JPS6132991Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、高炉の炉壁に装着され、炉壁の冷却
よび保護用として利用可能な冷却盤に関するもの
である。

従来技術 周知の如く高炉の炉壁には、炉体鉄皮の内側に
構築された耐火レンガの冷却および、保護を計る
ために冷却盤が装着されている。該冷却盤は、従
来、第１図に示すように冷却水等の冷媒の循環路
１０を内蔵する箱型に構成され、かつ、熱伝導率
の高い銅製のものが一般的であつた。尚、第１図
において１１は冷却盤１の冷媒給排管である。

ところで前記高炉の炉壁は長年の使用によつて
耐火レンガが損耗、あるいは脱落し、冷却盤１が
炉内に突出する状態になつたり著しい時には炉体
鉄皮（以下単に鉄皮と言う）が露出するような状
態となる。

而して従来より前記炉壁の損耗に対して種々の
補修手段が提案されている。例えば前記冷却盤と
冷却盤の間の鉄皮を開口し、菊型の支持金物を取
り付け、その後炉内より不定形耐火物を吹き付け
たり、炉外より不定形耐火物を圧入することによ
り、鉄皮内側に耐火物層を形成せしめることが一
般的であつた。

また、破損した前記銅製の冷却盤は、通常、そ
れを取り外したのち、予め用意された新品の銅製
の冷却盤に取り替えていた。

しかしながら炉壁レンガの損耗の激しい部分で
の前記の菊型支持金物の寿命は非冷却のため短か
く満足すべき補修と言えず、また銅製冷却盤の寿
命が短いうえに該冷却盤の価格が高いという問題
があつた。この結果炉内の高温によつて鉄皮が赤
熱したり、遂には亀裂を生ずるようになり炉命を
短いものとしていた。

本考案の目的 本考案は、前記問題点の効果的な解決を可能な
らしめる冷却盤の提供をその主たる目的とするも
のである。

本考案の構成 本考案は、丸鋼管を柄部相当部から屈曲せしめ
て環状頭部を有する栓抜き状に形成し、該環状頭
部内外表面にスタツドを溶接植立せしめたのち、
該環状頭部を不定形耐火物で被覆せしめると共に
前記柄部相当部に高炉鉄皮取付金具を設けたこと
を特徴とする高炉冷却盤に関するものである。

実施例 第２図〜第５図は本考案に基づく冷却盤のそれ
ぞれ異なつた実施例を示す断面構造図および側面
図である。

即ち第２図（炉壁に装着された冷却盤の断面構
造図）および第３図（冷却盤自体の側面図）に示
す実施例の冷却盤１００ａは、丸鋼管を屈曲せし
めて環状頭部９０ａを有する栓抜き形状に形成さ
れた冷却盤本体９ａと、前記環状頭部９０ａの内
外表面に溶接植立せしめられたスタツド３と前記
環状頭部９０ａを被覆する不定形耐火物４とから
構成され、冷却盤本体９ａの柄部相当部１３には
高炉鉄皮取付金具（以下取付金具と言う）８が設
けられている。

本実施例の環状頭部９０ａは鉄皮５にほぼ並行
するよう前記柄部相当部１３を残して丸鋼管をほ
ぼ直角に曲げ、かつ周知の栓抜き形状を呈する環
状となるよう屈曲せしめて形成されている。而し
て冷却盤本体９ａを形成する丸鋼管としては普通
鋼鋼管、ステンレス鋼管等を用いればよく、特に
本考案者等の経験では圧力配管用炭素鋼鋼管
（STPG）又は機械構造用炭素鋼管（STKM）等
の丸鋼管を用い、前述のスタツド３を植立せしめ
たのち、周知のアルマ加工を実施すると、腐蝕防
止等が可能となり、冷却盤１００ａの耐用性が大
巾に向上すると共にその製造コストも低減できる
など効果的であつた。

さて、前記冷却盤１００ａは取付金具８を介し
て、例えば取付金具８を鉄皮５を溶接することに
より、炉壁に装着される。本実施例の冷却盤１０
０ａでは柄部相当部１３が丸鋼管を接合せしめた
程度の小さなものであることから冷却盤１００ａ
を炉壁に装着するための鉄皮開口１２も小さなも
のであり、例えば既設の第１図に示す冷却盤１の
片側の冷媒給排管１１の挿通孔１１ａ、あるいは
前述した支持金物の取付孔等を利用できる。又仮
りに新しく開孔するとしてもその大きさを小さく
でき鉄皮５の強度低下も最小限にとどめることが
できる。

即ち本実施例の冷却盤１００ａの装着は、例え
ば第６図に示すように炉頂の開口部から冷却盤１
００ａを吊り降ろし、鉄皮開口１２より挿入した
引込具１４等を利用して柄部相当部１３を鉄皮開
口１２に引込み、然かるのち、第２図に示すよう
に取付金具８と鉄皮５を溶接し、固定することに
よつて装着できる。而して既設の鉄皮開口１２の
大きさによつては、第３図に示すように柄部相当
部１３の丸鋼管を楕円形状に押曲げて形成しても
よい。本考案において丸鋼管とは必要に応じて押
曲げられた楕円形状の鋼管も含んで言うものであ
る。

さて、第２図の実施例では、取付金具８に貫通
孔２を設け、該貫通孔２を介して炉内に不定形耐
火物を充填できるように構成した。つまり、本考
案の冷却盤１００ａは環状頭部９０ａが不定形耐
火物４で被覆されているが、鉄皮５は熱変形して
いることが多く、冷却盤１００ａと鉄皮内面との
接合部に隙間６の生じることが多くある。又冷却
盤１００ａの装着時には前記鉄皮の変形がなくて
も、その後の使用時間中に鉄皮５が変形したり、
あるいは冷却盤１００ａの不定形耐火物４が損
耗、脱落するなどして前記隙間６の生じることも
多い。而して該隙間６が生じた場合には、前記貫
通孔２より、不定形耐火物を充填することにより
隙間６をなくし、鉄皮５の確実な保護を行なうこ
とができる。尚、第２図において１５は前記不定
形耐火物の充填時に隙間６に滞留した空気等の気
体を抜気するために予め冷却盤本体９ａに固着さ
れた気抜管である。

環状頭部９０ａに不定形耐火物４を被覆せしめ
る手段としては、例えば本実施例では、まず、環
状内側９０a₁と環状側面９０a₂（環状頭部９０ａ
と鉄皮５が相対する面）については、炉内に挿入
する前に予め不定形耐火物４を構築し、充分な乾
燥を行わしめ強固な耐火物層とした。又環状周囲
については、冷却盤１００ａを炉壁に装着したの
ち炉内側より不定形耐火物を吹付けることによつ
て実施した。特に環状周面については、炉内側よ
り不定形耐火物を吹付けることにより、その他の
部分の炉壁耐火物層７との密着性を高めることが
でき、鉄皮内側に構成される炉壁耐火物層７の全
体的な強度を著しく向上させることができた。本
考案において環状頭部の内外表面を被覆する不定
形耐火物４とは、前述の如く炉壁装着前に予め構
築されたもの、および装着後吹付け、あるいは充
填等の手段によつて構築されたものを含めて言う
ものである。

さて第４図および第５図に示す実施例の冷却盤
１００ｂは、環状頭部９０ｂは前記冷却盤１００
ａと同様に栓抜き形状に形成されているが、鉄皮
５とほぼ直交するよう構成されている。

本考案の効果 本考案の冷却盤（前述した各種の冷却盤を総称
して冷却盤１００と言う）は加工性に秀れ、低コ
ストの丸鋼管および不定形耐火物４等で構成され
ていることから従来の銅製の冷却盤１に対してそ
の製造コストを1/25〜1/2程度にできた。又、冷
却水は丸鋼管内を循環流通することから、その流
通抵抗は極めて少なく、少量の冷却水で秀れた冷
却効果を発揮できるようになつた。加えて、環状
頭部９０の内外表面にスタツド３を介して不定形
耐火物４の被覆層を形成せしめることにより、炉
内の高温ガスと接触する冷却盤本体（丸鋼管）の
表面積を著しく減少でき、冷却盤本体の受熱量が
少なくなることから、その破損もおこりにくゝな
つた。又、不定形耐火物４が損耗した場合には、
前述した貫通孔２を介して不定形耐火物を炉外よ
り充填したり、炉内側より不定形耐火物を吹付け
る補修が実施でき、その際、冷却盤１００、とり
わけ、そのスタツド３が不定形耐火物の支持機能
を発揮し、短時間で確実な炉壁補修が可能となつ
た。

一方、本考案の冷却盤１００は、小さな鉄皮開
口１２を利用して炉壁に装着することができる。
このため、鉄皮５の強度低下を生ずることなく、
その装着が可能であり、炉壁の損耗の増大した部
分等に対して特に効果的である。さらに前記柄部
相当部１３は小さくても炉内に位置する環状頭部
９０は任意の大きさに形成でき、例えば第２図お
よび第３図の冷却盤１００ａでは１個の冷却盤１
で広範囲の炉壁を覆うことができる。

以上のように本考案の実用的効果は非常に大で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来より公知の箱型冷却盤の断面
図、第２図〜第６図は、本考案に基づく実施例を
示すもので、第２図は、栓抜き形状の環状頭部を
有する冷却盤の断面構造図、第３図は、第２図の
側面図、第４図は、栓抜き形状の環状頭部を有す
る他の実施例を示す冷却盤の断面構造図、第５図
は第４図の側面図、第６図は冷却盤の装着状況を
示す構造図である。 １，１００ａ，１００ｂ：冷却盤、２：貫通
孔、３：スタツド、４：不定形耐火物、５：鉄
皮、６：隙間、７：炉壁耐火物層、８：取付金
具、９ａ：冷却盤本体、１０：冷媒循環路、１
１：冷媒給排管、１２：鉄皮開口、１３：柄部相
当部、１４：引込具、１５：気抜管、９０ａ，９
０ｂ：環状頭部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 丸鋼管を柄部相当部から屈曲せしめて環状頭部
   を有する栓抜き状に形成し、該環状頭部内外表面
   にスタツドを溶接植立せしめたのち、該環状頭部
   を不定形耐火物で被覆せしめると共に前記柄部相
   当部に高炉鉄皮取付金具を設けたことを特徴とす
   る高炉冷却盤。