JPS6128071Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、往復圧縮機におけるクランクケー
ス構造に関するものである。

〔従来の技術〕

往復圧縮機は、クランクケース内のクランク軸
の回転に基づくシリンダ内のピストンの上下往復
動により所定の圧縮動作を行なうように構成され
いる。

ところで、従来このような往復圧縮機における
クランクケースは、クランク軸を支持する少なく
とも一方の側板をクランクケース本体と別体に形
成し、そしてこの側板を横方向すなわちクランク
軸の軸線方向からクランクケース本体に組付け、
それからボルト等によつて固定するように構成さ
れている。このため、圧縮機の組立てに際して
は、クランク軸をその軸線に沿つてクランクケー
スの横方向からこのクランクケース内に差し入
れ、そしてその一端をクランクケース側の他方の
支持側板に片持ち支持させてから、一方の支持側
板を横方向すなわちクランク軸の軸線方向からク
ランクケース本体に組付けて固定することによ
り、クランク軸の両端を前記両支持側板に支持さ
せた状態でクランクケースを組立てる。その際、
クランクケース内に連続棒を仮保持させておき、
クランクケースに対するクランク軸の組付けと同
時に、このクランク軸を連接棒に貫入させて連接
棒を組付ける。その後、この連接棒の先端にピス
トンを取付けてから、クランクケースの上部にそ
の上方からシリンダを組付け、そしてボルト等に
よつて固定するようにしている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このようなクランクケースにあ
つては、クランクケース本体に対する側板とクラ
ンク軸の組付け方向と、クランクケースに対する
シリンダの組付け方向とが異方向であり、しかも
これら側板とシリンダをそれぞれ別のボルト等に
よつて固定するため、クランクケース本体に対す
るその側板およびクランク軸の組付け、クランク
軸に対する連接棒の組付けおよびクランクケース
に対するシリンダの組付けが面倒であり、圧縮機
自体の組立ておよび分解の作業性を悪くしてい
た。

本考案は、従来のものがもつ以上のような問題
点を解決した往復圧縮機におけるクランクケース
構造を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕 本考案は、前記目的を達成させるために次のよ
うな構成としている。即ち、クランクケース内の
クランク軸の回転に基づくシリンダ内のピストン
の上下往復動により所定の圧縮動作を行なう往復
圧縮機において、前記クランク軸を支持する少な
くとも一方の前記クランクケースの側板をクラン
クケース本体と別体に形成し、前記クランクケー
ス本体には前記側板を上方から嵌め込み支持する
嵌合部を設け、前記側板を前記クランクケース本
体と前記シリンダとの間に挾持するように構成し
ている。

〔作用〕

クランクケースと別体に形成された少なくとも
一方のクランクケースの側板、クランク軸および
連接棒を一つの集合体とし、クランクケース本体
の嵌合部にその上方から前記側板を嵌め込み、側
板をクランクケース本体とシリンダとの間に挾持
する。これにより、クランクケース本体に前記集
合体を同時的に組付け、組立ておよび分解の作業
性を良くする。

〔実施例〕

以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

本実施例によれば、クランク軸１の両端部を支
持するクランクケースの両側板２が、クランクケ
ース本体３と別体に形成されている。そして、こ
のクランクケース本体３には、各側板２を上方か
ら嵌め込み支持するための嵌合部４が設けられて
いる。この嵌合部４は、側板２の両側部を上下動
自在に嵌め合わせるように上下方向に沿つて形成
されたガイド溝５によつて構成されている。クラ
ンクケース本体３と各側板２の上端部には、シリ
ンダ６の下側フランジ部７を取付けるための取付
け座面８が形成されている。この座面８の各隅部
分には下方へ貫通する合計４つのボルト挿通孔９
が設けられている。各ボルト挿通孔９は、シリン
ダ６の下側フランジ部７の４隅に設けられたボル
ト挿通孔１０に対応するものであつて、これら対
応する４組のボルト挿通孔９，１０のそれぞれに
上方から合計４つのボルト１１が挿通されて、そ
れらの下端がクランクケース本体３の下側に位置
する圧縮機ベース（図示せず）にねじ付けられる
ようになつている。

各側板２には、それらの相互間にクランク軸１
の両端部を回転自在に保持するための軸受部（図
示せず）が設けられている。

しかして、上記構成のクランクケースを組立て
るには、まず、連接棒１２と図示しないピストン
が連結されたクランク軸１の両端部に、図示する
ように側板２をそれぞれ取付けて一つの集合体を
構成する。それから、各側板２を対応する嵌合部
４のガイド溝５に嵌め合わせるようにして、前記
集合体を上方からクランクケース本体３に組付け
る。したがつて、各側板２とクランク軸１はクラ
ンクケース本体３に同時に組付けられて、クラン
ク軸１は側板２を介してクランクケース内に回転
自在に保持される。次に、シリンダ６をクランク
ケース上に載せて、それらの下側フランジ部７と
取付け座面８とを合わせ、対応する４組のボルト
挿通孔９，１０を一致させる。それから、合計４
つのボルト１１を各組のボルト挿通孔９，１０内
にそれらの上方から挿入し、これらのボルト１１
の下端をクランクケース本体３の下側に位置する
圧縮機ベースにねじ付ける。そして、各ボルト１
１を加締めるのみにより、クランクケース本体３
および側板２を介して圧縮機ベース上にシリンダ
６を固定する。したがつて、各側板２がクランク
ケース本体３とシリンダ６の下側フランジ部７と
の間に挾持固定されて、クランクケースがクラン
ク軸１の組付けと同時に極めて簡単に組立てられ
る。

その後、シリンダカバー、吸込弁および吐出弁
等を組み付けて往復圧縮機を組立てる。

その後、クランクケースを分解する必要が生じ
た場合には、上記組立て作業の逆の手順によつて
分解する。

なお、上記実施例では両側板２のそれぞれをケ
ース本体３と別体に形成しているが、図中右側の
一方の側板２のみをケース本体３と別体に形成し
てもよく、この場合にはクランク軸１の一端部に
上記一方の側板２を取付けて一つの集合体を構成
し、そして一方の側板２を対応する嵌合部４のガ
イド溝５に嵌め合わせるようにして、前記集合体
を上方からクランクケース本体３内に一旦組付
け、それからクランク軸１を他方の側板２の方向
に若干スライドさせて、クランク軸１の他端部の
他方の側板２に嵌め合わせるようにすればよい。

また、各ボルト１１は、クランクケース本体３
に対する側板２の固定、クランクケースに対する
シリンダ６の固定および圧縮機ベースに対するク
ランクケースの固定の合計３つの固定機能を果す
が、前者２つの機能のみを果すようにして、後者
１つの機能は別のボルト等によつて果すようにし
ても、クランクケースの組立ての簡易化は充分に
得られる。

また、クランクケース本体３とシリンダ６との
間に側板２を挾持固定するための固定手段は、何
ら前記ボルト１１に限定されず適宜設計変更可能
である。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案に係る往復圧縮
機におけるクランクケース構造によれば、クラン
クケース本体に対する側板とクランク軸の組付け
方向と、クランクケースに対するシリンダの組付
け方向とを同方向としているので、クランクケー
スの側板、クランク軸および連接棒を１つの集合
体として、これらをクランクケース本体に対して
同時的に組付けることができ、この結果組立てお
よび分解の作業性が極めて良く、しかもクランク
ケース本体に対するその側板の固定手段を、クラ
ンクケースに対するシリンダの固定手段を兼有さ
せて構成の簡易化を図ることができ、特にクラン
クケースの厳密な気密性があまり要求されない無
給油式の往復圧縮機に適用して極めて好適である
等種々の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示す分解斜視図で
ある。 １……クランク軸、２……側板、３……クラン
クケース本体、４……嵌合部、６……シリンダ、
１１……ボルト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランクケース内のクランク軸の回転に基づく
   シリンダ内のピストンの上下往復動により所定の
   圧縮動作を行なう往復圧縮機において、前記クラ
   ンク軸を支持する少なくとも一方の前記クランク
   ケースの側板をクランクケース本体と別体に形成
   し、前記クランクケース本体には前記側板を上方
   から嵌め込み支持する嵌合部を設け、前記側板を
   前記クランクケース本体と前記シリンダとの間に
   挾持するように構成したことを特徴とする往復圧
   縮機におけるクランクケース構造。