JPS6132824Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、走行機体の前部から動力を取出すこ
とができる農用トラクタにおける前部動力取出装
置の軸受装置に関するものである。

一般に、農用トラクタにあつては、機体前側か
ら動力を取出し、動力作業機を操作できるように
したものがあるが、従来、この種の前部動力取出
軸（以後「前部PTO軸」と略す）は、エンジン
前方に長く突出してあるため軸受部材を設ける必
要がある。しかもこの前部PTO軸は高速で回転
するため、軸受には潤滑油の供給を必要としてい
た。しかしながら、藁屑、泥土等のごみ類の付着
がない状態で軸受部材に有効な潤滑油の供給を行
なわしめるためには別途格別な潤滑油供給装置を
設けなければならなかつた。

本考案は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃すべく提案されたものであつて、走行機体
には、パワーステアリング専用のオイルケースが
設けられていることに着目し、このオイルケース
を前部PTO軸の軸受部材に利用して、前部PTO
軸の軸受部への潤滑油作用を行なわしめることが
できる農用トラクタにおける前部動力取出装置の
軸受装置を提供せんとすることを目的としたもの
である。

本考案の構成を、図面に示された一実施例に基
いて説明すれば、１は農用トラクタの走行機体で
あつて、該走行機体１のボンネツト２内にはエン
ジン３が搭載されている。４はエンジン３からの
動力を伝達する動力伝達機構を内蔵したトランス
ミツシヨンケースであつて、該トランスミツシヨ
ンケース、４の上方に運転座席５が設けられてい
る。６は前輪、７は後輪、８はハンドルである。

ボンネツト２の前部下方に設けたバンパー９内
にはオイルケース１０が固定してある。オイルケ
ース１０には、エンジン３のクランクシヤフト３
ａ前端にカツプリング１０ａを介して連動連結さ
れた前部PTO軸１１が前後方向に貫通してい
る。１２は軸受、１２ａはオイルシールである。
オイルケース１０の上面には流入口１３が、また
側面にはフイルター１４ａの装備された流出口１
４がそれぞれ取付けられており、オイルケース１
０内のオイルＡは、流出口１４とハンドル８のパ
ワーステアリング装置１５とを連動連結する油送
管１６に介装した油送ポンプ１７によつて、パワ
ーステアリング装置１５に供給された後、パワー
ステアリング装置１５と流入口１３とを連動連結
する油送管１６ａを介してオイルケース１０内に
還元されるようになつている。

また、クランクシヤフト３ａにはラジエター１
８冷却用の冷却フアン１９駆動用プーリ２０が固
定されているが、ラジエター８は第１図に示すよ
うに、オイルケース１０の後方近傍に設けられて
いる。

尚、図中、２１は前部PTO軸１１の先端に設
けられた伝動プーリ、２２はハンドル８の操作に
よつて作動されるピツトマンアームである。

次に、叙述の如く構成した本考案の作用につい
て説明する。機体１走行時において、ハンドル８
によつて操行操作すると、オイルケース１０内の
オイルＡは、フイルター１４ａで濾過された後油
送管１６を介してパワーステアリング装置１５に
供給されてピツトマンアーム２２を作動せしめて
前輪６を操向作動せしめて、機体を回行すること
ができる。そして、ピツトマンアーム２２を作動
せしめたオイルＡは油送管１６ａを介してオイル
ケース１０ａに還元されることになるのは、従来
のものと同様である。

この様な機体走行時において、前部PTO軸１
１は、エンジン３の駆動によつて回転することに
なるが、バンパー９内に固定したオイルケース１
０の前後両側壁によつて幅広な二点で軸受支持さ
れるとともに、オイルケース１０内のオイルまた
は還元されるオイルによつて潤滑作用を受けるこ
とになる。しかもオイルＡはパワーステアリング
装置１５用のものであるため量が豊富で循環して
いるから劣化が遅く、高負荷作業をしても長期間
にわたつて前部PTO軸１１の円滑な回転駆動を
行なうことができる。

しかも、オイルケース１０はエンジン３前方下
方の空間部の有効利用して配備されているため、
全体構成をコンパクトにすることができるうえ
に、エンジン３による加熱作用を受けることがな
く、さらに冷却フアン１９による起風作用によつ
てオイルケース１０内のオイルを効率良く冷却す
ることができる。

以上要するに、本考案は、機体操向用のパワー
ステアリング装置を設けた農用トラクタにおい
て、上記パワーステアリング装置に供給されるオ
イルのオイルケースを、エンジン前方の機体前部
に設けて、前部動力取出軸から貫通支持される軸
受部材に構成してあることから、パワーステアリ
ング装置用のオイルケースを、高速回転する前部
動力取出軸の軸受部材に利用できて高負荷作業で
あつても長期の使用を可能にできるうえに、それ
ぞれに専用のオイルケースを設ける必要もないた
め機体のコンパクト化と軽量化を図ることがで
き、しかも、オイルケースがエンジン前方にある
ため冷却効果に優れるという作用効果を併せ奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る農用トラクタにおける前
部動力取出軸の軸受装置の一実施例を示したもの
であつて、第１図は農用トラクタの全体側面図、
第２図は同上全体正面図、第３図は要部説明図で
ある。 図中、１は走行機体、３はエンジン、１０はオ
イルケース、１１は前部動力取出軸である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体操向用のパワーステアリング装置を設けた
   農用トラクタにおいて、上記パワーステアリング
   装置に供給されるオイルのオイルケースを、エン
   ジン前方の機体前部に設けて、前部動力取出軸が
   貫通支持される軸受部材に構成してあることを特
   徴とする農用トラクタにおける前部動力取出軸の
   軸受装置。