JPS6128907Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車に使用される歯車変速機の潤
滑装置に関する。

従来の歯車変速機の潤滑装置としては、例えば
第１図に示すようなものがある。この例は５速手
動変速機のメーンシヤフト要部断面図を示し、メ
ーンシヤフト１はケース２に軸受３，４を介して
支承されている。このメーンシヤフト１の軸中心
には油供給路７が穿設され両端に開口しており、
この油供給路７より１速ギヤ、２速ギヤ、３速ギ
ヤ、４速ギヤ、５速ギヤに油を供給するための油
噴出孔８，９，１０，１１，１２が穿設されてい
る。メーンシヤフト１の一端のケース２に油導入
孔５が穿設され、その孔５より油供給路７に油を
導く油案内板６が付設されている。１３はカツプ
リングスリーブ、１４はシンクロバブ、１５はシ
ムであり、他の１〜５速の各ギヤ類は図示を省略
した。

油導入孔５で収集された潤滑油は第１図に矢印
で示す如く、油案内板６を通り、メーンシヤフト
１の油供給路７に入り、１〜５速ギヤの油噴出孔
８，９，１０，１１，１２に油を順次供給し、各
ギヤの軸受部を潤滑し、余分の油はメーンシヤフ
ト１の他端の軸受４を通りケース２に排出され
る。

しかしながら、このような従来の歯車変速機の
潤滑装置にあつては、油噴出孔８，９，１０，１
１，１２の孔径が同一となつていたため、１速ギ
ヤの油噴出孔８には油が多く供給され、５速ギヤ
の油噴出孔１２には供給が少なくなり、均一に供
給できず、特に高速回転では途中で油を使いはた
し油噴出孔には殆んど油が供給されず、焼付の発
生につながるという問題点があつた。その対策と
して油噴出孔８〜１２の孔径を変えて油の供給を
均一化することも考えられるが、小径の孔加工は
困難であり、また大径の孔を穿設すると軸の強度
が低下するという不具合がある。

この考案は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、油の排出側の軸受部に、油を
吸引する羽根車を設けることにより、上記問題点
を解決することを目的としている。

以下、この考案を図面に基づいて説明する。第
２〜３図は、この考案の一実施例を示す図であ
る。まず構成を説明すると、軸心の油供給路７と
各ギヤに油を供給する第１図に示した油噴出孔
８，９，１０，１１，１２を有するメーンシヤフ
ト１に羽根車１６がスプライン１８ではめあつて
固定されている。

次に作用を説明する。メーンシヤフト１と共に
回転する羽根車１６の羽根１７でポンプ作用をお
こし、負圧を発生して油を吸引し、１〜５速ギヤ
の油噴出孔８，９，１０，１１，１２への給油量
を確保して、各油噴出孔の給油を均一化すること
ができる。

第４〜５図にはこの考案の他の実施例を示す。
羽根車の羽根１７ａをシンクロバブ１４ａの側面
に焼結製にて一体成形で設けたもので、原価が低
減する効果がある。

以上説明したきたように、この考案によればそ
の構成を、両端に開口する油供給路を軸心に有す
る歯車軸の一端から油を導入し、各歯車の軸受部
を給油した後、他端の軸受に給油する潤滑装置に
おいて、他端の軸受部に油を吸引する羽根車を歯
車軸に固定して設けた歯車変速機の潤滑装置とし
たため、歯車軸の各回転において、各歯車の軸受
部への給油が均一化できるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の断面図、第２図と第３図は
この考案装置の一実施例の要部拡大断面図と羽根
車の正面図、第４図と第５図はこの考案の他の実
施例の要部拡大断面図と羽根を設けたシンクロバ
ブの正面図である。 １……メーンシヤフト、２……ケース、３，４
……軸受、５……油導入孔、７……油供給路、
８，９，１０，１１，１２……油噴出孔、１４，
１４ａ……シンクロバブ、１６……羽根車、１
７，１７ａ……羽根。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 両端に開口する油供給路を軸心に有する歯車
   軸の一端から油を導入し、各歯車の軸受部を給
   油した後、他端の軸受に給油する潤滑装置にお
   いて、他端の軸受部に油を吸引する羽根車を歯
   車軸に固定して設けたことを特徴とする歯車変
   速機の潤滑装置。 (2) 羽根をシンクロバブに一体形成して前記羽根
   車とした実用新案登録請求の範囲第(1)項記載の
   歯車変速機の潤滑装置。