JPS6135671B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は被加熱物を電磁誘導作用により所定
温度に加熱する誘導加熱装置の誘導加熱コイル装
置に関するものである。

第１図は従来のこの種誘導加熱コイル装置の縦
断面図を示すもので、１は円筒状の耐火物３の外
周に、スパイラル状に巻回され、内部に冷却水が
流通するようになされた断面ほぼ長方形の銅管製
の加熱コイルで、上記円筒状の耐火物３は上記加
熱コイル１に対する熱保護と、この耐火物３内に
搬入され、そして加熱された被加熱材料（図示せ
ず）の熱放散を抑えてこれを極力保温するために
設けられたものである。４は上記円筒状の耐火物
３内の底部に長手方向に延長して配設され、被加
熱材料（図示せず）を耐火物３に接触しない状態
で搬送するために設けられたスキツドレールであ
る。なお、上記銅管製の加熱コイル１の外表面に
は、第２図の拡大断面図に示すように、スパイラ
ル状に巻回された互いに隣接する加熱コイル１間
を電気的に絶縁するための絶縁膜２がコーテイン
グまたはテーピングされている。

上記のように構成された従来の誘導加熱コイル
装置において発生する多くの事故を大別すると、
冷却水の供給不足に伴なう加熱コイル１の焼損事
故と、絶縁不良または絶縁劣化等による地絡事故
とに分けられるが、上述した事故の前者の場合は
主として作業者のミスに起因する場合が多い。そ
して上述した事故の後者の場合は、その原因とし
て、上記スキツドレール４を介して接地状態にあ
る被加熱材料（図示せず）と加熱コイル１との短
絡が挙げられる。これは被加熱材料と加熱コイル
１との間に介在する耐火物３に、熱応力や劣化等
によつて亀裂が入り、この亀裂の内部に、加熱コ
イル１内に堆積した被加熱材料の酸化スケール等
が侵入し、そして加熱されるため、耐火物３の亀
裂を経て加熱コイル１まで達した酸化スケールが
耐火物３を熱破壊させ、被加熱材料と加熱コイル
１とが短絡して、地絡事故に至るものである。

従来、かかる地絡事故の保護手段として、第３
図に示すように、加熱コイル１が接地した場合に
のみ直流回路Ａが閉ループとなり、直流リレー１
６が作動してその接点によつて警報回路等を動作
させて地絡検出を行なうようにしたものである
が、このような手段は、実際に加熱コイルが地絡
事故を起こしてからでないと検出できないため事
故保護ができない欠点がある。また、第３図に示
すように、単一の電源１１で、複数の加熱コイル
１に電力を同時に供給するように構成したものの
場合には、地絡事故が検出されても、各加熱コイ
ル１のうち、どの加熱コイルに地絡事故が発生し
たかを判別することができないため、各加熱コイ
ルを順次解体して調査する以外方法がなかつた。
したがつて、大容量の誘導加熱装置のように、特
に加熱コイルの数量が多い場合、その点検または
補修作業に当つては、加熱コイルの数量と比例的
に多くの時間を費やし、生産ラインに大きな支障
を来していた。

この発明は、かかる点に着目してなされたもの
で、円筒状の耐火物と、この耐火物の外周にスパ
イラル状に巻回した加熱コイルとの間に、互いに
重合する非磁性金属チユーブと絶縁チユーブを介
装するようにしたので、上記耐火物に発生した亀
裂に、被加熱材料の酸化スケールが侵入しても、
この酸化スケールが加熱コイルに接触して地絡事
故が発生するようなことがなく、しかも上記金属
チユーブとアース間、または金属チユーブと加熱
コイル間との絶縁抵抗値を定期的に測定すること
により、事前に加熱コイルの寿命がチエツクし得
られるとともに、地絡事故が発生した場合には、
加熱コイルの数量が多くても、迅速に地絡コイル
を発見することができる誘導加熱コイル装置を提
供しようとするものである。

すなわち、第５図および第６図は何れもこの発
明の一実施例を示すもので、１は円筒状の耐火物
３の外周に、非磁性材料からなる金属チユーブ６
および絶縁チユーブ５を介してスパイラル状に巻
回され、内部に冷却水が流通するようになされた
断面ほぼ長方形の銅管製の加熱コイルで、上記金
属チユーブ６は、第４図に示すように、電磁誘導
作用によつて加熱されないように、その上部に長
手方向に延長するスリツト６ａが形成され、かつ
上述したように非磁性材料によつて作られてい
る。また、上記絶縁チユーブ５は、加熱コイル１
と金属チユーブ６との電気的絶縁のために絶縁材
のコーテイング或いは絶縁テープのテーピング等
によつて設けられたものである。４は被加熱材料
（図示せず）を搬送するための平行なる一対のス
キツドレールである。

この発明の誘導加熱コイル装置は、上述したよ
うに、円筒状の耐火物３と、この耐火物の外周に
スパイラル状に巻回された加熱コイル１との間
に、互いに重合する非磁性材料からなる金属チユ
ーブ６と、絶縁チユーブ５とを介装するようにし
たので、上記耐火物３に発生した亀裂に被加熱材
料の酸化スケールが侵入しても、この酸化スケー
ルが加熱コイル１に接触して地絡事故を起こすよ
うなことのない優れた効果を有するものである。
また金属チユーブ６とアース間、または金属チユ
ーブ６と加熱コイル１間との絶縁抵抗値を定期的
に測定することにより、事前に加熱コイル１の寿
命がチエツクし得られるばかりでなく、地絡事故
が発生した場合には、加熱コイルの数量が多くて
も、迅速に地絡コイルを発見することができる効
果もある。さらに、円筒状の耐火物３と、この耐
火物の外周にスパイラル状に巻回した加熱コイル
１との間に、互いに重合する非磁性材料からなる
金属チユーブ６と絶縁チユーブ５とを介装するよ
うにしたから、耐火物３を補修する場合、この耐
火物の解体が容易となるばかりでなく、上記両チ
ユーブ６，５が加熱コイル１の保護カバーとなる
ため、耐火物３の解体時に加熱コイル１を損傷し
ない効果も有している。

なお、上述した一実施例においては、金属チユ
ーブ６として、スリツト６ａを有する円筒状のも
のを用いた場合について述べたが、金属製チユー
ブを用いてもよく、また酸化スケールが侵入する
のはその殆んどが耐火物３の下半部に発生した亀
裂であることから、耐火物３の下半部においての
み加熱コイル１との間に樋状の金属しや弊板を設
けても同様の効果が得られることはいうまでもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は何れも従来の誘導加熱コイル
装置を示すもので、第１図は誘導加熱コイル装置
の縦断面図、第２図は加熱コイルの拡大断面図、
第３図は加熱コイルの保護回路図である。第４図
および第５図は何れもこの発明の一実施例を示す
もので、第４図は縦断面図、第５図は第４図の
―線における断面図である。 図面中、１は加熱コイル、３は耐火材、５は絶
縁チユーブ、６は非磁性材からなる金属チユー
ブ、６ａはスリツトである。なお、図中同一符号
は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒状の耐火物の外周に、内部を冷却水が流
   通する加熱コイルを巻回するとともに、該耐火物
   の円筒内に被加熱材料を搬送し、前記加熱コイル
   に対する通電による電磁誘導作用によつて前記被
   加熱材料を誘導加熱コイル装置において、 前記円筒状の耐火物の外周であつて、前記加熱
   コイルとの間には、非磁性材料から成る金属チユ
   ーブが介装されており、 この金属チユーブの外周であつて前記加熱コイ
   ルとの間には、絶縁チユーブが介装されているこ
   とを特徴とする誘導加熱コイル装置。