JPS6133072Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、旧式建造物の撤去に際し、土中に打
込んである基礎杭の引き抜き作業を行うための基
礎杭の打ち抜き装置に関する。

旧式建造物における基礎杭は、数本の杭を差し
込み式に継ぎたしつつ任意の深さまで打込んであ
るため、これを撤去するには基礎杭のうち最下段
にあるものを引き上げ、同時に全部の基礎杭を引
き抜かなければならない。現在の基礎杭の引き抜
き工法では、打込まれた基礎杭を内側に入れつつ
基礎杭の外周部地を掘進する長尺で筒状のケーシ
ングの下部内側に、引くと絞りうる環状ワイヤー
ロープをセツトし、該環状ワイヤーロープを基礎
杭に巻いた状態でケーシングを掘進降下させ最下
段の基礎杭の深さに達した時、ケーシングを停止
させ、ワイヤーロープを引いて基礎杭の胴部を絞
り付けて支持してからケーシングを上昇させ、最
下段の基礎杭及びその上方に連結されている全て
の基礎杭を同時に引き抜くものであつた。しか
し、該環状ワイヤーロープは、ケーシングの掘進
中、土中の抵抗あるいは基礎杭との接触により、
その環形状が乱れ、ケーシングの移動に支障をき
たすだけでなく、いざ、絞り付けてケーシングに
基礎杭を固定するとき、支持力弱く、引き抜き工
程において基礎杭が環状ワイヤーロープから脱落
することが、まゝ起つていた。

本考案は以上の点を考慮してなされたものであ
り、基礎杭の支持機構が土中において充分機能を
発揮し、基礎杭の引き抜き作業を確実に行いうる
ものを目的とする。

以下に本考案の実施例を添付図面に基づいて説
明する。

添付図面の第１図、第２図及び第４図におい
て、１は、長尺かつ下端を開放したケーシングで
あり、土中に打込まれた基礎杭ａ…を内側に入れ
つつ、基礎杭ａ…の外周部の地面を基礎杭ａ…に
沿つて掘進降下すべく、駆動機たるアースオーガ
機２を上端に取付けるとともに、打込まれている
基礎杭ａ…のうち最下段の基礎杭a′の胴部を絞り
付け、ケーシング１内側に固定、支持するための
基礎杭の支持機構３を設けてある。

該基礎杭の支持機構３は、ケーシング１の下部
内側に配置するもので、基礎杭ａ…を囲み、かつ
それぞれが、基礎杭ａ…の長手方向に沿つて配置
すべく、ケーシング１の周壁の内外間を貫通し、
上下それぞれ一対づつ設ける透孔４，４…，５，
５…に、上下端部をケーシング１の内側から外側
へ移動可能に出し、かつ２本１組としてその両端
部を連結してなるワイヤーロープ製等の複数本の
ガイド材６…を設け、また一端をケーシング１に
穿設した第１通孔７から外側へ出すとともに、ケ
ーシング１の外側に取付けた固定具８に固定した
絞り付けワイヤーロープ９を、ケーシング１の内
側にて、前記ガイド材６…の外側に１回半巻き付
け、その他端を、ケーシング１の第２通孔１０か
ら外側へ出し、ケーシング１外側に設けるガイド
ローラー１１を経てケーシング１に沿つて上方へ
延長し、ケーシング１の上端近くに取付けた引張
部材たる油圧ジヤツキ１２に連結したものであ
る。

該支持機構３の配置部位に設けるケーシング１
の切欠部１３は、作業開始時、支持機構３の各ガ
イド材６…及び絞り付けワイヤーロープ９の形状
を整えるとき、作業員の手がケーシング内側に入
れられるように設けてある。

次に上記実施例の基礎杭の引き抜き装置の作動
を説明する。

旧建造物の撒去時、土中に打込まれている基礎
杭ａ…a′を引き抜くにあたり、まず、基礎杭の上
端に、ケーシング１を、その下端開放部に基礎杭
が嵌るごとく垂直に配置し、アースオーガ機２を
駆動すると、ケーシング１は、基礎杭ａ…を内側
に入れつつ基礎杭ａ…の外周部の地面を掘進、下
降する。そして基礎杭の支持機構３が基礎杭ａの
位置に達すると、ガイド材６…が基礎杭ａの外周
を囲む状態でさらにケーシング１は掘進し、ケー
シング１の下端が最下段の基礎杭a′に達したら、
アースオーガ機を停止するとともに油圧ジヤツキ
１２を作動させ、支持機構３の絞り付けワイヤー
ロープ９を引き上げると、基礎杭a′の胴部を、ガ
イド材６…を介して絞り付けワイヤーロープ９が
絞り付け、基礎杭a′をケーシング１に固定、支持
する。ここで、アースオーガ機２を逆駆動してケ
ーシング１を引き上げれば、ケーシング１に支持
された最下段の基礎杭a′及びこの上に順次連結し
て載つている他の基礎杭ａ…も同時に引き抜かれ
る。

なお、ガイド部材６…は、ワイヤーロープ以外
の可撓性を有する材料を用いたものでもよく、ま
た２本を一組とせず、１本づつを各独立してケー
シング１周壁の外周に透孔４，５から各両端を出
し、その端部に、端部が透孔４，５から抜け出な
いような係止機構を設けたものでもよく、なんら
前記実施例に限定されるものではない。

以上のように本考案は、土中に打ち込まれてい
る基礎杭の外周部位の地面を、基礎杭に沿つて掘
進し、降下する長尺で筒状のケーシング下部に、
ケーシングが基礎杭の最下部位まで達したところ
で、適宜基礎杭をケーシング内側に支持する基礎
杭の支持機構を設けた引き抜き装置において、ケ
ーシングの内周に沿つて互いに適宜間隔をおいて
位置するとともに前記ケーシングの長手方向に伸
びるよう各端部をそれぞれ前記ケーシングに支持
した複数のガイド材と、ケーシングの内側にて前
記各ガイド材の外側にループ状に配設し、一端を
ケーシングを固定するとともに、他端をケーシン
グ外側に引き出した後ケーシングに沿つて延長さ
せケーシング上端近くに設ける引張部材に連結し
た絞り付けワイヤーロープとから構成した基礎杭
の支持機構を備えているので、ケーシングを基礎
杭に沿つて掘進降下させる際、複数のガイド材の
外側に巻かれた絞り付けワイヤーロープは、土中
の抵抗によつて上方に押し上げられる一方各ガイ
ド材によつて、ガイド材の上端部位で受け止めら
れ、その巻き付け形状に乱れが起らず、従つて安
定した形状を保つから土からの抵抗力が小さくケ
ーシングの移動をスムースに行い得ると同時に、
引張部材を作動させ、絞り付けワイヤーロープを
基礎杭の胴部に絞り付け、基礎杭をケーシングに
固定、支持する際、絞り付けワイヤーの形状に乱
れがないことと相俟つて、基礎杭の移動方向たる
長手方向に各配列されたガイド材を介して絞り付
けが行われるため、ガイド材と基礎杭胴部間の摩
擦力が強くしたがつて基礎杭に対する固定、支持
が確実であり、ケーシングを上昇して基礎杭を引
抜く時、基礎杭の脱落がない等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本考案の一実施例を示すもので、第
１図は引き抜き作業中を表わす基礎杭の引き抜き
装置の全体図、第２図は支持機構の横断面図、第
３図は、支持機構のガイド材及び絞り付けワイヤ
ーロープを示す斜視図、第４図は、支持機構の縦
断面図である。 １……ケーシング、２……アースオーガ機、３
……支持機構、４，５……透孔、６……ガイド
材、９……絞り付けワイヤーロープ、１２……油
圧ジヤツキ、１３……切欠部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 土中に打ち込まれている基礎杭の外周部位の地
   面を、基礎杭に沿つて掘進、降下する長尺で筒状
   のケーシング下部に、ケーシングが基礎杭の最下
   部位まで達したところで、適宜基礎杭をケーシン
   グ内側に支持する基礎杭の支持機構を設けた引き
   抜き装置において、ケーシングの内周に沿つて互
   いに適宜間隔をおいて位置するとともに前記ケー
   シングの長手方向に伸びるよう各端部をそれぞれ
   前記ケーシングに支持した複数のガイド材と、ケ
   ーシングの内側にて前記各ガイド材の外側にルー
   プ状に配設し、一端をケーシングに固定するとと
   もに、他端をケーシング外側に引き出した後ケー
   シングに沿つて延長させケーシング上端近くに設
   ける引張部材に連結した絞り付けワイヤーロープ
   とから構成した基礎杭の支持機構を備えたことを
   特徴とする基礎杭の引き抜き装置。