JPS6137474Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、工作機械における刃物台等を移動自
在に案内するころがりガイド装置に関する。

従来、この種のころがりガイド装置は、第１図
に示す構造のものが一般的であつた。即ち、図示
しない工作機械本体に固定される固定部材１側に
一対のレール２を設けると共に、該固定部材１上
に転動自在に載置される移動部材３側に、上記レ
ール２と転接する少なくとも一対の転動体８を設
けて構成される。

ところで、この従来のガイド装置は、上記レー
ル２が固定部材１の長手方向外側部（第１図の紙
面に対し直角方向）に、互いに外向きに固定され
ると共に、転動体８が、断面逆凹字状の移動部材
３の垂下片５の内壁に、互いに複数のボール９を
内向きにして対向配置され、移動部材３が転動体
８及びレール２を介して固定部材１を挾持する構
成となつている。そのため、移動部材３が幅広に
なると共に、肉厚を厚くできず、構造上、該移動
部材３の剛性を高めることができなかつた。従つ
て、旋盤等にあつては、強力な切削などのような
大きい負荷のかかる作業ができないという欠点が
あつた。

又、この従来のガイド装置は、移動部材３を固
定部材１に上設置した際に、転動体８を適当な圧
力でレール２に圧接せしめるプリロードを行なう
手段として、移動部材３の垂下片５の一方に設け
たネジ孔６とこのネジ孔６に螺合させた調整ネジ
７とを有している。ところが、移動部材３の外側
面側から調整ネジ７によりプリロードをかける
と、垂下片５に外方向の力が加わつて、第１図に
て二点鎖線で示すように、プレート部４に反りを
生じ、移動部材３の直線往復移動が円滑に行なえ
ず、工作作業に支障を来たすという欠点があつ
た。又、反りを生じることから、精度良くプリロ
ードの微調整を行なうことができずトラブルの原
因となつていた。

本考案は、斯かる欠点に鑑みてなされたもの
で、移動部材のプレート部を構造上厚肉に形成で
きて剛性を高めることができ、又、プリロードを
移動部材の内側から外向きに行なうことにより、
移動部材に反りを発生させず、移動部材の円滑な
移動を確保すると共に、精度良く微調整を行ない
得るころがりガイド装置を提供することを目的と
する。

本考案は、斯かる目的を達成すべく、固定部材
側に一対のレールを設け、一方、該固定部材上に
転動自在に載置される移動部材側に、上記レール
と転接する少なくとも一対の転動体を設けて成る
ころがりガイド装置において、上記レールを、互
いに内向きに対向配置して固定部材に設けると共
に、上記転動体を、上記レールに内側から転接す
るよう外向きにして移動部材下面側に設け、且
つ、対をなす上記転動体の少なくとも一方の側の
転動体と当接して、該転動体を外向きに押圧して
プリロードを行なうテーパ状の調整部材を、移動
部材下面側に設けて構成される。

本考案は、レールを内向きにして外側に配置
し、転動体を外向きにしてレールの内側に配置し
て、転動体の内側に空間を確保し、その部分につ
いて移動部材の肉厚を厚くすることができて、移
動体の剛性を増大させる。又、対をなす転動体の
一方の内側からテーパ状の調整部材を当接させて
プリロードをかけるので、反りを発生させずに最
適にプリロードを行ない得る。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて説
明する。

第２図は本考案ころがりガイド装置の一実施例
を示す断面図、第３図はそのＡ−Ａ断面図であ
る。

図において本考案ころがりガイド装置は、工作
機械本体に固定される固定部材１１側に設けられ
るレール１４と、例えばドラム形タレツト１０ａ
を有する刃物台１０を載置する移動部材２１に設
けられる転動体２３及びテーパ状の調整部材２６
とを有して成る。

レール１４が設けられる固定部材１１は、移動
部材２１を移動させる駆動ネジ１６及びナツト１
８を収納する凹部１２が設けてあり、該凹部１２
の開口部に段差１３を設け、該段部１３にレール
１４がネジ１５により固着されている。レール１
４は、凹部１２の両側に１本づつ対に設けられて
おり、互いに内向きに対向配置されている。な
お、上記駆動ネジ１６は、その先端が上記凹部１
２の端部に設けられた軸受け１７にて回転自在に
支持され、一方、基端がブラケツト１９を介して
モータ２０に連結されている。

転動体２３及び調整部材２６が設けられる移動
部材２１は、上記凹部１２に対応する位置に凸部
２２を設けて厚肉に形成されている。この凸部２
２の外側部に転動体２３が設けられる。この転動
体２３は、上記一対のレール１４に対応して少な
くとも一対設けられるが、本実施例では、一対の
転動体２３を２組設けている。転動体２３は、上
記従来のものと同様に複数のボール２４を有して
成り、上記レール１４と転接すべくボール２４を
外向きにして配置し、移動部材２１下面にネジ２
５により固定される。

上記調整部材２６は、上記対をなして設けられ
る転動体２３の一方の側に当接して設けられる。
この調整部材２６は転動体２３と凸部２２外側部
との間に斜面を有して設けられる。この調整部材
２６は、ネジ２７により移動部材２１下面に上下
動可能に取付けられる。

このように構成される本実施例の作用について
説明する。

先づ、調整部材２６のネジ２７を緩めた状態
で、転動体２３の複数のボール２４をレール１４
に転接せしめて移動部材２１を固定部材１１に取
付ける。ついで、調整部材２６によりプリロード
調整を行なう。即ち、ネジ２７を締めることによ
り、斜面を有するテーパ状の調整部材２６を上昇
させると、該斜面に移動部材２１の凸部２２から
の抗力を受ける。この抗力の水平方向分力が、当
接する転動体２３に作用し、複数のボール２４を
レール１４に圧接させる。この時の圧力は、斜面
の傾斜角度と、調整部材２６の上昇ストロークに
対応して定まるので、精度良く微調整ができる。
一方、調整部材２６の上昇によつて移動部材２１
側も力を受けるが、厚肉の凸部２２に主として作
用するので、曲げ応力が発生せず、移動部材２１
を変形させることはない。

プリロード調整を行つた後、モータ２０を回転
させれば、駆動ネジ１６が回転し、これと螺合す
るナツト１８が移動して、移動部材２１がレール
１４に沿つて転動体２３に案内され、なめらかに
移動する。

上記実施例では、１軸方向に移動する場合のみ
示したが、Ｘ−Ｙ方向等、複数軸を有する工作機
械の各軸に本考案を適用することができる。又、
本実施例では、調整部材として台形状のものを使
用したが、半円錘状の部材やギブ（長手方向テー
パ部材）、ねじ等同様に作用するものあれば、他
の形状、構造のものであつても一向にさしつかえ
ない。

以上説明したように本考案は、固定部材に内向
きに対向配置して成るレールの内側面に、複数の
ボールを有する転動体を配置して、該転動体を固
着した移動部材を直線移動させる構成としたこと
により、移動部材を幅狭、厚肉に形成できて、そ
の剛性を高めることができ、その結果、大負荷の
かかる作業を実行可能とした効果がある。又、本
考案は、転動体の内側にあつて、移動部材に曲げ
応力がかからない位置に調整部材により該転動体
を外向きに押圧することにつてプリロードをかけ
る構成としたことにより、移動部材に反りを発生
させることがなく、精度良く、微調整を行なうこ
とが簡単にできる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のころがりガイド装置を示す断面
図、第２図は本考案ころがりガイド装置の一実施
例を示す断面図、第３図はそのＡ−Ａ断面図であ
る。 １０……刃物台、１１……固定部材、１２……
凹部、１３……段部、１４……レール、１５……
ネジ、１６……駆動ネジ、１８……ナツト、２１
……移動部材、２２……凸部、２３……転動体、
２４……ベアリング、２５……ネジ、２６……調
整部材、２７……ネジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ガイド部が互いに内向きに対向配置して固定側
   に設けられた一対のレールと、該レールに内側か
   ら回転部材を介して転接するように外向きにして
   移動側に設けられた少なくとも一対の転動体と、
   対をなす上記転動体の少なくとも一方の側の転動
   体と当接して外向きに押圧してプリロードを行な
   う調整部材とからなるころがりガイド装置。