JPS6132201Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ウオームとウオームホイールによる
１対の動力伝達系を備えた小型軽量、減速大容量
の減速機に関するものである。

（従来の技術、問題点） 従来、小型高速大容量の減速機としては、遊星
歯車減速機やハイポサイクロイド系減速機が実用
化されているが、これらは部品点数が多くまた特
殊加工を要し、工数が多くなつてコスト高になつ
ているなどの問題点がある。

また、従来のウオームとウオームホイールによ
る動力伝達系を備えた減速機は、小型、軽量、構
造簡素化になつている点で有利であるが、ウオー
ムに働く軸力を確実に伝達支持させることが困難
であつて、このウオームとウオームホイールによ
る１対の動力伝達系では、製作、組立等の誤差に
より部分的な偏荷重が生じ勝ちであつて動力伝達
力が低下するなどの問題点がある。

（考案の目的、問題点の解決手段） 本考案は、前記のような問題点に対処するため
の考案であつて、軸方向へ移動可能に枢支された
入力軸と、該入力軸に１体に設けられた一方のウ
オームと、前記入力軸にキーを介して軸方向調整
可能に設けられた同一寸法で捩れ方向が逆の他方
のウオームと、１対の前記ウオームにそれぞれ噛
合された同一寸法の１対のウオームホイールと、
該ウオームホイールに１体に設けられた同軸上の
１対のピニオンと、１対の該ピニオンに噛合され
同ピニオン間に配設された１個の出力ギヤとより
なり、１対の前記ウオームホイールは前記入力軸
を挾んで反対側に配設され、前記出力ギヤに連設
された出力軸は前記入力軸に対して同一平面上で
クロス配置された構成に特徴を有し、入力軸に軸
方向力が作用しない構造簡単で小型軽量、高速大
容量の減速機を提供するにある。

（考案の効果） 本考案は、前記のように軸方向に移動可能に入
力軸を枢支し、寸法が同一で捩れ方向が相互に逆
の１対のウオームを前記入力軸に一体に設け、寸
法が同一の１対のウオームホイールを前記１対の
ウオームにそれぞれ噛合わせ、該ウオームホイー
ルより動力を取出すようにしたため、前記入力軸
に入力を加えて該入力軸と前記１対のウオームを
回転させると、該ウオームに噛合つた前記１対の
ウオームホイールは大きな減速比で回転され、該
ウオームホイールから著しく減速されて動力が取
出される。

１対のウオームは捩れ方向が逆であるため、ウ
オームホイールを回転させるための反力は相互に
打消され、入力軸の軸受部にはウオーム減速機構
による一方へ偏した軸力が発生せず、該軸受部の
構造が簡単となり、減速機全体の耐久性が大巾に
向上する。

また、１対のウオームおよびウオームホイール
の噛合い部分のいずれか一方に荷重が偏した場合
には、入力軸が軸方向へ移動し、荷重の小さな噛
合い部分の噛合い歯面の隙間が零となり、両者に
均等の荷重が自動的に分散され、ウオームおよび
ウオームホイールに大きな荷重が加わらず、大き
な動力の伝達が可能となる。

さらにまた、前記構成よりなる考案において
は、ウオーム→ウオームホイール→ピニオン→出
力ギヤよりなる１対の歯車径路即ち動力伝達系を
有し、多くの歯車の製作誤差や組立誤差等によつ
て隙間とともに前記歯車径路相互の噛合位相差が
生じるのを避けることができず、必要以上に入力
軸の移動量が増加しウオームを長く形成すること
が必要となり、前記作用効果に大きい悪影響をも
たらすことになるが、本考案では、入力軸にキー
を介して他方のウオームを軸方向調整可能に設け
ているので、組立時あるいは随時に前記ウオーム
を軸方向に調整して前記歯車径路相互の噛合位相
差が殆んど解消され、前記の作用効果を最大限に
発揮させることができるとともに信頼性が大幅に
向上されている。

また、本考案は１対のウオームホイールにそれ
ぞれ一体に同軸上の１対のピニオンを設け、該１
対のピニオンに１個の出力ギヤを噛合わせかつ同
ピニオン間に配設され、１対の前記ウオームホイ
ールは入力軸を挾んで反対側に配設され、前記出
力ギヤに連設された出力軸は前記入力軸に対して
同一平面内でクロス配置されたことを特徴とする
ものであつて、１対のウオームに働く軸方向反力
を入力軸を介して打消すことができるのみなら
ず、１対のピニオンと出力ギヤとに働く半径方向
の噛合い反力を打消すことができるので、これら
の軸受部の荷重が大巾に軽減され、耐久性が著し
く向上されているとともに、小型軽量化が可能と
なる。さらにこの減速機では、ウオームとウオー
ムホイールとによる大巾な減速に加えてピニオン
と出力ギヤとによる減速が重畳されるため、部品
点数が少ないにもかかわらず、極めて大きな減速
比が得られる。さらに、ピニオンと出力ギヤ間の
中間歯車を用いないで出力ギヤが直接に噛合され
構造簡素化とともに動力伝達性能が高められ、ウ
オームホイールの反対側配置および入力軸と出力
軸の同一平面内のクロス配置によつて、全体的な
軸受支持力が均衝されるなどの効果を有してい
る。

（考案の実施例） 第１図、第２図に本考案の一実施例を示してお
り、１は入力軸であつて、該入力軸１は、軸受
２，２を介してケーシング３に軸方向へ移動しう
るとともに回転自在に枢支され、前記入力軸１に
一方のウオーム４ａが一体に嵌着され、また、前
記ウオーム４ａと同一寸法であるが捩れ方向が逆
に形成された他方のウオーム４ｂが、キー５を介
して前記入力軸１に嵌合されて、入力軸１に螺合
された送りナツト６ａ，６ｂで一体に前記入力軸
１に取付位置調節可能に固定されている。

さらに、前記入力軸１を挾み（第１図では上下
側に）、かつ該入力軸１の軸方向に間隔Ｌをおい
てウオームホイール７ａ，７ｂがケーシング３に
枢支され、該ウオームホイール７ａ，７ｂは１対
の前記ウオーム４ａ，４ｂにそれぞれ噛合されて
いるとともに、該ウオームホイール７ａ，７ｂに
ピニオン１０ａ，１０ｂが同一軸上に一体に固着
されている。

さらにまた、前記両ウオームホイール７ａ，７
ｂの回転中心を結ぶ線と前記入力軸１の中心線と
の交叉する点を中心とし軸受１１，１２を介して
出力軸１３が枢支され、１対の前記ピニオン１０
ａ，１０ｂに噛合う出力ギヤ１４が前記出力軸１
３に一体に嵌着されている。

しかして、前記入力軸１の軸方向移動を妨げな
いように該入力軸１の一端に軸継手１５（スプラ
イン継手）を介してモータ１６が連結されてい
る。

（作用） 第１図、第２図に示した本考案の実施例は前記
したように構成されているので、モータ１６を駆
動させて、入力軸１を第１図のＡ方向で見て時針
方向へ回転させると、１対のウオーム４ａ，４ｂ
も同方向に回転され、一方のウオーム４ａに噛合
うウオームホイール７ａの噛合い部分は第１図に
て左方へ駆動され、他方のウオーム４ｂに噛合う
ウオームホイール７ｂの噛合い部分は右方へ駆動
され、両ウオームホイール７ａ，７ｂは時針回り
方向に回転され、該両ウオームホイール７ａ，７
ｂと一体のピニオン１０ａ，１０ｂに噛合うギヤ
１４は反時針回り方向に回転されて、出力軸１３
から大巾に減速された出力が得られる。

また、前記各ウオーム４ａ，４ｂ、ウオームホ
イール７ａ，７ｂ、ピニオン１０ａ，１０ｂおよ
びギヤ１４のピツチ誤差、偏心誤差、歯溝のぶれ
等の製作誤差、組立誤差が存在するが、この状態
で負荷運転を行なうと、前記各要素の弾性変形量
の相異も加わつて、いずれかの噛合い歯面に隙間
が生じ、その結果、入力軸１が軸方向へ移動でき
ないと、モータ１６より入つた動力は２組のウオ
ームギヤ組４ａ，７ａ，４ｂ，７ｂに等分に配分
されず、極端な場合は、いずれか一方の経路、例
えば一方のウオーム４ａ、ウオームホイール７
ａ、ピニオン１０ａおよびギヤ１４のみに全動力
が流れることになり、歯車の損傷をもたらすこと
になる。しかし、本考案の前記実施例では、入力
軸１が軸方向へ移動できるため、例えばウオーム
４ｂとウオームホイール７ｂとの噛合い歯面に隙
間が生じて、２対のウオーム４ａ，４ｂとウオー
ムホイール７ａ，７ｂとの間に働く軸方向噛合い
分力の差Wa−Wbが正となると、前記入力軸１は
Ｒ方向へ移動し、前記軸方向噛合い分力の差Wa
−Wbが零となり、かくして入力動力は一方のウ
オームギヤ組４ａ，７ａと他方のウオームギヤ４
ｂ，７ｂに完全に均等に分配され、入力軸１の軸
方向移動は停止される。

従つて、第１，２図の実施例では、色々な種類
の誤差によつていずれか一方の系列に荷重が偏し
ても、前記入力軸１が移動してその不均等荷重が
自動的に是正され、常に両系列に荷重が均等に分
配される。

さらに、極めて大きなウオーム軸方向噛合い分
力Wa，Wbは入力軸１を介して相互に打消される
ため、軸受２には軸方向力が作用せず、構造が簡
単で耐久性に富んでいる。

さらにまた、ピニオン１０ａ，１０ｂは出力ギ
ヤ１４の直径方向両側に配置されており、それぞ
れの噛合い部１０ａ，１４および噛合い部１０
ｂ，１４より生ずる半径方向噛合い分力Ｆ_Ra，Ｆ
_Rbが相殺されるため、出力軸１３には接線方向噛
合い分力Ｆ_ta，Ｆ_tbに基づく偶力のみが作用し
て、この偶力は当然出力トルクに相当するため、
出力軸１３の軸強度が有利となるだけでなく、軸
受１１，１２の負荷容量が著しく小さくなる。

しかも、製作上の誤差があつても、荷重が均等
に配分されるため、製作精度を著しく向上させる
必要がなく、信頼性のある減速機を安価に製造す
ることができる。

また、一般に入力軸の回転数が高くなると、慣
性力が増大するが、前記実施例では、運動部の全
質量に対する入力軸部分（入力軸１およびウオー
ム４ａ，４ｂ）の質量割合が小さいため、入力軸
部分の補正運動に障害をきたさず、荷重を均等に
配分することが容易に可能となる。

さらに、ウオームギヤと円筒歯車減速機構とが
組合せられているため、減速比は数百分の一とい
う大きな値が容易に得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す減速機の縦断
側面図、第２図はその概略平面図である。 １……入力軸、４ａ，４ｂ……ウオーム、５…
…キー、６……送りナツト、７ａ，７ｂ……ウオ
ームホイール、１０ａ，１０ｂ……ピニオン、１
３……出力軸、１４……出力ギヤ、１５……軸継
手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸方向に移動可能に枢支された入力軸と、該入
   力軸に１体に設けられた一方のウオームと、前記
   入力軸にキーを介して軸方向調整可能に設けられ
   た同一寸法で捩れ方向が逆の他方のウオームと、
   １対の前記ウオームにそれぞれ噛合された同一寸
   法の１対のウオームホイールと、該ウオームホイ
   ールにそれぞれ１体に設けられた同軸上の１対の
   ピニオンと、１対の該ピニオンに噛合され同ピニ
   オン間に配設された１個の出力ギヤとよりなり、
   １対の前記ウオームホイールは前記入力軸を挾ん
   で反対側に配設され、前記出力ギヤに連設された
   出力軸は前記入力軸に対して同一平面上でクロス
   配置されたことを特徴とする減速機。