JPS6128784B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は壁板、床板等のプレキヤストコンクリ
ート板の接合構造に関するものである。

プレキヤストコンクリート板に関しては従来多
くのものが提案されているが、これらには次のよ
うな欠点があつた。

すなわち従来のプレキヤストコンクリート板の
水平軸線における接合部（水平接合部）は、上下
壁板同志の接合と左右床板同志の接合（または壁
板と床板との接合）とが相互に異なる位置にあ
り、かつこれら接合部の間隔とプレキヤストコン
クリート板の長さとには一定の規則性がなかつ
た。そのため壁板・床板等のプレキヤストコンク
リート板はそれぞれの長さおよび組合せによつて
接合部位置を変えることが必要となり、プレキヤ
スト板の形状相異による種類が多く、多様な建築
平面に対応するためには用意すべき型枠の種類が
増大して経済性の上で不利な欠点があつた。

本発明はこれらの欠点を解決するため、プレキ
ヤストコンクリート板の水平軸線における接合部
に関して上下壁板の接合部と左右床板の接合部と
を同一点に合致させそれによつてこれら接合部の
中心間隔と該プレキヤストコンクリート板の長さ
変化とを規則的に関係づけることによつて板形状
を共通化することを可能とし、多様な建築平面に
対応する壁板および床板等のプレキヤストコンク
リート板を少数の型枠によつて提供することがで
きるものである。

本発明によるプレキヤストコンクリート板の接
合構造の特徴は、床板に彎曲して板厚方向にＵ字
型を形成した端部を有する鉄筋を埋設し、この鉄
筋端部に床板の板面とほぼ平行な面に閉ループを
形成する如く接合部材が係合し、上下の壁板には
壁板接合用鉄筋が鉛直方向に埋設され、これら鉄
筋は上部又は下部壁板内にあらかじめ埋設された
スリーブジヨイントにより接合されると共にに下
部又は上部壁板の接合鉄筋は前記の接合部材の閉
ループ内を貫通し、かつ前記接合部の壁板と床板
の端縁相互が形成する空所にはモルタルまたはコ
ンクリートが充満され、もつて上下の壁板と床板
とを同一個所の接合部で接合した点にある。

以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する。

第１図に示す従来のプレキヤストコンクリート
板を用いて構成する壁板および床板の水平接合部
の場合には、上下の壁板１，１′に埋設した接合
用鉄板２，２′、左右の床板３，３′に埋設した接
合用鉄筋４，４′とは水平軸線上の異なる位置に
おいて溶接接合されるものである。

これに対して第２ａ図、第２ｂ図は本発明の実
施例を示すもので、上下の壁板１１，１１′に埋
設された接合用鉄筋１２，１２′は一方の壁板に
あらかじめ埋設された接合用金具（スリーブジヨ
イント）３１によつて接合される。一方左右の床
板１３，１３′には彎曲して板厚方向にＵ字型を
形成した端部を有する鉄筋１４，１４′が埋設さ
れて居り、この鉄筋端部には、床板の板面とほぼ
平行な面に閉ループを形成する連結用らせん状接
合部材４１が係合している。

接合に当つては上方の壁板１１を設置するに役
立つて、左右の床板の前述の接合部材４１の閉ル
ープのほぼ中心を下方壁板１１′から上方に突出
する接合用鉄筋１２′が貫通するように左右の床
板を配置し、その後上方の壁板を配設して下方壁
板の鉄筋１２′がスリーブジヨイント３１内に収
納され、スリーブジヨイント中にモルタル又はコ
ンクリートが公知の方法で注入され、又接合部の
壁板と床板の端縁相互が形成するコンクリート切
欠空所にモルタル又はコンクリートを充満して接
合を完成する。その結果、これらのプレキヤスト
コンクリート板は水平軸線上の同一個所の接合部
で接合される。

前述の如き本発明の接合構造によれば、先ず第
１のプレキヤストコンクリート板の合理的な接合
にスリーブジヨイントを利用したので、第１図示
のような従来の接合構造に比較して次の利点があ
る。

(イ) 従来の接合では接合用の鉄板が埋め込まれて
いて溶接接合を行なうため、現場で溶接を必要
とし、且つ強度上の信頼性に欠けるが、本発明
ではこのような溶接は不要である。

(ロ) 従来の接合では壁板の切欠部に溶接完了後詰
めモルタルの作業が必要であるが本発明では埋
めモルタル作業前の溶接の必要がない。

更に本発明では、前述の如く、上下壁板の接合
部において床板の接合も同時に行なうものである
が、床板の鉄筋１４，１４′の板厚方向のＵ字型
端部と係合する閉ループ鉄筋４の存在によつて鉛
直接合鉄筋１２′の周囲に後詰めコンクリートを
補強して接合部の鉛直方向縮強度が増大すると共
に鉄筋１２′が側方にずれることを抑制できる。

上述の如き本発明の接合構造によれば上下壁板
と左右床板を同一接合個所で接合できるので、プ
レキヤストコンクリート板をモジユール化するこ
とができ、然も高接合強度が得られる。

以下プレキヤストコンクリート板をモジユール
化した例を第３ａ図、第３ｂ図について説明す
る。

第３ａ図に５戸（図中上段に３戸、下段に２
戸）の例の平面図が示されている。第３ａ図中、
例えば左上の例では、東西方向の長さが6M（Ｍ
は一定の寸法単位）で南北方向の長さが9Mであ
り、南北方の中央において東西に延びる中通り壁
板Ｗ／１で仕切られている。Ｓ／１_L、Ｓ／１_Rは南側の
床板を 示す。壁板において、ハツチング部は断面を示
し、ハツチングのない部分は開口部である。第３
ａ図の上段中央は別の一戸を示し、ここでは南北
方向の長さは最初の例と同じく9Mであるのが東
西方向は7Mとなつており、開口部も一部異なつ
ている。符号の意味は第１の例と同じであるので
説明を省略する。第３ａ図には更に異なつた３戸
の例が同様の方法で示され、合計５戸の例があ
る。

第３ｂ図は、第３ａ図の異なる５種類の戸の中
通り壁板用の６種類の壁板Ｗ／１〜Ｓ／６が１個の壁周
辺 枠から、及び６種類の床板Ｓ／１、Ｓ／２、Ｓ／１_R、
Ｓ／２_R、Ｓ／１_L、 Ｓ／２_Lが１個の床周辺枠から形成されることを説明 するものである。

第３ｂ図のＷ／１は第３ａ図の中通り壁板Ｗ／１を抜
出 して描いたもので、その下に対応する床板Ｓ／１_L、Ｓ
／１_R 、が示されている。壁板のハツチング部に小さ
な丸で示されているのが、上下壁板間及び隣接床
板間の共通の接合中心である。床板の凹部はこれ
に対応し得る接合部である。この実施例では接合
部の中心間隔ｍの２倍をプレキヤスト板の寸法単
位Ｍに等しくしたものである。この場合壁板と床
板との組合せによつて構造強度上不要な接合部を
省略し、接合部間隔として部分的にｍの２倍又は
３倍を用いることができる。例えば床板Ｓ／１_Rの右 から２番目の凹部はこの場合接合部としては用い
られていない。

Ｗ／２〜Ｗ／６についてもまつたく同様であるので説
明 を省略する。

第３ｂ図の下部に壁周辺枠及び床周辺枠を模式
的に示し、これは同図中に示した全ての壁板及び
全ての床板と位置的に対応して示されている。壁
周辺枠中の丸印、及び床周辺枠の凹部は夫々接合
部が形成され得る位置を示す。第３ｂ図中に示さ
れた全ての壁板及び床板はこの壁周辺枠及び床周
辺枠で製造することができる。例えば壁板Ｗ／１をそ のまま図中で下方に平行移動すれば適切な位置に
接合部を有した壁板がこの周辺枠で製造可能であ
ることが容易に理解され、これは他の全ての壁板
について同様である。

床板、例えばＳ／１_Rについても同様に平行移動さ せてみれば、最下部に示された床周辺枠によつて
適切な位置に接合部を有した床板が製造されるこ
とは明らかである。壁板Ｗ／１に対応する左側の床板 Ｓ／１_Lは、図中矢印で示む如く横に移動させて見る と、これは接合部間隔においてＳ／１_Rと全く同一で あるので中を規定する周辺枠部材を適当に移動さ
せるだけで図中最下部に示した壁周辺枠で製造可
能である。同様にして、他の全ての床板もこの１
個の床周辺枠で製造できる。

以上のように本発明の接合構造により、強固な
接合を可能とすると共に壁板および床板の接合中
心を水平軸線上の同一個所に合致させることによ
り壁板及び床板の形状を共通化し、型枠の種類を
増大させることなく多様な建築平面に対応するプ
レキヤストコンクリート板を提供するこができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のプレキヤストコンクリート板を
用いて構成する壁板および床板の水平接合部を示
す斜視図、第２ａ図、第２ｂ図は本発明による接
合部の実施例を示す断面図、第３ａ図は本発明が
適用される５種類の建物の側の平面図、第３ｂ図
は接合部配置の説明図。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下の壁板とこれに接続されるべき床板とを
   接合した構造において、該床板には彎曲して板厚
   方向にＵ字型を形成した端部を有する鉄筋が埋設
   され、該鉄筋端部には床板の板面とほぼ平行な面
   に閉ループを形成する如く接合部材が係合して居
   り、上下の壁板には壁板接合用鉄筋が鉛直方向に
   埋設され、これら鉄筋は上部又は下部壁板内にあ
   らかじめ埋設されたスリーブジヨイントにより接
   合されると共に下部又は上部壁板の接合鉄筋は前
   記接合部材の閉ループ内を貫通し、かつ前記接合
   部の壁板と床板の端縁相互が形成する空所にはモ
   ルタルまたはコンクリートが充満され、もつて上
   下の壁板と床板とが同一個所の接合部で接合され
   ていることを特徴とするプレキヤストコンクリー
   ト板の接合構造。