JPS6138449Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、パン等を焼成するための熱風循環
式固定窯（ピールオープン）に関する。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この考案は、従来の熱風循環式固定窯において
は、窯内での熱風の循環が円滑に行われないため
に、窯内に温度の高い部分と低い部分とができ、
その結果、焼成されたパン等に焼きむらが発生す
ることを解決しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記の事情に鑑みてなされたもの
であつて、その具体的技術手段は、焼成されるも
のを収容する箱体と、この箱体を内部に収容し、
かつ、後面部に箱体内の空気を吸入し箱体の左右
両側面部から熱風を吹き出すフアンが備えられた
焼成室とを有する熱風循環式固定窯において、前
記箱体の後面部の中央縦方向に前記フアンにより
焼成室内の空気を吸入する中空部が形成し、この
箱体の左右両側面部が前記フアンによつて送られ
る風を透過させるパンチングにより形成し、この
パンチングの内側の面には箱体の中心側の先端部
が下方に傾斜している棚を縦方向に複数段配設
し、このパンチングの外側の面には、縦方向に長
いヒータと仕切板が交互に横方向に配設するよに
したものである。

〔作用〕

この考案においては、上記のような具体的技術
手段を採つたので、焼成されるものを収容する箱
体の後面部から箱体内の空気が平均して吸引さ
れ、この吸引された空気が仕切板で仕切られたヒ
ータを通され、次いで、パンチングを透過させら
れて再び箱体内に戻されるまでの循環を繰り返し
ている間に、パン等がむらなく焼成されるように
なつている。

〔実施例〕

以下、この考案の１実施例を図面に基づいて詳
しく説明する。

この考案にかかる熱風循環式固定窯の内部を示
す第１図から第３図において、扉１が外装体２に
開閉自在にして、蝶番等の取付け具３を介して取
付けられている。この外装体２の内部には、パン
等焼成される生地を収容する焼成室４が設けられ
ている。この焼成室４と前記外装体２との間隙Ａ
内の外装体２の背面部片隅には、モータ５が内設
されている。このモータ５は、ベルト６により、
焼成室４の後面部に突設されたフアン７にその回
転を伝えるようになつている。

焼成室４の前面両端部に、熱風の循環を円滑に
行わせる作用をする、断面形状がＶ字形である突
出物８，８が縦方向に固着されている。焼成室４
の内部には、焼成室４と所定の間隙Ｂを設けて、
前面部が開口している箱体９が設けられている。
この箱体９の後面部には、縦方向に中央部分に中
空部１０が形成されている。又、この箱体９の左
右両側壁１１は、多数の小さい穴が形成されてい
るパンチングでできている。

更に、この左右両側壁１１の外側の面には、縦
方向に長いヒータ１２と仕切板１３が交互に横方
向に配設されている。そして、第２図に示すよう
に、ヒータ１２は、３つの部分に分かれていて、
各部分がＷの字形に仕切板１３を挟みこむように
して配設されていて、各部分の両端部１２ａ，１
２ｂが焼成室４の上面部に接合され、電源（図示
省略）と接続されている。

前記側壁１１の内側の面には、第３図に示すよ
うにパン等焼成される生地を載置するための棚１
４が、相対して縦方向に複数段配設されている。
それぞれの棚１４は、箱体９の中心側の先端部１
４ａが、やや下方に傾斜している。

以上述べたこの考案にかかる熱風循環式固定窯
における熱風の循環経路について、以下詳しく説
明する。第１図において、焼成室４の内部の矢印
は熱風の流れを示している。ヒータ１２およびモ
ータ５に通電すると、ヒータ１２付近の空気が加
熱され、高温の空気（熱風）となる。それととも
に、モータ５の回転を受けて、フアン７が回転す
る。フアン７は、箱体９の後面部の中空部１０を
通して、焼成室４の内部のヒータ１２により加熱
された前記高温の空気を吸入する。それから、こ
の吸入した高温の空気を、左右両方向の間隙Ｂへ
均等に振り分ける。その際、仕切板１３とヒータ
１２は交互に配設されているので、第１図のヒー
タ１２付近の矢印にみるように、ある仕切板１３
と隣接する仕切板１３の間にあるヒータ１２によ
り加熱された高温の空気は、前記フアン７からの
空気に圧迫されて、パンチングでできている箱体
９の側壁１１を透過して棚１４方向へ押し出され
る。また、焼成室４の前面両端部には突出物８，
８が固着されているので、前記側壁１１を透過し
なかつた高温の空気が、箱体９と焼成室４との間
隙Ｂにおいて、滞留したり、あるいは、逆流した
りすることなく円滑に扉１と前記側壁１１との間
隙１５を通して、箱体９内にある棚１４の方へ押
し出される。

このようにして箱体９の左右両側壁１１及び突
出物８を経由して、箱体９の内部の棚１４の方へ
押し出された高温の空気は、前記したようにフア
ン７により箱体９の後面部の中空部１０を通して
吸入され、再び上述したような循環を繰り返すの
である。尚、図中破線は、パン等の生地を収容す
る食型をあらわしている。

〔考案の効果〕

以上のように、この考案にかかる熱風循環式固
定窯は、焼成室されるものを収容する箱体と、こ
の箱体を内部に収容し、かつ、後面部に箱体内の
空気を吸入し箱体の左右両側面部から熱風を吹き
出すフアンが備えられた焼成室とを有する熱風循
環式固定窯において、前記箱体の後面部の中央縦
方向に前記フアンにより焼成室内の空気を吸入す
る中空部が形成されていて、この箱体の左右両側
面部が前記フアンによつて送られる風を透過させ
るパンチングでできていて、このパンチングの内
側の面には箱体の中心側の先端部が下方に傾斜し
ている棚が縦方向に複数段配設されていて、この
パンチングの外側の面には縦方向に長いヒータと
仕切板が交互に横方向に配設されているので、窯
内の熱風の循環が円滑に行われ、パン等焼成され
る生地が均一に焼成され得る。また、この考案に
おいては、前記箱体の後面部の中央縦方向に所定
の幅で中空部が形成されている。従つて、従来例
のように縦方向に何列もの中空部が形成されては
いないので、フアンにより吸入された空気がこの
中空部を通して、再び逆流してしまうことがな
い。すなわち、この考案によれば箱体の内部の空
気はフアンにより、中央縦方向に所定の幅で形成
された中空部を通過したのち、速やかに左右両方
向へ均等に振り分けられるのである。

この振り分けられた空気は、仕切板があるため
それに衝突すると、順次ヒータにより加熱され
て、パンチングでできている箱体の側壁を透過し
て箱体の内側へ押し出される。従つて、従来は箱
体の前方において、ヒータにより加熱された高温
の空気が滞留しているのが、速やかに前記側壁を
透過して箱体内へ押し出されるので、箱体の内部
においてどの位置においても一様な温度分布とな
る。

また、従来は、この考案のように、箱体の左右
両側壁にパンチングを使用するということをしな
いで、スリツトを有する板体をパンチングの代わ
りに用いていた。従つて、スリツト近辺の高温の
空気は、速やかにこのスリツトを通過して箱体内
部へ移動するが、このスリツトから少し離れた位
置の空気は、前述したように箱体の前方へ押しや
られ、そこで滞留するということがあつた。しか
し、この考案によれば、パンチングに形成された
多数の穴より速やかにヒータにより加熱された高
温の空気は、箱体内部へ押し出されるのである。
それゆえ、従来例のような高温の空気の滞留は生
じ得ない。

箱体内部へ押し出された空気は、温度の高い空
気ほど上部へ移行する性質がある。しかし、この
考案によれば、箱体内の食型を載せる棚の先端部
がやや下側に傾斜しているので、空気の対流が起
きやすくなつており、箱体内部のいかなる位置に
おいても一様の温度分布が得られるのである。

【図面の簡単な説明】

図面は、この考案にかかる熱風循環式固定窯の
１実施例を示していて、第１図は、第４図−
部分の水平断面図、第２図は、第１図の−部
分の垂直断面図、第３図は、第１図の−部分
の垂直断面図、第４図は、全体の斜視図である。 ４……焼成室、７……フアン、８……突出物、
９……箱体、１０……中空部、１１……箱体の側
壁、１２……ヒータ、１３……仕切板、１４……
棚、１４ａ……棚の先端部、１５……扉と箱体の
側壁との間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 焼成されるものを収容する箱体と、この箱体を
   内部に収容し、かつ、後面部に箱体内の空気を吸
   入し箱体の左右両側面部から熱風を吹き出すフア
   ンが備えられた焼成室とを有する熱風循環式固定
   窯において、前記箱体の後面部の中央縦方向に前
   記フアンにより焼成室内の空気を吸入する中空部
   が形成されていて、この箱体の左右両側面部が前
   記フアンによつて送られる風を透過させるパンチ
   ングで出来ていて、このパンチングの内側の面に
   は箱体の中心側の先端部が下方に傾斜している棚
   が縦方向に複数段配設されていて、このパンチン
   グの外側の面には縦方向に長いヒータと仕切板が
   交互に横方向に配設されていることを特徴とする
   熱風循環式固定窯。