JPS6137644Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、注射剤を入れる管びんの口部に嵌
めたゴム栓上に被せて口部に固着するキヤツプに
関する。

従来、この種のキヤツプは、ゴム栓上に被せて
管びん口部に固着する金属製の封冠と、封冠の外
面に被せる合成樹脂製の被覆冠とで形成されるも
ので、封冠の天板に複数の切目を円形の包絡線に
亘つて間隔をおいて穿設し、該切目の包絡線より
内部に孔をあけておき、被覆冠より突設した突出
部を封冠の孔に通し、突出部の周縁部を孔の周縁
に溶着して、封冠と被覆冠を一体的に重ね合した
ものであつて、開封する時には、被覆冠を指で上
方へ押し付けることにより、突出部を通じて封冠
の天板中央部も上方へ引き上げられるので、各切
目間が切断されて被覆冠が封冠より外れ、切目の
包絡線内部が開封され、この部分にゴム栓が露出
される。そこで露出した部分に注射針を差し込
み、収納剤を注射器に吸い取るものである。とこ
ろで、被覆冠を取り外す際には、押し付けるのみ
で各切目間を切つて外すものであるから、ワンタ
ツチで外すことが出来る反面被覆冠を強く押し付
ける必要があり、外れた瞬間に管びんが振れ動
き、管びんの注射剤を泡立てて仕舞い、注射器の
扱い取りに支障を来たすものであつた。

この考案の目的は、以上の泡立ちが発生しない
ように安定した状態を保つて開封されることにあ
り、しかも簡単な操作で軽い力で開封できること
にある。

この考案による構成は、従来と同様に封冠と被
覆冠で形成されるが、被覆冠を回転することによ
り各切目間が切断され、切断後被覆冠を取り外せ
るように工夫したもので、そのために、被覆冠を
封冠に対して回転不能に一体的に連結されるが、
その手段は、封冠の切目によつて画かれる包絡線
より内部に抜孔を設け、抜孔の周縁に下方へ垂下
する周壁を設け、周壁の下縁に凹凸歯を設けてお
き、一方被覆冠より突出したリング部を前記抜孔
へ貫通し、リング部の下縁部を屈曲して周壁の凹
凸歯に溶着したことを特徴とするもので、封冠は
金属で、被覆冠は合成樹脂で成形されるものであ
る。

以下、この考案によるキヤツプを実施例によつ
て説明する。第１図において１は管びん、２はゴ
ム栓、３は封冠、４は被覆冠を示し、封冠３と被
覆冠４で本考案のキヤツプを構成するものであ
る。

管びん１は、普通断面円形で口部５は胴部より
絞られ、口部５の外周縁に膨出部６を備えたもの
である。

ゴム栓２は、第３図図示の如く、管びん口部５
の上縁に被せる円盤部７に、口部５内へ圧入する
リング状の脚部を備え、円盤部７の上面中央部は
僅かであるが陥没してあり、外縁部に凸条を有す
る。

封冠３は、アルミニウム合金製のものであつ
て、天板８の周縁にスカート部９を有し、ゴム栓
２の円盤部７を覆い、スカート部９の下縁部を屈
曲して管びん口部５の膨出部６下面に加締めて、
管びん口部５に封冠３を固着する。そこでこの封
冠３の天板８中央部に、第４図と第５図図示の如
く、同心円で画かれる包絡線に沿つて複数の切目
１０を等間隔おきに設けるが、天板８を前記包絡
線に沿つて凹溝状に陥没し、該凹溝状の底部に前
記切目１０を設ける。また天板８における上記包
絡線より内部に同心円で画かれる円形の抜孔１１
を穿設すると共に、抜孔１１の内周縁より下方へ
リング状に垂下した周壁１２を設け、該周壁１２
の下縁に山形に先の尖つた凹凸歯１３を形成した
ものである。

被覆冠４は、合成樹脂で封冠３に被せるもの
で、第６図図示の如く、天板の中央部内面に封冠
３の抜孔１１へ嵌まるリング部１５を一体に突設
し、更に封冠３の切目１０が画く包絡線に相対向
して凸条が設けてある。また、被覆冠４の外周壁
面に滑り止めとなる複数の凹部１７を設けてい
る。

各部材は上記の構造をなし、封冠３上に被覆冠
４を被せると共に、リング部１５を抜孔１１へ貫
通し、リング部１５の下縁部を外方へ屈曲すると
同時に超音波溶接によつて、リング部１５の下縁
部を周壁壁１２の凹凸歯１３に溶着し、封冠３の
被覆冠を一体的に固着したものである。また、こ
のキヤツプを管びんに取付けるには、口部５にゴ
ム栓２を施こしてから、その上よりキヤツプを被
せ、封冠３のスカート部９を口部５に加締めるも
のである。

上記の如く取付けられたキヤツプを開封する時
には、まず被覆冠４を左あるいは右へ廻す。この
廼す動作により封冠３は口部５に加締めてあつて
回転されないものであるから、被覆冠４の回転力
がリング部１５より封冠３に伝わり、封冠３に捩
り力が作動することから、その作動力で各切目１
０間が切断され、被覆冠４が封冠３より縁切れと
なり、以後被覆冠４を封冠３より取り外せば、封
冠３の中央部が開封され、開封された部分にゴム
栓２の一部が露出する。

この考案による注射剤用管びんのキヤツプは、
封冠より突設した周壁の下縁部に凹凸歯を設け、
被覆冠のリング部を封冠の抜孔に通し、該リング
部の下縁部を屈曲して前記凹凸歯間に溶着して、
封冠と被覆冠とを一体的に固着したものであつ
て、その固着状態が強固となり、被覆冠を回転し
た際に封冠に確実に捩り力が与えられるものであ
る。しかも、従来の指でキヤツプをこじあけて切
目を切断する仕事量と、本考案の回転によつて切
断する仕事量とは殆んど変りはないが、回転する
場合には、被覆冠を安定した状態で回転して切目
を切断することが出来ることから管びんを振り付
けることなく安定した状態が保持され、収納剤を
泡立てることなく確実に開封されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案によるキヤツプを施こした注
射剤用管びんを一部切欠して示す正面図、第２図
は第１図Ａ部の拡大断面図、第３図はゴム栓の平
面図、第４図は封冠の平面図、第４図は封冠の平
面図、第５図は封冠の断面図、第６図は第５図Ｂ
の拡大断面図、第７図は被覆冠の断面図である。 １……管びん、２……ゴム栓、３……封冠、４
……被覆冠、５……管びんの口部、１０……切
目、１１……抜孔、１２……周壁、１３……凹凸
歯、１５……リング部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 管びん口部５のゴム栓２上に被せて管びん口部
   ５に固着する金属製封冠３と封冠３上に一体的に
   被せた合成樹脂製被覆冠４とからなり、封冠３の
   天板８中央部に複数の切目１０を包絡線に沿つて
   設けてあるキヤツプにおいて、封冠３の切目１０
   を設けた包絡線の内部に穿設した抜孔１の周縁
   に、下方へ垂下した周壁１２を設け、周壁の下縁
   に凹凸歯１３を形成し、被覆冠４の天板１４より
   突設して封冠３の抜孔１１を貫通するリング部１
   ５の下縁が、屈曲され凹凸歯１３間に溶着してあ
   る注射剤用管びんのキヤツプ。