JPS6130487Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、釦全体の軸部に鋲の柱部を挿入して
生地等に装着する釦に関し、特に生地の釦孔から
の外れを防止するフランジ部が生地等に対し傾動
可能な釦に関する。

従来技術 鋲を用いて釦主体を生地に装着するようにした
釦は、一般に、鋲の柱部を生地に挿入した後、釦
主体の軸部に加圧挿入して柱部の先端側を変形さ
せて釦主体と鋲とを加締固定している。しかし、
このような従来の釦は、生地の釦孔からの外れ防
止用のフランジ部が軸部に対して傾動不能である
から、生地に対しても傾動不能である。このた
め、従来のこの種の釦は、釦の掛け、外しの際
に、釦装着側の生地を釦装着部近傍において曲げ
て生地の釦孔に挿通しなければならず、釦の掛
け、外しが面倒であり、特にジーンズのように厚
地の生地の場合は生地を曲げること自体が面倒で
あるから、釦の掛け外しが著しく面倒であつた。

このようなことから、釦主体をフランジ部と軸
部とに分け、フランジ部に球状をした係合凸部
を、軸部に係合凹部を各々形成し、係合凸部と係
合凹部とを係合させてフランジ部を軸部に対し傾
動可能にした釦が提案された（特公昭54−4640号
公報）。しかし、この釦は、フランジ部と軸部と
を係合凸部と係合凹溝により自在継手状に連結し
ているため、釦を生地の釦孔に挿通する際に、フ
ランジ部のうち釦孔に先に挿通する部分が生地側
となる状態に傾斜しているとフランジ部を釦孔に
挿通することが面倒であり、また使用時にフラン
ジ部が生地に対して傾斜していることがあり、使
用時の体裁が悪い。

また、この釦は、釦全体のフランジ部が軸部に
対して回転可能であるから、生地等に装着した状
態においてフランジ部が回転してしまい、従つて
前記フランジ部、特にキヤツプに文字、マーク等
の方向性を有する模様があると使用状態において
釦同志の前記模様の方向が不揃いになり体裁が悪
い。

考案の目的 本考案は、フランジ部が軸部に対し傾動可能で
あるにもかかわらず、フランジ部が軸部に対して
回転不能であり、しかも外力を加えない限りフラ
ンジ部が生地に対して水平な状態を持続するよう
にして、掛け、外しを容易で体裁のよい釦を提供
することを目的とする。

考案の構成 上記目的は本考案によれば、中心部に鋲挿入用
の孔を上部に係止突縁部を各々有する軸部材とこ
の軸部材の上方に位置する円板部材とを弾力性を
有する連結部材で一体にした合成樹脂製の内装部
材と、筒部の下端に外向きの接触フランジを有し
前記筒部に前記軸部材の下部が嵌入するアイレツ
ト部材と、前記軸部材の係止突縁部を収納する筒
状部の下端に前記係止突縁部の下面に係止する内
向きの係止フランジを上端に前記円板部材を収納
する外向きの収納フランジを各々有する本体と、
この本体の前記収納フランジに嵌着されたキヤツ
プとで釦主体を構成することにより達成される。

実施例 以下、図面に示す実施例に基づいて本考案を説
明する。

第１図ないし第６図において、Ａは釦主体であ
り、Ｂは鋲である。釦主体Ａは軸部材１０と円板
部材１１とを有する内装部材１と、この内装部材
１の前記軸部１０と嵌合するアイレツト部材２
と、前記内装部材１を収納する本体３と、この本
体３の上部に装着されたキヤツプ４とを有してい
る。

内装部材１の軸部材１０は、中心部に上下に貫
通する孔１２を有し、上部外周に係止突縁部１３
を有している。内装部材１の円板部材１１は、前
記軸部材１０の孔１２と対面する長方形の孔１４
を中心部に有しており、帯状をした一対の連結部
材１５，１５により軸部材１０と連結されてい
る。連結部材１５，１５は、軸部材１０の上端部
と円板部材１１の孔１４側下端部とを互いに連結
しており、内向きに屈曲されている。軸部材１
０、円板部材１１及び連結部材１５は合成樹脂で
一体に作られており、連結部材１５，１５は弾力
性を有している。

アイレツト部材２は、筒部１７の下端に生地Ｃ
に装着された状態において生地Ｃと接触する外向
きの接触フランジ１８を有し、筒部１７に内装部
材１１の軸部材１０の下部を上部から嵌入してい
る。

本体３は、筒状部２０の下端に、内装部材１の
軸部材１０の上部すなわち係止突縁部１３の下面
に係止する内向きの係止フランジ２１を有し、筒
状部２０の上端に軸部材１０の円板部材１１を収
納する外向きの収納フランジ２２を有している。
収納フランジ２２は、上方に打出された環状の突
条を円柱部２０と同心に有し、また外周縁部２３
が斜め上方に屈曲されて皿状になつている。

キヤツプ４は、収納フランジ２２との間に内装
部材１の円板部材１１を挾圧した状態に、本体３
の収納フランジ２２の外周縁部２３に嵌着され
て、本体３と一体化されている。

アイレツト部材２、本体３及びキヤツプ４は、
黄銅等の金属で作られている。

この釦主体Ａは、内装部材１を本体３内に内装
し、次に内装部材１の軸部材１０の下部をアイレ
ツト部材２の筒部１７に嵌入して内装部材１とア
イレツト部材２を一体化し、次いで本体３の収納
フランジ２２内に内装部材１の円板部材１１を収
納した状態で、キヤツプ４を本体３の収納フラン
ジ２２に嵌着することにより組立てることができ
る。

このように組立てた状態においては、キヤツプ
４、本体３及び内装部材１の円板部材１１が一体
化されたフランジ部と、内装部材１の軸部材１０
とアイレツト部材２とが一体化された軸部とが帯
状をした一対の連結部材１５，１５を介して一体
になつているから、フランジ部と軸部とが相対的
に回転せず、従つてフランジ部に方向性を有する
模様を有する釦であつても、模様の方向が同じに
なるように各釦を生地等に装着すれば、各釦の模
様が常に同じになり、体裁がよい。

鋲Ｂは、第６図に示すように、頭部２５と柱部
２６とを有し、柱部２６の外周に断面鋸歯状の係
合突条歯部２７を複数有しており、柱部２６の先
端部が円錐状に形成されている。

鋲Ｂは、その柱部２６を生地Ｃに挿通した後、
釦主体Ａの内装部材１の軸部材１０の孔１２に嵌
入されて、柱部２６の係合突条歯部２７が内装部
材１に食い込んだ状態に釦主体Ａと一体化され
る。

この釦は、連結部材１５が弾力性を有するか
ら、連結部材１５の弾発力により内装部材１の軸
部材１０と円板部材１１とが互いに離れる方向に
付勢され、従つて常時は第１図に示すように釦主
体Ａは本体２の収納フランジ２２と及びキヤツプ
４からなるフランジ部が生地Ｃに対し水平にな
る。この状態において、釦主体Ａは、係止フラン
ジ２１が軸部材１０の係止突縁部１３の下面に当
接している。

第１図において、キヤツプ４の右端を下方生地
側に押すか左端を上方に引くと、この釦は第６図
に示すように第６図において右方が生地Ｃ側とな
る状態に本体３とキヤツプ４が軸部材１０とアイ
レツト部材２に対して傾斜する。従つて、本体３
の収納フランジ部２２とキヤツプ４とからなるフ
ランジ部を生地の釦孔に挿通するときは釦を装着
している生地Ｃを曲げることなしに前記フランジ
部を第６図のように傾斜させ、前記フランジ部を
生地Ｃから離れている側から釦孔に挿通すればよ
く、釦の掛け、外しの作業がきわめて容易にな
る。

以上のように本考案は、上部に係止突縁部を有
する軸部材とこの軸部材の上方に位置する円板部
材とを弾力性を有する連結部材で一体にした合成
樹脂製の内装部材と、筒部の下端に外向きの接触
フランジを有し前記筒部に前記軸部材の下部が嵌
入するアイレツト部材と、前記軸部材の係止突縁
部を収納する筒状部の下端に前記係止突縁部の下
面に係止する内向きの係止フランジを上端に前記
円板部材を収納する外向きの収納フランジを各々
有する本体と、この本体の前記収納フランジに嵌
着されたキヤツプとで釦主体を構成したから、常
時は前記連結部材の弾発力により本体の収納フラ
ンジとキヤツプ４からなるフランジ部が生地に対
し水平であるが、前記フランジ部の任意な一端を
押すかあるいは引くと、前記フランジ部が生地に
対して傾斜する。従つて、釦孔への挿通時に生地
を曲げる必要がないから釦の掛け、外しが容易で
ある。また、外力を加えない限り前記フランジ部
が生地に対し水平であるから、使用状態における
体裁がよいし、前記フランジ部を任意な方向に傾
けてより容易に掛け外しをすることができる。ま
た、キヤツプ、本体及び内装部材の円板部材が一
体化されたフランジ部と、内装部材の軸部材とア
イレツト部材とが一体化された軸部とが帯状をし
た一対の連結部材を介して一体になつているか
ら、フランジ部と軸部とが相対的に回転せず、従
つてフランジ部に方向性を有する模様を有する釦
であつても、模様の方向が同じになるように各釦
を生地等に装着すれば、各釦の模様が常に同じに
なり、体裁がよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる釦の一実施例を示す縦
断面図、第２図は釦主体の底面図、第３図は内装
部材の平面図、第４図は第３図の−線断面
図、第５図は第３図の−線断面図、第６図は
フランジ部を傾斜させた状態の縦断面図である。 Ａ：釦主体、Ｂ：鋲、Ｃ：生地、１：内装部
材、２：アイレツト部材、３：本体、４：キヤツ
プ、１０：軸部材、１１：円板部材、１２：孔、
１３：係止突縁部、１５：連結部材、１７：筒
部、１８：接触フランジ、２０：筒状部、２１：
係止フランジ、２２：収納フランジ、２５：頭
部、２６：柱部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 釦主体Ａと、この釦主体Ａの孔１２に嵌入する
   柱部２６を有する鋲Ｂとから成り、前記釦主体Ａ
   は、中心部に前記孔１２を上部に係止突縁部１３
   を各々有する軸部材１０とこの軸部材１０の上方
   に位置する円板部材１１とを弾力性を有する連結
   部材１５で一体にした合成樹脂製の内装部材１
   と、筒部１７の下端に外向きの接触フランジ１８
   を有し前記筒部１７に前記軸部材１０の下部が嵌
   入するアイレツト部材２と、前記軸部材１０の係
   止突縁部１３を収納する筒状部２０の下端に前記
   係止突縁部１３の下面に係止する内向きの係止フ
   ランジ２１を上端に前記円板部材１１を収納する
   外向きの収納フランジ２２を各々有する本体３
   と、この本体３の前記収納フランジ２２に嵌着さ
   れたキヤツプ４とを有することを特徴とする釦。