JPS6149285B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は化粧料特にメークアツプ化粧料に関す
るもので、透明感が向上され、油膜的光沢を有
し、滑らかな使用感と肌への付着性の優れた化粧
料を提供するものである。 従来一般に汎用されている化粧料用雲母粉は雲
母それ自体の有する劈開性、弾性、着色性（イオ
ン交換能）、透明性等の表面特性が化粧料にその
まゝ生かされ滑らかな感触と優れた透明感のある
化粧料を提供するものであつたが、今日では雲母
粉の別の特性すなわち高い親水化度を有するとい
うことに起因して化粧料としては肌へのなじみ、
付着性、化粧持ちが悪いものとなり、場合によつ
ては粉浮き現象が生じることもあり充分に満足す
べきものではない。また化粧料の仕上り感の一つ
である透明感を向上させるために従来では雲母粉
の粒子径を大きくする必要があつたが、この場合
感触的にざらつき感のため肌への異和感が現出す
ることから、感触的犠牲なしには目的とする透明
感は得られがたい。 更に化粧料を肌へ塗布した際の仕上り効果とし
て油膜的光沢（鏡面光沢がチタンマイカ系真珠光
沢顔料よりも若干低く、更に拡散反射が少しあ
り、透明性を有しギラギラとした光輝感のない温
和な光沢）がその一つとして挙げられるが、これ
を得るためあるいは向上するためチタンコーテイ
ツドマイカ、チタンコーテイツドビスマス等の真
珠光沢顔料を用いる方法がとられていたが、一般
的にこれら真珠光沢顔料の中には酸化チタンやオ
キシ塩化ビスマス等の不透明な成分が含有されて
おり、これが最終的に影響し透明性のある油膜的
光沢を得ることはできないものであつた。 本発明者は種々実験研究の結果、上記の如き欠
点を解決した本発明を得たのである。 本発明は微粉末雲母またはその処理物を炭化水
素、高級脂肪酸およびシリコーン油の混合物にて
コーテイングし、次いで焼付け処理を施こして得
られた微粉末雲母組成物を含有することを特徴と
する化粧料に関するものである。 本発明に適用される微粉末雲母組成物の核とな
る雲母としては粒子径0.5〜40μ、平均粒子径２
〜17μの微粉末であり、具体的に挙げると白雲
母、合成雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母、紅雲
母、リチア雲母、チンワルド雲母、ソーダ雲母等
の雲母類の他、これらの着色雲母あるいは雲母処
理物が挙げられる。着色雲母としては雲母を通常
の方法にて着色してもよいが、特に本出願人に係
る特開昭52―146436の着色光沢顔料の製法が有益
である。雲母処理物としては雲母を酸化チタン、
オキス塩化ビスマス、酸化鉄等にてコーテイング
せしめたもの（但し透明性を著しく損わない程度
のもの）やあるいは雲母の有する特性を維持し得
る各種混合物その他金属酸化物との焼結体（例、
特開昭52―97399）などが用いられる。 また微粉末雲母組成物の被覆層となる炭化水
素、高級脂肪酸およびシリコーン油の混合物（以
下油剤混合物という。）の構成割合は、炭化水
素：高級脂肪酸：シリコーン油＝0.1：0.1：0.1：
〜3.0：3.0：2.0好ましくは0.5：0.5：1.0〜1.0：
1.5：1.5である。 微粉末雲母又はその処理物の表面に炭化水素、
脂肪酸、高級アルコール、エステル類等の各油剤
単独のみで被覆した場合、機械力、衝撃力、遠心
力等の外的力で容易に剥れ、強固で強靭な被覆膜
が得られない。更には油相系に添加した場合、油
相との親和性のため容易に溶解、剥離した実用に
耐えない。またシリコーン（ポリシロキサン）の
みで被覆した場合、ある程度の皮膜性を有するが
他の粉体基剤や油剤への濡れ現象が極めて悪く親
和性がないために化粧料に配合した場合、外観色
と塗布色の相違が顕著で且つ色味ののり具合が悪
く粉浮きの原因になるばかりでなく、更には透明
性、油膜的光沢、滑性の低下が著しく、化粧効果
を損うものである。 シリコーン（ポリシロキサン）と油剤との組合
せではシリコーン（ポリシロキサン）のみの被覆
のデメリツトがある程度解消されるが、経時によ
る化粧のくすみや化粧もちの低下がみられ満足し
うるものでない。 本発明の被覆膜の組成物はシリコーン（ポリシ
ロキサン）と脂肪酸と炭化水素間の結合、吸着、
付着力とそれらと粉体中の官能基との結合との相
乗作用により、非常に強靭で強固な被覆膜を形成
するものであり、高い透明性、油膜的光沢を有
し、更には塗布色と外観色の一致性があり、粉浮
き防止効果を有するものである。 被覆膜組成物として、シリコーン、高級脂肪
酸、炭化水素を選択しているがシリコーンは撥水
効果を主に狙つたものである。特に高級脂肪酸が
選択されている理由は主に高級アルコール類や他
のエステル類等よりも明らかに高い油膜的光沢と
透明性が得られるためであり、これは粉体基剤中
の官能基と高級脂肪酸とシリコーンと炭化水素間
で行なわれる反応の中で高級脂肪酸の結晶性や結
晶構造との関り合いがあると推定される。 又炭化水素（非極性油剤）を用いている理由と
しては、シリコーンと高級脂肪酸との粉体基剤と
の反応の中で形成される被覆膜は、極性油剤（エ
ステル、高級アルコール）よりも化粧もちに優れ
ていて、経時変化防止効果と他の粉末基材との親
和性の橋かけの役割りを果している。 上記油剤混合物に適用される各種油剤としては
通常のものでよく、高級脂肪酸としてはカプロン
酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、イソステ
アリン酸等の炭素数８〜22の直鎖、分岐、飽和、
不飽和のもの好ましくは炭素数16〜22の直鎖飽和
のものである。炭化水素としてはスクワラン、流
動パラフイン、マイクロクリスタリンワツクス、
オゾケライト、セレシン、ワセリン等である。シ
リコーン油としては次の一般式〔〕で示される
シリコーン油で例えばメチルハイドロジエンシリ
コーン、ジメチルシリコーン、メチルフエニルシ
リコーン、ポリエーテル変性シリコーン、オレフ
イン変性シリコーン、フツ素変性シリコーン、ア
ルコール変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコ
ーン、アミノ変性シリコーン等である。 一般式〔〕 （式中ｎは重合度で１〜300の整数、Ｒは水素
原子、ハロゲン原子または低級アルキル基、ベン
ジル基、シクロヘキシル基、ナフチル基、フルフ
リル基から選択された基を示す。） 本発明に適用される微粉末雲母組成物の微粉末
雲母と油剤混合物との組成比は99.7：0.3〜92.0：
8.0好ましくは98.0：2.0〜96.0：4.0であり、微粉
末雲母組成物を得る方法としては高級脂肪酸、炭
化水素、シリコーン油の油剤と微粉末雲母とを適
宜有機溶媒に溶解、分散させ、有機溶媒を留去
し、微粉末雲母の表面を油剤混合物にてコーテイ
ングし、次いで温度100〜150℃、１〜５時間焼付
け処理を施こす方法が好適である。 上記の如くして得られた微粉末雲母組成物は高
級脂肪酸、炭化水素、シリコーン油の油剤混合物
が微粉末雲母に強固に固定化され、雲母表面を
0.1〜10μ程度の厚さに均一にコーテイングされ
たものであり、油剤混合物の薄膜による光の反
射、屈折と雲母粉の光透過度との相乗作用によ
り、より高い透明感と油膜的光沢を有すると共
に、雲母表面に均一な厚さにコーテイングされた
撥水度の高い油剤（炭化水素）による肌への付着
性が向上され、さらに均一に固着した油剤のため
よりソフトな滑らかな使用感の得られるものであ
る。 次に本発明に適用される微粉末雲母組成物が如
何に品質特性（滑らかさ、透明感、つや、肌への
付着性、総合評価）において優れているかを実証
するため、後記実施例〔〕に適用される微粉末
雲母組成物(A)、従来の未処理微粉末雲母(B)、微粉
末雲母を油剤単独、油剤二種でコーテイングした
もの(C)、(D)について専門家プロフアイル30名を対
象として60日間継続使用を行なつた使用テスト結
果を下記第１表に示す。（尚、油剤単独のものは
スクワラン、油剤二種のものはスクワランとメチ
ルハイドロジエンポリシロキサンである。 上記第１表より被覆膜成分が三成分によるもの
(A)がすべりやすさ、透明感、つや（油膜的光
沢）、肌への付着性において明らかに優れてお
り、総合評価でも優れた結果を示した。 ※評価基準（総合評価を除く） ０〜１ な い １〜３ わずかにある ３〜４ 普 通 ４〜６ 極めてある 本発明は微粉末雲母組成物を３〜35重量％好ま
しくは５〜25重量％含有した化粧料特に固型白
粉、ルース状白粉等のメークアツプ化粧料に関す
るもので、雲母本来の品質特性を損うことなく透
明感、滑らかな使用感の高められたものであり、
従来になく油膜的光沢を有すると共に肌へのなじ
み、付着性、化粧持ちのよいものである。本発明
の場合、５重量％程度以下では微粉末雲母組成物
の効果が他のフイーラー（粉体）でマスキングさ
れ、望むべき透明感が得にくゝ、また皮膚上で不
連続な光沢になりやすく連続した油膜的光沢が得
られ難い。25重量％以上になると雲母の特性上
（弾性等の性質）から充填性が乏しくなり、パフ
にとれすぎ、ケーキのワレ、カケの原因になりや
すい。更に皮膚上に塗布した場合油膜的光沢が強
くなり、見掛け上顔が油ぎつた仕上りになり化粧
効果面で好ましくない。 当然のことながら本発明においては上記微粉末
雲母組成物に通常化粧料に利用される顔料、粉体
等の粉体基剤、油剤、色素、香料、防腐剤、ビタ
ミン類を適宜必要とされる化粧料の形態、性状な
どに応じて用いるものである。 以下、後記実施例〔〕のプレストパウダーと
この処方中の微粉末雲母組成物を通常の微粉末雲
母に置き換えた従来のプレストパウダーに相当す
る比較例とを用い女性パネラー200名を対象とし
て１ケ月継続使用させた使用テストの統計結果を
第２表に示す。使用テストの評価項目としては(a)
肌への付着性、(b)肌のなめらかさ、(c)さつぱり
感、(d)透明感、(e)つや、(f)つやの経時変化、(g)肌
へのつきの均一性等を以つて行なつた。 実施例 〔〕 プレストパウダー 予め減圧乾燥した絹雲母97部に対しキシレン70
部にメチルハイドロジエンポリシロキサン1.0
部、ミリスチン酸1.0部、スクワラン1.0部を溶解
させたものを徐々に注入し、50℃にて40分間低速
回転にて撹拌したのち、減圧にて有機溶媒を留去
し、絹雲母を核としメチルハイドロジエンポリシ
ロキサン、ミリスチン酸、スクワランの混合物を
被覆剤として97：３の割合でコーテイングし、次
いで130℃にて3.5時間焼付け処理を施し、冷却後
取り出し微粉末雲母組成物97部を得た。この組成
物を用いて下記の如く製品とする。

【表】 Ａをプラネタリーミキサー内に仕込み10分間混
合した後取り出し、粉砕機で粉砕する。次いでヘ
ンシエルミキサーに移しＢを加えて８分間撹拌混
合し、取り出し、ブロワーシフターで均質化した
後、容器に充填して製品とする。 実施例 〔〕 パウダーアイシヤドー 白雲母50部と合成雲母48部計98部に対し酢酸エ
チルエステル60部に流動パラフイン0.5部、ベヘ
ニン酸0.5部、ジメチルポリシロキサン1.0部を溶
解させたものを徐々に注入し80℃にて30分間低速
回転にて撹拌した後、減圧乾燥にて有機溶媒を留
去し白雲母を核とし流動パラフイン、ベヘニン
酸、ジメチルポリシロキサンの混合物を被覆剤と
して98：２の割合でコーテイングし、次いで135
℃で３時間熱風乾燥機にて焼付け処理を施し、冷
却後取り出し、微粉末雲母組成物97.5部を得た。
この組成物を用いて下記の如く製品とする。

【表】

【表】 Ａをヘンシエルミキサーで３分間混合した後、
粉砕機で粉砕する。その後、ヘンシエルミキサー
に粉砕物をうつし、別の容器に60℃で溶解してあ
るＢを添加し、７分間撹拌混合し、更にＣを添加
し２分間撹拌混合し、取り出しブロワーシフター
で均質化した後、容器に充填して製品とする。 実施例 〔〕 フアンデーシヨン 予め減圧乾燥した金雲母99.6部に対しイソプロ
ピルミリステート60部に対しメチルフエニルポリ
シロキサン0.1部、パルミチン酸0.2部、スクワラ
ン0.1部を溶解させたものを徐々に注入し、60℃
にて60分間低速回転にて撹拌した後、減圧にて有
機溶媒を留去し、金雲母を核としメチルフエニル
ポリシロキサン、パルミチン酸、スクワランの混
合物を被覆剤として99.6：0.4の割合でコーテイ
ングし、次いで120℃、４時間焼付け処理を施
し、冷却後、取り出し微粉末雲母組成物98部を得
た。この組成物を用いて下記の如く製品とする。

【表】

【表】 ＡとＢを別々に溶解、分散して80℃に保持し、
ＡにＢを少しづつ添加し充分撹拌して乳化する。
乳化が終了した時点で80℃で５分間撹拌し、水冷
し50℃まで冷却する。その後Ｃを添加し30℃まで
冷却し取り出し容器に充填して製品とする。 実施例 〔〕 紅雲母95.5部に対しキシレン70部にメチルハイ
ドロジエンポリシロキサン1.5部、イソステアリ
ン酸2.0部、流動パラフイン1.0を溶解させたもの
を徐々に注入し35℃にて50分間低速回転にて撹拌
したのち、減圧にて有機溶媒を留去し、紅雲母を
核にしメチルハイドロジエンポリシロキサン、イ
ソステアリン酸、流動パラフインの混合物を被覆
剤として95.5：4.5の割合でコーテイングし、次
いで140℃にて３時間、熱風乾燥機で焼付け処理
を施し冷却し取り出し、微粉末雲母組成物97.8ｇ
を得た。この組成物を用いて下記の如く製品とす
る。

【表】 Ａを80〜85℃に加熱撹拌した後、ゆつくり撹拌
しながら脱泡してＢを加え成型器に流し込み30℃
まで空冷し、更に10℃まで冷却して後成形器より
とり、容器に入れて製品とする。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 微粉末雲母またはその処理物を炭化水素、高
   級脂肪酸およびシリコーン油の混合物にてコーテ
   イングし、次いで焼付け処理を施こして得られた
   微粉末雲母組成物を含有することを特徴とする化
   粧料。