JPS6138099Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はヘツドのテープに対する相対的な走査
によつてトラツクを形成するようにした記録再生
装置に係り、特に１回の走査によつて複数のトラ
ツクを同時にテープ上に記録するようにしたデジ
タルVTRに用いて好適なヘツドの支持装置に関
する。

回転ヘツド方式のヘリカルスキヤン型VTRに
おいては通常、巻付けられたテープのドラムに対
する傾斜、テープ走行速度及び回転ヘツドの回転
速度等に応じて傾斜した記録トラツクが磁気テー
プ上に形成される。その為磁気テープを記録時の
速度と異つた速度で走行させて再生しようとする
場合、例えば、スチル、スローモーシヨン、倍速
等の各モードにおける再生の場合には、ヘツドの
走査軌跡が上述した記録トラツクとは異なつた傾
斜となる為に、ヘツドは所定の記録トラツクから
外れて走査することになる。このように磁気ヘツ
ドが所定の記録トラツクを外れて走査すると、ガ
ードバンドノイズやクロストークが発生するので
好ましくない。そこでこの種VTRにおいては、
いかなるモードにおいても磁気ヘツドが記録トラ
ツク上を正しく走査するようにする為のトラツキ
ング補正手段が必要となる。このようなトラツキ
ング補正手段として、バイモルフ素子を用いた磁
気ヘツド支持装置が公知である。

第１図はこのようなバイモルフ板の原理的な構
造を示している。第１図に示すように、バイモル
フ板１は、その両面に電極２，３がシルク印刷焼
付け等によつて被着されたピエゾ・セラミツク素
子４と、同じくその両面に電極５，６が被着され
たピエゾ・セラミツク素子７とから成つている。
これらのセラミツク素子４，７は、夫々の分極方
向が第１図の矢印で示すように互に送方向になる
ようにシム８を介して、このシム８に対して電極
３，５が接触するように接着によつて接合されて
いる。なおシム８は補強を目的とするもので、り
ん青銅、チタン合金、カーボンフアイバ等から成
つている。

このようなバイモルフ板１に第２図に示すよう
に電圧を印加すると、セラミツク素子４に対して
は、電極２から電極３の方向（分極方向と逆方
向）の電界がかけられるので、圧電気効果によ
り、セラミツク素子４は矢印で示すように伸びる
方向に変形する。またセラミツク素子７に対して
は、電極６から電極５の方向（分極方向）の電界
がかけられるので、セラミツク素子７は縮む方向
に変形する。従つて、バイモルフ板１は第２図に
示すようにたわみ、その変位は電界の大きさに応
じたものとなる。また電界の方向を逆とすれば、
変位の方向も逆となる。そしてこのバイモルフ板
１の一端をヘツドドラム９の所定位置に片持ち支
持するとともに、他端すなわち自由端に磁気ヘツ
ド１０を取付けると、この磁気ヘツド１０はヘツ
ドドラム９の外表面に沿つてこのドラム９の高さ
方向に移動可能に支持されることになる。従つて
この磁気ヘツド１０の変位を印加電圧によつて適
当にコントロールすると、上述のトラツキング補
正が可能となる。

すなわち磁気テープ１１は第３図に示すように
一対のテープガイド１２，１３によつてヘツドド
ラム９の外周面にヘリカルに巻付けられている。
そしてこの磁気テープ１１は図外の駆動手段によ
つてV₁の速度で走行している。一方磁気ヘツド
１０は上述の如くバイモルフ板１を介して回転す
るヘツドドラム９に保持されるとともに、ドラム
９に形成されたスリツト１４によつてこのドラム
９の外周面に突出しており、周速V₂で走行しな
がら上記磁気テープ１１と接触している。従つて
この装置で記録を行うと第４図に示すように多数
の互に平行な記録トラツクT₁が磁気テープ１１
の長さ方向に対して傾斜してこのテープ１１上に
形成される。従つて記録時と同じ速度V₁で磁気
テープ１１を走行させるノルマル再生において
は、磁気ヘツド１０は正しく上記記録トラツク
T₁上を走査することになり、記録トラツクT₁か
ら外れることはない。

しかし上記V₁よりも遅い速度で磁気テープ１
１を走行させながら再生を行う場合、例えばスロ
ーモーシヨンやスチルモーシヨン（Ｖ＝０とな
る）のモードにおいては、第４図において点線で
示すように磁気ヘツド１０の走査軌跡T₂の傾斜
角が記録トラツクT₁の傾斜角よりも大きくな
る。これによつて記録トラツクT₁と磁気ヘツド
１０の軌跡とが一致しなくなり、ガードバンドノ
イズやクロストークが生ずることになる。そこで
電圧を印加してバイモルフ板１を適当に変形させ
ることによつて磁気ヘツド１０を第２図に示すよ
うに変位させると所定の記録トラツクT₁を外れ
ないように走査させることができる。

磁気テープ１１の走行速度が上記V₁よりも速
い場合についてもバイモルフ板１の変形によつて
トラツキング補正がなされる。すなわち、例えば
倍速（Ｖ＝2V₁）においては、第４図において鎖
線で示すように磁気ヘツド１０の走査軌跡T₃の
傾斜角が記録トラツクT₁の傾斜角よりも小さく
なる。そこでこの場合にもバイモルフ板１を適当
に変形させ、記録トラツクT₁と一致させること
ができる。

ところでビデオ信号をデジタル変換して記録す
るデジタルVTRにおいては、１回の走査によつ
て複数の、例えば３つのトラツクを同時に磁気テ
ープ１１上に記録しなければならない。この場合
には、３つの記録トラツクが１フイールド分のビ
デオ信号を形成することになる。このような
VTRにおいて、さらにバイモルフ板を用いてト
ラツキング補正を行うために、３つのヘツドをそ
れぞれ別々にバイモルフ板で支持させるようにす
ることが考察される。しかし３つのヘツドは極め
て近接して配されているために、これらのヘツド
をそれぞれ支持する３つのバイモルフ板は細長い
形状となつてしまい、共振周波数が低下する。こ
の結果応答速度が遅くなつてトラツキング補正が
できなくなつてしまうことになる。また３つのヘ
ツドを共通の単一のバイモルフ板によつて支持す
ることも考察されるが、このようにすると、３つ
のヘツドを別々にそれぞれ３つのトラツクに正し
く一致させるようにウオブリングさせることがで
きなくなるという問題点がある。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、１回の走査によつて複数のヘツドで
複数のトラツクを同時にテープ上に記録するよう
にした記録再生装置において、前記複数のヘツド
をそれぞれ対応するバイモルフ素子で支持すると
ともに、これらの複数のバイモルフ素子をさらに
共通のバイモルフ素子で支持するように構成した
ものである。

以下本考案を図示の実施例につき説明する。な
おこの実施例は本考案をデジタルVTRに適用し
たものであつて、第１の実施例によるVTRは第
５図に示すように３つの磁気ヘツド２１，２２，
２３を備えている。そしてこれらの磁気ヘツド２
１，２２，２３はそれぞれ対応する小さなバイモ
ルフ板２４，２５，２６の先端に、接着等の方法
によつて固着されて取付けられている。されにこ
れら３つのバイモルフ板２５，２６，２７は共通
の大きなバイモルフ板２７の先端に同じく接着等
の方法によつて保持されている。そしてこの大き
なバイモルフ板２７は第６図に示すように、その
他端が回転ヘツドドラム２８の所定の取付け位置
に取付けられている。これによつてヘツドドラム
２８の外周面にヘリカルに巻付けられた磁気テー
プ２９に対して３つのヘツド２１，２２，２３が
摺接して記録および／または再生を行うように構
成されている。

このようなVTRによると、磁気テープ２９上
には、第７図に示すようにヘツドドラム２８の１
回転毎に３つづつのトラツクが形成される。すな
わちヘツドドラム２８の最初の１回転で３つのト
ラツクT₁₁，T₁₂，T₁₃が形成され、次の１回転で
３つのトラツクT₂₁，T₂₂，T₂₃が形成され、以下
同様の動作を繰返す。そしてこのデジタルVTR
においては、ドラム２８の回転で形成される３つ
づつのトラツクが１フイールド分のビデオ信号を
形成することになる。

そしてこのようなヘツドの支持装置を用いてト
ラツキング補正を行う場合には、第８図において
実線で示すように、鋸歯状の電圧すなわちフイー
ルドジヤンプ信号３０を共通の大きなバイモルフ
板２７に加える。このジヤンプ信号３０は上述の
如く、磁気テープ２９の走行速度が記録時のそれ
と異ることに起因して磁気ヘツド２１，２２，２
３の走査軌跡の傾斜角が記録トラツクT₁₁，
T₁₂，T₁₃の傾斜角と異る場合に、これを補正す
るものであつて、ヘツドドラム２８が１回転する
毎に１個の三角波状の電圧が共通のバイモルフ板
２７に供給されるようになつている。

また第８図において点線で示すような正弦波状
のウオブリング信号３１を３つの小さなバイモル
フ板２４，２５，２６にそれぞれ別々に供給す
る。このウオブリング信号３１はエラー信号を得
るためのものであつて、ウオブリング信号３１に
よつてヘツド２１，２２，２３はそれぞれ対応す
るトラツクの走査方向と直角な方向に振られるこ
とになる。そしてこのヘツド２１，２２，２３の
振動によつてエラー信号を得、これを上記３つの
バイモルフ板２４，２５，２６にウオブリング信
号３１と重畳して印加し、ヘツド２４，２５，２
６の振動の中心がトラツクの巾の中心と一致する
ようにしている。すなわち３つのヘツド２４，２
５，２６はそれぞれ独立に正しく対応するトラツ
クに一致するように補正されることになる。なお
ヘツドを単一のバイモルフで支持する従来のもの
においては、このバイモルフにジヤンプ信号とウ
オブリング信号とが重畳して加えられていた。

以上のヘツドの支持装置によると、バイモルフ
板２４，２５，２６はともに巾が非常に狭くなる
が、長さもまた非常に短かくすることができる。
従つてこれらのバイモルフ板２４，２５，２６の
共振周波数は高くなり、応答速度が速くなる。ま
た共通のバイモルフ板２７もその巾が比較的広い
ために、共振周波数が高くなり、応答速度が速く
なる。すなわちこのヘツドの支持装置は３つのヘ
ツド２１，２２，２３をそれぞれ別々にウオブリ
ングさせてトラツキング正を行うのにもかかわら
ず、応答速度が低下することがない。しかもこの
ヘツドの支持装置によると、３つのヘツド２１，
２２，２３はそれぞれ別々のバイモルフ板２４，
２５，２６に支持されており、これらのバイモル
フ板２４，２５，２６によつてそれぞれ独立に対
応するトラツクをトレースするように補正される
ために、正確なトラツキングが達成され、高精度
のダイナミツク・トラツキングが可能になる。

次に本考案の第２の実施例を第９図につき説明
する。この実施例においては、３つのヘツド４
１，４２および４３がそれぞれ２枚ずつの小さな
バイモルフ板４４，４５，４６，４７および４
８，４９によつて支持されている。バイモルフ板
４４，４５，４６，４７および４８，４９はそれ
ぞれの先端部が連結部材５０，５１，５２によつ
て連結されている。しかもバイモルフ板４４，４
６，４８は互に平行な２枚の共通のバイモルフ板
５３，５４の内の上側のバイモルフ板５３の自由
端側に取付けられており、またバイモルフ板４
５，４７，４９は下側の共通のバイモルフ板５４
の自由端側に取付けられている。

このように共通のバイモルフ板および小さなバ
イモルフ板をツイン構造にするのはスペーシング
ロスによる信号の減衰を防止することにある。す
なわち第６図に示すようにシングル構造のヘツド
の支持装置によると、ヘツドの移動ストロークが
大きい場合には、ヘツドの先端の磁気テープ２９
との摺接面が磁気テープ２９の表面に対して傾斜
してしまい、スペーシングロスを生じて、記録あ
るいは再生時に信号が減衰することになる。この
点でツイン構造にすると、ヘツドは移動しても磁
気テープに対して傾くことが少なくなり安定した
記録再生が可能になる。

第１０図にこの第２の実施例の変形例を示すも
のであつて、一対の互に平行に配された共通のバ
イモルフ板５６，５７の先端にそれぞれりん青銅
から成る板ばね５８，５９を取付けるとともに、
これらの板ばね５８，５９の先端を連結部材６０
によつて連結している。そして板ばね５８の先端
にそれぞれ小さなバイモルフ板６１，６２，６３
を介して３つのヘツド６４，６５，６６を支持す
るようにしている。小さなバイモルフ板６１，６
２，６３は移動量が共通のバイモルフ板５６，５
７の移動量よりも小さいので、これによつても十
分にスペーシングロスを防止することができる。

以上に述べたように本考案は、同時にテープ上
にトラツクを形成する複数のヘツドをそれぞれ対
応するバイモルフ素子で支持するとともに、これ
らの複数のバイモルフ素子をさらに共通のバイモ
ルフで支持するようにしたものであるから、これ
らのバイモルフ素子によつてトラツキング補正を
行う場合に、応答速度を速くすることができると
ともに、より正確にトラツキング補正を行うこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はバイモルフ板の構造を示す要部側面
図、第２図はこのバイモルフ板を用いた従来のヘ
ツドの支持装置の要部側面図、第３図はこの装置
のヘツドドラムの要部平面図、第４図は記録トラ
ツクを示す磁気テープの平面図、第５図は本考案
の第１の実施例のヘツドの支持装置の要部斜視
図、第６図は同要部側面図、第７図はこの装置に
よつて形成されたトラツクを示す磁気テープの平
面図、第８図は印加すべき電圧の変化を示すグラ
ス、第９図は本考案の第２の実施例の要部斜視
図、第１０図はこの第２の実施例の変形の要部斜
視図である。 なお図面に用いた符号において、２１，２２，
２３……磁気ヘツド、２４，２５，２６……小さ
なバイモルフ板、２７……共通の大きなバイモル
フ板、２９……磁気テープ、である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １回の走査によつて複数のヘツドで複数のトラ
   ツクを同時にテープ上に記録するようにした記録
   再生装置において、前記複数のヘツドをそれぞれ
   対応するバイモルフ素子で支持するとともに、こ
   れらの複数のバイモルフ素子をさらに共通のバイ
   モルフ素子で支持するようにしたことを特徴とす
   る記録再生装置におけるヘツドの支持装置。