JPS6137723Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は映画館等娯楽用建造物における振動
可能な床装置を提供するものである。

近時、映画館において上映シーンに対する観客
の臨場感を盛り上げるため、画面を立体化しまた
音響効果を多様化しさらには館内の空気を振動さ
せる等様々の工夫を施すことが行われている。し
かし、地震発生シーンや大爆発シーンなど激しい
振動を伴うシーンあるいは乗車シーンや乗船シー
ンなどゆつくりとした振動を伴うシーン等、上映
中しばしばあらわれる各種の振動を伴うシーンの
際に、上述のごとき従来の施設、装置によつてそ
のシーンに対する臨場感を十分に盛り上げること
は殆ど不可能であつた。

この考案はこのような事情に鑑みて工夫された
ものであつて、怪獣の登場シーンやパニツクシー
ンが上映されているときには観客席の床を激しく
振動させ、また航海シーンが上映されているとき
には床をゆつくりと振動させる等、上映場面に合
わせて床に振動を付与することにより、怪獣映
画，パニツク映画，航海映画，教育映画等各種映
画の上映時において各上映シーンに対する観客の
臨場感を増大させるようにした振動可能な床装置
である。

この考案は映画館のほか演劇場、遊園地の娯楽
館その他各種の娯楽用建造物に用い得る。

以下この考案をその実施例を示す図面に基いて
説明すると次のとおりである。図中１は多数の観
客席２……が設置された映画館の床であつて、こ
の映画館をつくつている側壁，天井壁等他の構造
部分からは独立し、館の前後方向に渡されたその
３本の根太のうち、断面コ字形の左右のもの３
ｂ，３ｃが床下空間の底面に配置された多数のク
ツシヨン４……に支持され、かつ、その周囲桟部
５が床１四周の基礎に埋設された多数のクツシヨ
ン６……によつて四方から支えられているため、
床１は前後、左右斜めあるいは上下いずれの方向
への動きをも自由とする。

この床１は、つぎに述べる振動付与手段１０あ
るいは２０によつて振動させられるようになつて
いる。図中、７は振動付与手段１０あるいは２０
の動力源となるモータ、８は変速機構つきの減速
機、９はモータ７と減速機８を連結するベルトで
ある。

第４図はクランク機構を利用して床１を振動さ
せる振動付与手段１０を示している。１１はモー
タ７によつて動かされるクランク軸、１２は床１
の根太３ａに設けられた連結ピン、１３は一端が
クランク軸１１のピン１４に、そして他端が連結
ピン１２にそれぞれ連結された連結棒である。

クランク軸１１はモータ７の駆動により一定速
度で、あるいは時々変速して時には早くそして時
にはゆつくりと、あるいは常に一定の速さで回転
し、これに伴つて床１は早くあるいはゆつくりと
上下方向に振動する。

第５図および第６図はカム機構を利用して床１
を振動させる振動付与手段２０を示している。床
１中央の根太３ａの下面には２個のカム受け部材
２１ａ，２１ｂが、また側面には１個のカム受け
部材２１ｃがそれぞれ固定されている。これら３
個のカム受け部材２１ａ，２１ｂ，２１ｃはいず
れも湾曲したカム受け面２２ａ，２２ｂ，２２ｃ
を持つている。そして、第１のカム受け部材２１
ａはそのカム受け面２２ａを下方に向け、第２の
カム受け部材２１ｂはそのカム受け面２２ｂを後
方に向け、第３のカム受け部材２１ｃはそのカム
受け面２２ｃを側方に向けている。２３ａ，２３
ｂ，２３ｃはモータ７により動かされる回転軸で
あり、第１の回転軸２３ａと第２の回転軸２３ｂ
はいずれも根太３ａの下方にあるが、前者２３ａ
は根太３ａと同方向に、そして後者２３ｂは根太
３ａと直交方向に配置され、他方、第３の回転軸
２３ｃは根太３ａの側方にあつて根太３ａと平行
に配置されている。上記３本の回転軸２３ａ，２
３ｂ，２３ｃには前記３個のカム受け部材２１
ａ，２１ｂ，２１ｃと各対向する位置にカム２４
ａ，２４ｂ，２４ｃがそれぞれ取付けられてい
る。

図に示されているように、これら３個のカム２
４ａ，２４ｂ，２４ｃの各当たり面２５ａ，２５
ｂ，２５ｃはそれぞれの間に120度の位相差を設
けて各軸２３ａ，２３ｂ，２３ｃに固定されてい
るため、これらの軸がモータの駆動にり同時に回
転し始めても、各カムの当たり面２５ａ，２５
ｂ，２５ｃは各カム受け部材のカム受け面２ａ，
２２ｂ，２２ｃに同時に当たることはなく、まず
第１の当たり面２５ａが、次に第２の当たり面２
５ｂが、そして最後に第３の当たり面２５ｃがそ
れぞれ対応するカム受け面２２ａ，２２ｂまたは
２２ｃに当たり、その後再び第１の当たり面２５
ａがそのカム受け面２２ａに当たるというように
して順番に当たるので、回転軸２３ａ，２３ｂ，
２３ｃの同時回転により、床１は時には早くそし
て時にはゆつくりとあるいは常に一定の早さで上
下、前後、左右に振動する。なお、根太３ａ下面
の、カム２４ｂに対面する部分が切欠き穴になつ
ているため、カム２４ｂの回転は妨げられない。

カム機構は上記のごとく３個設けられる必要は
なく、例えばいずれか１個であつてもよい。ま
た、上述されたように３個設けられる場合であつ
ても、これらが同時に動作するようにされる必要
はなく、時には上下動用カム機構が、そして時に
は前後動用のカム機構が、また時には左右動用の
カム機構がそれぞれ動作するように操作されるこ
ともある。

この考案において、床を、その動きを自由とさ
せるようにして支持する手段は上記クツシヨン
４，６のほか種々のものがある。また、その振動
方向は上下、左右等いずれか一定の方向であつて
もよい。他方、このようにして支持されている床
を振動させるための振動付与手段も種々のものが
採用され、ときには支持している袋形のクツシヨ
ンに圧縮空気を間欠的に吹き込むことによつて、
このクツシヨン自体を振動させ、これを床１に伝
える等のごとく構成してもよい。

この考案は上述のように構成されているもので
あつて、娯楽用建造物の床が、この建造物をつく
つている他の構造部分から独立し、自由に動きう
るよう支持され、振動付与手段によつて時宜に応
じ、ときに早くあるいはときにゆつくりと、ま
た、ときに小さくあるいはときに大きくというよ
うに必要な種類の振動が付与されるようになつて
いる。したがつて、この床装置が設置されている
娯楽用建造物においては、使用時の娯楽目的に応
じてそれにふさわしい振動が床に付与されうるた
め、この娯楽用建造物の利用者（入場者）がこの
振動を体感したとき、その娯楽場面において、従
来にない素晴しい臨場感，迫真力を受けるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すものであつ
て、第１図はこの考案にかかる床装置を設けた映
画館々内の平面図、第２図は同上の縦断面図、第
３図は正面断面図、第４図はクランク機構を利用
した振動付与手段の要部を拡大して示す部分断面
図、第５図および第６図はカム機構を利用した振
動付与手段の要部を拡大して示す部分断面図と側
面図である。 １……床、２……観客席、３ａ，３ｂ，３ｃ…
…根太、４，６……クツシヨン、５……周囲桟
部、７……モータ、１０……クランク機構を利用
した振動付与手段、１１……クランク、１２……
連結ピン、１３……連結棒、２０……カム機構を
利用した振動付与手段、２１ａ，２１ｂ，２１ｃ
……カム受け部材、２３ａ，２３ｂ，２３ｃ……
回転軸、２４ａ，２４ｂ，２４ｃ……カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 客席が設置された床が、可逆的な動きを自由と
   させるようにクツシヨンに支持されていて、振動
   付与手段により振動させられるようにあつている
   娯楽用建造物の床装置。