JPS6141752Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、フオークリフトのマスト装置に係
り、特に、マストリフトシリンダによつて複数段
のマストを昇降させるマスト装置に関する。

従来、この種のマスト装置においては、マスト
を昇降させるマストリフトシリンダのピストンロ
ツドの上端がミドルマストやインナマスト等のマ
ストアツパビームに逆Ｌ型ブラケツト等により直
接連結されている。このため、従来のマスト構造
においては、アウタマストによつて案内されマス
トマストシリンダによつて直接昇降されるミドル
マストあるいはインナマストの下端部に設けられ
たリフトローラの調整や交換等の作業の際には、
マストリフトシリンダやこのマストリフトシリン
ダへの油圧配管等を取り外し、アウタマストの下
端よりミドルマストあるいはインナマストの下端
部を突出させてリフトローラを露出させる必要が
あり、リフトローラの調整作業や交換作業が極め
て手間のかかる作業となつていた。

この考案はかかる従来の問題点に鑑みなされた
もので、その目的は、シリンダに対する損傷を防
止しつつ、ローラ調整等を簡単に行い得るフオー
クリフトのマスト装置を提供することである。

第１図において、この考案が適用されるフオー
クリフトＦのマスト装置が示されており、このマ
スト装置は、車体１の前部に昇降自在な複数段の
マスト２を配設し、アウタマスト２ａに隣接して
設けられた図示外のマストリフトシリンダを作動
させてマスト２を直接或いはチエーン３を介して
昇降させるようになつている。

この考案の実施例に係るマスト装置を三段フル
フリマストを例にして説明すれば、第２図及び第
３図に示すように、車体の前部に前後傾自在に支
持されたアウタマスト２ａにはこのアウタマスト
２ａに案内されて昇降自在なミドルマスト２ｂが
設けられており、ミドルマスト２ｂにはこのミド
ルマスト２ｂに案内されて昇降自在なインナマス
ト２ｃが設けられており、更に、インナマスト２
ｃにはこのインナマスト２ｃに案内されてフルフ
リシリンダ１０により昇降されるフオークキヤリ
ツジ１１が設けられている。ミドルマスト２ｂ及
びインナマスト２ｃを昇降させるマストリフトシ
リンダ４はアウタマスト２ａの左右位置に一対設
けられており、これらのマストシリンダ４のピス
トンロツド５の上端はミドルマストアツパビーム
７ｂに着脱自在なコネクタ６を介して連結されて
いる。このミドルマストアツパビーム７ｂの上部
には一対のチエーンホイール１２が軸支されてお
り、一端がアウタマスト２ａの上部に固定された
一対のチエーン３が夫々チエーンホイール１２を
周回してインナマスト２ｃの下部に固定されてい
る。

ピストンロツド５の上端とミドルマストアツパ
ビーム７ｂとの連結は、第４図に拡大して示すよ
うに、ピストンロツド５の上端をコネクタ６の下
部に設けた受部１３内に嵌め込みピン１４によつ
て連結すると共に、コネクタ６の上部に設けたフ
ランジ部１５にボルト挿通孔１６を穿設し、ミド
ルマストアツパビーム７ｂにねじ孔１７を設け、
ボルト１８によつてフランジ部１５とミドルマス
トアツパビーム７ｂとを連結する。ミドルマスト
アツパビーム７ｂにはコネクタ６を連結する際の
位置決め用のロケート孔１９が穿設されており、
コネクタ６のフランジ部１５から上方に突出した
突出部２０がこのロケート孔１９内に嵌め込まれ
ている。又、マストリフトシリンダ４の上端には
リング状の衝撃吸収体８が装着されており、更
に、コネクタ６とミドルマストアツパビーム７ｂ
との間にはスペーサシム９が介装されている。

この実施例において、衝撃吸収体８は、第５図
及び第６図に示すように、金属板でリング状に裏
金２１を形成し、この裏金２１の中央部に形成さ
れた貫通孔２２をピストンロツド５が摺動自在に
貫通できるようにされており、又、裏金２１の上
面には樹脂又はゴム等で成形された弾性体２３が
固着され、更に、この弾性体２３の上面には更に
弾性体で形成された四個の突起２４が設けられて
いる。又、スペーサシム９は、第７図に示すよう
に、コネクタ６のフランジ部１５と略同じ形状に
形成されており、コネクタ６のフランジ部１５と
ミドルマストアツパビーム７ａとの間に介装する
際にこれら両者の間を連結するボルト１８を完全
に取り外さなくても側方から差し込んで装着でき
るように、ボルト１８及び突出部２０が挿通する
切欠２５が形成されている。

尚、第２図及び第３図において、符号２６は油
圧配管を示し、アウタマスト２ａの上端にはアウ
タマストアツパビーム７ａが設けられており、チ
エーン３の一端はこのアウタマストアツパビーム
７ａに設けられたアジヤストボルト２７に連結さ
れており、更にインナマスト２ｃの上端部にはイ
ンナマストアツパビーム７ｃが設けられている。
又、符号２８はフオークキヤリツジ１１を昇降さ
せるフルフリチエーンを示し、ミドルマスト２ｂ
及びインナマスト２ｃの下端部両側並びにフオー
クキヤリツジ１１のフインガーバー２９には夫々
リフトローラ３０ａ，３０ｂ，３０ｃが設けられ
ており、これらのリフトローラ３０ａ，３０ｂ，
３０ｃは夫々アウタマスト２ａ、ミドルマスト２
ｂ及びインナマスト２ｃの内側に設けられたガイ
ド部３１ａ，３１ｂ，３１ｃ内を円滑に摺動する
ように形成されている。

従つて、この実施例のマスト装置によれば、マ
スト組立の際にピストンロツド５の上端とミドル
マストアツパビーム７ｂとの間を連結するには、
マストリフトシリンダ４の上端に衝撃吸収体８を
配設し、この衝撃吸収体８の貫通孔２２を摺動自
在に貫通して突出するピストンロツド５の上端を
コネクタ６の下部に設けた受部１３内に嵌め込ん
でピン１４により連結し、ミドルマストアツパビ
ーム７ｂとフランジ部１５との間をボルト１８に
より連結する。ミドルマスト２ｂの下端部に取り
つけられたリフトローラ３０ａを交換或いは調整
する場合には、ミドルマスト２ｂを適当な位置で
クレーン等により保持し、コネクタ６のアツパビ
ーム７ｂへの連結用ボルト１８を取り外し、ピス
トンロツド５を下降させてロケート孔１９から突
出部２０を抜き出し、そしてピン１４を外してコ
ネクタ６を取り外し、ピストンロツド５の上端と
アツパビーム７ｂとの間に空間部を形成してその
状態からミドルマスト２ｂを下降させると、リフ
トローラ３０ａがアウターマスト２ａ下端より下
方に露出するので、この露出した状態でリフトロ
ーラ３０ａを交換したり調整したりする。なおこ
のリフトローラ３０ａの交換或いは調整はマスト
リフトシリンダ４や、油圧配管２６等を取り外す
ことなく行なうことができるものである。

次に、このようにして組立てられたマスト２の
最大揚高時におけるこのマスト２の傾き（左右の
マストリフトシリンダ４の最大揚高時における全
長差による傾き）を修正するための調整は、先
ず、油圧配管２６より作動油を供給してマスト２
を第２図に示すような最大揚高状態にさせ、この
マスト２の傾きを測定した後にミドルマスト２ｂ
を適当な高さに支持する図示外の支持台をミドル
マスト２ｂの下端部に挿入して作動油を抜き、マ
ストシリンダ４のピストンロツド５を下降させて
このミドルマスト２ｂを支持台で支える。次い
で、作動油を完全に抜いた後にボルト１８を緩
め、ミドルマストアツパビーム７ｂとコネクタ６
のフランジ部１５との間に隙間を設け、マスト２
の傾きを修正するのに適当な厚さのスペーサシム
９をミドルマストアツパビーム７ｂとコネクタ６
のフランジ部１５との間に介装し、再びボルト１
８を締め付け、油圧配管２６より作動油を供給し
てマスト２を最大揚高状態にし、マスト２の傾き
が修正されたか否かをべる。もし、マスト２の傾
き修正の調整不十分であれば、再び上記操作を繰
り返す。

尚、上記実施例において、衝撃吸収体８は、リ
ング状に形成した裏金２１の上面に弾性体２３を
設け、この弾性体２３の上面に弾性材で形成した
突起２４を設けて、この衝撃吸収体８をマストリ
フトシリンダ４の上端に固定しなくても、ピスト
ンロツド５を上昇させたときにこの衝撃吸収体８
がコネクタ６の受部１３の下面に付着して持ち上
げることがないようにすると共に、ピストンロツ
ド５が下降してコネクタ６の受部１３の下面が衝
撃吸収体８に衝突したとき充分に衝撃を吸収でき
るようになつている。しかしながら、この衝撃吸
収体８は、その全体を弾性材で一体に形成しても
よく、又、この衝撃吸収体８をマストリフトシリ
ンダ４の上端あるいはコネクタ６の受部１３の下
面に接着、ねじ止め等の手段で固着する場合等に
は必ずしも突起２４を設ける必要がない。又、上
記実施例においてはスペーサシム９に切欠２５が
形成されているが、この切欠２５に代えてボルト
１８や突出部２０が貫通する孔を形成することも
できる。

以上の通り、この考案のマスト装置は、ピスト
ンロツド５の上部とミドルマストアツパビーム７
ｂとの間が着脱自在なコネクタ６を介して連結さ
れているので、ミドルマスト２ｂの下端部に設け
られたリフトローラ３０ａをアウタマスト２ａの
ガイド部３１ａにガタつきなく嵌め込むための調
整やリフトローラ３０ａの破損等による交換の作
業の際に、コネクタ６を取り外すだけでリフトロ
ーラ３０ａをアウタマスト２ａのガイド部３１ａ
から下方に露出させて作業を行うことができ、従
来のようにマストリフトシリンダ４や油圧配管２
６等まで取り外す必要がなくなり、このリフトロ
ーラ３０ａの調整あるいは交換作業が極めて容易
になる。

又、本考案においては、マストリフトシリンダ
４とコネクタ６との間に衝撃吸収体を介装したた
め、ピストンロツド５が下降したときにこの衝撃
吸収体８を介してコネクタ６の下端がマストリフ
トシリンダ４の上端に衝突することができる。よ
つて、この時の衝撃が衝撃吸収体８によつて吸収
され、運転者にとつて不快な衝撃音の発生を防止
できるほか、マストリフトシリンダの破損を防ぎ
マスト２やマストリフトシリンダ４の耐久性に悪
影響を与えるのを防止できる。このため、マスト
リフトシリンダ４のピストンロツド５の上端をコ
ネクタ６を介してマストアツパビーム７に連結し
たことによりピストンロツドの作動ストロークが
変化しても、マストリフトシリンダを取換える等
の対処をする必要はなく、マストリフトシリンダ
の共用化を図ることが可能となる。

尚、上記実施例のように、衝撃吸収体８に突起
２４を設け、この衝撃吸収体８をマストリフトシ
リンダ４の上端等に固着しない場合には、ミドル
マスト２ｂを適当な高さに支持した後にピン１４
を抜き取り、ピストンロツド５を下降させること
により、極めて簡単に衝撃吸収体８の交換を行う
ことができる。

更に、上記実施例においては、ミドルマストア
ツパビーム７ｂとコネクタ６のフランジ部１５と
の間にスペーサシム９を介装して、マスト２の最
大揚高時におけるこのマスト２の傾きを容易に調
整することができるので、最大揚高時におけるマ
スト２の傾きを完全に防止することができる。

尚、上記実施例においては、三段フルフリマス
トのマスト装置を例にして説明したが、これに限
定されるものではなく、本考案は二段マスト等の
他のマスト装置に適用することもできる。例え
ば、二段マストでインナーマストをマストリフト
シリンダーによつて昇降し、マストリフトシリン
ダとフオークキヤリツジとの間に介装されたチエ
ーンによりフオークキヤリツジを昇降させる場合
は、インナーマストとアツパビームとマストリフ
トシリンダのピストンロツドの上端との間にコネ
クタを介して連結するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案が適用されるフオークリフト
のマスト装置を示す斜視図、第２図はこの考案の
一実施例に係る三段フルフリマストのマスト装置
を示す側面概要図、第３図は第２図に係るマスト
構造の分解組立図、第４図はマスト構造の要部を
示す第２図の要部の拡大側面図、第５図は衝撃吸
収体の平面図、第６図は第５図の−線断面
図、第７図はスペーサシムの斜視図である。 Ｆ……フオークリフト、１……車体、２……マ
スト、２ａ……アウタマスト、３……チエーン、
４……マストリフトシリンダ、５……ピストンロ
ツド、６……コネクタ、７……マストアツパビー
ム、８……衝撃吸収体、９……スペーサシム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 車体１の前部に昇降自在な複数段のマスト２
   を配設し、これらのマスト２をマストリフトシ
   リンダ４を作動させることにより直接或いはチ
   エーン３を介して昇降させるようにしたフオー
   クリフトＦにおいて、上記マストリフトシリン
   ダ４のピストンロツド５の上端を着脱自在なコ
   ネクタ６を介してマストアツパビーム７に連結
   すると共に、マストリフトシリンダ４とコネク
   タ６との間に衝撃吸収体８を介装したことを特
   徴とするフオークリフトのマスト装置。 ２ マストアツパビーム７とコネクタ６との間に
   スペーサシム９を介装したことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載のフオークリ
   フトのマスト装置。