JPS6145279Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、掘穿隧道用止水シートに関し、特
に、ロツクボルト工法など、アーチ型支保工を使
用しない掘穿隧道に有用な止水シートに関するも
のである。

アーチ型支保工を使用する従来の工法では、隧
道内の湧・滴水による工事上の諸障害を排除する
目的で、隧道壁面の水止め手段としての止水シー
トが多用されており、しかして、この種の従来の
止水シートの構成方式では、挾着金具を用いてシ
ートの両端を支保工に取付けるようにした方式が
採られていた。

ところで最近は、ロツクボルト工法など、アー
チ型支保工を使用しない工法が実用化されるよう
になり、この工法では、モルタル、コンクリート
等の吹付けにより、肌落防止用の１次覆工を施行
し、必要に応じて覆工面に金網を展設するなどの
方法が採られていて、この工法ではその施工性が
良好で、工費の低減と工期の短縮等の利点を具え
ている。

しかしこの工法では、止水シートの上述した従
来構造から、１次覆工面に止水シートを取付ける
ことが困難であり、このため、ロツクボルト工法
に適応して施工作業性が良好で取扱いが容易な止
水シートが要望されているのが現状である。

本考案は、上記要望に答えるためになされたも
のであつて、すなわち、本考案の目的は、平滑な
隧道壁面に対して容易かつ強固に取付け得るよう
にした掘穿隧道用止水シートを提供することにあ
る。

以下、図示の一実施例に基づいて本考案を説明
するが、初めに、実施例の止水シートが付設され
た掘穿隧道の態様につき、第１図によつて説明す
る。

隧道の地肌１の内方からは、その適所に多数の
ロツクボルト２が放射状に打込まれて地山が固め
られると共に、その地肌面には、１次覆工の施工
により例えばモルタルなどの被層３が形成されて
いる。

ところで、１次覆工面すなわち被層３表面に取
付けられる実施例の止水シートには、所要枚数の
シート４（第４図参照）が使われるが、各シート
４は、その両側端と、適宜の間隔を置いた中間箇
所に配置された導水帯５と、各導水帯５の間に張
られて、その両端縁が導水帯５の裏面にオーバラ
ツプして強固に密着されている薄手の透明若しく
は半透明樹脂製防水フイルム６とにより形成され
ている。

しかして、各導水帯５は、厚手かつクツシヨン
質の樹脂材で形成されると共に、その表面には、
上下方向に多数の導水溝５ａが凹凸成形により列
設されており、一方フイルム６は、透明フイルム
が樹脂フイラメントで強化されたものであつて、
その両側端は、熔着、接着剤、粘着剤、粘着テー
プ等によつて水密かつ強固にオーバラツプされて
いる。

更に、水平方向に連続する一連のシート４は、
端部の導水帯５を互にオーバラツプさせて１次施
行面に固定されるが、その固定には、建設用鋲打
銃等のコンクリート釘７と、断面Ｍ形の長手の板
座金８とが用いられ、すなわち、表面を１次被層
面に対接させた各シート４の裏側から、導水帯５
に押当てられた板座金８を介して、エア銃、火薬
銃等を使用して釘７が被層３内に打込まれる。

なお、２次覆工のコンクリート釘設は、止水シ
ートの上から行われる。

このように構成された実施例の止水シートが付
設された掘穿隧道では、被層３表面からの湧・滴
水は、止水シートに遮ぎられて隧道内に落下する
ことがなく、従つて、工事作業を円滑に実施する
ことが可能であり、しかしてその湧・滴水は、導
水溝５ａに案内されて、途中に溜りを生じること
なく、隧道側部の排水溝９に流入する。

しかして、実施例の止水シートを使用する隧道
の施行工事では、次のような各般の利点が得られ
る。

(a) 平滑な隧道壁面であつても、自由な位置に止
水シートを取付けることができ、かつ、導水帯
５に厚みとクツシヨン性があるので、銃７の打
込みが容易で、更に、止水シート４は、水密か
つ強固に壁面に固定される。

(b) 壁面の途中に水が溜らないことから、良質な
２次覆工の打設が得られる。

(c) ２次打設コンクリート自体の養生時の収縮、
温度変化による伸縮等の動きが、止水シートに
遮ぎられて、１次覆工側に伝わることがなく、
これにより、２次打設コンクリートにクラツク
が生じないほか、２次覆工後においても、地山
からの湧・滴水が、導水溝５ａを経て容易に誘
導排出されるので、隧道内に落水が生じない。

(d) フイルム６の地肌１壁面追従性が良いので、
ロツクボルト２露出部に余計な空隙が生じず、
また、フイルム６を透明とすれば、壁面の様子
を外部から容易に視認し得る。

以上述べたように、本考案に係る掘穿隧道用止
水シートは、上述したゴム質導水帯と防水フイル
ムにより形成されるようにしたので、止水シート
をコンクリート釘により１次覆工面に固定させる
ことが可能となり、またこの状態における湧・滴
水の導出も容易となり、アーチ型支保工のない掘
穿隧道においても、容易かつ強固に止水シートを
取付けることが出来、且つ止水作用も良好であり
これにより、ロツクボルト工法などの有用性を一
層増大させる経済上と実用上の効果がある。

また本考案の止水シートにおいては、薄手の樹
脂フイルムより成る防水フイルム６の両側端と中
間箇所に、該フイルムより細幅とした厚手のゴム
質長板より成る導水帯５を互いにオーバラツプし
て予じめ接着形成させるようにしたので、比較的
脆く、しかも地山の地肌面の凹凸が表面に沿つて
突出されているモルタル吹付による１次覆工面に
も上記導水帯の部分により安全に釘止め添設出
来、しかも上記導水帯部分は細幅帯状の長板状で
あつて大半は薄手のフイルム材であるから、上記
地肌１壁面の突出部及びロツクボルト２の露出部
に容易に追従して被着され、止水シート上面から
の２次覆工後、該シートと１次覆工面との間に余
計な空隙が生ぜず、２次覆工面が安定するという
効果がある。

またさらに本考案の止水シートにおいては、上
述したように、薄手の樹脂防水フイルム６の各側
端部に、細幅の厚手ゴム質の帯状導水帯５が予じ
めオーバーラツプして接着されて成るものである
ため、凹凸のある掘穿隧道の１次覆工面に上記導
水帯５部により直接釘止め添張出来る施工の容易
な構造であつて、しかも全体として樹脂フイルム
６の面積が広いところからその重量も極めて軽
く、また上記樹脂防水フイルム６部により偏平に
折り畳んで運搬出来る等その取扱いも容易であ
り、現場での作業性と取り扱いが特段に容易であ
るとの実用上優れた効果が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例を示す掘穿隧道用
止水シートを付設した隧道の破断斜視図、第２図
は、第１図の−線における断面図、第３図
は、第２図の部分の拡大図、第４図は、実施例
シートの表面図である。 ３……壁面をなす被層、４……シート、５……
導水帯、５ａ……導水溝、６……防水フイルム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 掘穿隧道の壁面に展設されて、同壁面からの湧
   水、滴水を、その表面で受止める作用を行う止水
   シートにおいて、シートの両側端と、適宜の間隔
   を置いた中間箇所とに縦に配置されていて、厚手
   のゴム質長板より成る導水帯と、上記各導水帯の
   間に張られていて、薄手の樹脂フイルムより成る
   と共に、その各側端部が、同導水帯の裏面の側部
   にオーバラツプして該導水帯に予じめ接着されて
   いる防水フイルムとにより形成され、上記導水帯
   は上記防水フイルムより細幅の帯状に形成されて
   いることを特徴とする掘穿隧道用止水シート。