JPS6140799B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の分野〕 本発明は製紙装置のフオーミングボードに係
り、特に、紙を形成する製紙材料の羊毛状のかた
まり（フロキユレーシヨン）を減ずるフオーミン
グボードに関する。

〔従来技術の記述〕

手による製紙技術の初期の実行の際には、人間
が大桶からモールドによつて、ストツクをすく
い、次いで水がモールドから排水される間、モー
ルドを振つたり、動かしたりした。形成される紙
匹は非常に均質なものであつた。自動化された機
械を使う今日の紙の製造は、均一性においても匹
敵する紙匹を得るように努めているが、自動的手
段によつて製造される紙のほとんどは均一性に欠
ける。近年の研究によれば、この均一性の欠如の
原因の一として、ストツクのフロキユレーシヨン
がある。このフロキユレーシヨンは、ヘツドボツ
クスにあるものだけでなく、ストツクが形成され
る前に、ストツクが抄網の上にある間における、
ストツクによつて消費される比較的短い期間に発
生する。このフロキユレーシヨンは、ヘツドボツ
クスの内側のレクテイフイアロールと、抄網の下
側に配置された横断された開流機との使用によつ
ていくぶん減少される。しかしながら、抄網の速
度が減少するにつれて、これらの方法の効果も減
少することがわかつた。人がこぐことが、複雑な
せん断を導くことによつて、製紙原料の流れを散
らしていたことが明らかである。しかも、高速で
高品質の紙を生産する為には、高速時におけるこ
ぎ（ストローク）に匹敵する新しい方法が発見さ
れねばならない。

ストツク中に大きな乱れをつくることにより抄
網上に沈殿されもしくは、形成されたフロツクを
解体させるために、いくつかの方法が提案されて
いる。例えば、セパル米国特許3573159号やジヨ
ンソン米国特許3874998号は、抄網を横切つて広
がる横方向の波を形成する為の横方向の溝を有す
るフオーミングボードを提案した。しかしなが
ら、これらの方法はいまだに充分でないこともわ
かつた。

最近、高速製紙機械に有効なデフロキユレーシ
ヨン方法として、オツトJ.カルメスとマニユエル
ペレツが抄網に関して縦方向に広がる波を連続的
に発生させたり破壊させたりすることを提案し
た。この種の行為は、横方向のせん断によるフオ
ーミング過程において、ストツクに、批較的大き
な横方向の運動を与え、かようにして、内部での
フロツクの形成を破壊そして、あるいはまた制限
するものである。カルメスとペレツの装置は1982
年ペーパーメーカーズコンフアレンスに掲載さ
れ、タツピ（TAPPi）によつて公表された。

〔発明の目的と要約〕

本発明の目的は、製紙機械の抄網の上のストツ
クの中に縦方向の波を形成する要素を有するフオ
ーミングボードを提供するにある。

次の目的は、相対的に簡単な形であり、それ故
製造が容易であるフオーミングボードエレメント
を提供するにある。

他の目的と効果は以下の記述で明らかとされ
る。

本発明によれば、波は抄網の上に置かれたスト
ツク中に形成される。抄網の下に置かれた多くの
フオーミングボードエレメントを提供することに
よつて、前記波は縦方向の峰と谷により特徴づけ
られる。抄網を横切つて横方向に広がつた一定間
隔の多くのノツチを有するエツヂは、上流側の横
方向に並び、このエツヂを各要素は有する。抄網
とストツクは各板を横切つて移動し、水は抄網か
ら排水され、そして水はこれらのノツチによつて
ストツクの中に再び入れられる。

実例として長網抄紙機に関し、本発明を説明す
る。第１図及び第１Ａ図に示す如く、長網抄紙機
は、ヘツドボツクス１０と、抄網１２と、ブレス
ト及びクーチロール１４と１６からなる。抄網は
連続していて、そしてブレストロールとクーチロ
ールの間を移動される。ストツクは抄網の上表面
１８上にヘツドボツクスから配される。ヘツドボ
ツクスに続き、抄網は幾つかの要素２２，２４，
２６，２８からなるフオーミングボードの上を通
過する。この段階で、水分はいくらかストツクか
ら脱水され、その繊維分は、紙の形成を完成させ
る為の薄いぬれた紙匹２０に集まる。フオーミン
グボードの上を通過した後、板は、弁や真空箱の
ようなその他の種々の脱水装置に輸送される。こ
れらの装置は、技術的によく知られており、それ
故説明は省略する。クーチロール１６において紙
匹２０は取り除かれ、圧縮と乾燥工程に渡たされ
る。抄網はローラ３０によつてブレストロール１
４へ戻される。

フオーミングボードエレメント２２〜２８につ
いて、もう少し詳しく説明する。ここで提示され
ている図では４つの板要素が表示されているが、
本発明は４つの要素に限らず、任意の数の要素に
も適用されうるということが理解されるべきであ
る。

第２図に示す如く、形成板要素２２，２４，２
６，２８は、矢印で示される抄網の運動方向に対
して横切るように配置される。各要素は、多数の
ノツチ３４の備わつた導入エツヂもしくは上流エ
ツジ３２を有している。これらのノツチは、各板
の長さ方向に沿つて、均等の間隔で配置されるの
が望ましい。抄網がヘツドボツクスから移送され
るにつれて、ストツクから抄網を通して排出され
る水は、ノツチによつてストツクの中に向つて上
背面方向に押され、その中に縦方向の波が形成さ
れる。ノツチのわずかに下流側例えば、第２図の
Ｘ−Ｘ線による、断面図は、峰３６と谷３８から
なる多数の波（第４ａ図）を表わしている。各隆
起部はノツチ３４のひとつに対応している。フオ
ーミングボードエレメントは、各板のノツチが互
いに一直線になるように、合わせられる。即ち、
長さ方向にひかれた２本の想像線ＡとＢは、各要
素において各ノツチ３４を通過する。この配列は
明確な、十分定義された峰と谷を形成する。なぜ
ならストツクは各要素の間を通過する時に、緊張
がとれ、次の形成板要素のノツチによつて再び上
方向に押されるからである。この縦方向の波の発
生と補強は、ストツクの中に横方向のせん断をひ
きおこす。そしてその結果、フロツクを解体させ
るフロツク繊維の横方向の移動がおこる。

各連続する要素の面が、波を単に補強するに代
わつて、波を横方向に移動させれば、前記横方向
せん断は増強される。これは第２及び第４の形成
板要素の配置を、第３図に示す如く、第２及び第
４のノツチが第１及び第３の要素のノツチの間で
半分ずれるように、配置することで達成される。

第３図に示す如く、要素２２と２６のノツチ
は、例えばＡで示される想像線Ａに沿つて一直線
になるように配置され、それに対して要素２４と
２８のノツチは想像線Ｃに沿つて一直線になるよ
うに配置される。この相対的配置の効果は第４ａ
図と第４ｂ図に図示される。第４ａ図は第３図の
（要素２２のノツチからいく分下流側の）Ｘ−Ｘ
線に沿う波の縦断面であり、第４ｂ図は、要素２
４のノツチの下流側のＹ−Ｙ線に沿う波の縦断面
図である。

第４ａ及び第４ｂ図の比較により、180゜の位
相差がＸ−ＸとＹ−Ｙ間で発生し、第４ａ図の峰
が第４ｂ図の谷に対応し、逆に第４ａ図の谷が第
４ｂ図の峰に対応する。第４ａ図における例えば
ＡやＢの峰を形成する繊維が、第４ｂ図における
峰Ｃと谷ＡとＢを形成する為に、矢印によつて示
された方向に横方向に移動される場合にのみ、こ
の効果が表われることは明らかである。ストツク
の繊維の急速な横方向の移動をひきおこす各連続
板間において、この過程が反復される。そしてつ
いにデフロキユレーシヨンがなされる。

上に述べた機能を果たすことが要求されるノツ
チは、多数の形状がある。この形状のうちいくつ
かを第５図から第１０図で図示し、以下で説明さ
れる。

第５図において、フオーミングボードエレメン
トの基本的形状は、平行四辺形の断面をもつもの
として示され、上面４２は導入エツヂ３２を有
し、該導入刃３２は、底面４４の導入エツジ４６
よりも上流側にある。この形状はワイヤが上面４
２をすべる際、ワイヤから水を脱水させるのに適
したものである。ノツチ３４は、板からピラミツ
ド型の部分を切り落すことによつて形成される。
このように、典型的なノツチは２つの表面４８と
５０を有し、該２表面４８，５０は、互いに所定
の角度をなすとともに、表面４２に対しても所定
の角度をなす。この実施例では、各ノツチ３４
は、表面４２の点５２の方向へ向いつつ、機械の
下流側で狭まる三角形の溝の形状を有する。第５
図に示すタイプのフオーミングボードエレメント
が長網抄紙機に使われる時、フオーミングボード
エレメントは、抄網を通す水を、ノツチ以外の所
で抄網から脱水させる。そしてノツチ部では、水
は運ばれ、上述した縦の波を形成する為に、溝に
よつてワイヤを通して押し上げられる。ノツチの
相対的な長さ、巾、深さ、及び間隔は抄網の速
度、ストツクのコンシステンシー、最終産物の望
まれる仕上げ等に応じて変えることができる。

上で述べられた縦波の産出方式は、第５図の実
施例とともに他の方式が記述されないならば、以
下で述べる他の実施例にも応用される。

ノツチの第２形状は第６図に示される。この実
施例において、ノツチは形成板からくさび型片又
はパイ型片を切り取ることによつて形成される。
このようにノツチは２側壁５４，５６をもち、前
記２側面５４，５６は、上面４２と略垂直であ
り、先端５８を形成する為に互いに角度をなす。
ノツチの底６０は上面４２と略平行である。この
実施例においては、側壁が互いに下流方向に近づ
くにつれて、水は再び上方向に追いやられる。

第７図は、各ノツチが側壁７０，７２終壁７
４、底７６を有する長方形の溝から成る別の実施
例を表わす。壁７０，７２は互いに平行であり、
上面４２に垂直である。一方終壁７４は２つの側
壁と上面とに垂直である。底は上面と平行であ
る。この実施例は第５図のピラミツド型のノツチ
と同じように働く。

第８図の実施例は、以下の点を除けば第５図の
ピラミツド型のノツチと類似している。即ち、ノ
ツチが上面４２と垂直な円部を切り落とすことに
よつてできた単一の曲線面によつて形成され、点
８０で終端する導入エツヂ３２からノツチが離れ
て広がるにつれて、上面４２は幅を減少させる。
曲線面は円筒状であることが望ましい。

第９図及び第１０図における実施例においては
水の流れをワイヤから実際に分離させ、この水の
流れを抄網１２において後方に押しやることによ
つて、波が形成される。第９図において、直方形
の穴８２を導入側部８４を貫きつつ、上面４２と
平行になる様に設けることによつてノツチが形成
される。そして２番目の穴８６が長方形の穴に出
会う様に、上面４２を貫いて垂直にドリルを使つ
て設けられる。好ましくは、導入側部８４は突起
８８をもつて作られる。なぜなら、水は前記導入
側部によつて抄網から排水されるので水は突起に
よつて孔８２の中へ運ばれ、そこから孔８６を通
つて抄網の後方へ運ばれるからである。勿論、水
が排水中にこの縦方向の運動量をいくぶん保持す
るのに十分速く紙地が移動する時にのみ、全工程
は行なわれる。

第１０図は、第９図の形状の簡素化された実施
例を表わす。この実施例では、２つの孔に代わ
り、単一の孔９０が導入側部９２上面４２の間に
ドリルで設けられる。突起９４は、排水を孔９０
を通して抄網の後方へ運ぶ為に備えられる。

要するに、本発明は、ヘツドボツクスによつて
抄網の上に置かれたストツクを通して、縦方向の
波を発生させたり再生させたりする為のノツチを
有する形成板を提供する。波はストツクの内部に
横方向のせん断を発生させ、このせん断は内部に
発生したフロツクを散らばらせるものである。

上に述べられた実施例に加えて、特許請求の範
囲で定義された発明の範囲から離れることなく、
他の形態も可能であることは明らかである。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第１Ａ図は、本発明の実施例たる長
網抄紙機を表わす。第２図は、フオーミングボー
ドエレメントの平面図である。第３図は、交互の
配置を有したフオーミングボードエレメントの平
面図を表わす。第４ａ図及び第４ｂ図は、それぞ
れ、第２図と第３図のフオーミングボードエレメ
ントの効果の断面図である。第５ａ，５ｂ，５ｃ
図は第２図のフオーミングボードエレメントの詳
細図である。第６ａ，６ｂ，６ｃ図は、フオーミ
ングボードエレメントの第２実施例である。第７
ａ，７ｂ，７ｃ図は、フオーミングボードエレメ
ントの第３実施例である。第８ａ，８ｂ，８ｃ図
はフオーミングボードエレメントの第４実施例で
ある。第９ａ，９ｂ，９ｃ図はフオーミングボー
ドエレメントの第５実施例である。第１０ａ，１
０ｂ，１０ｃ図はフオーミングボードエレメント
の第６実施例である。 図において、１０……ヘツドボツクス、１２…
…抄網、１４……ブレストロール、１６……クー
チロール、１８……上表面、２０……紙匹、２
２，２４，２６，２８……フオーミングボードエ
レメント、３２……エツヂ、３４……ノツチ、４
２……上面である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 連続したループ状に動く抄網と、分散状態の
   粒子または繊維を含むストツクを前記抄網上に置
   くための手段と、前記抄網の下方に横向きにて順
   次配列された複数のフオーミングボードエレメン
   トとを有し、前記各フオーミングボードエレメン
   トは導入側エツジ及び離接側エツジをもち前記抄
   網と接触する上面と、前記抄網の移動方向を横切
   る様に位置し前記上面の上流側にて前記ストツク
   から脱水を行なわせる様に前記上面と鋭角をなし
   ている導入側面と、該導入側面から前記上面の前
   記導入側エツジと離脱側エツジとの間の点までの
   間において延びており前記脱水された水の一部を
   ストツク中に戻す様に作用せしめる複数のノツチ
   とを有し、これにより前記ストツク中に形成され
   た波で該ストツク中のフロツクが横方向のせん断
   力により散消せしめられることを特徴とする、連
   続製紙装置。 ２ 前記各フオーミングボードエレメントのノツ
   チが波を補強する様に配列されている、特許請求
   の範囲第１項の連続製紙装置。 ３ 前記各ノツチが前記フオーミングボードエレ
   メントの上面を切欠いて延びている、特許請求の
   範囲第２項の連続製紙装置。 ４ 前記各ノツチが前記各導入側面から離れるに
   つれて狭くなる幅と深さとを有する、特許請求の
   範囲第３項の連続製紙装置。 ５ 隣接フオーミングボードエレメントのノツチ
   が波を横方向に位相シフトさせる様に配列されて
   いる、特許請求の範囲第１項の連続製紙装置。 ６ 前記各ノツチが前記フオーミングボードエレ
   メントの上面を切欠いて延びている、特許請求の
   範囲第５項の連続製紙装置。 ７ 前記各ノツチが前記各導入側エツジから離れ
   るにつれて狭くなる幅と深さとを有する、特許請
   求の範囲第６項の連続製紙装置。 ８ 前記各ノツチが前記導入側面から離れるにつ
   れて小さくなる断面をもつ、特許請求の範囲第１
   項の連続製紙装置。 ９ 前記断面が三角形である、特許請求の範囲第
   ８項の連続製紙装置。 １０ 前記断面がダ円形である、特許請求の範囲
   第８項の連続製紙装置。 １１ 前記断面が長方形である、特許請求の範囲
   第８項の連続製紙装置。 １２ 前記ノツチが長方形断面を有する、特許請
   求の範囲第１項の連続製紙装置。 １３ 前記上面に実質的に平行で前記導入側面を
   通してドリルによつてあけられた第１孔と該第１
   孔に出会うべく前記上面を通してドリルによつて
   あけられた第２孔とから前記各ノツチが構成され
   る、特許請求の範囲第１項の連続製紙装置。 １４ 前記各ノツチが前記上面と前記導入側面と
   の間にドリルによつてあけられた孔からなる、特
   許請求の範囲第１項の連続製紙装置。