mは金属元
素を示す)の硼化物粉末あるいはこれらの混合粉
末を配合する場合には得られないことである。ま
た、前記複硼化物は高温硬度も高く(1000℃で、
Hv=500〜700)、耐食性にも優れている。これら
の量が、2%未満では粒成長抑制効果が十分でな
く、15%を超えると凝着が大きくなり耐摩耗性が
低下する。TiC,TiNおよびTiCNは、C/Nの
原子比が0.25〜4.0の範囲であるように、これら
の中から選んで、10〜55%の範囲で添加すること
が適当である。TiCは、鉄鋼に対する耐凝着性に
優れており、TiNやTiCNは、TiCの粒成長抑制
効果が大きく耐酸化性、耐食性に優れている。こ
れらの量が、10%未満では鉄鋼材料との低速摩擦
における比摩耗量が大きくなり、55%を超えると
硬度が低下し、高速摩擦における比摩耗量が大き
くなる。C/Nの原子比は、0.25〜4.0、好まし
くは0.5〜3.0の範囲が適当である。この比が、
0.25未満すなわちN量がC量の4倍を超えると結
合相との濡れ性が悪くなるし、4.0を超えると
TiCの粒成長が著しくなる。TiH2は、0.1〜10
%、好ましくは0.5〜8%の範囲で添加するのが
適当である。この化合物は、真空焼結の過程で
500〜700℃の温度範囲で熱分解してH2ガスを発
生し、これが粉末表面の吸着ガスや表面酸化物を
還元することにより、粉末間の濡れ性を著しく向
上せしめる効果がある。したがつて、TiH2の添
加量が、0.1%未満では還元効果が十分発揮され
ず機械的強度の向上が得られないし、10%を超え
ると硬度および靭性ともに低下する。一般に、焼
結雰囲気として、H2ガスを使用する方法がある
が、圧紛体の内部全体にH2ガスを浸透させるた
めには、雰囲気圧力を一定範囲で負圧状態に保た
ねばならないので精密な圧力制御装置が必要にな
り、また、このような方法では圧紛体中に閉気孔
が存在する場合は、その部分には還元作用がおよ
ばず、焼結体は必ずしも均質な組織とならないな
どの欠点がある。TiH2添加の第2の効果は、焼
結時熱分解して生じた非常に活性なTiが、高温
でTiB2と反応してTiBを生成する過程があるため
に、全体の焼結を促進する。この効果と前記還元
効果との相乗作用により、気孔の全くない密度
100%で高強度の焼結体が得られる。これらの効
果を焼結体の顕微鏡写真で第1図と第2図に示
す。第1図はTiH2を添加しない場合で、気孔が
多く観察されるが、第2図のTiH2を添加した場
合は気孔は全く見られず理想的組織となつてい
る。 本発明の高耐摩耗性超硬質材料の製造は、つぎ
のようにして行うことができる。平均粒径1μm
以下のTiB2粉末に、複硼化物粉末(平均粒径2
μm以下)、C/Nの原子比が0.25〜4.0の範囲で
あるようなTiC,TiNおよびTiCNの混合粉末
(粒径1.6μm)、およびTiH2粉末をそれぞれ所定
量配合して、振動ボールミルで湿式混合と紛砕を
十分に行つた後、乾燥造粒する。この混合粉末
を、たとえば、黒鉛型に充填し、真空中におい
て、100Kg/cm2以上の圧力下で、1400〜1800℃の
温度範囲で加熱するか、あるいは、前記混合粉末
を、あらかじめ圧縮成形した圧紛体を、1700〜
2000℃の温度範囲で真空焼結することにより、好
ましくは真空焼結後に、熱間静水圧処理すること
によつて製造することができる。焼結雰囲気は、
焼結中、常時、真空である必要はなく1400〜1500
℃以上の高温ではArガス等の不活性ガスを用い
ることもできる。 このようにして得られた焼結体は、いずれも、
鉄鋼材料に対する耐摩耗性に優れ、高硬度で、抗
折力も高く、耐摩耗材料、切削工具、熱機関部品
として好適である。 以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説
明する。実施例に供した材料の組成は、第1表お
よび第2表に示した。 実施例 A TiB2粉末に、Moと鉄族金属との複硼化物粉
末、(TiC+TiN)、TiC0.5N0.5、TiC0.3N0.7の粉
末、および、TiH2の粉末を、第3表の実施例1
〜7に示すそれぞれの割合に配合して、約2時間
振動ボールミルで湿式混合し、N2ガス中で乾燥
造粒した。この混合粉末を黒鉛型(内径28mm)に
充填し、
【表】
【表】
【表】
真空中において、150Kg/cm2で加圧しながら
1550℃または1600℃の温度で、30分間焼結した。
この焼結体から、4×8×25mmの抗折試験片を切
り出し、抗折力、硬度および密度を測定した。ま
た、28mmφ×8mmの焼結体の両面を200メツシユ
のダイヤモンド砥石で平面研削し、大越式迅速摩
耗試験機を用いて、比摩耗量を測定した。これら
の測定結果を比較材料の測定結果とともに第3表
に示した。密度はすべての実施例で100%であつ
た。なお、比摩耗量の測定条件は、相手材
SS41、摩擦距離200m、最終荷重18.9Kgf、摩擦
速度は0.94(低速)と4.39(高速)m/sであ
る。比較例として示した実施例の8と9は、同1
〜7と同じ製法でつくつたもので比摩耗量が大き
くなつている。
1550℃または1600℃の温度で、30分間焼結した。
この焼結体から、4×8×25mmの抗折試験片を切
り出し、抗折力、硬度および密度を測定した。ま
た、28mmφ×8mmの焼結体の両面を200メツシユ
のダイヤモンド砥石で平面研削し、大越式迅速摩
耗試験機を用いて、比摩耗量を測定した。これら
の測定結果を比較材料の測定結果とともに第3表
に示した。密度はすべての実施例で100%であつ
た。なお、比摩耗量の測定条件は、相手材
SS41、摩擦距離200m、最終荷重18.9Kgf、摩擦
速度は0.94(低速)と4.39(高速)m/sであ
る。比較例として示した実施例の8と9は、同1
〜7と同じ製法でつくつたもので比摩耗量が大き
くなつている。
【表】
【表】
実施例 B
TiB2粉末に、Wと鉄族金属との複硼化物の粉
末、TiC0.5N0.5の粉末、および、TiH2の粉末を、
第4表の実施例10〜15に示すそれぞれの割合に配
合して、実施例Aと同様の方法で焼結体をつく
り、特性を測定した。実施例16にはMoとの複硼
化物を添加した場合を示した。これらの特性を第
4表に示した。 以上の実施例からわかるように、硬度2100〜
2600、抗折力125〜150Kg/mm2、密度100%で、し
かも、鉄鋼材料に対する比摩耗量が、摩擦速度の
広い範囲にわたつて0.2〜0.5×10-8mm2/Kgfとい
う優れた焼結体が得られた。
末、TiC0.5N0.5の粉末、および、TiH2の粉末を、
第4表の実施例10〜15に示すそれぞれの割合に配
合して、実施例Aと同様の方法で焼結体をつく
り、特性を測定した。実施例16にはMoとの複硼
化物を添加した場合を示した。これらの特性を第
4表に示した。 以上の実施例からわかるように、硬度2100〜
2600、抗折力125〜150Kg/mm2、密度100%で、し
かも、鉄鋼材料に対する比摩耗量が、摩擦速度の
広い範囲にわたつて0.2〜0.5×10-8mm2/Kgfとい
う優れた焼結体が得られた。
第1図は、TiH2を添加しない場合、第2図
は、TiH2を添加した場合の焼結体の組織の顕微
鏡写真である。
は、TiH2を添加した場合の焼結体の組織の顕微
鏡写真である。
Claims (1)
- 1 TiB2粉末に、複硼化物Mo2FeB2,
Mo2CoB2,Mo2NiB2,MoCoB,W2FeB2,
W2CoB2,W2NiB2,WFeBおよびWCoBの粉末の
中から選ばれた少なくとも1種以上を2〜15重量
%(以下%は重量%を示す)、TiC,TiNおよび
TiCNの粉末の中からC/Nの原子比が0.25〜4.0
の範囲であるように選ばれた混合粉末を10〜55
%、および、TiH2粉末を0.1〜10%をそれぞれ添
加混合して、真空中において、焼結したことを特
徴とする高耐摩耗性超硬質材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58236399A JPS60131867A (ja) | 1983-12-16 | 1983-12-16 | 高耐摩耗性超硬質材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP58236399A JPS60131867A (ja) | 1983-12-16 | 1983-12-16 | 高耐摩耗性超硬質材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60131867A JPS60131867A (ja) | 1985-07-13 |
JPS6150909B2 true JPS6150909B2 (ja) | 1986-11-06 |
Family
ID=17000180
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP58236399A Granted JPS60131867A (ja) | 1983-12-16 | 1983-12-16 | 高耐摩耗性超硬質材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS60131867A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05209247A (ja) * | 1991-09-21 | 1993-08-20 | Hitachi Metals Ltd | サーメット合金及びその製造方法 |
US5976205A (en) * | 1996-12-02 | 1999-11-02 | Norton Company | Abrasive tool |
CN109576547B (zh) * | 2018-12-21 | 2021-06-04 | 中南大学 | 一种三元硼化物增强Ti(C,N)基金属陶瓷材料及其制备方法 |
-
1983
- 1983-12-16 JP JP58236399A patent/JPS60131867A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60131867A (ja) | 1985-07-13 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |