JPS6141234B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、上面側に山形その他の隆起部を形
成したスキー板及びその製造方法に係るものであ
る。

従来より、スキー板には木製、FRP製、メタ
ル・グラス製等がある。

木製スキー板においては、古い時代に強度を維
持するために、上面側を山形その他の隆起部もの
が多く用いられていたが、重量が重く、操縦性が
悪く、曲げ剛性が不足するため、徐々に平板状に
なり、しかもFRPやメタルを使用した性能の良
いスキー板に置き換わつてきた。そして現在で
は、第１図に示すようにスキー板１の厚みが、ス
キー板先端部より中央部にかけては徐々に厚くな
り、中央部から後端部にかけては、徐々に薄くな
る両テーパー形状で、且つ上面が平らな形状を有
するスキー板が一般化しといる。又構造として
は、第２図に示すようにFRP板等の補強部材２
を芯材の上下面に配置したサンドイツチ構造のも
のや、第３図に示すように、芯材の全周に補強部
材３を配置したボツクス構造のものが公知となつ
ている。

これらの構造は、スキー板を製造する際に製造
工程が容易なため、スキー板メーカーで一般に採
用されているのである。

しかし、スキー板を物性面から考えた場合にお
いては、捩れ強度や曲げ強度や振動減衰性や空気
抵抗など、相互に影響を及ぼし合う諸特性をいか
にバランスよく配置して、設計するかが、非常に
難かしい問題点であつた。

例えば、スキー板の捩れ強度を向上させれば、
曲げ強度が高くなり、腰の硬いスキー板になつて
しまうと共に、振動減衰性も低下してしまい、滑
走性能に悪影響を及ぼすなどの欠点を有してい
た。

そのほか、滑走中のスキー板の空気抵抗を減少
させることを考慮して、スキー板先端のシヨベル
部分に任意形状の孔を開孔したり、シヨベル部分
の立ち上がりを低くすることにより、できるだけ
空気抵抗を抑制して、滑走時のスピードを速める
工夫がなされているが、これらの方法は、製造工
程に手間がかかり、製造コストが高くなる欠点を
有していた。

そのため、各種の特性を備えた素材を組み合わ
せて、ソフトな弾力を有し、且つ捩れ強度が高
く、振動減衰性が良好で、空気抵抗値の小さいス
キー板の開発が望まれており、種々の研究開発が
行なわれているが、未だ満足の行くスキー板が提
供されていない。

本発明はこれら従来の欠点に鑑み、古い木製ス
キー板に実施されていた上面側の盛り上がり構造
を参考にして、スキー板の上面形状を従来の平板
状から上面側に盛り上がつたキール部を形成する
ことにより、剛性、捩れ強度、振動減衰性、空気
抵抗等のスキー板における諸特性を改善すること
により、滑走性の良いスキー板を供給することを
目的になされたものである。

本発明の実施例は、第４図から第６図に示すよ
うに、スキー板成形用の下金型４内に、滑走面材
５、スチールエツジ６、補強部材７等を組み込
み、次に硬質芯材８を繊維補強部材９で被覆した
中芯部材１０を配置し、更に該中芯部材１０の上
に軟質芯材１１を繊維補強部材１２で被覆した隆
起部形成用補助部材１３を配置した後、上面部材
１４を配置する。該上面部材１４の上に、スキー
先端部、締具取り付け部及びスキー後端部を除く
部分に、山形隆起部形成用の凹面１５を有する上
金型１６を載置した後、圧締し加熱硬化すること
により上面側に山形隆起部を形成することを特徴
とするスキー板１７とその製造方法である。

本発明においては、硬質芯材８を繊維補強部材
９で被覆した中芯材１０の上に、更に軟質芯材１
１を繊維補強部材１２で被覆した隆起部形成用補
助部材１３を配置する構造になつているため、加
圧、加熱した際には、中芯部材１０に使用してい
る硬質芯材８はごくわずかに収縮するだけで、こ
れらの圧力や温度に対しては、専ら隆起部形成用
補助部材１３の軟質芯材１１が、上金型１６の形
状に合致するように変形収縮するため、スキー板
上面側の中央部分が盛り上がつて、容易に山形隆
起部を形成することができる。

このように本発明においては、例えば、隆起部
形成用補助部材の軟質芯材に成形の際に、圧力と
温度により収縮比率の変わる発泡合成樹脂製芯材
を使用すれば、芯材の厚みなどの寸法精度は、比
較的ラフな設計で使用できるため、作業上の手間
が簡略化できる。

又本発明のスキー板においては、従来のスキー
板と異なり、隆起部形成用補助部材を用いてキー
ル部を形成しているが、この隆起部形成の繊維補
強部材は略ボツクス構造を形成している点、及び
隆起部自体が山形形状になつている点から、強度
や曲げ剛性、捩れ強度等に大きく寄与することが
判明した。

そのため、隆起部形成用補助部材の配材を適宜
変更することにより、スキー板自体の設計の自由
度が向上し、強度や曲げ剛性や捩れ強度等の相互
のバランスをうまく設計に盛り込んだスキー板を
供給できる。又本発明のスキー板においては、隆
起部形成用補助部材に使用する繊維補強部材が略
ボツクス形状になるため、従来のサンドイツチ構
造のように平板状で使用するよりも、同じ使用量
であつても物性的に向上する特徴がある。

そのほか、本発明によるスキー板においては、
スキーの先端部、締具取り付け部、スキーの後端
部では、山形隆起部に徐々に移行するようにテー
パーが付いているため、滑走時の空気の流動は極
めてスムーズになり、スキー上面側で生じる空気
の乱流を減少させる効果があるため、空気抵抗が
減少して滑走性が向上する。又上面部材として、
摩擦抵抗が小さく、表面張力の大きな素材、例え
ばポリエチレンやテフロン等を使用すれば、上面
側は山形隆起部になつていることから、着雪防止
効果があつて、より一層空気抵抗を減少させるの
で、滑走性能がさらに良好となる効果がある。

そのほか、隆起部成形用補助部材の軟質芯材
に、ウレタンエラストマー発泡体や、制振剤等を
添加した発泡合成樹脂等を使用することにより、
著しく振動減衰性が改良される効果も生じる。

第７図から第９図に示すような台形状やエビー
ム状やアーチ状の隆起部にすることによつても同
様の効果が生じるものである。

なお、本発明に用いる繊維補強部材としては、
エポキシ樹脂やポリエステル樹脂をマトリツクス
樹脂として、ガラス繊維やグラフアイト繊維等よ
りなる織布や編組等に含浸させて使用することが
できる。

又中芯部材の構造は、ボツクス構造でもサンド
イツチ構造でも任意に選択することができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のスキー板を示す斜視図。第２
図は、従来のサンドイツチ構造を有するスキー板
を示す要部断面斜視図。第３図は、従来のボツク
ス構造を有するスキー板を示す要部断面斜視図。
第４図は、本発明に係るスキー板を製造するため
の一工程を示す要部断面斜視図。第５図は、本発
明に係るスキー板を示す要部断面斜視図。第６
図、第７図は、本発明に係るスキー板の一例を示
す斜視図。第８図、第９図、第１０図は、本発明
に係るスキー板のその他の実施例を示す要部断面
斜視図である。 １……スキー板、２……補強部材、３……補強
部材、４……下金型、５……滑走面材、６……ス
チールエツジ、７……補強部材、８……硬質芯
材、９……繊維補強部材、１０……中芯部材、１
１……軟質芯材、１２……繊維補強部材、１３…
…隆起部形成用補助部材、１４……上面部材、１
５……凹面、１６……上金型、１７……隆起部を
形成したスキー板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 硬質芯材を繊維補強部材で被覆形成した中芯
   部材と、該中芯部材の上に、軟質芯材を繊維補強
   部材で被覆した隆起部形成用補助部材と上面部材
   を配置し、スキー板の上面側に山形その他の隆起
   部を形成したことを特徴とするスキー板。 ２ スキーの先端部、締具取り付け部及びスキー
   の後端部を除く部分のスキー上面側の全幅の中央
   部分に山形その他の隆起部を有する特許請求の範
   囲第１項記載のスキー板。 ３ 上面部材に摩擦抵抗が小さく、表面張力が大
   きな合成樹脂を使用した特許請求の範囲第１項記
   載のスキー板。 ４ スキー板成形用の下金型内に、滑走面材、ス
   チールエツジ、補強部材を組み込み、次に硬質芯
   材を繊維補強部材で被覆した中芯部材を配置し、
   更に該中芯部材の上に軟質芯材を繊維補強部材で
   被覆した隆起部形成用補助部材を配置した後、上
   面部材を配置し、該上面部材の上にスキーの先端
   部、締具取り付け部及びスキーの後端部を除く部
   分に山形その他の隆起部形成用凹面を有する上金
   型を載置した後、圧締し加熱硬化することによ
   り、スキーの上面側に山形その他の隆起部を形成
   したことを特徴とするスキー板の製造方法。