JPS6139269Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、茶或いは麦茶の穀物類を加熱乾燥
させるための乾燥機に係わり、特に被乾燥物を短
時間で変質させることなく均一に乾燥させること
ができる乾燥機に関するものである。

従来周知のこの種の乾燥機は、金属板製の回転
ドラムと、これを下方から加熱される与熱装置と
で構成されており、前記回転ドラムの中に被乾燥
物を投入して加熱乾燥するようになつている。し
かし、このような乾燥機では、回転ドラム内の被
乾燥物を前記回転ドラムを介して加熱乾燥させる
ので、ドラム内の被乾燥物はドラム面に接する側
から加熱乾燥されるので必然的に乾燥むらが生じ
ることになり、高温での加熱乾燥を行なうことは
できない。このため被乾燥物に対する乾燥加工時
間が長くなるだけでなく、均一な乾燥を行なわせ
ることは困難であるという欠点がある。

そこで、これに代わるものとして例えば実公昭
33−12483号公報に示された「迅速乾燥器」のよ
うに、回転ドラムを加熱する代わりに該回転ドラ
ム内に熱風を強制的に通気させて被乾燥物を直接
加熱乾燥させるようにしたものが提案されてい
る。しかし、このような乾燥手段では、回転ドラ
ム内に送り込んだ熱風をそのまま大気中に放出す
ることは熱効率の低下となるので、回転ドラム外
に熱風の循環路を形成して循環させるようにして
いるが、そのために乾燥過程で被乾燥物から出る
蒸気中の水分をも循環させることになり、被乾燥
物が湿気を嫌う茶などの乾燥には変質を生じさせ
るという欠点がある。

本考案は、上述したような諸欠点を解消して茶
などを変質させることなく短時間で均一乾燥させ
うる乾燥機を得ることを目的として成されたもの
である。すなわち本考案の乾燥機は、回転ドラム
の周壁を金属製多孔板の外側に金網を貼着した構
造物で形成すると共に、該回転ドラムに対する与
熱装置の与熱位置を回転ドラムの回転方向に少し
偏心した位置に設定し、かつ前記回転ドラム内に
は円周方向等間隔位置に夫々ドラム幅方向に亘つ
て所定高さで横設され、被乾燥物を所定高さ位置
から前記与熱位置に特定落下させる複数条の返し
板を備えると共に、前記与熱位置の真上にはドラ
ムの全幅に亘る多数の吸気孔を開設した吸気管を
ドラム外から臨ませ、該吸気管により被乾燥物か
ら出る水分をドラム外へ強制的に吸引排出させう
るように吸引フアンを備えて成る乾燥機をその要
旨とするものである。

以下本考案を例示図面に基づいて説明する。

第１図は本考案乾燥機の１実施例を示す正面
図、第２図は同側面図であり、図中、１は茶等の
乾燥対象物Ａを配入して与熱乾燥加工を行なうた
めのドラムを示し、２は前記ドラム１を回転自在
に支持させるための機枠、３は前記ドラム１を回
転させるモータを示す。

具体的には、前記ドラム１は後述するようにそ
の外周部をローラ支持されて回転可能に円筒体形
成され、その一方端は端板１ａで密閉され、他方
端には外方に突出する截頭円錐形を呈する環状板
１ｂが溶着されていてその開口部１ｃを被乾燥物
の投入口としている。そして本考案のドラム１
は、その円筒体部を第４図に拡大して示す如く、
アルミ等の軽金属板に約0.1mm径の貫通孔４を多
数個設けた多孔板５で形成すると共に、その外側
に50〜60メツシユの金網６を貼着して成る構造物
としていて、外方から受ける火力を前記金網６に
より可及的拡範囲に均等化して前記多孔板５に熱
伝達させるようにし、かつ多孔板５により熱の一
部を直接通過させ得るようにしてある。また７
ａ，７ｂは、該ドラム１の円筒体部の前部および
後部にそれぞれ嵌設されたフランジであり、これ
らフランジ７ａ，７ｂはドラム１を回転させる伝
動輪として、又回転支承を果たすための当接輪と
しての役割を担う。

すなわち、機枠２内の中枠２ｃの両側の前後位
置にそれぞれ前記ドラム１を支承回転させるため
の一方には受けローラ８を、他方には駆動ローラ
９を回転自在に支持して設け、前記駆動ローラ９
は機枠２の底部に設けた前記モータ３で駆動回転
させるようにして、これら両ローラ８，９にて前
記ドラム１をその外周前後に設けた前記フランジ
７ａ，７ｂを介して支持させると共に、上枠７ａ
にはその両側の前後位置にそれぞれ押さえローラ
１０，１０を設けて前記フランジ７ａ，７ｂに当
接させていて、前記ドラム１を機枠２内において
前記各ローラ８，９，１０，１０間に位置決め保
持して回転させるようにしてある。

更に本考案では前記ドラム１の内側に、その内
周壁部の等間隔位置にそれぞれドラム軸心と平行
状にドラム幅に亘つて突条を形成せしめた適数個
の返し板１１を設けていて、これら各返し板１１
がドラムの回転時にドラム底の乾燥対象物Ａを回
転方向の所定高さまで移動させた後自重落下させ
ることにより、その落下位置をドラム軸心を通る
垂線から回転方向に角度θだけ偏心した特定位置
に反転集積させ得るように成されている。なお、
前記偏心角度θはドラム１の回転速度や乾燥対象
物Ａの種類によつて適宜変更されるべきものであ
る。

また、１２は機枠２にその途中を固定支持させ
てその前端部をドラム１内の前記角度θだけ回転
方向に偏心した位置の内周壁に対して、所定間隔
を存して平行状に臨ませた先端密閉の吸気管であ
り、ドラム１の内周壁と平行状な部分にはその全
周または少なくとも下半部に多数の小孔からなる
吸気孔（図示せず）が設けてあり、該吸気管１２
の排出側には吸引フアン１３を内装させていて該
吸引フアン１３により前記吸気孔を介して乾燥対
象物Ａから出てくる蒸気を強制的に吸引してドラ
ム１外に排除させ得るようになつている。なお、
１４は前記吸気管１２をドラム１内に臨ませるた
めに前記一方端の端板１ａの中心部に開設した孔
に内嵌装させたベアリングである。しかして、１
５は前記ドラム１内の乾燥対象物Ａをドラム１外
の下方かれ与熱させるためのプロパンガス或は都
市ガスを燃料とする与熱装置であり、本考案では
前記ドラム１に対する設置位置をドラム１の回転
方向に前記角度θだけ偏心した位置に位置決め対
設しており、ドラム１に対し点火口１６を多数有
する分枝管１７を複数本並列状に本管１８から分
岐させ、該本管１８に付設されたバルブ１９を介
して第１図、第２図に仮想線で示すゴムホース２
０からガスを供給するように構成されている。な
お、該与熱装置１５および前記吸気管１２はそ設
定角度位置を多少変更調整可能な構造としておく
のが望ましい。

本考案乾燥機は前述のとおり、ドラム自体の周
壁を金属製多孔板の外側に金網を貼着した構造物
で形成すると共に、その内周壁に適数個の返し板
を設けてあるので、ドラム内の被乾燥物をドラム
の回転中前記適数個の返し板により順次回転方向
の所定高さ位置まで押し上げて反転落下させ、回
転方向に少し偏心した特定位置に集積させる動作
を繰返し行なわせることができ、しかもこの特定
位置の上下に吸気管と与熱装置を対設してあるの
で、与熱装置による火力をドラム外周の金網によ
つて広範囲に均等化させて多孔板に伝達させるこ
とができ、更に多孔板はその与熱の一部を直接ド
ラム内に通過させることができ、ドラム内での被
乾燥物の前記反転動作と相俟つて高温乾燥が可能
である。更に前記特定位置の直上には吸気管を設
けてあるので、該吸気管により被乾燥物から出る
水蒸気を強制的に吸引させてドラム外に排出させ
ることができ、被乾燥物を短時間で乾燥させるこ
とができる。したがつて、被乾燥物が変質し易い
茶の葉であつても変色、変質を生じさせることな
く葉緑素を損わず、その香気を保持して迅速乾燥
させることができるという顕著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は乾燥
機の全体正面図、第２図は同側面図、第３図は主
要部分の配置例を略示する底面図、第４図はドラ
ムの外周壁を拡大して示す部分断面図である。 １はドラム、５は多孔板、６は金網、１１は返
し板、１２は吸気管、１５は与熱装置、θは与熱
装置の偏心角度。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方向に回転駆動せしめられるドラムと該ドラ
   ムの下方に配置された与熱装置とから成る乾燥機
   において、上記ドラムの周壁を、金属製の多孔板
   の外側に金網を貼着した構造物で形成すると共
   に、上記与熱装置のドラムに対する与熱位置を該
   ドラムの回転方向に少し偏心した位置に設定し、
   かつドラム内には円周方向等間隔位置に夫々幅方
   向に亘つて所定高さで横設され、被乾燥物を所定
   高さ位置から前記与熱位置に特定落下させる複数
   条の返し板を備えると共に、前記与熱位置の真上
   にはドラムの全幅に亘る多数の吸気孔を開設した
   吸気管をドラム外から臨ませ、該吸気管により被
   乾燥物から出る水分をドラム外へ強制的に吸引排
   出させうるように吸引フアンを備えてなることを
   特徴とする茶、穀類等の乾燥機。