JPS6140298B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPS6140298B2
JPS6140298B2 JP57034647A JP3464782A JPS6140298B2 JP S6140298 B2 JPS6140298 B2 JP S6140298B2 JP 57034647 A JP57034647 A JP 57034647A JP 3464782 A JP3464782 A JP 3464782A JP S6140298 B2 JPS6140298 B2 JP S6140298B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hardness
alloy
alloys
bearing
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired
Application number
JP57034647A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS57185952A (en
Inventor
Tamotsu Nara
Shoji Kamya
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taiho Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taiho Kogyo Co Ltd filed Critical Taiho Kogyo Co Ltd
Priority to JP3464782A priority Critical patent/JPS57185952A/ja
Publication of JPS57185952A publication Critical patent/JPS57185952A/ja
Publication of JPS6140298B2 publication Critical patent/JPS6140298B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、高温状態におけるSn粒子の成長お
よび硬さの低下が少なく、耐疲労性に優れ、かつ
耐摩耗性に優れたA―Sn系軸受合金に関し、
鋳造後数回の圧延と焼鈍を行なつた後使用する場
合に好適な軸受合金を提供するもので、特に軸受
にとつて苛酷な条件が要求される球状黒鉛鋳鉄軸
を相手材として使用しても良好なA―Sn系軸
受合金を提供するものである。 近年の自動車用内燃機関は、内燃機関の小型、
高出力が要求され、かつ、排気ガス浄化対策のた
めのブローバイガス還元装置の取付が要求される
ようになると、軸受摺動材料はより高荷重、高温
度の条件下で使用されることとなり、このような
悪条件下では従来の軸受材料は疲労破壊や異常摩
耗を起こしてトラブルの要因となつていた。さら
に、使用される軸についても、低コスト化を図る
ため従来の鍛造による軸から加工上安価な球状黒
鉛鋳鉄軸、あるいは軸粗さの大きい軸へと移行す
る傾向がみられ、これらのことから、なお一層高
温度下での耐疲労性、耐焼付性の向上、さらに耐
摩耗性の向上が要求される。 従来のアルミニウム軸受合金としては、主とし
てA―Sn系合金、例えば重量百分率でA
(残部)―Sn(3.5〜4.5)―Si(3.5〜4.5)―Cu
(0.7〜1.3),A(残部)―Sn(4〜8)―Si
(1〜2)―Cu(0.1〜2)―Ni(0.1〜1),A
(残部)―Sn(3〜40)―Pb(0.1〜5)―Cu
(0.2―2)―Sb(0.1〜3)―Si(0.2〜3)―Ti
(0.01〜1)、A(残部)―Sn(15〜30)―Cu
(0.5〜2),A(残部)―Sn(1〜23)―Pb
(1.5〜9)―Cu(0.3〜3)―Si(1〜8)等の
A―Sn系合金が使用されている。 しかし、これらのような従来合金は、上述の如
く苛酷な条件で自動車用内燃機関の軸受に使用さ
れた場合、内燃機関の高負荷運転が継続したとき
等に短時間で疲労破壊の起ることがあつた。これ
は内燃機関内のオイルが高負荷連続運転時に特に
高温となり、例えばオイルパン内のオイルの温度
は130℃〜150℃にも達するため、軸受はそのすべ
り面においてかなり高温度になることが予想さ
れ、この結果従来のA―Sn系合金では高温下
で硬さが急激に低下してSnの溶融や移動がおこ
り、このことが疲労強度も低下させる原因である
と考えられる。本発明の発明者等が高温下での硬
さの低下しない合金やSnの動きにくい合金を内
燃機関軸受の形状に加工し、高油温下で動荷重疲
労試験を行なつた結果、疲労強度の向上が認めら
れたことは上記考察を裏付けている。 また、以上の高温硬さの低下に基く疲労強度の
低下とは別に、従来のA―Sn系合金では合金
組織におけるSn粒子の粗大化も疲労強度の低下
の原因となつている。すなわち、アルミニウム軸
受合金は、A―Sn系合金を裏金鋼板に圧接し
て形成するものが一般的であるが、両金属の接着
強度を増すために、圧接後これを焼鈍する工程が
不可欠であり、一般的にはこの焼鈍は、A―
Feの金属間化合物の析出する温度以下で、温度
が高く時間が長い程接着強度が大となる。ところ
が、従来のA―Sn系合金は焼鈍によつて高温
下におかれると、合金組織中でA粒界および
Sn粒子の粗大化が進行してしまうという欠点が
あつた。つまり従来のアルミニウム軸受合金では
裏金鋼板との接着強度を増すために焼鈍すれば、
Sn粒子の粗大化を招き、この粗大化はA―Sn
系合金の疲労強度を低下させる原因となつてい
る。また、これら従来のA―Sn系合金を球状
黒鉛鋳鉄軸と組合せて使用した場合、極端に摩耗
を起し疲労破壊が起きやすいという欠点がある。 本発明の発明者等は、A―Sn系合金に種々
の添加元素を加えてその高温硬さ、疲労強度につ
いて改良を進めた結果、既にAにSnの他所要
量のCr、およびCu等を加えた合金を開発し、特
許出願(特願昭52−2690号)している。さらに
Sn,CrおよびCu等の他、Pbおよび(または)In
を加え、耐疲労性を維持したまま、特になじみ性
を向上させた合金を開発し、特許出願(特願昭52
−18225)している。 本発明は、更に研究を進めた結果、上記のA
―Sn系合金にMn,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,M,
Coを1種または2種以上添加し分散析出させる
ことによつて、硬さを更に高め、耐疲労性、なじ
み性を同等に維持したまま、耐摩耗性を著しく向
上させることのできる軸受材を見出してなされた
ものである。 この分散した析出物はヴイツカース硬さで数百
にも達し非常に硬いため、軸受の相手材すなわち
軸よりもかなり硬く、この硬い析出物が軸受の耐
摩耗性を著しく向上させる。 本発明のA―Sn系合金は重量百分率で3.5〜
35%のSnと、0.1〜1.0%のCrと、Mn,Sb,Ti,
Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1種または2種以上を1
〜10%でその総量が10%以下であり残部が本質的
にAよりなるA―Sn系合金を基本とし、か
つ、Snの量は添加元素中最大となることを特徴
とするもので、従来のA―Sn系合金にCrおよ
びMn,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1種ま
たは2種以上を添加することによつてSnが微細
化され、硬さが向上し、特に高温状態における
Snの移動と成長がほとんどないこと、また高温
硬さの低下も少ないことが認められた。このこと
は動荷重疲労試験を行なつたところ、高油温下で
の疲労強度の向上したことにより確認された。加
えて耐摩耗性も向上していることが確認された。 このようなA―Sn系合金は軸受の摺動特性
に大きな影響をおよぼす相手材、すなわち軸を球
状黒鉛鋳鉄材としても好適な軸受合金材である。 Snの含有量を重量百分率で3.5〜35%に限定し
た理由は、Snは潤滑を主目的として添加される
元素であるが、これを35%以上添加するとなじみ
性、潤滑性は向上するが硬さが低下し、これが
3.5%以下では逆に軸受合金としては硬くなり過
ぎ、なじみ性等に劣るからである。なお、この
Snの添加量はSnを、孤立分散させるためには従
来のA―Sn系合金では15%程度が上限とされ
ており、その理由はこれを15%以上添加すると合
金中のSn粒子がA中に弧立して分散できなく
なり連続状態で存在し始めるため、硬さが低下す
るからとされていたが、本発明では後述する他の
元素の添加効果によつて、これを35%迄添加した
場合でも実用上支障がなくなつた。また、Snの
添加量を3.5〜35%の範囲でどのように定めるか
は、用途に応じ適宜決定されるべきものである
が、一般的には軸受に加わる荷重(負荷)の大な
るときはSn量を少なく、荷重の小なるときはSn
量を多くすると良い。また別の観点からは、焼付
きが懸念される状態で使用されるときはSn量を
多く、この心配のないときはSn量を少なくする
のが良い。しかし最近は高油温により軸受が高温
になり、これが原因で軸受が変形し焼付、疲労を
起すことが問題であるので、高温での変形が少な
いという点からもSn量を定める必要もある。 Crは硬さの上昇と高温時の軟化を防ぐ点、お
よび焼鈍によつてもSn粒子の粗大化を招かない
という点について特に添加効果が高い。まず硬さ
の上昇と高温時の軟化防止について述べると、こ
のCrの添加量が重量百分率で0.1%以下では高温
硬さの改良は期待できず、1.0%以上添加する
と、後述するようにA―Cr金属間化合物が細
かく均一に分散することができなくなり、添加効
果が薄れることから、その添加量を0.1〜1.0%に
限定したものである。この高温硬さの向上につい
てさらに詳述すると、CrはA中に固溶するこ
とによつてAの再結晶温度を上げ、かつ固溶す
ること自体でA地の硬さを上昇させるが、これ
と同時に数回の圧延によつても鋳造時に比して硬
さが上昇する。再結晶温度を上げることは、内燃
機関の軸受がさらされる高温領域でも安定した機
械的性質を維持させるために効果があり、特に硬
さについては、高温下での硬さの低下を少なくし
て高温領域での軸受強度の向上をもたらす。また
固溶限を過ぎて析出するA―Crの金属間化合
物は、ヴイツカース硬さで約370を示し、このた
めこの化合物が細かく分散することは高温硬さの
維持を助けるので、これが適量分散することは良
い効果を生ずる。ここに適量の範囲は前述のよう
に1.0%以下を意味し、この範囲であれば上記析
出物は均一かつ微細であつて硬さの上昇が得られ
る。 次に、Cr添加によるSn粒子の粗大化阻止効果
について述べる。Sn粒子の粗大化はA―Sn系
合金が高温下におかれた場合A粒界およびSn
粒子の移動が起るために生ずる現象であるが、
Crは上記のようにA―Crの金属間化合物の析
出物を作り、この析出物がA地金中に細かく分
散して存在するため、この金属間化合物が直接的
にはA粒界の移動を妨げ、同時にA結晶粒の
成長を妨げてSn粒子の移動、つまりSn粒子の粗
大化を防ぐからであると考えられる。このことは
圧延・焼鈍の繰り返しによつて微細化されたSn
粒子をそのままに保つことにつながり、前記種々
の効果を持つのである。またこのような現象は
Snの量が少ない場合でも認められるが、比較的
Sn量の多い場合(約10%以上)において大きな
効果があり、特にSnが連続して存在し始める約
15%以上において顕著な効果があらわれる。また
Sn粒子が微細なまま保持されて、A地金中に
存在するということは、同時に232℃という低い
融点をもつSn粒子の高温下での溶出現象を防止
するためにも効果的であると考えられ、この観点
からしても硬さの低下防止の効果が首肯される。 なお、以上は焼鈍に関してSn粒子の粗大化阻
止効果を述べたものであるが、本軸受材料の使用
環境が焼鈍に匹敵するような高温状態である場合
にもそのまま妥当し、従つて高温硬さの低下防止
を通じ、疲労強度の向上を図ることができる。 次に、疲労強度の向上を図ることができる。 次に、Mn,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,Mo,Coの
1種または2種以上を添加することについて述べ
る。これらの含有量を各々の元素で1〜10%さら
にこれらの元素の添加総量を10%以下に限定した
理由は、1%以下では析出量が少なく耐摩耗性の
効果が発揮されなく、10%以上になると析出物が
多くなり過ぎ、圧延性が悪くなつて圧延・焼鈍の
繰り返しが困難となりSn粒子の微細化が妨げら
れる。析出物の形態としては、これら添加元素単
体から析出物、これら添加元素相互の金属間化合
物からなる析出物、これら添加元素とAとの金
属間化合物からなる析出物、これら添加元素相互
の金属間化合物とAとの金属間化合物からなる
析出物とがあるが、どの形態で析出物を形成して
も耐摩耗性に効果がある。 これら析出物はヴイツカース硬さで数百にも達
し、非常に硬いため、軸との摩擦による軸受の摩
耗をこれらの析出物により著しく減少させること
ができ、これら析出物がA地金中に適量分散す
ることは良い効果を生ずる。適量の範囲は前述の
ように1〜10%を意味し、この範囲であれば上記
析出物は均一分散し、なじみ性等に悪影響を与え
ることなく耐摩耗性を向上させる効果がある。 上記A―Sn系合金は一般的に裏金鋼板上に
圧接して軸受形状として使用されることが多く、
特に球状黒鉛鋳鉄軸に対して使用すると著しい効
果がある。すなわち、軸受にとつて相手材質は軸
受性能を大きく左右し、例えば従来のA―Sn
系軸受と球状黒鉛鋳鉄軸と組合わせて使用すると
耐焼付性、耐摩耗性等の軸受性能を著しく阻害す
る。そしてまた昨今、鋼軸に替わり加工安価な球
状黒鉛鋳鉄軸が多く使われるようになつてきた。
ところが、球状黒鉛鋳鉄は軟質な黒鉛が鉄地中に
点在していて、このためこの軸を研削するとその
黒鉛の周囲に鋭い刃形をもつた研摩バリが発生す
る。このような研摩バリの発生した軸を相手に、
油膜厚さと軸および軸受面粗さとが同じになる程
度の高荷重下で軸受を摺動させると、軸より軟か
い軸受面は切削されることになり、この状況が進
行すると、軸受表面粗さが粗くなつたり、軸と軸
受とのクリアランスが増大したりして、しいては
油膜が構成されなくなつたり、油膜破断により油
膜が構成されなくなつたりしてその結果、軸と軸
受との直接接触つまり金属接触がより多く起り焼
付に至る。 ところが本発明に係る合金は球状黒鉛鋳鉄軸の
バリよりも硬い析出物すなわち、Mn,Sb,Ti,
Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1種または2種以上を添
加して生成される析出物をA地中に分散させ、
これらの析出物により球状黒鉛鋳鉄軸の研摩バリ
を取り去る効果およびこれらの析出物が移着、凝
着現象を起こしにくくする効果とをも持たせてあ
り、これにより軸受表面の摩耗の進行は比較的短
時間で抑えられ、安定した油膜が構成されるよう
になりこの結果球状黒鉛鋳鉄軸に対して特に耐摩
耗性を向上させることが認められる。 本発明の第二の発明は、A―Sn系合金の上
記組成に加えて、さらにCuおよび(または)Mg
を重量百分率で0を含まない3%以下添加し、こ
のA―Sn系合金を裏金鋼板に圧接してなるも
のであつて、このCuおよび(または)Mgは高温
下での硬さの低下をより小さくするために添加し
たものである。硬さの低下防止も同時に図るため
には、これを0.5〜3.0%とすることが好ましい。
特に好ましい添加割合は2.0%以下である。0.5%
以下では硬さの上昇はそれ程期待できず、3.0%
以上添加すると硬くなりすぎ圧延性を阻害するう
え耐食性が低下する。またこのCuおよび(また
は)Mgの硬さに関する効果はCrと同時に添加し
て生じるもので、Cuおよび(または)Mg単独で
は高温下での硬さの上昇の効果が期待できない。
すなわちCuおよび(または)MgはA中に添加
した場合に圧延時の硬さの上昇が大きく、同一圧
延率でも他の元素を添加したA材料に比し、硬
さの上昇は顕著であるが、200℃近く迄加熱する
と容易に軟化し、高温硬さの維持は期待できな
い。これに対してCrとCuおよび(または)Mgを
同時に添加すると、Cuおよび(または)Mgの添
加効果によつて圧延時に高くなつた硬さが、焼鈍
してもCrの添加効果によりあまり低下しない。
このため硬さの高いA―Sn系合金が得られ、
かつこの硬さは高温下においても従来のこの種の
合金のように大きく低下することがない。 さらに、本発明の第三の発明は、第一の発明、
すなわち3.5〜35%のSnと、0.1〜1.0%のCrと、
Mn,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1種また
は2種以上を1〜10%および残部Aの組成に、
Pb,Bi,Inの1種以上を0を含まず9%まで添
加したもので、Snの潤滑金属としての性質を改
良したものである。このPb,Bi,InはCrと一緒
に添加したときに効果が認められる。すなわち従
来A―Sn系合金の中にこれらの元素を添加す
ることは考えられ、また一部行なわれているが、
これらの添加元素を単独で加えると、A―Sn
系合金中へ合金化されてしまうためSnの融点が
低くなつてしまうという欠点が避けられない。こ
のため従来のA―Sn系合金は低温でSnの溶融
と移動が起こり易くなる結果、粗大なSn粒に成
長しやすく、これを軸受として使用すると、高負
荷運転が連続したとき部分的に溶融して剥離する
こともありうる。これに対して本発明のように、
Crを加えることによつてSn粒を微細化し、かつ
その組織を高温でも維持できるようにしておく
と、Pb,Bi,Inを1種または2種以上加えても
上記のような弊害は生ぜずにSnの潤滑性を改善
することができ、高い疲労強度の必要とされる軸
受にも使用可能となり、さらに耐疲労に加えてな
じみ性の向上も図ることができる。このような効
果を得ることのできるPb,Bi,Inの1種または
2種以上の添加量は0を含まない9%以下であ
り、好ましくは含有Sn量に対し約15%以下程度
がよい。なおPb,Bi,Inの1種または2種以上
を合わせて9%以下としてもよい。さらにSnと
Pb,Bi,Inの合計添加量は35%以内がよい。こ
のPb,Bi,Inの1種または2種以上は、また第
二の発明の合金組成に対し同量を加えてもよい。
これは高温硬さの低下をより少なくすると同時に
Snの潤滑性を改善することができる。この効果
の生じる理由は上述したところと同じである。 上記組成のA軸受合金は、主に自動車用内燃
機関のすべり軸受として使用されるが、この場合
裏金鋼板に圧接して用いるのが普通であり、この
圧接後には接着強度を増すために焼鈍を行なつて
いる。ところが前述のように従来のA―Sn系
合金組織中のA粒界およびSn粒子の移動が生
じ、Sn粒子が粗大化するため、硬さの低下、Sn
粒子の溶出等の欠点を生じていた。これに対し本
発明では、圧延、焼鈍の工程から生じるA―
Cr金属間化合物の析出物がA粒界の移動を妨
げるとともにA結晶粒の成長を阻止するので、
焼鈍による上記悪影響を生じることがなく、この
ため焼鈍温度を上げてA―Sn系合金と裏金鋼
板との接着強度を増すことができる。なおこのこ
とは、本合金が焼鈍に匹敵する高温下に置かれる
場合にもそのまま妥当するから、軟化の防止を通
じ疲労強度の向上に寄与できることも同時に意味
している。さらに耐摩耗性の向上にも効果がある
ことが認められ、特に球状黒鉛鋳鉄軸に使用した
場合大きな効果がある。 次に実施例によつて本発明を説明する。下記の
第1表から第4表は本発明に係る合金1〜41、
比較用してa〜gの化学成分値及びそれぞれの試
験結果を示すものである。
【表】
【表】
【表】
【表】 合金1〜41迄は、ガス炉においてA地金を
溶解し次にA―Cr母合金やA―Cu母合金、
A―Mg母合金、A―Mn母合金、A―Sb
母合金、A―Ti母合金、A―Fe母合金、A
―Zr母合金、A―Co母合金等を目的成分に
応じて溶解し最後にSnおよびPb,Bi,Inを添加
したのち脱ガス処をし、金型に鋳造(厚さ18mm)
を行なつたもので、その後圧延と焼鈍(350℃・
4時間)を繰り返して合金厚さ3mmの試料(圧延
率83%)を作り、硬さの測定を行なつた。次にこ
の試料をさらに圧延して厚さ1mm(圧延率94%)
とし、その後これらの合金と裏金鋼板とを圧接し
てバイメタル材とし、これを焼鈍350℃・4時
間)した後平面軸受に加工して各種試験を行なつ
た。また合金a〜gは、比較材の合金を上記合金
と同一製造法で作成して試料とし、同一の試験を
行つた。 第1表ないし第4表の実験結果として示す硬さ
は、上記各合金の常温における硬さと200℃にお
ける硬さとをビツカース硬度で測定した結果を示
すものである。また第1図は、特に合金2,9お
よびa,cについて、上記温度のほかに100℃お
よび140℃におけるビツカース硬さをも測定し、
温度上昇に応じた硬さの変化の度合いを示したも
のである。 第1表ないし第4表、特に第1図から理解され
るように、Crを含まない合金a,cは温度の上
昇と共に急激にその硬度が低下するのに対し、本
発明の合金2,9は温度上昇に伴う硬度低下の程
度がゆるやかであり、したがつて温度の変化に伴
う軸受状態の変化を少なくできるという効果があ
る。また合金組織の上からは、本発明に係る合金
1ないし41は、裏金鋼板との接合後の焼鈍を経
てもSn粒子の粗大化は認められなかつた。 次に、第1表ないし第4表における耐焼付性
は、次の試験条件Aの下に行なつたもので、50
Kg/cm2の荷重から30分毎に50Kg/cm2ずつ荷重を増
加させ、上記各合金から成る軸受が焼付に至つた
ときの荷重を測定したものである。 (試験条件A) ジヤーナル型焼付試験機 相手材 球状黒鉛鋳鉄軸 油種 SAE10W―30 軸粗サ 0.4〜0.6μmRz 油温 140±2.5℃ 軸回転数 1000rpm 軸径 52mmφ 軸硬度 Hv200―300 荷重 50Kg/cm2/30min 軸受粗サ 1〜1.8μmRz 軸受径 52mmφ×20mm(幅) 第1表ないし第4表の実験結果に示されるよう
に、Mn,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1種
又は2種以上を添加した本発明の合金1〜41は
比較材の合金a〜gに対し高い焼付面圧を有して
いる。 次に第1表ないし第4表における耐疲労性の試
験は、下記の試験条件Bの下に行なつたもので、
鉄鋼材料の疲労状況を知る107回応力繰り返し条
件で耐疲労面圧を測定したものである。また第2
図は、合金2,9およびa,cについて、油温を
140℃の他に80℃および120℃に変化させた点を除
いて同一の試験条件で疲労面圧を測定した結果を
示すものである。 (試験条件B) 交番荷重試験機 相手材 S55C焼入れ軸 油種 SAE10W―30 軸粗サ 0.8μmRz 油温 140±2.5℃ 油圧 5Kg/cm2 軸回転数 3000rpm 軸径 52mmφ 軸硬度 Hv500〜600 軸受粗サ 1〜1.8μmRz 軸受径 52mmφ×20mm(幅) 第2図から明らかなように合金2,9および
a,cとも温度が高い程耐疲労面圧が低下する
が、本発明に係る合金2,9は耐疲労面圧の低下
の程度が比較材の合金a,c程大きくなく、かつ
合金2,9と合金a,cは低温側の耐疲労面圧で
の差はそれ程大きくないが、高温側の耐疲労面圧
は合金2,9が合金a,cを凌駕していることが
明瞭に認められる。なお、第2図は本発明に係る
合金を代表させて合金2,9比較材の合金を代表
させてa,cを挙げたものであるが、他の合金も
同様の傾向を示す結果が得られている(第1表な
いし第4表参照)。 さらに第3図は、本発明に係る合金41と従来
合金fについて、荷重を増加させた場合の摩擦ト
ルクの変化の状態を測定した結果を示すグラフで
ある。この実験は、上述の試験条件Aにおいて、
相手材をS55C焼入れ軸、その硬度をHv600〜700
とした点を除いて他は同一の条件としたもので、
荷重を増加させる途中の状況をオシログラフで測
定している。このグラフによれば、従来の合金f
では荷重を増加させる度に摩擦トルクはピークの
発生を伴つて大きく変動しつつ増加しているのに
対し、本発明の合金41ではピークを伴う程大き
な変動は認められず滑らかに変動している。これ
は本発明の合金41が合金fに対してなじみ性に
優れ、かつ焼付の生じにくいことを示している。
すなわち従来の合金fにみられる変動の大きなピ
ーク波形は、摺動面の油膜が部分的に破壊され、
固体接触が生じこれが繰り返されると全体破壊
(焼付)を生じることを意味しており、このよう
な波形を生じない本発明合金41はなじみ性およ
び耐焼付荷重が高い。 次に、第1表ないし第4表における耐摩耗性の
実験は次の試験条件Cで行なつたもので、テスト
時間経過後の摩耗量を測定したものである。 (試験条件C) 摩耗試験機 相手材 球状黒鉛鋳鉄軸 軸粗サ 0.8〜0.9μmRz 油種 流動パラフイン 軸回転数 1000rpm 軸径 40mmφ 軸硬度 Hv200〜300 荷重 25Kg テスト時間 5Hrs また第4図は合金2,9およびa,cを代表と
して、上記試験条件Cのうち、相手材をS55C焼
入れ軸、その硬度をHv600〜700、荷重を1tから
30分毎に1tずつ増加させた点を異ならせて摩耗量
を測定した結果を示すものである。 第1表ないし第4表および第4図の結果に示さ
れるように、本発明合金は摩耗量が極めて少ない
ことが認められ、優れた耐摩耗性を示している。
これはMm,Sb,Ti,Ni,Fe,Zr,Mo,Coの1
種以上の添加効果であることが認められる。 以上の通り本発明に係るA―Sn系軸受合金
は、Cr添加による硬さの向上、高温硬さの低下
防止、Sn粒子の粗大化阻止効果、これらを通じ
ての耐疲労性の向上、Mn,Sb,Ti,Ni,Fe,
Zr,Mo,Coの1種以上の添加による耐摩耗性の
向上に加え、特に球状黒鉛鋳鉄軸を使用する場合
において、耐摩耗性、耐焼付性の向上、またCr
とともに添加して効果のあるPb,Bi,Inにより
なじみ性の向上、耐焼付性の向上を図ることがで
き、さらにCuおよび{または)Mgを加えれば高
温強度がより向上する。 また裏金鋼板との圧接後の圧延焼鈍を高温度長
時間で行なえるので、両者の密着性を高めること
ができる。 なお、本文中で使用した各元素記号は次の通り
である。A(アルミニウム)、Sn(スズ)、Cr
(クロム)、Cu(銅)、Mg(マグネシウム)、Pb
(鉛)、Bi(ビスマス)、In(インジウム)、Mn
(マンガン)、Sb(アンチモン)、Ti(チタン)、
Ni(ニツケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、
Mo(モリブデン)、Co(コバルト)。 また、本発明に係る合金組成において、A中
には通常の精錬技術ではどうしても避けられない
不純物が含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明合金2,9の温度変化に伴なう
硬度変化の様子をプロツトしたグラフ、第2図は
本発明合金2,9について耐疲労面圧の変化をプ
ロツトしたグラフ、第3図は、同じく荷重を変化
させた時の摩擦トルクの変化の状態を示すグラ
フ、第4図は、鋼軸に対して同じく荷重を増加さ
せた場合の摩耗量の変化を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量百分率でSn3.5〜35%、Cr0.1〜1.0%、
    Mn、Sb、Ti、Ni、Fe、Zr、Mo、Coの1種また
    は2種以上を1〜10%でその総量が10%以下、お
    よび残部が本質的にAlからなるAl―Sn系軸受合
    金。 2 重量百分率でSn3.5〜35%、Cr0.1〜1.0%、
    Mn、Sb、Ti、Ni、Fe、Zr、Mo、Coの1種また
    は2種以上を1〜10%でその総量が10%以下、
    Cuおよび(または)Mg3.0%以下(0を含まな
    い)、および残部が本質的にAlからなるAl―Sn系
    軸受合金。 3 重量百分率でSn3.5〜35%、Cr0.1〜1.0%、
    Mn、Sb、Ti、Ni、Fe、Zr、Mo、Coの1種また
    は2種以上を1〜10%でその総量が10%以下、
    Pb、Bi、Inの1種または2種以上を9%以下
    (0を含まない)、および残部が本質的にAlから
    なるAl―Sn系軸受合金。 4 重量百分率でSn3.5〜35%、Cr0.1〜1.0%、
    Mn、Sb、Ti、Ni、Fe、Zr、Mo、Coの1種また
    は2種以上を1〜10%でその総量が10%以下、
    Pb、Bi、Inの1種または2種以上を9%以下
    (0を含まない)、Cuおよび(または)Mg3%以
    下(0を含まない)、および残部が本質的にAlか
    らなるAl―Sn系軸受合金。
JP3464782A 1982-03-05 1982-03-05 Al-sn alloy for bearing and bearing device Granted JPS57185952A (en)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3464782A JPS57185952A (en) 1982-03-05 1982-03-05 Al-sn alloy for bearing and bearing device

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3464782A JPS57185952A (en) 1982-03-05 1982-03-05 Al-sn alloy for bearing and bearing device

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53084233A Division JPS5814866B2 (ja) 1978-07-11 1978-07-11 Al↓−Sn系軸受合金および軸受装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS57185952A JPS57185952A (en) 1982-11-16
JPS6140298B2 true JPS6140298B2 (ja) 1986-09-08

Family

ID=12420226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3464782A Granted JPS57185952A (en) 1982-03-05 1982-03-05 Al-sn alloy for bearing and bearing device

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS57185952A (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5387164A (en) * 1977-01-11 1978-08-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd Heat traetment method of compound crystal

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5387164A (en) * 1977-01-11 1978-08-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd Heat traetment method of compound crystal

Also Published As

Publication number Publication date
JPS57185952A (en) 1982-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4375499A (en) Aluminum-tin base bearing alloy and composite
KR100505928B1 (ko) 알루미늄 베어링 합금
US4789607A (en) Aluminum bearing alloy and two-layer bearing material having bearing layer of aluminum bearing alloy therein
WO1981002025A1 (en) Aluminum-based alloy bearing
JP3472284B2 (ja) アルミニウム系軸受合金
JPH0633175A (ja) アルミニウム合金軸受
JPS6160906B2 (ja)
JPS6156305B2 (ja)
JPS582578B2 (ja) アルミニウム軸受合金
JP4422255B2 (ja) アルミニウム基軸受合金
JPS6144140B2 (ja)
JPS5844140B2 (ja) 複合摺動材料
JPS6242983B2 (ja)
GB2066846A (en) Aluminum-tin base bearing alloy
JPS6140297B2 (ja)
JPS6140298B2 (ja)
JPS5814866B2 (ja) Al↓−Sn系軸受合金および軸受装置
JPS6212298B2 (ja)
GB2067220A (en) Aluminium-tin base bearing alloy
JPS6143421B2 (ja)
JPS6055582B2 (ja) アルミニウム軸受材料
JPH0114990B2 (ja)
JPS6254853B2 (ja)
JPS58113342A (ja) アルミニウム軸受合金
JPS6140026B2 (ja)