JPS6144879Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は立体感を有する金属光沢模様を現出す
る転写材に関するものであり、その目的とすると
ころは多量の金属顔料を必要とすることなく光輝
度、隠蔽性の両方に優れた繊細な立体感を有する
金属光沢模様を現出することができ、かつ容易な
工程にて製造することのできる安価な転写材を得
んとすることにある。

従来から各種金属板に立体加工、例えばヘアラ
イン加工、スピン加工、スクラツチ加工、砂目加
工、ハンマートーン加工等を施した如く繊細な立
体感を有する金属光沢模様を現出せんとして、し
ばしば転写材が用いられている。前記転写材のひ
とつとして、該転写材の一構成層にアルミニウム
等の金属粉末を含有する金属顔料を用いたものが
ある。この転写材は、ヘアライン加工、スピン加
工、スクラツチ加工、砂目加工、ハンマートーン
加工等を施してなる尖鋭な凹凸模様を有する基体
シート上に、剥離層、金属顔料層、接着剤層等を
順次積層してなるものである。しかし前記した転
写材においては通常、前記金属顔料層の隠蔽性を
必要とするため比較的粒径の小さい金属粉末より
なる金属顔料を用いざるを得なかつた。そのため
隠蔽性は保持されるが、金属光沢面の光輝度にお
いて劣るという欠点があつた。又、光輝度におい
て優れている比較的粒径の大きい金属粉末よりな
る金属顔料を用いた場合は、金属顔料層の隠蔽性
が不良であるという欠点が生じ、仮にこの種類の
金属顔料を多量に用いればある程度の隠蔽性は保
持されるがその製造工程がスクリーン印刷に限ら
れるため、グラビア印刷等によつて形成される繊
細な立体感を有する金属光沢模様が形成できない
及び金属顔料を多量に用いることは転写材の製造
コストを高くする原因となる等の問題点が生じる
ものであつた。

本考案者等は以上のような問題点に鑑み種々研
究、実験の結果、本考案を完成するに至つたもの
である。即ち本考案は凹凸模様を有する基体シー
ト１上に、該基体シート１より剥離可能な剥離層
２を設け、該剥離層２上に平均粒径が20μｍ以上
の金属粉末を少なくとも含有する第１インキ層３
を設け、該第１インキ層３上に平均粒径が14μｍ
以下の金属粉末を少なくとも含有する第２インキ
層４を設け、更に該第２インキ層４上に必要に応
じてアンカー層５を設けた後接着剤層６を設けた
ことを特徴とする立体感を有する金属光沢模様を
現出する転写材である。

以下本考案に係る転写材を図面に基づいて更に
詳しく説明する。

本考案に係る転写材は第１図に示すように凹凸
模様を有する基体シート１、剥離層２、第１イン
キ層３、第２インキ層４、必要に応じてアンカー
層５、及び接着剤層６より構成される。

基体シート１としては、例えばプラスチツクフ
イルム、セロハン、表面平滑なる紙、アルミ箔等
の表面の全面或いは部分的に任意の金属光沢模様
を構成する凹凸模様を物理的に刻み込んだものを
用いる。得られる金属光沢模様に強い立体感を現
出せしめるためには前記凹凸模様は尖鋭なるエツ
ジ部を持つことが好ましく、その凹凸の深さは３
μｍ以上あることが望ましい。前記凹凸模様は、
ヘアライン、スピン、スクラツチ、砂目、ハンマ
ートーン等任意の模様を選定することができる。

剥離層２は前記基体シート１より剥離可能にな
るように印刷塗布して形成する。またその膜厚は
前記基体シート１の凹凸の深さよりも薄くなるよ
うに形成することが好ましい。これは前記基体シ
ート１の尖鋭な凹凸形状の立体効果を維持するた
めである。前記剥離層２は転写後、基体シート１
に残るように構成してもよい。

第１インキ層３は平均粒径が20μｍ以上の金属
粉末を少なくとも含有するものである。金属粉末
としては例えばアルミニウム、黄銅等の粉末を用
い、ステアリン酸、オレイン酸等にて作成したペ
ーストを使用する。インキを構成する際の樹脂バ
インダーとしては例えば塩化ビニル酢酸ビニル共
重合体、塩化ゴム、アクリル系樹脂等を用いる。
第１インキ層３を形成する手段としてはグラビア
印刷、オフセツト印刷、スクリーン印刷等の印刷
手段による。第１インキ層３の厚みはほぼ３μｍ
程度である。

第１インキ層３の上に第２インキ層４が形成さ
れる。第２インキ層４は平均粒径が14μｍ以下の
金属粉末を少なくとも含有する。金属粉末、樹脂
バインダーは第１インキ層３と同様のものを用い
形成手段も同様である。

第１インキ層３、第２インキ層４には必要に応
じて金属顔料以外の顔料、染料をインキに混入
し、着色された金属光沢面を現出するようにして
もよい。

第２インキ層４の上にアンカー層５が設けられ
る。アンカー層５は第２インキ層４と接着剤層６
とを強く結合せしめるためのものであり、必要に
応じて設けられる。

接着剤層６としては例えばアクリル系の接着剤
を使用することができる。この場合接着剤層６と
第２インキ層４の相溶性が不十分な場合にはアン
カー層５として該両層に対して相溶性のある樹
脂、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体とアク
リルの混合した組成物を用いる。

本考案に係る転写材は以上のような構成である
から次のような効果を有する。まず、転写後被転
写体外表面に位置する第１インキ層は優れた光輝
度を有するものであり、また被転写体面側に位置
する第２インキ層は優れた隠蔽性を有するもので
あるから、光輝度、隠蔽性の両方に優れた立体感
を有する金属光沢模様を現出することができるも
のである。又、各層の膜厚は通常の厚さで十分な
効果を得ることができるものであるから多量の金
属顔料を必要とすることはなく、グラビア印刷、
オフセツト印刷等によつても形成することができ
るものである。更に本考案に係る転写材を形成す
るに当たり、基体シートの凹凸の深さを３μｍ、
剥離層の膜厚を２μｍ、第１インキ層及び第２イ
ンキ層の膜厚を各々３μｍとした場合、基体シー
ト表面の凹凸が第１インキ層及び第２インキ層に
迄影響を及ぼし、第１インキ層及び第２インキ層
自体にも凹凸が形成され、転写後、被転写体の表
面から見た場合、第１インキ層の凹凸に応じて光
が反射され非常に立体感の富んだ金属光沢模様が
得られる。

従つて本考案に係る転写材を用いると任意の被
転写体、例えばプラスチツク、紙、ガラス、木
材、金属等に、各種金属板に立体加工を施した如
く立体感を有する金属光沢模様を現出することが
でき、広く自動車部材、電気製品、化粧品容器等
に用いることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る転写材の層構成を表わす
拡大断面模式図を示す。 図中、１……基体シート、２……剥離層、３…
…第１インキ層、４……第２インキ層、５……ア
ンカー層、６……接着剤層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 凹凸模様を有する基体シート上に、該基体シ
   ートより剥離可能な剥離層を設け、該剥離層上
   に平均粒径が20μｍ以上の金属粉末を少なくと
   も含有する第１インキ層を設け、該第１インキ
   層上に平均粒径が14μｍ以下の金属粉末を少な
   くとも含有する第２インキ層を設け、更に該第
   ２インキ層上に必要に応じてアンカー層を設け
   た後接着剤層を設けたことを特徴とする立体感
   を有する金属光沢模様を現出する転写材。 ２ 剥離層が基体シートの凹凸の深さよりも薄い
   膜厚を有することを特徴とする実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の立体感を有する金属光沢
   模様を現出する転写材。 ３ 凹凸模様が、アラサ３μｍ以上の線状、条溝
   様の尖鋭な凹凸模様であることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の立体感を有
   する金属光沢模様を現出する転写材。