JPS6145826B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、電子写真現像にトナーとともに用い
るキヤリア材の改良に関する。

電子写真においては、光導電材料よりなる感光
体を帯電せしめてこれに光像を露光し、露光した
感光体面では電荷が消失するか減衰し、未露光部
はそのまま静電荷を保持しているので、両者の電
荷の差に基づいてそれらの間に電界が生じ、感光
体面には静電潜像が生ずる。この静電潜像面にト
ナーとキヤルア粒子とよりなる現像剤が供給され
ると、電荷を有するトナーがキヤリア粒子から離
れて付着し、現像される。

このような、トナーとキヤリア粒子とを使つた
静電潜像の現像方法としては、米国特許第
2874063号明細書に開示されている磁気ブラシ現
像法および米国特許第261855号明細書に開示され
ているカスケード現像法などがある。

かかる現像法においては、トナー粒子は静電力
によつて、トナー粒子より粒径の大きいキヤリア
粒子の表面に保持されている。この静電力はトナ
ー粒子とキヤリア粒子とが接触し、相互に反対極
性の摩擦電荷が生ずることによつて起るものであ
るが、このようなトナー粒子およびキヤリア粒子
とからなる現像剤が感光体面の静電潜像に接触す
るとトナー粒子は該静電潜像に引きつけられて現
像が行なわれるのである。現像のトナー粒子およ
びキヤリア粒子は光導電体の所定の像領域へ選択
的に引きつけられるようにトナー粒子が正しい極
性並びに電荷量をもつていなくてはならない。

従来の乾式現像剤においては、現像中にキヤリ
ア同士やキヤリアとトナー間、キヤリアおよびト
ナーと機械部品間の多数回に亘る衝突によつて生
ずる機械的な応力や熱によつて、トナーがキヤリ
ア表面に付着し成膜するという現像が生じ易い。

このような現像を生じると、キヤリア粒子の表
面への永久的な現像回数ごとに蓄積され、通常の
トナー対キヤリアの摩擦帯電が、部分的にトナー
対トナーの関係に置き換えられて、トナーの帯電
特性に経時変化を生じることにより、結果として
トナーの帯電量が低下し、感光体面の静電潜像の
ない部分にも、トナーが付着するようになり、い
わゆる地肌汚れを生じて、複写画像の品質を低下
させる。このトナーの成膜が相当程度まで蓄積さ
れると、現像剤全体は取換えなければならなくな
るので、コスト高となるばかりでなく、時間の浪
費となる。

そこで、かかる欠点を改良する方法として、キ
ヤリア核粒子の表面にテトラフルオロエチレンの
ような低エネルギ表面（低表面張力）をもつフル
オロポリマーを被覆することが提案されている。
（特開昭49―51950号公報、特開昭48―90238号公
報参照） 上記提案におけるフルオロポリマーの被覆方法
はWunster型の循環流動化ベツトを使つて、キヤ
リア芯材料にフルオロポリマーのエマルジヨンを
スプレーで吹き付けて、フルオロポリマーをキヤ
リア芯材料に塗布し、これを電気炉中に入れてフ
ルオロポリマーの融点化上に加熱し、被覆層を形
成するものである。

しかしながら、上記方法ではスプレーでの塗布
を終つた状態では、被覆キヤリアは各々単独粒子
で存在するが、これを電気炉に入れて加熱する
と、被覆材料であるフルオロポリマーが溶融し、
被覆材料同士が粘結するため、冷却後キヤリアが
固まつてしまい、キヤリア粒子として使用するた
めには、ふるいを使つた分級するとか、機械的に
粉砕するとかしなければならなくなる。

本発明の目的は、上記欠点を改良した凝集物の
ないフルオロポリマー被覆キヤリア材を提供する
ものである。

上記目的は芯材料に、外皮に比べて低い融点を
示すテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプ
ロピレンとの共重合ポリマーを含む中間層と、こ
れより高い融点を示すテトラフルオロエチレンホ
モポリマーを含む外皮層とを順次設けたことを特
徴とする電子写真用キヤリア材によつて達せられ
る。

本発明において使用する外皮層より低い融点の
テトラフルオロエチレンとへキサフルオロプロピ
レンとの共重合ポリマーには、商品名でネオフロ
ンND―１、ネオフロンND―２、ネオフロンND
―4X（以上ダイキン工業(株)製）などがある。

中間層より高い融点テトラフルオロエチレンホ
モポリマーには、ポリフロンＤ―１、ポリフロン
Ｅ―4100CR、ポリフロンＥ―4500CR、ポリフロ
ンＥ―410５GN、ポリフロンＥ―4505GH、ポリ
フロンEK―4108GY、ポリフロンＥ―4118LG、
ポリフロンEK4183GB、ポリフロンEK―
4193CL、ポリフロンＥ―2205GN、ポリフロンＥ
―2505GN、ポリフロンＥ―2208GY、ポリフロン
Ｅ―2212FC、ポリフロンＥ―2209BK、ポリフロ
ンTC―7105GN、ポリフロンTC−7405GN、ポリ
フロンTC―7408GY、ポリフロンTC―7113LB、
ポリフロンTC―7412FC、ポリフロンTC―
7159DG、ポリフロンTC―7109BK、ポリフロン
TC―7409BK（以上ダイキン工業(株)製）などがあ
る。

本発明では、外皮層が高融点を示す上記フルオ
ロポリマーで形成されているから、前述の如き被
覆層形成時におけるキヤリア粒子同士凝集を防止
することができる。

本発明キヤリア材の芯材として使用し得るもの
は、被覆材料を接着することができ、しかもその
硬化温度に耐えることができるもので、例えば、
砂、ガラスビーズ、金属ビーズが使用できる。ま
た、磁気ブラシ現像法に用いる場合は、鉄、鋼、
磁性酸化物、ニツケル―鉄合金のような強磁性材
料が使用できる。かかる粒子の大きさは50〜1000
μ好ましくは100〜600μが適当である。

以下実施例による本発明を説明する。

実施例 １ 100μの球形鉄粉（新東ブレダー製）１Kgに対
して、テトラフオロエチレン―ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体であるネオフロンND―１（商
品名、ダイキン工業製）を固形分で2.5ｇ相当の
量90℃の雰囲気中で流動層乾燥機、スピラコータ
で塗布した。この上にさらにフルオロポリマーエ
マルジヨンであるポリフロンＤ―１（商品名、ダ
イキン工業(株)製）を固形分で10ｇ相当の量〜０℃
の雰囲気中でスピラコータを使つて塗布したの
ち、これを360℃の電気炉中に15分間放置するこ
とにより、低融点フルオロポリマーであるネオフ
ロンND―１を溶融させて、高融フルオロポリマ
ーとキヤリア芯である鉄粉との接着を行なつた。

こうして得たキヤリアを顕微鏡で観察したとこ
ろ、粒子は単独に一つ一つ存在し、凝集物は見ら
れなかつた。

比較のため、ポリフロンND―１を鉄粉に直接
塗布したのちに、ポリフロンND―１の融点であ
る320℃まで加熱し焼成したキヤリアを作つて顕
微鏡で観察したところ、粒子の凝集が著しく、機
械的な力を加えて凝集を破壊しないと現像剤とし
て使用不可能であつた。

実施例 ２ 100μの球型鉄粉（新東ブレダー製）１Kgに対
し、ネオフロンND―２（商品名、ダイキン工業
(株)製）を、固形分で2.5ｇ相当の量90℃の雰囲気
中でスピラコータで塗布した。この上にさらにフ
ルオロポリマーエルジヨンであるポリフロンタフ
コートエナメル7113LB（商品名、ダイキン工業
(株)製）を固形分で10ｇ相当の量85℃の雰囲気中で
スピラコータを使つて塗布したのち、これを340
℃の電気炉中に10分間放置することにより、フル
オロポリマー被覆キヤリアを得た。このキヤリア
を顕微鏡で観察したところ、粒子は単独に一つ一
つ存在し、凝集物は見られなかつた。

上記キヤリアに対して、3wt％のトナー（リコ
ーPPC―900用）を混合し、30分間ボールミルポ
ツト中で混合して現像剤とし、この現像剤のトナ
ーの帯電量をブローオフ帯電量測定により測定し
たところ、9.8μＣ／ｇであつた。

実施例 ３ 平均粒径300μの球形鉄粉１Kgに対し、ネオフ
ロンND―４×（商品名、ダイキン工業(株)製）２ｇ
相当をスピラコータを使つて塗布したのち、ポリ
フロンＥ―100CR（商品名、ダイキン工業(株)製）
を固形分で５ｇ相当の量塗布したのち、電気炉で
340℃の空気中で10分間加熱し、ネオフロンND―
4Xを溶融して、ポリフロンＥ―4100CRと球状鉄
粉との接着を行ない、フルオロポリマー被覆キヤ
リアを得た。

このキヤリアを鉄製ボールミルポツトに入れス
チールボールとともに10時間撹拌してキヤリア被
覆層の耐久性試験を行なつたのち、キヤリア被覆
層を顕微鏡観察したが、被覆層のハガレはなかつ
た。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 芯材料に外皮に比べて低い融点を示すテトラ
   フルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと
   の共重合ポリマーを含む中間層と、これより高い
   融点を示すテトラフルオロエチレンホモポリマー
   を含む外皮層とを順次設けたことを特徴とする電
   子写真用キヤリア材。