JPS6136605Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、暗渠の施工等にあたつて、掘削溝の
溝掘り作業と掘削土の埋戻し作業とを行なうこと
ができる溝掘埋戻機に関するものである。

圃場を最大限に利用しようとする集約農業の発
達した今日において、水田を畑に転換したりする
場合に、農作物の安定多収穫と機械化作業による
省力生産を行なうためばかりでなく、農作物に対
応した土壌水分特性や圃場の耕起、砕土などの作
業能率や作業精度の向上のためにも、土壌の排水
改良がとりわけ重要で不可欠のものとなつてい
る。そして、この土壌の排水改良には明渠又は暗
渠排水による方法が多く用いられているが、特に
暗渠排水施工は、圃場に所定高さの掘削溝を削成
した後に、該掘削溝内に籾殻等の充填部材並びに
必要とあれば排水パイプ等を理設し、しかる後に
掘削土を埋戻すようにしなければならない。しか
しながら、従来伝動ケースの左右水平方向に延設
されたロータリ軸に掘削刃装置を設けてアツプカ
ツトにより掘削溝を削成するロータリ・デイツチ
ヤ方式のものは、残耕防止のためロータリ軸の軸
芯に対し逆Ｖ字状に連結体を介して掘削刃装置を
連結固定するため、掘削時に、泥等が連結部に侵
入しないようにするには、格別のオイルシール等
を用いたりして連結体の構造が複雑となる欠点が
ある。また、溝掘と埋戻しの両作業機を付替える
必要があるがその取付作業が煩雑であつた。

本考案は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃すべく創案されたものであつて、ロータリ
軸の軸芯に対して逆Ｖ字状に偏芯して回転するよ
うに構成された連結回転体に、掘削刃装置と埋戻
ラセン刃装置とを付替自在に連結固定するように
したものでありながら、ロータリ軸と一体回転す
る回転体を、ロータリ軸端部を覆うキヤツプ状に
形成し、かつロータリ軸の軸芯に対して所定角だ
け偏芯した逆Ｖ字状の軸芯を有するように構成す
ると共に、上記回転体の外周面には上記掘削刃装
置と埋戻ラセン刃装置とを付替自在に連結する取
付体を設けることにより、連結回転体には溝掘装
置並びに埋戻ラセン刃装置をそのまゝ固定するだ
けで極めて容易に付替することができしかも掘削
時に泥等が連結回転部に侵入するのを確実に防止
することができる構造の簡単な溝掘埋戻機を提供
せんとするものである。

本考案の構成を、図面に示された一一実施例に
よつて説明する。１は農用トラクタの走行機体で
あつて、該走行機体１の後方には昇降リンク機構
２を介して溝掘埋戻機３が上下昇降自在に装備さ
れている。即ち、溝掘埋戻機３の機体フレーム３
ａは昇降リンク機構２のアツパーリンク機構２ａ
及びロアリンク２ｂによつて連結されている。機
体フレーム３ａの中央部には下方に向けてロータ
リケース４が垂設されており、走行機体１の動力
取出軸１ａから動力伝達軸５を介して溝掘埋戻機
３の入力軸６に伝達された動力は、ロータリケー
ス４に内装されたギヤ並びにチエン伝動機構（図
示せず）によつて、ロータリケース４の下部に左
右水平方向に突設したロータリ軸７に伝達する。
第３図はロータリケースの中心線Ｘ−Ｙを境とし
て左側は掘削刃装置を装着し、右側は埋戻ラセン
刃装置を装着した作業状態を示したものであり、
８はロータリ軸７の端部を覆うキヤツプ状に形成
された連続回転体であつて、該連結回転体８は、
ロータリ軸７の軸芯方向に対しロータリケース４
を中心として左右逆Ｖ字状に偏芯すべくロータリ
軸７に所定角度αだけ軸芯が傾斜するように外嵌
してロータリ軸７と一体回転するようになつてお
り、ロータリ軸７の軸受部と、連結回転体８の端
縁部との対向間はオイルシールによつて泥土等が
侵入しないようになつている。そして、連結回転
体８の外周部にはフランジ９が突設されている。
１０は掘削刃装置であつて、該掘削刃装置１０を
構成する掘削刃固定板１１は、連結回転体８に挿
通して固定具１２を介してフランジ９に着脱自在
に連結固定できる。１３，１３ａは掘削刃であつ
て、該掘削刃１３，１３ａは掘削刃固定板１１に
固定具１２を介して固定されていて、ロータリ軸
７の回転によつて掘削溝Ａを掘削するものであ
る。一方、１４は埋戻ラセン刃装置であつて、該
埋戻ラセン刃装置１４の基端部には連結回転体８
に嵌入して固定具１２を介してフランジ９に連結
固定される筒状基部１５が設けられていて、前記
掘削刃装置１０と付替自在となつている。そして
筒状基部１５には、連結回転体８の軸芯と同一方
向に向いたラセン軸１６が延設されている。ラセ
ン軸１６にはラセン刃１７が装備されているが、
該ラセン刃１７の軸芯方向の回転軌跡は、ラセン
軸１６の軸芯に対して筒状基部１５方向に向けて
連結回転体８の略偏芯角度αだけテーパ状に拡開
するようになつている。即ち、筒状基部１５側の
ラセン刃１７ほど回転半径が大きくなつていて、
ラセン軸１６の軸芯方向に対する半径の増加率が
連結回転体８の傾斜角度αと対応する。

１８は掘削刃装置１０によつて掘削された掘削
土Ｂを掘削溝Ａからさらい出す作用を兼ねた掘削
深さ調節板であつて、該掘削深さ調節板１８の下
端側は掘削刃１３，１３ａの回転軌跡に沿うよう
に機体進行方向に向けて湾曲し、かつ湾曲下端に
は機体重量を支持できるのに十分な面積を有する
底板１９が後方に一体的に延設されている。一
方、掘削深さ調節板１８の湾曲部はロータリケー
ス４に後方下方に向く下部リンク２０を介して枢
結されている。さらに掘削深さ調節板１８の上端
部は機体フレーム３ａと略水平方向に向く上部リ
ンク２１を介して枢結されていて、深さ調節ハン
ドル２２によつて掘削深さ調節板１８は上下動調
節自在に構成されている。即ち、掘削深さ調節板
１８の上端に植設した連結杆２３の先端部には枢
支軸２４が貫装され、該枢支軸２４の両端に、一
端が機体フレーム３ａの枢軸２１ａに枢結された
上記上部リンク２１の他端が枢結されている。そ
して、深さ調節ハンドル２２は機体フレーム３ａ
の後端に設けた挿通孔２５を貫通して下方に位置
する枢支軸２４に螺入していて、深さ調節ハンド
ル２２の操作によつて、掘削深さ調節板１８は、
上部リンク２１の枢軸２１ａ及び下部リンク２０
の枢軸２０ａを支点として上下動するようになつ
ている。

２６は排土板であつて、該排土板２６は、掘削
刃１３，１３ａによつて掻出されたり掘削深さ調
節板１８によつて掘削溝Ａからさらい出された掘
削土Ｂが掘削溝Ａに入らないようにするために掘
削溝Ａの左右両側方に排土するものである。ま
た、２７は連結回転体８に装着された掘削刃装置
の上方に位置する後面視においてＶ字形状をした
掘削土飛出し誘導のカバー体である。そして、カ
バー体２７は前記機体フレーム３ａに固着されて
いるが、機体フレーム３ａの後半部左右両側には
連結回転体８のフランジ９と同様の搭載部材２８
が設けられていて、掘削刃装置１０あるいは埋戻
ラセン刃装置１４を搭載できるようになつてい
る。

次に、叙述の如く構成された本考案の作用につ
いて説明する。まず、圃場に所定深さの掘削溝Ａ
を削成するには、埋戻ラセン刃装置１４は機体フ
レーム３ａに設けた搭載部材２８に搭載し、掘削
刃装置１０を連結回転体８に連結固定する。それ
には昇降リンク機構２を介して溝掘埋戻機３を適
宜高さに上昇させ、掘削刃１３，１３ａが固着さ
れた掘削刃固定板１１を連結回転体８に挿通し固
定具１２を介してフランジ９に連結固定する。さ
らに、調節ハンドル２２を操作して掘削深さ調節
板１８を上下動して掘削深さが所望する深さとな
るように調節する。この掘削深さ調節において、
掘削深さ調節板１８は下部リンク２０及び上部リ
ンク２１の各枢軸２０ａ，２１ａを支点として上
下動するが、上部リンク２１は略水平状に架設さ
れる一方、下部リンク２０は後方下方に向けて架
設されているため、掘削深さ調節板１８の下端側
の湾曲部は掘削刃１３，１３ａの回転軌跡に沿つ
て上下動し、且つ掘削深さ調節に伴う溝掘埋戻機
３本体の角度変化を吸収して常に底板１９が溝底
にフラツトに接当して本体重量を保持することが
でき、このためゲージホイール等の別部材を全く
不用にして正確な掘削深さの調節を行なうことが
できる。

この様にして掘削深さ調節が終了した後、動力
取出軸１ａからロータリ軸７に動力を伝達して掘
削溝Ａの掘削作業を開始する。即ち、ロータリ軸
７の回転によつて、ロータリ軸７の軸芯より角度
αだけ偏芯した逆Ｖ字状の軸芯によつて掘削刃１
３，１３ａが回転して残耕部を発生することなく
掘削する。そして掘削時に掘削刃装置１０を固定
した連結回転体８が土中に没入しても、キヤツプ
状に形成した連結回転体８内に泥等が侵入して、
動力を伝達する歯車等が損傷することはない。ま
た掘削された掘削土Ｂは掘削刃１３によつて掘削
溝から掻出されあるいは後方の掘削深さ調節板１
８によつてすくい出されて、排土板２６で掘削溝
Ａの左右両側に排土される。この掘削作業におい
て、一般に土壌が固い場合には溝掘埋戻機３は浮
上がろうとする傾向にあるが、本考案のものは、
機体フレーム３ａの後半部左右両側に埋戻ラセン
刃装置１４を搭載しているので、これが浮上り防
止用の錘体として利用でき、別途の錘体を準備す
る必要もなく且つ圃場への運搬にも極めて便利で
ある。しかも、搭載部材２８は後面視においてＶ
字状のカバー体２７を装着した幅広な機体フレー
ム３ａの空間部に設けることができ、全体をコン
パクト化できる。

そして、掘削溝Ａの掘削作業が終了したら、掘
削溝Ａに籾殻等の充填部材Ｃを充填し、さらに必
要ならば排水パイプを埋設したりして暗渠の施工
に必要な作業を行なう。これには、機体フレーム
３ａに搭載された埋戻ラセン刃装置１４と連結回
転体８に連結固定された掘削刃装置１０とを交換
すればよい。このとき、フランジ９とラセン軸１
６の筒状基部１５とが同形となつているため、交
換作業が容易で、素早く行なえる。そして連結回
転体８に埋戻ラセン刃装置１４を連結固定した後
にロータリ軸７を回転させて掘削土Ｂを掘削溝Ａ
に埋戻す。このとき、ラセン刃１７は、ラセン軸
１６の軸芯方向に対し、連結回転体８の偏芯角度
αだけテーパ状になつているから、ラセン刃１７
は圃場面に水平状に当接することとなり、且つ、
ラセン刃の径が内側程大径のため内側に寄るに従
つて多量になる埋土も容易に移送でき掘削土Ｂは
掘削溝Ａ内に確実に埋戻されることとなり、暗渠
の施工が完了する。

これを要するに、本考案は、左右水平方向に延
設したロータリ軸に、掘削溝を削成する掘削刃装
置と掘削土を埋戻す埋戻ラセン刃装置とを切替自
在に連結固定する溝掘埋戻機において、上記ロー
タリ軸と一体回転する回転体を、ロータリ軸端部
を覆うキヤツプ状に形成し、かつロータリ軸の軸
芯に対して所定角だけ偏芯した逆Ｖ字状の軸芯を
有するように構成すると共に、上記回転体の外周
面には上記掘削刃装置と埋戻ラセン刃装置とを付
替自在に連結する取付体を設けたものであるか
ら、暗渠等の掘削溝の削成ならびに埋戻作業を連
結回転体にそれぞれの作業機を付替えて連結固定
するだけで確実に取付けでき、その付替作業は極
めて簡単容易に行なうことができる。しかもキヤ
ツプ状に形成した連結回転体がロータリ軸の端部
を覆うので連結回転体が掘削時に地中に没入して
も、泥土等が連結回転体の中に侵入することはな
く円滑に溝掘埋戻し作業ができるうえ、連結回転
体の構造を簡単にできるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る溝掘埋戻機の一実施例を
示したものであつて、第１図は全体側面図、第２
図は全体背面図、第３図は要部作用説明図、第４
図は要部斜視図である。 図中、３は溝掘埋戻機、７はロータリ軸、８は
連結回転体、１０は掘削刃装置、１４は埋戻ラセ
ン刃装置、１６はラセン軸、１７はラセン刃であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左右水平方向に延設したロータリ軸に、掘削溝
   を削成する掘削刃装置と掘削土を埋戻す埋戻ラセ
   ン刃装置とを切替自在に連結固定する溝掘埋戻機
   において、上記ロータリ軸と一体回転する連結回
   転体を、ロータリ軸端部を覆うキヤツプ状に形成
   し、かつロータリ軸の軸芯に対して所定角だけ偏
   芯した逆Ｖ字状の軸芯を有するように構成すると
   共に、上記回転体の外周面には上記掘削刃装置と
   埋戻ラセン刃装置とを付替自在に連結する取付体
   を設けたことを特徴とする溝掘埋戻機。