JPS6128465Y2

JPS6128465Y2 -

Info

Publication number: JPS6128465Y2
Application number: JP5639081U
Authority: JP
Priority date: 1981-04-18
Filing date: 1981-04-18
Publication date: 1986-08-23
Also published as: JPS57168382U

Description

【考案の詳細な説明】この考案は車両の各種パネル部材を音響振動板
として利用する車両用音響装置に関する。

従来の車両用音響装置としてのスピーカは、コ
ーン紙等の振動板を具備した通常のスピーカユニ
ツトを、単独のフルレンジ形として、あるいは複
数組み合せて２ウエイ形等として用いるもので、
これら完成されたスピーカを、例えばフロントパ
ネル、フロントドア、リヤサイド、リヤパーセル
シエルフ等の所定位置に埋設または据置として設
置している。

ところが、コーン紙等を用いた通常のスピーカ
ユニツトでは、200Hz以下程度の低音域を十分に
再生しようとすると、口径が20cm近いものが必要
であり、これに対し多数の各種部品が集約されて
いる車両では、その取付位置等の関係で搭載可能
なスピーカユニツトの大きさが自から限られてし
まうため、一部大型車等を除けば、一般には上記
のような大口径スピーカの使用は困難である。ま
た、このような大口径スピーカを無理にリヤパー
セルシエルフ上に据置いた場合には、後方視界を
妨げる問題も生じてくる。

従つて実際には口径５〜10cm程度のスピーカユ
ニツトが主に実用されており、それ故に低音域の
再生が不十分であつた。

そこで本出願人は先に、車両の各部に用いられ
ている合板や鉄板あるいは合成樹脂板等の各種パ
ネル部材、例えばリヤパーセルシエルフ、ドアト
リム、ドアインナパネル、ルーフパネル等に音響
用加振ドライバを取り付け、該パネル部材自体を
振動板として利用するようにした車両用音響装置
を提案した。これによれば小型で車室内スペース
を占有することがなく、しかも振動面積を広く得
られるので大口径スピーカに匹敵する低音域再生
が可能である。

ところで、上記の如く振動板として利用される
リヤパーセルシエルフ等は、一般に外縁部等にて
剛的に固定されているものであるから、中・高音
域では分割振動が生じ、低音域に比較して中・高
音域の音圧レベルが低く、こもつた感じの音とな
つてしまう。また、これを補うために中高音域再
生用の通常のスピーカユニツトを併用したので
は、折角の小型化、軽量化を損ない、かつ設置場
所に制約を受ける惧れがある。

この考案はこのような点に鑑み、パネル部材自
体を音響振動板として利用するパネル加振ドライ
バに、コーン紙等の振動板を具備したスピーカ部
を一体に構成し、パネル部材の振動により低音域
を再生する一方、中高音域は上記スピーカ部にて
再生させるようにして、小型でしかも低音域、中
高音域のいずれもが良好に再生し得る車両用音響
装置を提供するものである。

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

第１図はこの考案を自動車のリヤパーセルシエ
ルフに適用した一実施例を示しており、パネル部
材として上記リヤパーセルシエルフ１は、例えば
ハードボードを芯材としてこれにカーペツト等の
表皮材を貼着してなり、剛性を有するリヤパーセ
ルインナパネル２のリブに、その外縁部がビス４
を用いて固定され、ここを節として上下に膜振動
可能になつている。そして、このリヤパーセルシ
エルフ１の適宜位置に、保護ネツト３を備えた開
口部が形成されているとともに、その下面に後述
するパネル加振ドライバ５が取り付けられてい
る。

第２図は上記パネル加振ドライバ５の一実施例
を示すもので、６はポールピース７とヨークプレ
ート８との間に磁界を形成するためのマグネツ
ト、９はその磁界中に置かれたコイル、１０はこ
のコイル９を支持するボビン１１が固設された加
振板であつて、この加振板１０は上記ボビン１１
を囲むように形成されたコルゲーシヨン１２によ
つて中央部１０ａと環状部１０ｂとに区画されて
おり、その外周縁がカツプ状のケース１３の中間
部に支持されている。また上記ポールピース７、
ヨークプレート８、マグネツト６の３者は一体と
なつて弾性リング１４を介して上記ケース１３中
間部に弾性支持されている。一方、上記加振板１
０の中央部１０ａには、振動板としてコーン紙１
５が取付けられており、これにより中高音域再生
用のスピーカ部を構成している。尚、１６は上記
コーン紙１５のエツジ部、１７はセンターキヤツ
プを示している。即ち、上記コイル９に信号電流
が流れると、弾性リング１４を介して支持されて
いるポールピース７等とコイル９とが相対的に振
動する。ここで周波数が低い場合は、加振板１０
全体がコイル９とともに振動し、この加振力がケ
ース１３を介してリヤパーセルシエルフ１に伝達
される結果、リヤパーセルシエルフ１が膜振動し
て音響信号の低音域を再生する。一方、周波数が
高くなると、コルゲーシヨン１２の作用によつて
加振板１０の中央部１０ａのみがコイル９ととも
に振動し、環状部１０ｂは振動しない。そのため
主にスピーカ部を構成するコーン紙１５が振動
し、これにより音響信号の中高音域を再生する。

従つて上記実施例によれば、低音域再生用の振
動板としてリヤパーセルシエルフ１の十分な面積
が利用できるため、良好な低音再生が可能であ
り、従来車両用として搭載不可能であつた大口径
スピーカに匹敵する良好な低音が得られる。また
中高音域では主としてパネル加振ドライバ５に組
み込まれたスピーカ部が発音し、リヤパーセルシ
エルフ１は振動しないため、その分割振動が防止
され、中高音域の良好な音質と十分な音圧レベル
を確保できる。

次に第３図はパネル加振ドライバ５の異なる実
施例を示すもので、第２図のものと同一部分には
同一符号を付してある。即ち、マグネツト６、ポ
ールピース７、ヨークプレート８、コイル９、加
振板１０、弾性リング１４等によつて上記実施例
と同様に、リヤパーセルシエルフ１自体を振動板
として利用する低音用加振ドライバが構成されて
いる一方、上記ポールピース７内に、中高音用ス
ピーカ部を構成するマグネツト２１、ヨークプレ
ート２２、コイル２３が配設され、このコイル２
３を支持するボビン２４がコーン紙１５に固設さ
れている。そして所定周波数で分離した低音信号
を上記コイル９に、中高音信号を上記コイル２３
に夫々入力することによつて、低音域はリヤパー
セルシエルフ１の振動により再生され、かつ中高
音域はコーン紙１５の振動により良好に再生され
るのである。

第４図は、一体に組み込まれたスピーカ部がホ
ーン形に構成されているパネル加振ドライバ５の
さらに異なる実施例を示しており、低音再生用の
ポールピース７にホーン３１が形成されていると
ともに、その基部に中高音再生用としてポールピ
ース３２、マグネツト３３、ヨークプレート３
４、ダンパ３５を介して支持された振動板３６、
この振動板３６に支持されたコイル３７、および
ホーンイコライザ３８からなるスピーカ部が構成
されている。

以上、この考案をリヤパーセルシエルフに適用
した実施例を説明したが、他にドアトリムやドア
インナパネルあるいはヘツドライニング等種々の
パネル部材に適用可能である。また左右一対設け
ることによりステレオ再生が可能なことは勿論で
ある。

以上の説明で明らかなように、この考案によれ
ば、車両のパネル部材を低音用の音響振動板とし
て利用するので、通常のスピーカユニツトに比較
して大幅な小型化が図れる一方、大口径スピーカ
ユニツトに匹敵する良好な低音再生が可能とな
る。また中高音域は内蔵したコーン紙等の振動板
から発音されるので上記パネル部材の分割振動に
よる音圧レベルの低下を防止でき、別体のスピー
カユニツトを併用することなく、音質ならびに能
率の点で十分な実用性が得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案をリヤパーセルシエルフに適
用した実施例を示す斜視図、第２図はパネル加振
ドライバの一実施例を示す半断面図、第３図およ
び第４図は各々パネル加振ドライバの異なる実施
例を示す半断面図である。１……リヤパーセルシエルフ、２……リヤパー
セルインナパネル、５……パネル加振ドライバ、
６……マグネツト、７……ポールピース、８……
ヨークプレート、９……コイル、１０……加振
板、１２……コルゲーシヨン、１３……ケース、
１４……弾性リング、１５……コーン紙、２１…
…マグネツト、２３……コイル、３１……ホー
ン、３３……マグネツト、３６……振動板、３７
……コイル。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

取り付けられたパネル部材自体を音響振動板と
して利用するパネル加振ドライバに、コーン紙等
の振動板を具備したスピーカ部を一体に構成し、
このパネル加振ドライバを車両の適宜位置のパネ
ル部材に取り付けたことを特徴とする車両用音響
装置。