JPS6141429Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は制御機器、工作機械、記録計等に用い
られる電気エネルギーを電磁作用により往復運動
エネルギーに変換させる往復駆動装置に係り、特
に可動磁石式の往復駆動装置に関する。

従来から、可動磁石式の往復駆動装置として
は、例えば第１図に示すものが知られている。第
１図に記載の往復駆動装置は、強磁性体からなる
相対向する２枚の平板ヨーク１および１′に、電
磁コイル２および２′をそれぞれ装着してステー
タ３を構成し、このステータ３内に図示の如く着
磁した永久磁石４を摺動自在に設けたものであ
る。このような構成によれば、例えば電磁コイル
２および２′に図示極性の磁極が現出する如く通
電すると、永久磁石４は図示矢印Ａ方向に移動
し、一方電磁コイル２および２′に図示とは逆極
性の磁極が現出する如く通電すると永久磁石４は
図示矢印Ｂ方向に移動する。

しかるに、この往復駆動装置においては、永久
磁石４に対面する側の電磁コイルのみしか動作力
に寄与しないため、電気エネルギーを往復運動エ
ネルギーに変換する効率が低いという欠点があ
る。

この他の可動磁石式の往復駆動装置としては、
例えば本考案者等によつて提案された実願昭52−
130502号（実公昭58−45514号）の考案が知られ
ている。実願昭52−130502号に係る第２図に記載
の往復駆動装置は、縦断面端面を略Ｅ形に形成し
た強磁性体からなるヨーク５内に２個の筒状電磁
コイル６および６′を相隣る部分に同極が発生す
るように配設し、ヨーク４の中央部に、軸方向に
着磁してなる永久磁石７の両端に磁極片８および
８′を設けてなる可動子９を軸方向摺動自在に設
けたものである。このような構成によれば、例え
ばヨーク５に図示極性の磁極が現出する如く電磁
コイル６および６′に通電すると、可動子９は図
示矢印Ａ方向に移動し、一方電磁コイル６および
６′への通電方向を逆にすると可動子９は図示矢
印Ｂ方向に移動する。

しかるに、この往復駆動装置においては、動作
力がヨーク５と磁極片８，８′間の電磁吸引力に
より発生するため、発生推力は大となるすなわち
エネルギーの変換効率は高くなるという利点を有
しているが、動作特性の線形性に難点がありまた
ストロークがあまり長くとれないという欠点があ
る。

本考案の目的は、上述の逆来技術の欠点を解消
し、電気エネルギーを効率よく往復運動エネルギ
ーに変換できしかも動作特性の線形性にすぐれた
往復駆動装置を提供することである。

本考案の往復駆動装置は、軟磁性体よりなる筒
状ヨーク内に相隣る部分に同極が発生するように
２個の筒状電磁コイルを配設し、前記電磁コイル
中央部には、永久磁石と磁極片からなり、外周両
端部に互いに逆極性の磁極を有する略円筒状の可
動子を、軸方向移動自在に配設し、前記磁極の一
方から流出した磁束を当該磁極を取囲む前記電磁
コイルと鎖交せしめついで前記筒状ヨークを通し
てからもう一方の前記電磁コイルと鎖交せしめて
前記磁極の他方に流入せしめたことを特徴として
いる。

以下本考案の詳細を図面により説明する。

第３図は本考案の往復駆動装置の一実施例を示
す縦断面図である。第３図において、１０は軟磁
性体よりなる筒状ヨークで、その内部には相隣る
部分に同極が発生するように２個の電磁コイル１
１および１１′が配設されている。さらに電磁コ
イル１１および１１′の内部には、軸方向に着磁
してなる棒状の永久磁石１２の両端に磁極片１３
および１３′を設けてその磁束が電磁コイル１１
および１１′の各々と異極が鎖交する如く形成さ
れた可動子１４が、軸方向移動自在に配設れてい
る。尚第３図には、可動子１４の支持構成が示さ
れていないが、例えば前述の実願昭52−130502号
に示される如く可動子の両端に軸を設けるととも
にヨーク両端に軸受を有する側板を装着して軸を
軸受を介して側板に支持することやあるいは可動
子の両端に軸を設けこれをヨークに固定されたバ
ネにより支持することなどの通常の支持機構で十
分である。

次に上記構成による往復駆動装置の動作を説明
する。可動子１４を構成する永久磁石１２のＮ極
から流出した磁束は磁極片１３を通つて電磁コイ
ル１１と鎖交しついでヨーク１０内を通り、しか
る後電磁コイル１１′と鎖交しついで磁極片１
３′を通つて永久磁石１２のＳ極に戻る。ここで
電磁コイル１１，１１′に図示極性の磁極が発生
するように通電すると、各々の電磁コイル１１，
１１′とこれらと鎖交している永久磁石１２の磁
束との間に推力が発生して可動子１４は図示矢印
Ａ方向に移動する。また、電磁コイル１１，１
１′にそこに発生する磁極が図示極性とは逆にな
るように通電すると、可動子１４は図示矢印Ｂ方
向に移動する。この場合、可動子１４に発生する
推力は、基本的にはフレミングの左手の法則に基
づいて与えられる推力に準ずるものである。詳述
するとフレミングの左手の法則はコイルに対して
適用されるが、この場合コイルは固定されている
ため可動子にはコイルに作用する推力の反力とし
ての推力が発生する。

上記の往復駆動装置によれば、電磁コイル全体
が電気エネルギーの往復運動エネルギーへの変換
に利用できるため、エネルギーの変換効率がよ
く、またフレミングの左手の法則に準ずる力で推
力が与えられるため動作の線形性が良く、装置を
簡単でしかも小型化できるという効果が得られ
る。

次に、本考案の他の実施例を第４図により説明
する。

第４図は本考案の往復駆動装置の他の実施例を
示す縦断面図であり、第３図と同一部分は同様の
参照符号で示す。第４図において、筒状ヨーク１
０ならびに電磁コイル１１，１１′の構成は第３
図に示したものと同様である。しかして、可動子
１４は棒状の磁極片１６の両端部に２個の筒状の
永久磁石１５および１５′を装着して形成されて
おり、これら永久磁石１５，１５′はその磁束が
電磁コイル１１，１１′の各々と異極が鎖交する
如く着磁されている。したがつて第４図の往復駆
動装置は第３図に示されたものと同様に作動し、
又この装置によつても同様の作用・効果が得られ
る。

尚、本考案は上記の各実施例に示したものに限
らず種々の変形が可能である。例えば可動子を永
久磁石のみで形成し、各電磁コイルと異極が鎖交
する如く着磁して使用しても、上記と同様の効果
が得られる。また第３図および第４図において、
永久磁石１２あるいは磁極片１６を中空としてそ
こに軸を装着するなどしてもよい。

以上に記述の如く、本考案によれば次のような
効果が得られる。

(1) 電磁コイル全体が電気エネルギーの往復運動
エネルギーへの変換に利用できるため、エネル
ギーの変換効率のよい往復駆動装置が得られ
る。

(2) 往復駆動装置に発生する推力がフレミングの
左手の法則に準ずる力で与えられるため、動作
の線形性が良好である。

(3) 構造簡易、小型であり、信頼性の高い往復駆
動装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の往復駆動装置の一例を示す縦断
面図、第２図は従来の往復駆動装置の他の例を示
す縦断面図、第３図は本考案の往復駆動装置の一
実施例を示す縦断面図、第４図は本考案の往復駆
動装置の他の実施例を示す縦断面図である。 １０：筒状ヨーク、１１，１１′：電磁コイ
ル、１２，１５，１５′：永久磁石、１３，１
３′，１６：磁極片、１４，１４′：可動子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 軟磁性体よりなる筒状ヨーク内に、相隣る部
   分に同極が発生するように２個の筒状電磁コイ
   ルを配設し、前記電磁コイル中央部には、永久
   磁石と磁極片からなり、外周両端部に互いに逆
   極性の磁極を有する略円筒状の可動子を、軸方
   向移動自在に配設し、前記磁極の一方から流出
   した磁束を当該磁極を取囲む前記電磁コイルと
   鎖交せしめついで前記筒状ヨークを通してから
   もう一方の前記電磁コイルと鎖交せしめて前記
   磁極の他方に流入せしめたことを特徴とする往
   復駆動装置。 ２ 軸方向に着磁した円筒状の永久磁石の両端に
   磁極片を装着して可動子を構成したことを特徴
   とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の往
   復駆動装置。