JPS6145374Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は湿式クラツチの連れ回り防止装置に関
し、その目的とするところは構造が極めて簡単で
あり、しかも効率良くクラツチケースを制動する
ことができ、確実に連れ回りを防止することがで
きる連れ回り防止装置を提供することである。

図面に基づいて本考案を説明すると、図面は例
えば農用トラクタ等の作業機に動力を伝達するた
めに採用される湿式クラツチの縦断面図であり、
上半部分はクラツチ接続状態、下半部分はクラツ
チ切断状態を示している。この図面において１は
エンジン側の入力軸、２は入力軸１にスプライン
嵌合（図面の左端部分）した入力ハブ、３は軸受
４を介して例えば入力軸１に回転自在に嵌合した
出力筒軸（出力軸）である。出力筒軸３の入力ハ
ブ２側端部の外側にはクラツチハブ５が軸受メタ
ル６を介して出力筒軸３に対し回転自在に嵌合し
ており、スラストベアリング７やスナツプリング
７ａ等により軸方向摺動下能に係止されている。
クラツチハブ５は入力ハブ２のフランジ２ａと部
分５ａにおいてスプライン嵌合していて、入力ハ
ブ２と一体的に回転する。

クラツチケース８はそのボス部９が出力筒軸３
の外側に軸方向摺動自在にスプライン嵌合してお
り、ボス部９の外側にはベアリング２０をしてレ
リーズスリーブ２１が嵌着され、レリーズスリー
ブ２１にはレリーズヨーク２２が係合している。
即ちレリーズヨーク２２を図面の矢印Ａ方向（ク
ラツチ切り方向）へ移動操作すると、スリーブ２
１、ベアリング２０及びベアリング２０を係止し
ているスナツプリング２３を介してクラツチケー
ス８が矢印Ａ方向へ押し動かされる。クラツチケ
ース８外周の筒状部には多数の内向きのドリブン
プレート１０が設けられ、クラツチハブ５外周の
筒状部には多数の外周きの摩擦板１１が設けら
れ、各ドリブンプレート１０はクラツチハブ５の
各摩擦板１１の間に配置されている。

クラツチケース８の入力ハブ２と反対側（図面
の右側）には１対の環状のばねガイド１３，１４
が出力筒軸３にスプライン嵌合しており、図面の
右側のばねガイド１３はスナツプリング１５によ
り図中右側に移動しないように係止され、図面の
左側のばねガイド１４はクラツチケースボス部９
の端面に当接している。両ばねガイド１３，１４
の外側には各２枚の皿ばね（クラツチばね）１６
が嵌着されており、この皿ばね１６の弾性力によ
りばねガイド１４を介してクラツチケース８を反
矢印Ａ方向に付勢し、クラツチケース８とクラツ
チハブ５を接続状態に維持している。１７は皿ば
ね１６の外周端部の間に配置されたガイドリング
である。

クラツチケース外周の端部（図左の右側）には
クラツチばね１６側に向く段部２５が形成され、
段部２５に対向する環状の摩擦プレート２６がク
ラツチケース８の小径部８ａの外側に軸方向摺動
自在に嵌合している。クラツチケース８の外周に
は円周方向に間隔を隔てて幾つかの切欠２７が形
成されており、摩擦プレート２６の上記切欠２７
に対応する箇所には段部２５側へ延びる突起２８
が形成されており、突起２８を切欠２７に係合す
ることにより、クラツチケース８と摩擦プレート
２６が一体的に回転するようになつている。

段部２５と摩擦プレート２６の間には摩擦プレ
ート２６をクラツチハウジングの一部で形成され
た固定壁２９側へ付勢する皿ばね３０が装着され
ており、またクラツチ接続状態（図面上半部分）
で固定壁２９と摩擦プレート２６の間に一定の間
隙Ｄを隔てるようにスナツプリング３１により固
定壁２９側から摩擦プレート２６を係止してい
る。摩擦プレート２６の摩擦面（図面の右側面）
には摩擦板３２が張り付けられている。

次に作用について説明すると、レリーズヨーク
２２によりスリーブ２１等を介してクラツチケー
ス８を、図面の上半部分の状態から皿ばね１６の
弾性力に抗して矢印Ａ方向へ押し動かすと、クラ
ツチが切れ始める。クラツチケース８が隙間Ｄに
相当する距離を移動した後は、固定壁２９と摩擦
プレート２６が皿ばね３０の弾性力でもつて圧接
し始め、摩擦プレート２６と固定壁２９の間にブ
レーキトルクが発生し、クラツチケース８の回転
を止める。

以上説明したように本考案によると： (1) クラツチハウジング等の固定壁２９を利用し
ており、またクラツチケース８に装着する部材
はばね３０と摩擦プレート２６と止めリング
（スナツプリング）３１だけであるため、構造
が極めて簡単であり、組付け作業も簡単であ
る。

(2) 摩擦プレート２６はクラツチケース８の外周
部に配置されているので、大きなブレーキトル
クを発生させることができ、クラツチケース８
の連れ回りを確実に防止することができる。

なお図面においては摩擦プレート２６に摩擦材
３２を張り付けているが、本考案においては摩擦
材３２を張り付けていない摩擦プレート２６を使
用することもできる。また摩擦プレート２６をク
ラツチケース８と一体的に回転させる手段とし
て、キーを利用してもよく、またスプライン嵌合
してもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案による連れ回り防止装置を備えた
湿式クラツチの縦断面図である。 ３……出力筒軸（出力軸）、５５……クラツチ
ハブ、８……クラツチケース、２５……段部、２
６……摩擦プレート、２９……固定壁、３０……
皿ばね、３１……スナツプリング（止めリン
グ）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラツチハウジング内のクラツチケース８を出
   力軸３に軸方向摺動自在にスプライン嵌合し、ク
   ラツチばねの弾性力によりクラツチケース８をク
   ラツチ入り方向側に付勢して入力軸側のクラツチ
   ハブ５とクラツチケース８とを接続状態に維持す
   る湿式クラツチにおいて、クラツチケース外周の
   クラツチ切り方向側の端部に段部２５を介して小
   径部８ａを形成し、小径部８ａに環状の摩擦プレ
   ート２６を軸方向摺動可能に嵌合すると共に、ク
   ラツチケース８と一体的回転可能にクラツチケー
   ス８に係合し、摩擦プレート２６と段部２５の間
   に皿ばね３０を縮設して摩擦プレート２６をクラ
   ツチ切り方向側に付勢すると共に、止めリング３
   １により摩擦プレート２６を係止し、摩擦プレー
   ト２６のクラツチ切り方向側の摩擦面に対してク
   ラツチ接続状態で間隔を隔てて対向する固定壁２
   ９を設け、該固定壁２９をクラツチハウジングの
   一部で形成していることを特徴とする湿式クラツ
   チの連れ回り防止装置。